ZOZO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ZOZO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場しています。ファッションECサイト「ZOZOTOWN」やメディア「WEAR by ZOZO」の運営などを主力事業としています。直近の業績は売上高2,284億円、経常利益693億円と増収増益のトレンドで推移しており、海外展開や新サービスの拡充により持続的な成長を目指しています。


※本記事は、株式会社ZOZOの有価証券報告書(第28期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月8日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ZOZOってどんな会社?


ファッションECサイト「ZOZOTOWN」などの運営を主力とし、アパレルとテクノロジーを掛け合わせたサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1998年に輸入CD・レコードの通信販売を目的に設立され、2000年にアパレル商材を中心としたEC事業のセレクトショップ運営を開始しました。2004年に「ZOZOTOWN」を開始し、2007年に東証マザーズへ上場しました。その後、2019年にはLINEヤフーとの資本業務提携により同社の子会社となり、近年は海外企業のM&Aなどグローバル展開も進めています。

現在の従業員数は連結で1,894名、単体で1,662名です。筆頭株主は親会社のZホールディングス中間で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
Zホールディングス中間 51.89%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.09%
日本カストディ銀行(信託口) 4.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性5名の計11名で構成され、女性役員比率は45.5%です。代表取締役社長兼CEOの澤田宏太郎氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
澤田宏太郎 代表取締役社長兼CEO 1994年NTTデータ入社。2005年スカイライトコンサルティング入社などを経て、2019年9月より現職。
栁澤孝旨 取締役副社長兼CFO 1995年富士銀行入行。みずほ証券などを経て2006年にZOZO常勤監査役へ就任。2017年4月より現職。
廣瀬文慎 取締役兼COO 2001年第一勧業銀行入行。日興コーディアル証券を経て2007年ZOZO入社。2021年6月より現職。
秀誠 取締役 2002年ヤフー入社。LINEヤフー常務執行役員などを経て、2024年6月より現職。
永田佑子 取締役 2003年NTTファシリティーズ入社。楽天、日本ロレアル、ヤフーなどを経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、齋藤太郎(dof代表取締役)、閑歳孝子(ふしぎ代表取締役)、及川卓也(Tably代表取締役)、五十嵐弘子(公認会計士)、宇都宮純子(弁護士)、西山久美子(西山公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「EC事業」の単一セグメントとして事業を展開しています。

(1) ZOZOTOWN事業


ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を通じ、ブランドからの仕入れ販売や受託販売、中古ファッション商材の二次流通事業を提供しています。自社在庫を持つ買取・製造販売やUSED販売、ブランドがテナント形式で出店する受託販売から構成されています。

収益源は、販売された商品の手数料を受託販売手数料として受け取ることや、自社で在庫リスクを負う買取販売による収益です。運営は主にZOZOが行っています。

(2) LINEヤフーコマース


オンラインショッピングモール「Yahoo!ショッピング」へのZOZOTOWNの出店、ならびに「Yahoo!オークション」への中古商材ストア「ZOZOUSED」の出店を行っています。

収益源は、モール内で販売された商品から得られる手数料です。運営はLINEヤフーが展開するプラットフォーム上で、ZOZOが出店者として行っています。

(3) LYST


欧米地域を中心に展開するファッションショッピングプラットフォーム「Lyst」を通じて、パートナー企業の商品を掲載し、ユーザーを各販売サイトへ送客する事業です。

収益源は、提携パートナーから受け取る成果報酬型の手数料(アフィリエイト収益)です。運営は、同社が買収し連結子会社となったLYST LTDが行っています。

(4) BtoB事業、広告事業およびその他


アパレルメーカーが独自に運営するECサイトの開発や物流を請け負うBtoB事業や、ZOZOTOWN等の顧客基盤を活用してブランドに広告枠を提供する広告事業を展開しています。また、オフライン店舗への送客などの付随サービスも提供しています。

