※本記事は、株式会社クオルテック の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クオルテックは、電子部品の信頼性評価試験、微細加工、バイオ医薬品関連の受託試験などを手掛ける企業です。特にパワー半導体の信頼性評価やレーザ加工技術に強みを持っています。
単体従業員数は257名です。セグメントは信頼性評価事業、微細加工事業、その他事業の3つです。
国内においては、クオルテックが信頼性評価事業、微細加工事業、その他事業の各サービスを直接提供しています。
クオルテックは、当事業年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社クオルテックは、従業員の専門性と働きやすさを重視した環境づくりを進めている会社です。人材を価値創造の源泉と捉え、育成や多様な働き方を支援する施策に力を入れています。給与水準や在籍傾向、人的資本に関する各種データから、同社の働き方の特徴を具体的に見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着とキャリア形成を支援する環境が整っている傾向が見られます。平均年齢と平均勤続年数からは、一定の経験を積んだ人材が在籍し、安定して働き続けている様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,063,974円 |
| 平均勤続年数 | 6.4年 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 単体従業員数 | 257人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
退職給付制度
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度として退職一時金制度を採用しています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、顧客の多種多様なニーズに対応できる高い意欲と技術力を備えた技術者、そして事業を支えるコーポレート職まで、多様なバックグラウンドと知見を持つ人材を価値創造の最大の源泉と位置づけています。この考えに基づき、人材戦略として教育・研修制度の整備、採用活動の強化、働きやすい環境づくりに注力しています。
具体的には、社外講習の受講による最新知識の習得や、次代のリーダー育成を目的とした階層別研修、コンプライアンス教育を実施しています。採用面では、新卒・中途ともに間口を広げ、派遣人材の正社員登用も推進しています。また、有給消化の推進、給与改定、残業時間削減といった待遇改善に加え、時短勤務や育児・介護休暇の取得推奨、ハラスメント防止対策としての内部通報制度、人事相談窓口の設置など、働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 61.3% |
多様性・登用
管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法に基づき算出されています。
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2027年6月までに8%以上 | 4.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異 | 2027年6月までに85%以上 | 73.9% |
育児・介護支援
男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 2027年6月までに90%以上 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 目標 | 実績(当事業年度) |
|---|---|---|
| 離職率 | 2027年6月までに5%以内 | 7.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
クオルテックは、電子部品などの信頼性評価や微細加工技術を核に、幅広い産業の技術課題解決を支援する企業です。同社は、専門性の高い技術サービスを通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
クオルテックは、信頼性評価事業、微細加工事業、その他事業の3つの事業を柱としています。同社は、単なる解析業務に留まらず、顧客の技術課題を根本から解決するための企画提案力と技術力を融合した技術営業体制を構築しています。特に電気自動車の基幹部品であるパワー半導体の信頼性評価試験や故障解析において実績を積み上げており、国際規格に基づく試験から規格認証取得までトータルで対応できる体制を強みとしています。
信頼性評価事業
この事業では、電子部品等に対する環境試験、電気試験、パワーサイクル試験といった信頼性評価試験を提供しています。また、分析・故障解析、試料作製、試験装置の設計、製造、販売も行っています。収益は、顧客からの試験、検査、分析、解析、加工、機器販売の役務提供の対価として得ています。
微細加工事業
この事業では、ビルドアップ基板やフレキシブルプリント基板などに対する試作や量産レーザ加工、新しい材料への表面加工処理の条件出しから試作までを請け負っています。スマートフォンから医療機器まで、幅広い製品領域の顧客ニーズに対応しています。収益は、顧客からの加工の役務提供の対価として得ています。
その他事業
その他事業では、バイオ医薬品の製造工程に使用される製品の受託試験を行うバイオ事業や、品質コンサルティング、技術指導を行うゼロ・イノベーションによる指導を提供しています。顧客が開発する製品の高品質化と高い信頼性実現に向け、素材等の改善提案を行っています。収益は、検査や指導の役務提供の対価として得ています。
同社はこれらの事業に加え、研究開発部門も有しており、「オートモーティブとエネルギー」をキーワードにパワー半導体の実装関連や電池関連の信頼性に関する研究開発に取り組んでいます。販売実績においては、株式会社デンソーが主要な取引先の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 信頼性評価事業 | 32.0億円 | 35.5億円 |
| 微細加工事業 | 3.8億円 | 4.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
クオルテックの直近の業績は、売上高と営業利益が増加し、過去最高額を更新しました。経常利益も増加傾向を示しています。一方で、当期純利益は減少となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クオルテックの財務状況は、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている段階を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
クオルテックは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を示しています。これは、事業の安定性や将来の成長に向けた投資余力があることを意味します。手元資金も十分に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。このような財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 31.6億円 | 32.8億円 |
| 自己資本比率 | 76.2% | 75.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 6.8% |
| 現金及び預金 | 17.4億円 | 13.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
