※本記事は、株式会社データホライゾン の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
データホライゾンは、少子高齢化による医療費増加という社会課題に対し、国民の健康と医療費適正化に貢献するヘルスケア事業を展開しています。医療関連データベースを活用したデータヘルス関連サービスを保険者等に提供し、データ利活用サービスを通じてエビデンスを社会に還元しています。
データホライゾンの単体従業員数は239名、連結従業員数は365名です。同社グループのセグメントはヘルスケア事業の単一です。
主な国内グループ会社は、(親会社)ディー・エヌ・エー、(連結子会社)DeSCヘルスケア、DPPヘルスパートナーズなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社データホライゾンは、ヘルスケア事業を通じて社会課題解決に取り組んでおり、IT技術とデータを活用したサービス提供を強みとしています。このような事業特性から、専門性の高い人材の育成や多様な働き方を支援する環境づくりに注力している傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数や平均年齢から、比較的安定した人材構成である傾向が見られます。従業員が長期的にキャリアを築ける環境が整っていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,711,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.0年 |
| 平均年齢 | 43.6歳 |
| 単体従業員数 | 239人 |
| 連結従業員数 | 365人 |
| 単体のグループ内比率 | 65.5% |
同社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を併用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
当連結会計年度末の退職給付に係る負債は38百万円、確定拠出制度への要拠出額は27百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
データホライゾンは、データヘルス関連サービスとデータ利活用サービスを両輪に健康・医療の課題解決に取り組んでいます。これを実現するため、「労働集約型からAI/Techカンパニーへの進化」を掲げ、AI活用やスキル転換を全社的に推進しています。また、データヘルス領域の専門人材やIT・データ人材の育成・確保、次世代リーダーの育成とエンゲージメント向上にも注力しており、グローバル人材の育成も視野に入れています。
人事制度については、2025年4月に等級・評価・報酬制度を改訂しました。年功要素を廃止し、担う役割に応じた等級区分を基礎として、成果と行動・プロセスの評価を給与と賞与に反映する仕組みです。給与(基本給)は行動評価の結果により年2回改訂され、賞与は目標達成度を測る成果評価の結果に応じて年2回支給されます。市場水準と事業業績を踏まえた処遇の競争力確保を通じて、人材の確保・定着を図る方針です。
具体的な人材育成では、OJTやコンプライアンス、情報セキュリティ等の全社教育に加え、AI活用人材、次世代リーダー、専門性の高い人材を育成するための研修を実施しています。AI CoEの任命や「AI活用のはじめの一歩」講座、ヘルスケアドメイン研修、管理職・次世代リーダー研修など、多岐にわたるプログラムを展開しています。多様な働き方と子育て支援のため、男性社員の育児休業取得推進、フレックスタイム勤務制度の導入、在宅勤務制度の本格導入準備を進めています。長時間労働抑制のためのシステム化やアラート制度化、女性の管理職登用に向けたキャリアプラン支援、インターンシップ受け入れも実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
人的資本と多様性
計画期間は2024年4月1日から2027年3月31日までです。
| 指標 | 目標 | 当期実績 |
|---|---|---|
| 男性社員の育児休業取得率の増加 | 75%以上 | 100% |
| 時間外・休日労働の削減 | 20%削減 | 59%削減 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社データホライゾンは、国民の健康増進と医療費適正化に貢献することを目的としたヘルスケア事業を展開しています。医療関連データベースを活用したソフトウェア開発と、データヘルス関連サービスを主軸に、社会課題の解決を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ヘルスケア事業の単一セグメントで事業を運営しています。この事業は、主に保険者向けのデータヘルス関連サービスと、自治体、大学、製薬会社等にデータソリューションを提供するデータ利活用サービスで構成されています。
データヘルス関連サービスでは、保険者から預かったレセプトや特定健診のデータを分析し、医療費適正化のための分析レポート提供や、保健事業支援を行っています。具体的には、加入者への各種通知書の送付、保健指導、そして健康管理アプリ「kencom」の提供を通じて、保険者の健康増進活動をサポートしています。収益は、主に保険者との契約に基づくサービス提供から得ています。
データ利活用サービスは、製薬会社やアカデミアなどを顧客とし、適法に利用許諾を得た匿名加工情報等を用いて、公益目的に沿った形で各種ソリューションを提供しています。高齢者層に関する情報を豊富に有する保険者との契約に基づき、慢性疾患と医薬品に関する分析やエビデンス創出に有用なソリューションを提供しており、収益はこれらのソリューション提供から得ています。同社グループの売上高は、本邦以外の外部顧客からのものはなく、国内市場に集中しています。主要顧客は自治体の国民健康保険や後期高齢者医療広域連合、製薬会社、アカデミアなどです。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5期間で変動が見られますが、当連結会計年度においては増加に転じました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去数期間にわたり損失を計上していましたが、当連結会計年度で黒字化を達成しています。
