※本記事は、フリュー株式会社の有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フリューってどんな会社?
同社は若年女性層をターゲットとしたマーケティング力とキャラクター版権を強みに多様なエンタテインメント事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1997年にオムロンにおけるエンタテインメント分野の新規事業として始まりました。1998年にプリントシール事業、2002年にプライズ事業に参入して領域を広げ、2007年のMBO実施によりフリューへ全事業と全社員を継承して独立しました。その後、2015年に東京証券取引所市場第一部へ株式上場を果たしています。
従業員数は連結で565名、単体で512名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である風流商事で、第2位および第3位は信託銀行や法人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 風流商事 | 16.39% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.37% |
| TM | 5.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は榎本雅仁氏が務めています。社外取締役は2名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 榎本雅仁 | 代表取締役社長 | 1999年オムロン入社。ゼロ・サムを経て2009年同社入社。ピクトリンク事業部長、執行役員等を経て、2025年6月より現職。 |
| 佐田良子 | 取締役 | 1997年住友生命保険入社。2007年同社入社。ゲーム・アニメ事業部長、執行役員、管理本部長等を経て、2025年6月より現職。 |
| 土屋正樹 | 取締役 | 1995年パロマ工業入社。2007年同社入社。生産管理部長、プリントシール機事業部長、執行役員等を経て、2025年6月より現職。 |
| 西村仁志 | 取締役 | 1999年オムロン入社。2007年同社入社。キャラクターMD第1事業部長、執行役員、世界観事業本部長等を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、小竹貴子(クックパッド料理の楽しみ共創室部長)、宇野健人(アイアンフォージ代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「世界観ビジネス」、「ガールズトレンドビジネス」および「フリューニュービジネス」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 世界観ビジネス
許諾を受けたキャラクター版権を利用したクレーンゲーム景品のぬいぐるみやフィギュア、コンビニ向けキャラクターくじ、高価格帯ホビー商品を企画・販売しています。また、中国や米国を主要マーケットとした海外向け物販事業も展開しています。
アミューズメント施設や小売店等の顧客から商品の販売代金を受け取ります。運営は主に同社および海外子会社のFURYU of Americaが行っています。
■(2) ガールズトレンドビジネス
アミューズメント施設向けのプリントシール機と消耗品のシール紙の販売、およびモバイル端末向けのプリントシール画像取得・閲覧サービス「ピクトリンク」の運営を行っています。
施設運営企業からプリントシール機本体やシール紙の販売・レンタル料金を受け取るほか、直営店でのプレイ料金、およびピクトリンクの有料会員からの利用料を収益源としています。運営は主に同社が行っています。
■(3) フリューニュービジネス
家庭用ゲームソフトの企画・開発・販売や、アニメーション番組の企画・製作、SNSマーケティングを主軸としたファッションD2C事業を展開しています。
ゲームソフトやビデオグラムの販売代金のほか、アニメ製作委員会の幹事会社としての配分金や手数料を受け取ります。運営は同社および子会社のフリュー・ピクチャーズやオルドットが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にあり、順調に事業規模を拡大しています。一方、経常利益は期によって変動が見られますが、直近の2026年3月期には増収増益を達成し、利益率も改善傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 341億円 | 364億円 | 428億円 | 443億円 | 448億円 |
| 経常利益 | 37億円 | 22億円 | 37億円 | 23億円 | 33億円 |
| 利益率(%) | 10.9% | 6.0% | 8.7% | 5.1% | 7.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 25億円 | 14億円 | 25億円 | 16億円 | 21億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の微増に対し、売上原価の減少等により売上総利益が増加しています。さらに販売費および一般管理費が減少したことで、営業利益が大幅に改善し、収益性が高まっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 443億円 | 448億円 |
| 売上総利益 | 169億円 | 176億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.1% | 39.3% |
| 営業利益 | 22億円 | 33億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が36億円(構成比25%)、業務委託費が23億円(同16%)、手数料が19億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
