※本記事は、フリュー株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フリューってどんな会社?
若年女性層向けのマーケティング力を強みとし、プリントシール機やキャラクターグッズを展開する総合エンタテインメント企業です。
■(1) 会社概要
1997年にオムロンにてエンタテインメント分野に参入し、1998年にプリントシール事業を開始しました。2007年にMBO(マネジメント・バイアウト)を実施してフリューとして独立し、2015年に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。2025年6月にはアニメ事業を新設分割し、フリュー・ピクチャーズを設立しています。
連結従業員数は537名、単体従業員数は524名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は元代表取締役社長の資産管理会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 風流商事 | 16.32% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.79% |
| TM | 5.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は榎本雅仁氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 榎本 雅仁 | 代表取締役社長 | オムロン、ゼロ・サムを経て同社入社。ピクトリンク事業部長、戦略本部長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 佐田 良子 | 取締役 | 住友生命保険、オムロンエンタテインメントを経て同社入社。ゲーム・アニメ事業部長、管理本部長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 土屋 正樹 | 取締役 | パロマ工業、オムロンエンタテインメントを経て同社入社。プリントシール機事業部長、ガールズトレンド事業本部長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 西村 仁志 | 取締役 | オムロン、オムロンエンタテインメントを経て同社入社。キャラクターMD第1事業部長、世界観事業本部長等を歴任し、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、小竹貴子(クックパッド広報部本部長)、宇野健人(アイアンフォージ代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「世界観ビジネス」「ガールズトレンドビジネス」「フリューニュービジネス」の3つの報告セグメントを展開しています。
■(1) 世界観ビジネス
クレーンゲーム景品(ぬいぐるみ、フィギュア等)、キャラクターくじ「フリューくじ」、高価格帯ホビー商品の企画・販売を行っています。また、中国や米国などを主要市場とした海外向け物販事業も展開しています。
アミューズメント施設運営企業や一般消費者から、商品販売代金を受け取ります。運営は主にフリューおよび米国子会社のFURYU of America, Inc.が行っています。
■(2) ガールズトレンドビジネス
アミューズメント施設向けプリントシール機およびシール紙の販売と、画像取得・閲覧サービス「ピクトリンク」の運営を行っています。若年女性層を主ターゲットとし、AI画像加工技術を活用したレタッチソフト販売も手がけています。
アミューズメント施設運営企業からの機器・消耗品販売代金や、エンドユーザーからのプレイ料金、Webサービスの有料会員課金を受け取ります。運営は主にフリューが行っています。
■(3) フリューニュービジネス
家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売、アニメーション番組の企画・製作、およびSNSマーケティングを主軸としたファッションD2C事業を展開しています。
ゲームソフトや関連商品の販売代金、製作委員会からの配分金等を受け取ります。運営はフリューおよび子会社のオルドットが行っています。なお、アニメ事業は2025年6月にフリュー・ピクチャーズへ承継されました。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実に増加傾向にあり、事業規模は拡大しています。一方、利益面では変動が見られ、直近の2025年3月期は前期と比較して経常利益、当期利益ともに減少しました。利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 341億円 | 364億円 | 428億円 | 443億円 |
| 経常利益 | 37億円 | 22億円 | 37億円 | 23億円 |
| 利益率(%) | 10.9% | 6.0% | 8.7% | 5.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 27億円 | 16億円 | 25億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は若干低下しており、コスト負担が増している様子がうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 428億円 | 443億円 |
| 売上総利益 | 168億円 | 169億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.3% | 38.1% |
| 営業利益 | 38億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 8.8% | 5.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が38億円(構成比26%)、業務委託費が21億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
世界観ビジネスはIP獲得や海外展開により増収を達成しましたが、ガールズトレンドビジネスはプレイ回数や有料会員数の減少により減収減益となりました。フリューニュービジネスはゲームソフトやアニメ事業が好調で増収となりましたが、営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 世界観ビジネス | 233億円 | 253億円 | 17億円 | 18億円 | 7.0% |
| ガールズトレンドビジネス | 159億円 | 148億円 | 44億円 | 31億円 | 21.2% |
| フリューニュービジネス | 35億円 | 41億円 | -6億円 | -4億円 | -10.4% |
| 連結(合計) | 428億円 | 443億円 | 38億円 | 22億円 | 5.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」という企業理念を掲げています。また、「事業の深化を続けると共に、事業の進化に挑戦し続ける」ことをミッション(会社の使命)として位置づけています。
■(2) 企業文化
社員が大切にする価値観として「動的ビジョン」を掲げています。これは、個人の「やりたいこと」と「できること」、そして会社の「やらねばならないこと」を重ね合わせることで、社員と会社双方の成長を目指すという考え方です。
■(3) 経営計画・目標
2028年3月期を最終年度とする「中期ビジョン」を策定し、「世界中に笑顔を届ける総合エンタテインメント企業」を目指しています。具体的な数値目標として、最終年度におけるROE(自己資本利益率)を15%まで引き上げることを掲げています。
* ROE:15%(2028年3月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
「世界観ビジネス」「ガールズトレンドビジネス」「フリューニュービジネス」の3事業を柱に成長を目指しています。世界観ビジネスではIP獲得と海外展開を加速させ、ガールズトレンドビジネスでは顧客生涯価値(LTV)の最大化を図ります。また、将来の事業拡大に向けた新規事業への戦略的投資も継続します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「動的ビジョン」を基軸とした組織風土のもと、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境づくりを推進しています。人事処遇制度の見直しや計画的な採用に加え、社員一人ひとりが自律的なキャリア形成を図れるよう支援し、企業と社員が共に成長することを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.7歳 | 8.8年 | 7,100,019円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 34.4% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.9% |
| 男女賃金差異(正規) | 77.1% |
| 男女賃金差異(非正規) | 49.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(5.5%)、有給休暇取得率(90.3%)、平均残業時間(17.3時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 仕入先の集中リスク
プリントシール機の製造委託先が特定の1社に集中しています。自然災害や委託先の方針変更等により生産が滞った場合、代替委託先の確保が困難となり、製品供給に支障をきたす可能性があります。
■(2) 顧客ニーズの変化と少子化
若年層を主要ターゲットとしているため、ユーザーの嗜好変化が激しく、ニーズへの対応が遅れると訴求力が低下する恐れがあります。また、国内の少子化が急速に進行した場合、市場全体が縮小し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 海外展開と為替変動リスク
世界観ビジネスでは生産の大半を中国で行っており、ドル建て決済が多いため円安の影響を受けやすくなっています。また、海外市場での事業拡大を進める中で、各国の法的規制や関税政策の変更等の影響を受ける可能性があります。



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