前期までの損失には、のれんの減損による償却費が影響していました。当連結会計年度の黒字化は、売上高の増加に加え、償却費を含む固定費の削減や業務効率化、人員配置の適正化といったコスト削減が大きく寄与しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度も使用となりましたが、前期と比較すると使用額は大幅に減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29.9億円 | 44.1億円 | 50.1億円 | 38.5億円 | 51.4億円 |
| 経常利益 | △3.8億円 | △6.0億円 | △7.7億円 | △5.0億円 | 10百万円 |
| 経常利益率 | △12.7% | △13.6% | △15.4% | △13.1% | 0.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △4.1億円 | △6.6億円 | △8.1億円 | △29.6億円 | 2.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △38.68 | △53.33 | △63.70 | △233.68 | 21.12 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。これは、従業員あたりの収益創出能力が向上していることを示唆しています。
また、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期の損失から当期は利益へと転換しました。この変化は、同社グループの収益構造が改善し、従業員一人ひとりの生産性が高まっている傾向にあることを示しています。これらの指標の改善は、組織全体の効率化と事業の収益性強化が進んでいることを反映しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 10.5百万円 | 14.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.4百万円 | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動や投資活動において資金流出が見られ、継続的な改善が求められる状況です。入社後の安定性を検討する上で、財務基盤の現状と今後の見通しを理解することが重要となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期で6.2%となっており、前期の2.5%から改善しています。これはプライム市場の非製造業平均と比較すると低い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期で93.5%と高い数値を示しています。手元資金である現金及び預金は当期末で10.2億円となっており、前期の12.2億円から減少しました。これらの財務状況は、同社グループの事業運営における資金の安定性や雇用・給与の基盤に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2.2億円 | 4.8億円 |
| 自己資本比率 | 2.5% | 6.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 93.5% |
| 現金及び預金 | 12.2億円 | 10.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは、売上債権及び契約資産の増加などにより、資金が流出する状況となりました。投資活動によるキャッシュフローも、ヘルスケア事業に使用するプログラム開発等の無形固定資産の取得により、資金が流出しています。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローはマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュフローは、親会社からの借入による運転資金の調達により、資金を調達しています。これらの資金の流れは、同社グループが事業運営に必要な資金を外部からの借入に依存している状況を示しており、入社後の雇用や給与の安定性を検討する上で注視すべき点となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △18.8億円 | △2.2億円 |
| 投資CF | △6.7億円 | △8.0億円 |
| 財務CF | 23.5億円 | 8.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △25.5億円 | △10.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、前連結会計年度における減損損失の計上等により純資産額が4億76百万円まで減少し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。しかし、事業構造の改善や収益の柱の成長、資金借入枠の確保により、重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ヘルスケア事業市場における競合他社の参入と価格競争のリスクを認識しています。また、親会社である株式会社ディー・エヌ・エーの経営方針の変更が、同社グループの事業運営や財政状態に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、情報産業界における優秀な人材の確保が難しい状況をリスクとして認識しています。必要な人材獲得が目標どおりに進まない場合や、優秀な従業員の退職が発生した場合には、製品開発の遅れや売上計画の未達、経費の増加により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
データホライゾンは、医療関連データベースを強みとして、日本の医療費適正化と国民のQOL向上に貢献することを目指す企業です。社会の進化と未来の環境に貢献し続けることを経営理念に掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「感謝・感恩・感動の三感を源にして、縁ある方々の期待を超える感動の流れを生み出し、社会の進化と未来の環境に貢献し続ける」ことを経営理念としています。この理念のもと、医療関連データベースをコアコンピタンスとしたヘルスケア事業を通じて、日本の医療費適正化と国民のQOL(Quality of Life)向上に貢献することを経営の基本方針としています。