世界観ビジネスはクレーンゲーム景品や海外物販が好調に推移し、増収増益を牽引しました。ガールズトレンドビジネスは売上が減少したものの、サービスレベルと価格の統一により増益を確保しました。フリューニュービジネスは新作ゲームの不調等により減収となり、営業損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 世界観ビジネス | 253億円 | 277億円 | 18億円 | 23億円 | 8.4% |
| ガールズトレンドビジネス | 148億円 | 144億円 | 31億円 | 36億円 | 24.9% |
| フリューニュービジネス | 41億円 | 27億円 | -4億円 | -5億円 | -17.0% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -22億円 | -22億円 | - |
| 連結(合計) | 443億円 | 448億円 | 22億円 | 33億円 | 7.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済等を行いながら、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 39億円 | 52億円 |
| 投資CF | -26億円 | -21億円 |
| 財務CF | -10億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」という企業理念を掲げています。また、会社の使命であるミッションとして「事業の深化を続けると共に、事業の進化に挑戦し続ける。」と定めており、総合エンタテインメント企業として多様な事業活動を通じた企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は社員が大切にする価値観として「動的ビジョン」を掲げています。これは、個人の「やりたいこと」や「できること」と、会社の「やらねばならないこと」を重ね合わせることで、社員と会社の双方の成長を目指す考え方です。多様な価値観を認め合い、チームワークを重んじながら挑戦を続ける組織風土を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2028年3月期を最終年度とする中期ビジョンを策定し、「世界中に笑顔を届ける総合エンタテインメント企業」を基本方針として掲げています。収益性と資本効率の向上を重視し、環境変化に左右されない安定的な事業基盤の構築を進めています。経営目標として以下の数値を設定しています。
* 2028年3月期のROE:15%
■(4) 成長戦略と重点施策
世界観ビジネスでは、人気キャラクター等のIP獲得と商品化、海外事業展開の拡大により成長を加速させます。ガールズトレンドビジネスでは、プリントシール機の潜在的価値を訴求し、顧客生涯価値(LTV)の最大化による収益力向上を図ります。また、新規事業への戦略的な投資を継続し、収益基盤の多様化と持続的な成長を実現します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は社員一人ひとりの継続的な成長が企業価値向上の原動力であると考え、価値観である「動的ビジョン」を軸とした人材育成を行っています。1on1面談による目標設定やフィードバックのほか、専門職制度などの複線型人事制度、社内公募を行うポジション公開制度を導入し、多様な人材が主体的にキャリアを形成できる環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.0歳 | 9.2年 | 6,814,823円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 31.8% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全) | 77.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 78.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 37.3% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(3.6%)、過去5年度に採用した新規学卒者の継続雇用率(92.8%)、年次有給休暇の取得率(87.3%)、一月当たりの労働者の平均残業時間(17.6時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) サプライチェーンの集中と物流リスク
同社の世界観ビジネスは中国の外部委託先での生産に依存しており、ガールズトレンドビジネスのプリントシール機も特定の製造委託先に集中しています。国際情勢や原材料・物流費の高騰などにより調達や生産に支障が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動リスク
クレーンゲーム景品などの生産を主に中国で行っているため、取引の大部分が米ドル建てとなっています。為替予約等の対策を行っていますが、為替レートの急激な変動が生じた場合、調達コストが増加し、同社の収益性に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 顧客ニーズの変化と市場縮小リスク
若年女性層を主要ターゲットとしており、顧客の嗜好変化が激しい市場に属しています。少子化による市場規模の縮小や、ニーズを的確に把握した製品の投入が困難となった場合、ユーザーへの訴求力が低下し、事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) ライセンス契約と権利元との関係
キャラクター・コンテンツ等のライセンス契約に基づき事業を展開しています。権利元との関係悪化や契約条件の不利な変更、契約終了、監修条件への不適合が生じた場合、対象商品の販売停止等につながり、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。



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