クオルテックのキャッシュフローは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている状況を示しています。当期における営業活動によるキャッシュフローは5億1,429万円の増加となりました。これは主に減価償却費や税引前当期純利益の増加によるものです。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは7億3,872万円の減少となりました。これはパワエレテクノセンター開設に伴う有形固定資産の取得による支出が主な要因です。結果として、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは1億4,334万円の減少となり、配当金の支払いや長期借入金の返済が行われました。この資金の流れは、同社が事業拡大のための投資を優先している成長フェーズにあることを示しており、将来的な事業の発展とそれに伴う雇用・給与の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.4億円 | 5.1億円 |
| 投資CF | △4.3億円 | △7.4億円 |
| 財務CF | 4.3億円 | △1.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.1億円 | △2.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主要事業である信頼性評価事業において自動車業界の顧客への売上割合が高い状況です。特に株式会社デンソーへの売上高が同社売上高の14.8%を占めており、特定顧客への依存リスクがあります。また、自動車業界の構造変化に伴う研究開発や生産動向の変動が、同社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、高い意欲と技術力を備えた人材に支えられており、優秀な人材の確保・育成・定着率の向上が経営上重要であると認識しています。少子高齢化による労働人口の減少により、中長期的に人材確保が難しくなる傾向があり、計画通りの人材確保・育成ができない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クオルテックは、分析・評価・加工の技術を核に、未来の品質創造に貢献することを目指しています。中立的な第三者機関として、社会の安心・快適な未来社会の実現に貢献する企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クオルテックは、「未来品質の創造」をスローガンに掲げ、分析・評価・加工の技術を磨き、表面処理・実装の開発を推進しています。パワー半導体、医療機器、二次電池の分野で確固たるポジションを築き、未来品質の創造に貢献することを経営方針としています。環境性能と安全性能の評価技術を確立し、安心・快適な未来社会の実現に貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
クオルテックは、中立な第三者機関として、検査データ改ざんのような企業の不正をなくすことを存在意義としています。品質検査や分析、測定を行う試験所としてISO/IEC17025の認定を取得しており、技術力は国際的に認められています。
同社は、多様なバックグラウンドと知見を持つ人材を価値創造の源泉と捉え、働きやすい環境づくりを重視しています。有給消化の推進、給与改定、残業時間削減といった待遇改善に加え、時短勤務や育児・介護休暇の取得推奨など、柔軟な働き方を支援しています。ハラスメント防止対策や人事相談窓口の設置を通じて、従業員が安心して働ける環境を整えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
クオルテックは、持続的な企業価値向上に向け、複数の経営課題に取り組んでいます。自動車業界以外の柱となる業界の開拓を進め、顧客基盤の拡充を図っています。技術力の向上では、顧客の新規開発における困難解決のため、人材育成と技術伝承に注力しています。
優秀な技術者の採用・育成と労働環境づくりも重点テーマです。採用後の高いモチベーション維持と安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。営業体制の強化では、新しい市場の開拓・拡大を目指し、人員増強や拡販活動を推進しています。
情報セキュリティと内部管理体制の強化も重要な課題であり、コンプライアンスを重視した経営管理体制を敷いています。また、ESG・社会貢献活動として、環境負荷低減策や地域社会への貢献活動も強化しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クオルテックは、取締役会と監査役会を設置し、透明性の高い経営を推進しています。社外役員による経営監視機能の強化にも取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クオルテックの筆頭株主は個人であり、同社の取締役も務める志方廣一氏です。同氏は取締役志方哲明氏の実父でもあり、創業家が同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 志方 廣一 | 40.01% |
| CBC | 7.66% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 1.93% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は山口友宏氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口 友宏 | 代表取締役 社長 | 1997年2月大雅工業株式会社入社、2005年3月同社入社、2017年3月同社取締役、2020年4月同社代表取締役社長より現職。 |
| 大江 準三 | 取締役 | 1981年4月トヨタ自動車工業株式会社入社、2021年12月同社顧問、2022年4月同社取締役執行役員、2025年4月同社取締役兼名古屋品質技術センター所長より現職。 |
| 志方 哲明 | 取締役 | 2002年4月株式会社エスエスケイ入社、2013年12月同社入社、2018年7月同社取締役、2025年4月同社取締役執行役員バイオ事業部部長より現職。 |
| 池田 康稔 | 取締役 | 1987年4月松下電器産業株式会社入社、2022年4月同社管理本部本部長、2023年9月同社取締役執行役員管理本部本部長より現職。 |
| 志方 廣一 | 取締役 | 1971年4月株式会社太洋工作所入社、1993年1月株式会社太洋テクノサービス(現同社)設立代表取締役、2024年9月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、石田智也氏(愛三工業エグゼクティブアドバイザー)、冨田和之氏(元パナソニックエコテクノロジーセンター代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役および社外監査役が経営の監視と助言を通じてガバナンス体制の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クオルテックの役員報酬は、会社の持続的な成長と企業価値向上へのインセンティブとして機能するよう設計されています。業務執行取締役の報酬は、基本報酬、業績連動報酬、役員退職慰労金で構成され、業績連動報酬は売上高と営業利益を指標としています。社外取締役と監査役は、それぞれ基本報酬と固定報酬を主体とした体系となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 69百万円 | 17.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 11百万円 | 5.3百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 8百万円 | 4.2百万円 |
同社の役員報酬等の総額は95.7百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計9名です。
個人別報酬が開示されている役員はいません。
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