データヘルス関連サービスとデータ利活用サービスを両輪に、健康・医療の課題解決に取り組んでいます。高齢先進国である日本のヘルスビッグデータとAIを活用し、世界に先駆ける仕組みを創出することを目指しています。サービスを通じて生活者の健康増進や行動変容を支援し、ヘルスビッグデータを公益活用することで、創出したエビデンスを社会に還元することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念である「感謝・感恩・感動の三感」を源泉とし、ステークホルダーの期待を超える感動を生み出すことを重視しています。ヘルスケア事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、社会の持続可能な発展に貢献することをサステナビリティに関する考え方としています。
個人情報保護を最重要課題かつ社会的使命と認識し、個人情報事故ゼロを目標に万全の管理体制を構築しています。また、人的資本と多様性を重要な経営課題と位置づけ、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。具体的には、男性社員の育児休業取得推進、フレックスタイム勤務制度の導入、在宅勤務制度の本格導入準備を進めています。
長時間労働抑制のためのシステム化や、女性活躍推進法の趣旨に則った女性の登用推進にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、社会保障制度の持続可能性向上を取り組むべき課題とし、既存事業であるデータヘルス関連サービスとデータ利活用サービスそれぞれで価値を提供していく方針です。今後3年間でAI活用による構造転換を行い、既存事業の安定した成長軌道への定着を目指しています。
データヘルス関連サービスでは、DeSCヘルスケアとのシナジーを活かし、アプリケーションを活用した新たな保健事業の提供と提供体制の強化を進めています。データ利活用サービスでは、独自データとAIプロダクトによる事業創出を進め、グローバル製薬企業との共同開発にも着手しています。
中長期的な事業拡大に向けた仕込みとして、国内で蓄積されたソリューションの海外展開や、介護・フレイル予防など隣接領域への展開を規律ある投資のもとで具体化を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
データホライゾンは、経営の透明性、公正性、迅速性に対応するため、監査等委員会設置会社制度と執行役員制度を導入しています。これにより、取締役会の監督機能と業務執行機能の分離を図り、コーポレート・ガバナンスの強化を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
データホライゾンの筆頭株主は事業会社であるディー・エヌ・エーです。また、代表取締役会長の内海良夫氏が第2位の大株主として名を連ねています。このように、事業会社と創業家が上位株主として同社グループを支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ディー・エヌ・エー | 51.49% |
| 内海 良夫 | 9.04% |
| 岩佐 実次 | 4.00% |
| 渡辺住研 | 3.45% |
| ベネフィット・ワン | 3.44% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長兼執行役員最高経営責任者(CEO)は瀬川翔氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内海 良夫 | 代表取締役会長 | 1972年3月 学習塾開業、1982年3月 同社設立、代表取締役社長、2022年9月 同社代表取締役社長兼執行役員最高経営責任者(CEO)、2024年7月 同社代表取締役会長より現職。 |
| 瀬川 翔 | 代表取締役社長兼執行役員最高経営責任者(CEO) | 2010年4月 ディー・エヌ・エー入社、2018年4月 同社執行役員兼ヘルスケア事業本部本部長兼DeSCヘルスケア代表取締役社長、2024年7月 同社代表取締役社長兼執行役員最高経営責任者(CEO)より現職。 |
| 砥綿 義幸 | 取締役兼執行役員 | 2006年4月 ディー・エヌ・エー入社、2020年3月 DeSCヘルスケア取締役副社長、2026年4月 同社取締役兼執行役員兼データヘルス事業本部長より現職。 |
| 大井 潤 | 取締役 | 1995年4月 自治省(現総務省)入省、2013年4月 ディー・エヌ・エー入社、2022年9月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、岡本保氏(元総務省事務次官)、野間寬氏(もみじ地所顧問・常勤監査等委員)、竹島哲郎氏(竹島哲郎税理士事務所開業・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会での議決権を持つことで監督機能の強化を図っています。また、社外取締役3名全員が東京証券取引所の独立役員として指定されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
データホライゾンの役員報酬は、固定報酬である基本報酬を主軸としています。業務執行取締役に対しては、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして、ストック・オプション制度に代わり譲渡制限付株式の付与制度を導入しています。監査等委員である取締役の報酬も基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 36百万円 | 11.8百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 18百万円 | 5.9百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、無報酬の取締役2名を除いています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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