Abalance 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Abalance 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Abalanceはスタンダード市場に上場し、太陽光パネル製造事業とグリーンエネルギー事業を展開しています。直近の業績は売上高1202億円、経常利益125億円と大幅な増収増益を達成しました。米国やベトナムでのサプライチェーン構築を進め、再生可能エネルギーの中核的グローバル企業として成長を続けています。


※本記事は、Abalance株式会社の有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年8月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Abalanceってどんな会社?


太陽光パネルの製造およびグリーンエネルギー事業をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、2007年に上場を果たしました。2011年にWWBを完全子会社化してグリーンエネルギー事業を強化し、2017年に現在の社名へ変更しました。2020年にはベトナムの太陽光パネル製造会社を子会社化し、2024年には子会社のTOYOが米国ナスダック市場への上場を果たしています。

従業員数は連結で3,498名、単体で26名です。筆頭株主は創業者であり現取締役の龍潤生氏で、第2位は有限会社飯塚フューチャーデザインとなっています。

氏名 持株比率
龍 潤生 24.71%
有限会社飯塚フューチャーデザイン 3.40%
日野 豊 2.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役の柳瀬重人氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
柳瀬 重人 代表取締役 みずほ銀行の米州営業第一部長や安川電機の取締役、新生銀行の常務執行役員などを経て、2026年4月より現職。
龍 潤生 取締役 2006年にWWBを設立し代表取締役に就任。同社や関連会社の代表取締役を歴任し、2026年4月より現職。
岡田 智夫 取締役 オリエントコーポレーションの常務執行役員やオリファサービス債権回収の取締役会長を経て、2026年6月より現職。


社外取締役は、小嶋一慶(弁護士)、佐々木十珠絵(EVOLUTION JAPAN総研執行役員など)、是松洋平(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「太陽光パネル製造事業」「グリーンエネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。

太陽光パネル製造事業


グローバル市場に向けて太陽光パネルやその上流工程となるセル、インゴット、ウエハの製造および販売を行っています。米国やアジア等の再生可能エネルギー需要に応えるコスト競争力のある製品を提供しています。

太陽光パネルや関連製品の販売代金を主な収益源としています。事業の運営は、ベトナムを拠点とするVietnam Sunergy Joint Stock CompanyやTOYO SOLAR Company Limited、およびナスダック上場企業のTOYO Company Limitedなどが担っています。

グリーンエネルギー事業


太陽光発電所および関連設備にかかる物品販売と、太陽光発電所の自社保有による売電事業を展開しています。太陽光パネルの廃棄問題に対応するリユース事業にも取り組んでいます。

フロー型ビジネスとして太陽光パネルや蓄電池などの部材販売代金を受け取り、ストック型ビジネスとして自社保有発電所からの継続的な売電収入やO&M収入を得ています。運営は主にWWBやバローズが行っています。

その他


IT事業、光触媒事業、スマート・モビリティ事業などを展開しています。スマート・モビリティ事業では、建設機械の国内外での販売やレンタルを行っています。

システム構築やソフトウェアライセンスの販売代金、建設機械のレンタル料などを収益源としています。IT事業や建設機械事業などを通じて、WWBなどのグループ各社が多角的にサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績では、売上高が1202億円、経常利益が125億円に達し、力強い成長を示しています。事業規模の拡大に伴い利益水準も向上しており、利益率は10.4%に改善しています。一方で、親会社所有者帰属の当期利益は変動が見られ、一時的なマイナスとなる期もあり、事業再編や積極投資等の影響が表れています。

項目 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 919億円 2152億円 1984億円 628億円 1202億円
経常利益 18億円 144億円 5億円 25億円 125億円
利益率(%) 2.0% 6.7% 0.2% 3.9% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.7億円 0.3億円 5.5億円 1.8億円 -0.4億円

