※本記事は、住石ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第18期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 住石ホールディングスってどんな会社?
石炭事業を中心に、人工ダイヤモンドや砕石の製造販売などを手がける持株会社です。
■(1) 会社概要
2008年に住友石炭鉱業の単独株式移転により持株会社として設立され、東京証券取引所に上場しました。2009年に石炭事業部門を事業譲渡により住石貿易へ移管し、2016年には新素材事業部門(現ダイヤ事業)と採石事業部門をそれぞれ新設分割した子会社へ譲渡して現在の事業基盤を整えています。
従業員数は連結で40名、単体で11名です。筆頭株主は事業会社である麻生で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位にはクレジットカード事業などを手がける金融機関が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 麻生 | 56.91% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.44% |
| 三井住友カード | 2.81% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。
代表取締役執行役員社長は森省輔氏が務めています。役員のうち33.3%が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森省輔 | 代表取締役執行役員社長 | 三井住友銀行専務執行役員、明電舎代表取締役副社長などを経て2024年6月より現職。 |
| 磯渕一成 | 取締役執行役員石炭事業担当 | 三井住友銀行トレードファイナンス営業部部長などを経て2024年6月より現職。 |
| 宮澤義典 | 取締役執行役員財務部長兼総務部長 | 監査法人トーマツパートナーなどを経て2024年6月より現職。 |
| 麻生巌 | 取締役 | SBI新生銀行を経て、現在麻生代表取締役社長などを兼任。2024年6月より現職。 |
| 大濵理 | 取締役 | 麻生上席執行役員管理本部長兼総務部長などを兼任。2024年6月より現職。 |
| 野口寛司 | 取締役常勤監査等委員 | 住石貿易常務執行役員石炭営業部長などを経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、中村幸雄(損害保険ジャパン元代表取締役)、神谷宗之介(弁護士)、千田浩一(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、石炭事業、ダイヤ事業、採石事業を展開しています。
■石炭事業
国内外の取引先から石炭を仕入れ、主に電力会社などの大口需要家に向けて販売しています。中東情勢などの影響を注視しつつ、自社コールセンターやコールヤードの機能強化を通じて石炭取扱量の拡大と追加受注の獲得に努めています。
商品の引き渡し時点で顧客から石炭の販売代金を受け取ります。また、脱炭素化に向けた顧客のバイオ燃料への転換需要の取り込みも強化しています。運営は主に住石貿易が行っています。
■ダイヤ事業
工業用人工ダイヤモンドの製造、仕入、および販売を行っています。多結晶ダイヤの国内増産体制に向けた設備整備を進めるほか、資本業務提携先との協業による事業規模の拡大や固定砥粒市場への参入強化を図っています。
商品および製品の引き渡し時(出荷時)に顧客から販売代金を受け取ります。省エネ関連部材の製造工程に不可欠な研磨材として需要の拡大が見込まれています。運営は主にダイヤマテリアルが行っています。
■採石事業
岩石の採取、加工、および砕石の販売を行っています。風力発電工事や原子力関連工事、港湾工事などの市場ニーズを開拓し、下北半島エリアの地元業者と連携して新規顧客の獲得と受注の安定化を図っています。
製品の引き渡し時点で顧客から砕石の販売代金を受け取ります。品質の確保による適正な粗利の獲得と、新規採石区域の開発による原石の確保にも取り組んでいます。運営は主に泉山興業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は、石炭価格の変動などの影響を受け増減を繰り返していますが、概ね103億円から363億円の規模で推移しています。経常利益も豪州企業からの受取配当金や資源市況の影響により大きく変動しており、利益率も10%から56%と幅広く推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 103億円 | 363億円 | 144億円 | 103億円 | 107億円 |
| 経常利益 | 24億円 | 37億円 | 81億円 | 47億円 | 28億円 |
| 利益率(%) | 22.9% | 10.2% | 56.2% | 45.9% | 26.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 23億円 | 37億円 | 75億円 | 42億円 | 26億円 |
■(2) 損益計算書
直近2年間の損益構成を見ると、売上高は微増ながら売上総利益は大幅に増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益も大きく伸び、営業利益率は前期の0.5%から3.1%へと大きく向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 103億円 | 107億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.6% | 18.2% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 3.3億円 |
| 営業利益率(%) | 0.5% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、運送費・港頭諸掛等が8億円(構成比52%)、報酬・給料・賞与が4億円(同23%)を占めています。
■(3) セグメント収益
石炭事業は追加受注の獲得等により増収増益となりました。採石事業も高価格帯の販売伸長などで堅調に推移した一方、ダイヤ事業は生産調整などの影響により減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 石炭事業 | 96億円 | 100億円 | 4.7億円 | 5.5億円 | 5.5% |
| ダイヤ事業 | 2.8億円 | 2.7億円 | 0.7億円 | 0.7億円 | 24.7% |
| 採石事業 | 4.3億円 | 4.4億円 | 1.1億円 | 1.2億円 | 27.5% |
| 連結(合計) | 103億円 | 107億円 | 47億円 | 28億円 | 26.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 46億円 |
| 投資CF | -2.2億円 | -12億円 |
| 財務CF | -32億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も90.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人と技術と資源と向き合い、その先へ」というコーポレート・スローガンを掲げています。企業価値の向上および株主還元の安定と充実を図り、社会の持続的な成長に貢献することを経営方針としています。すべてのステークホルダーとの協働による価値創造を目指しています。
■(2) 企業文化
各事業部の製造加工現場における安全を最優先事項とし、すべての職場環境の整備に取り組んでいます。異なる経験・技能・属性を反映した多様な価値観を尊重し、その強みを発揮できる人材育成や環境整備方針を実践する企業文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2028年3月期まで)を策定しており、持続的な成長を目指して経営に取り組んでいます。
* 営業利益 5億円
* 経常利益 20億円
* ROE 8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
石炭事業では自社コールセンターなどの機能強化による取扱量の拡大、ダイヤ事業では提携先との協業による規模拡大、採石事業では供給エリアのニーズ開拓を目指します。また、新規事業として映像コンテンツ産業への参画も進め、新たな成長機会を探求しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様性と自主性を備えた個人がグループの成長の源であると考え、社員の成長が会社の成長につながる施策を推進しています。健康支援による定期健診受診率の維持や働き方改革、適切な処遇とリスキリングを含む研修の受講向上を通じた人材育成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.1歳 | 20.1年 | 6,101,176円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は法令等による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健診受診率(100%)、有給休暇取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 金利変動リスク
資金調達を主に銀行借入により行っているため、金利の変動リスクがあります。将来的に金利が上昇し、それによるコストの増加を事業活動において吸収できない場合、グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 海外投資リスク
子会社が豪州の炭鉱会社の株式を保有しています。同社を運営している米国の企業等の業務状況や事業環境の変化が、グループ全体の財政状態や経営成績などに影響を与えるリスクを内包しています。
■(3) 海外情勢リスク
石炭事業は、原油や天然ガスなどの国際的な資源市況の動向や、主要な仕入先である豪州、インドネシアなどの政治経済環境の大幅な変化、または法律改正などの予期せぬ事象により、業績が影響を受ける可能性があります。



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