ZOZO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ZOZO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のZOZOは、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」の運営を主力事業としています。第27期は、商品取扱高の拡大や広告事業の成長により、売上高2,131億円、経常利益649億円の増収増益を達成しました。積極的なプロモーションやコスメカテゴリーの強化を推進しています。


※本記事は、株式会社ZOZO の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ZOZOってどんな会社?


ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営し、受託販売や広告事業などを展開する企業です。

(1) 会社概要


1998年に輸入CD・レコード販売を目的に設立され、2004年に「ZOZOTOWN」の運営を開始しました。2007年にマザーズへ上場し、2012年に東証一部へ市場変更しました。2019年にはヤフー(現LINEヤフー)と資本業務提携を締結し、同社の連結子会社となりました。

連結従業員数は1,761名、単体では1,664名です。筆頭株主は親会社のZホールディングス中間で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位も信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
Zホールディングス中間 51.51%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.99%
日本カストディ銀行(信託口) 5.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性5名の計11名で構成され、女性役員比率は45.5%です。代表取締役社長兼CEOは澤田 宏太郎氏です。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
澤田 宏太郎 代表取締役社長兼CEO NTTデータなどを経て、2008年スタートトゥデイコンサルティング代表取締役。2013年同社取締役、2019年代表取締役社長兼CEO就任。2022年よりZOZO NEXT代表取締役CEOを兼務。
栁澤 孝旨 取締役副社長兼CFO 富士銀行(現みずほ銀行)などを経て、2006年同社常勤監査役。2009年取締役CFO、2017年より取締役副社長兼CFO。ZOZO NEXT取締役も務める。
廣瀬 文慎 取締役兼COO 第一勧業銀行(現みずほ銀行)などを経て、2007年同社入社。経営管理本部長、EC事業本部長などを歴任し、2021年より現職。
永田 佑子 取締役 楽天などを経て、ヤフー(現LINEヤフー)執行役員マーケティング統括本部長などを歴任。2023年同社取締役就任。LINEヤフー執行役員も務める。
秀 誠 取締役 ヤフー(現LINEヤフー)入社後、コマースカンパニー事業推進室長などを経て、LINEヤフー上級執行役員コマースカンパニーCEO。2024年同社取締役就任。


社外取締役は、齋藤 太郎(dof代表取締役)、閑歳 孝子(くふうカンパニーHD CSO)、及川 卓也(Tably代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ZOZOTOWN事業」「LINEヤフーコマース」「BtoB事業」「広告事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ZOZOTOWN事業


「ZOZOTOWN」において、各ブランドの商品を販売しています。事業形態は、同社が在庫リスクを負う「買取・製造販売」、ブランドの在庫を預かり販売する「受託販売」、個人等から中古ファッション商材を買い取り販売する「USED販売」の3つで構成されています。

収益は主に、買取・製造販売およびUSED販売における商品売上、受託販売におけるブランドからの受託販売手数料です。運営は主に同社が行っています。

(2) LINEヤフーコマース


LINEヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」へ「ZOZOTOWN」を出店し、商品を販売しています。また、「Yahoo!オークション」へ「ZOZOUSED」を出店しています。

収益は、販売された商品の手数料を受託販売手数料として計上しています。運営は同社が行っています。

(3) BtoB事業


アパレルメーカーが独自に運営するECサイト(自社ECサイト)のシステム開発、デザイン制作、物流請負、マーケティング支援など、各種フルフィルメント関連業務を支援しています。

