※本記事は、大研医器株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大研医器は、研究開発型の医療機器メーカーとして、麻酔関連や病院内感染防止関連製品の企画開発、製造販売を手掛けています。医療現場のニーズを直接聞き取り、独創的な技術で製品化することを基本理念としています。
単体従業員数は185名です。同社は単一セグメントで事業を展開しています。
大研医器は、基礎研究・製品開発から製造に至るまで、基本的にすべて自社で行っており、量産における生産技術・品質管理もISO規格に基づき管理運営しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
大研医器は医療機器メーカーとして、医療現場のニーズに応える製品開発を通じて社会に貢献しています。同社では、従業員を重要な経営資源と位置づけ、個々の能力向上と働きやすい環境づくりに注力しています。安定した事業基盤のもと、長期的な視点での人材育成と公正な報酬制度が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が40代前半、平均勤続年数が10年を超えており、比較的経験豊富な人材が長く活躍している傾向が見られます。これは、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって魅力的な要素となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,465,000円 |
| 平均勤続年数 | 12年8ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳11ヶ月 |
| 単体従業員数 | 185人 |
同社は主に確定拠出年金制度を採用しています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
大研医器は「明日の医療の創造を通して社会に貢献します」という経営理念のもと、医療機器メーカーとしての持続的成長を実現するため、経営戦略と連動した人材戦略を推進しています。従業員を重要な経営資源、その育成を重要な経営投資と位置づけ、個の力を強くすることで企業価値の向上および競争力の強化を目指しています。
人材育成においては、部下育成を上長の重要な責務とし、日常業務を通じたOJTを重視しています。中長期的視点に基づく計画的な教育・研修および人事異動を実施し、体系的な研修制度の構築を進めています。社内環境整備では、健康診断やストレスチェック、相談窓口の設置による心身の健康保持・増進、各種ハラスメントの禁止と相談窓口設置による良好なコミュニケーション確保に努めています。また、有給休暇の時間単位取得制度を導入し、柔軟な働き方を推進しています。
従業員給与の決定方針は、公正かつ透明性の高い制度運用を基本としています。従業員一人ひとりの役割や責任に応じた処遇水準を設定し、会社の方針・目標への貢献度と期待される行動の発揮度を総合的に評価し、昇給や賞与に反映しています。賞与は個人の成果に加え、部門の目標達成度や会社全体の業績も踏まえて決定され、市場水準や外部環境も考慮することで優秀な人材の確保と定着を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性の非正規労働者の賃金差異には、定年再雇用者や専門職の嘱託雇用者が含まれています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 7.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 28.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 37.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 58.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 77.2% |
任意開示指標
| 指標 | 目標 | 2023年度実績 | 2024年度実績 | 2025年度実績 |
|---|---|---|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2027年6月までに15.0% | 3.8% | 3.8% | 7.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 2027年6月までに50.0% | 0.0% | 40.0% | 28.6% |
| 年次有給休暇取得率 | 2027年6月までに80.0% | 64.5% | 64.8% | 63.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大研医器は、研究開発型の医療機器メーカーとして、主に麻酔関連や病院内感染防止関連の製品を企画開発、製造販売しています。医療現場のニーズに密着した製品開発と、基礎研究から製造まで一貫して行う体制が特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、医療現場第一主義を基本理念とし、医師や看護師、臨床工学技士といった医療従事者の声から独創的な製品を生み出しています。国内の医療機関が欧米メーカーの製品に依存する中で、現場の小さな声も拾い上げ、製品化することに注力しています。製品開発から製造、品質管理までを一貫して同社で行い、ISO規格に基づいた管理運営体制を構築しています。
同社の事業は単一セグメントですが、製品は主に以下の5つの製品群に分類されます。
吸引器関連では、手術室や集中治療室などで使用される非電動式の真空吸引器を提供しています。感染予防の観点から使い捨てのプラスチック製容器が主流となっており、排液に触れることなく処理できるフィットフィックスやキューインポットが主な製品です。特にフィットフィックスは手術件数の増加に伴い販売が堅調に推移しており、中小病院への展開も進めています。
注入器関連は、手術後の痛みを軽減するために局所麻酔剤や鎮痛剤を微量かつ持続的に投与する加圧式医薬品注入器が中心です。電気を使用せず軽量で携帯可能なシリンジェクターやバルーンジェクター、患者自身が鎮痛をコントロールできるPCA装置などがあります。近年では、マイクロポンプを採用した新製品「クーデックエイミーPCA」の販売が好調で、在宅医療や産科領域など多様な分野での引き合いが増加しています。
電動ポンプ関連では、極めて微量の薬液を精密に制御しながら持続的に投与する医用電気機器(ME機器)を提供しています。高精度な薬液投与が可能なシリンジポンプや、輸液バッグから薬液を投与する輸液ポンプが主な製品です。