(2) 損益計算書


売上高が前期の約2倍に拡大しており、それに伴い売上総利益も順調に増加しています。営業利益は26億円から139億円へと大幅に伸びており、営業利益率も4.1%から11.6%に改善し、収益力の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 628億円 1202億円
売上総利益 124億円 290億円
売上総利益率(%) 19.7% 24.2%
営業利益 26億円 139億円
営業利益率(%) 4.1% 11.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が37億円(構成比25%)、租税公課が35億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


各事業ともに売上高を伸ばしており、特に主力である太陽光パネル製造事業が大きく成長し、全体の収益を力強く牽引しています。グリーンエネルギー事業も堅調に利益を確保しており、安定した収益基盤として機能しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
太陽光パネル製造事業 548億円 1118億円 24億円 140億円 12.5%
グリーンエネルギー事業 74億円 79億円 8億円 8億円 10.2%
その他 6億円 5億円 -0.1億円 -1億円 -26.6%
調整額 - - -6億円 -7億円 -
連結(合計) 628億円 1202億円 26億円 139億円 11.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のパターンです。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -103億円 244億円
投資CF -26億円 -96億円
財務CF 41億円 -173億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Best Values」を企業理念に掲げています。先進的な商品や業務、サービスの提供を中心に価値を創造し、社会生活の改善と向上を図りながら、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを目指しています。また、企業のビジョンとして「Excellent Creative Company」を定めています。

(2) 企業文化


同社は従業員の幸福や、顧客・社会との「Win-Win関係」を重視する価値観を持っています。愛と感動を原動力として成長し続ける姿勢を大切にしており、常に社会変化を先取りして広く社会貢献するグローバル企業グループを目指すなど、持続可能な事業価値の向上に取り組む文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


2030年に向けたグループビジョンとして「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を掲げています。中長期的な数値目標として、国内と海外を合わせて保有発電容量1GWを目指すほか、太陽光パネル製造事業では年間製造目標を設定し、事業の持続的な成長を図っています。

* 国内海外の保有発電容量1GW(2030年まで)
* 太陽光パネル製造目標:インゴット・ウエハ8GW、セル16GW、パネル12GW

(4) 成長戦略と重点施策


太陽光パネル製造事業において、地政学リスクを考慮したサプライチェーンの強靭化と競争力強化を推し進めています。また、グリーンエネルギー事業では太陽光発電所の自社保有化によるストック型ビジネスを強化し、安定収益の確保に努めるとともに、借入金の返済を通じた財務体質の健全化にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を企業価値向上を支える重要な「人的資本」と位置づけ、国籍や性別を問わず多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを推進しています。適材適所の配置による生産性向上や、専門性向上に向けた教育投資、キャリア形成支援、柔軟な働き方の整備を通じて、従業員の成長が企業価値の向上につながる好循環を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.5歳 3.9年 7,291,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.6%
男性育児休業取得率 100%
男女賃金差異(全労働者) 61.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 75.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 20.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人管理職比率(7.1%)、健康診断受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ガバナンス・内部管理体制


同社は東京証券取引所より監理銘柄(審査中)に指定されており、内部管理体制やコーポレート・ガバナンス体制の実効性向上に取り組んでいます。これらの改善施策が十分に機能しない場合や不備が再発した場合には、ステークホルダーからの信用が低下し、事業運営や資金調達環境に影響を及ぼす可能性があります。

(2) グローバル事業展開とサプライチェーン


同社グループはアジアや米国などで幅広く事業を展開しているため、関税や投資規制の変更、地政学リスクの影響を受ける可能性があります。また、太陽光パネルの主要部材を海外から調達しており、通商政策や自然災害等の発生によってサプライチェーンが影響を受け、顧客への供給が遅延・停止するリスクがあります。

(3) 太陽光パネル市場の動向と米国の関税


世界的な供給過剰により太陽光パネルや部材価格の下落が進行しており、競争環境の激化によって収益力が低下するリスクがあります。また、主要な販売先である米国におけるアンチダンピング関税等の政策動向により、これまでのグローバル事業戦略や同国向けの販売に大きな影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。