収益源は、BtoBでの受託販売手数料や、広告掲載に伴う広告収入、ZOZOTOWNに付随する送料や決済手数料収入などです。運営は主にZOZOが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績は、売上高と経常利益がともに連続して増加しており、堅調な成長を続けています。利益率も約30%という高い水準で安定して推移しており、EC事業の拡大と効率的な事業運営が収益基盤の強化に寄与していることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,662億円 1,834億円 1,970億円 2,131億円 2,284億円
経常利益 497億円 567億円 598億円 649億円 693億円
利益率(%) 29.9% 30.9% 30.3% 30.4% 30.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 377億円 403億円 445億円 458億円 521億円

(2) 損益計算書


売上高および各利益段階で前年を上回る結果となり、順調な成長が確認できます。売上総利益率および営業利益率も前期とほぼ同水準を維持しており、規模の拡大に伴う利益創出力が安定していることが読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,131億円 2,284億円
売上総利益 1,983億円 2,130億円
売上総利益率(%) 93.0% 93.3%
営業利益 648億円 694億円
営業利益率(%) 30.4% 30.4%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が379億円(構成比26%)、給料及び手当が208億円(同14%)、広告宣伝費が171億円(同12%)を占めています。売上原価についても、商品の仕入に関連する費用で構成されています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は46.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.9%で、いずれも市場平均を上回っています。営業利益で借入返済や株主還元を行い、事業への投資も手元資金で賄っている健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 601億円 525億円
投資CF -63億円 -289億円
財務CF -321億円 -458億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念を掲げています。“想像”と“創造”を繰り返し、高付加価値なサービスを提供していくクリエイター集団であり続け、世界中の全ての尊い個性がファッションで繋がる未来を目指すことを基本姿勢に経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は、人材マネジメントポリシーとして「ソウゾウのナナメウエ/日々進歩/愛」という3つの「ZOZOらしさ」を重視しています。主体性を持って自らを高め、仲間を思いやりながらチームで成果を出し、失敗を恐れずに新たな価値を生み出すことを従業員と会社の約束とし、多様な個性が活躍できる風土を築いています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、EC事業から生み出される商品取扱高を重視しており、さらに自己資本利益率(ROE)30%を目安とした資本効率の高い経営を目指しています。また、中期経営計画では具体的な目標値を定めて持続的な成長を推進しています。

* 自己資本利益率(ROE)30%を目安
* 2030年3月期 調整後EBITA 900億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存の「More Fashion領域」ではZOZOTOWNの新規ユーザー獲得やブランド誘致を強化し、AIを活用した「似合う」のソリューション提供を目指します。「Near Fashion領域」では周辺領域での新しい消費体験サービスを創出します。「Global領域」では欧米を中心にLYSTなどを活用して海外市場での収益拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「信頼の力で幸せな人と会社をソウゾウする」を人事戦略として掲げています。多様なバックグラウンドを持つ従業員の個性や能力を価値創造の源泉と捉え、従業員が互いの個性を尊重し合い、自らの得意を活かすことで成長できる環境を整備しています。評価制度には「ZOZOらしさ」の体現度を組み込み、自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.7歳 7.5年 8,558,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 26.0%
男性育児休業取得率 87.9%
男女賃金差異(全労働者) 52.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 79.0%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 89.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性比率(42.0%)、産休・育休後の復職率(98.8%)、障がい者雇用率(3.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) サイバー攻撃・システムインシデントリスク


ECサイトの運営を主力事業とし、注文受付から配送に至るサプライチェーン全体をITシステムで構築しているため、外部からの攻撃や自然災害、停電等によるシステム障害が事業活動や社会的信用に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の業務における委託先の機能停止リスク


商品の配送業務や販売代金の回収業務、データセンター等のシステム基盤において他社サービスを利用しています。委託先の経営状況の変化や予期せぬ事態による機能停止が発生した場合、サービス提供に支障をきたす恐れがあります。

(3) 情報漏洩リスク


「ZOZOTOWN」や「WEAR by ZOZO」などの運営において、大量の会員個人情報を保有・管理しています。故意や過失、不正アクセス等により個人情報が外部へ流出した場合、損害賠償請求やブランドの毀損を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 企業買収(M&A)等に関するリスク


事業成長のために企業買収を重要な戦略と位置づけていますが、買収後の市場環境の変化や競合激化、業績不振等により期待する成果が得られない場合、のれんの減損損失や追加費用が発生し、財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。