収益は、受託ショップと同様に、販売された商品の手数料を受託販売手数料として計上しています。運営は同社が行っています。

(4) 広告事業


「ZOZOTOWN」およびファッションメディア「WEAR by ZOZO」のユーザー基盤を活用し、主に取引先ブランド各社に対して広告枠を提供しています。

収益は、取引先ブランド各社等からの広告収入です。運営は同社が行っています。

(5) その他


「ZOZOTOWN」事業に付随した事業や、「ZOZOMO」を経由した商材の販売、米国での「ZOZOSUIT」の有料販売などを行っています。

収益は、送料収入、決済手数料収入、「ZOZOSUIT」の販売収入などです。運営は同社および連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。特に第27期は売上高2,131億円に達し、過去最高を更新しました。経常利益も順調に伸長しており、高い利益率を維持しています。当期純利益についても増加基調が続いており、安定した成長を実現しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,474億円 1,662億円 1,834億円 1,970億円 2,131億円
経常利益 444億円 497億円 567億円 598億円 649億円
利益率(%) 30.1% 29.9% 30.9% 30.3% 30.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 310億円 377億円 403億円 445億円 458億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は高い水準を維持しており、営業利益率も30%を超える高収益体質であることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,970億円 2,131億円
売上総利益 1,831億円 1,983億円
売上総利益率(%) 93.0% 93.0%
営業利益 601億円 648億円
営業利益率(%) 30.5% 30.4%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が374億円(構成比28.0%)、その他費用が313億円(同23.4%)、給料及び手当が188億円(同14.1%)を占めています。物流コストや人件費が主な費用項目となっています。

(3) セグメント収益


各事業区分の売上高を見ると、主力のZOZOTOWN事業が堅調に推移しています。特にLINEヤフーコマースの成長率が高く、広告事業も拡大しています。BtoB事業はやや減少しましたが、全体としては増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ZOZOTOWN事業 1,439億円 1,520億円
LINEヤフーコマース 171億円 213億円
BtoB事業 23億円 21億円
広告事業 97億円 112億円
その他 240億円 265億円
連結(合計) 1,970億円 2,131億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済や株主還元を行いつつ、必要な投資も自己資金の範囲内で実施している「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 426億円 601億円
投資CF -99億円 -63億円
財務CF -371億円 -321億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は49.4%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念を掲げています。“想像”と“創造”を繰り返すクリエイター集団として高付加価値なサービスを提供し、世界中の全ての個性がファッションで繋がる未来を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「楽しく働く」ことを大切にし、ファッションを通じて個性を表現し、互いに尊重し合う文化があります。役職や年次にとらわれないフラットな組織風土があり、多様性を重視する独自の企業文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、EC事業から生み出される「商品取扱高」を重視する経営指標としています。また、資本効率の高い経営を目指し、ROE30%を目安とした目標を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


経営理念達成のため、「MORE FASHION」×「FASHION TECH」を戦略に掲げ、ファッションの追求とテクノロジー活用を推進しています。具体的には、「ZOZOTOWN」の更なる成長、LINEヤフーとの連携強化、利益構造の多様化、フルフィルメント及びECシステム機能強化を重点課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ダイバーシティ経営を推進し、誰もが自分らしく「自事(しごと)」ができる環境整備に取り組んでいます。性別や国籍等を問わず多様な人材を採用・登用し、独自の研修や評価制度を通じて育成を図っています。特に女性活躍推進やLGBTQ+への理解促進など、包括的な職場環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.3歳 6.8年 6,560,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.2%
男性育児休業取得率(正規雇用労働者) 70.5%
男性育児休業取得率(パート有期労働者) 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 56.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.3%
男女賃金差異(パート有期労働者) 105.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、上級管理職(部長以上)の女性比率(10.8%)、障がい者雇用率(3.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) サイバー攻撃・システムインシデントリスク


ECサイト運営において、サイバー攻撃や内部不正、自然災害等によるシステムトラブルが発生した場合、事業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。同社はシステムの強化や冗長化、セキュリティ対策等を実施し、リスク低減に努めています。

(2) 特定の業務に関する委託先依存リスク


配送業務や決済代行、システム基盤等を外部企業に委託しているため、委託先の経営悪化や機能停止が同社の事業に影響を与える可能性があります。同社は委託先のモニタリングやバックアッププランの用意などの対策を講じています。

(3) 個人情報漏洩リスク


ECサイト運営等を通じて大量の個人情報を保有しているため、情報漏洩が発生した場合は損害賠償や社会的信用の毀損等のリスクがあります。同社は「ISO/IEC 27001」の認証取得や厳重な情報管理体制の構築により、セキュリティ強化を図っています。

(4) 親会社との利益相反リスク


親会社であるLINEヤフー等との取引において、親会社の影響力により同社の利益が損なわれる利益相反のリスクがあります。同社は関連規程を定め、利害関係のある取締役を議決から除外する等の措置により、取引の公正性を確保しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。