手洗い設備関連では、手術室や集中治療室などで医療従事者の衛生的な手洗いに使用される設備装置を扱っています。フィルターで濾過した無菌水や殺菌水を供給するステリキープⅡや、滅菌済みの使い捨てタオルであるワイペルなどがあります。
その他製品群には、手術室で患者の身体を保護する保温性の高い不織布オイフ「ブレスウォーム」や、胸部外科手術で使用される気管支ブロッカーチューブ、ダブルルーメン気管支チューブ、院内での汚物処理を衛生的に行うディスポーザブルパルプシステムなどがあります。
同社の売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えるため、国内市場が主要な収益源となっています。一方で、主力製品の輸入材料の調達コストが為替の影響を受けるなど、為替変動リスクも存在します。今後は、新製品の国内販売拡大に加え、海外での販売拡大も目指し、事業規模の拡大と経営基盤の強化を図る方針です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にある一方で、営業利益、経常利益、当期純利益は減少傾向を示しています。売上高は販売数量の増加などにより伸びていますが、材料コストの上昇による売上総利益の減少や、人件費および研究開発費の増加が利益を押し下げる要因となっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、事業活動を通じて安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。財務基盤は堅固であり、手元資金も確保されている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。手元資金も一定規模を維持しており、事業運営における資金の柔軟性があると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 75.2億円 | 77.8億円 |
| 自己資本比率 | 67.2% | 68.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 30.0億円 | 27.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュフローはプラスで推移しており、本業で安定的に資金を生み出している状況です。投資活動によるキャッシュフローはマイナスとなっており、主に有形固定資産の取得に資金を支出しています。財務活動によるキャッシュフローもマイナスで、配当金の支払いと長期借入金の返済が主な要因となっています。
フリーキャッシュフローはプラスであり、事業活動で得た資金が投資を上回っています。これは、同社が事業の成長に必要な投資を行いながらも、手元に資金を残せている状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.2億円 | 5.7億円 |
| 投資CF | △4.9億円 | △3.3億円 |
| 財務CF | △2.2億円 | △4.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.3億円 | 2.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、吸引器関連製品の売上比率が全体の60%を超えており、特定製品への依存に係るリスクを認識しています。過度な価格競争による販売価格低下が業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、国策としての医療費抑制政策や共同購買体制により、医療機器販売業者による医療機関への販売価格下落圧力が強まっています。原価低減や業務効率改善の効果が限定される場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
事業推進に必要な人材を適時適切に確保し育成・活用できない場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、従業員の給与水準向上や効率的な働き方の実践など、人的投資強化施策を実施しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大研医器は、「明日の医療の創造を通して社会に貢献します」という企業理念を掲げ、独創的な技術と価値ある製品開発に注力しています。医療現場のニーズに応え、革新的な医療機器を通じて社会貢献を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「我々は現在の医療を見つめ明日の医療の創造を通して社会に貢献します。」という企業理念を掲げています。新しい医療の世界を切り開くべく、未知なる技術と価値ある製品開発に全知全能を傾けている会社です。
同社の製品ブランド名であるクーデック(COOPDECH)は、クーデターバイテクノロジーという意味を持つ造語であり、独創の技術でドラスティックな医療革命を目指すという想いを表現しています。安易に時流に乗らず、常に新しい可能性に挑戦し続け、人が誰もやらない、しかも人類の生命に関する極めて価値の高い仕事を、研究開発製品を通して形にしていきたいと考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、事業運営の目的として以下の3つの基本方針を掲げ、全役職員が徹底実行し、医療を進化させ社会貢献できるよう日々取り組んでいます。一つ目は、医療現場と協力し常に新しい医療機器の開発と需要の創造に努めることです。二つ目は、一人ひとりが不可能を可能にできるよう挑戦的に仕事にあたることです。三つ目は、社会人としてまた企業人として全人格的な成長を通して企業の発展のため励むことです。
また、サステナビリティ基本方針として、地球環境問題を見据えた独創的な製品の提供を通じて社会の持続的な発展に貢献すること、人材の多様性を尊重し国籍、性別、年齢等を問わない人材を採用、育成、活用すること、法令や社会規範等を遵守し公正な企業活動を行うことを掲げています。同社は、2008年にリスク管理規程を定め、役職員が中心となり会社に対するリスク管理体制を整備しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、営業・技術・製造が一体となって市場競争力を高め、さらなる業績の向上と企業価値の増大に向けて邁進するとともに、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指しています。優秀な人材の確保と教育の強化も重要な課題としており、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として活躍が期待できる中途採用も積極的に進めています。
人材育成の面では、教育・研修プログラムの刷新を行い、成長機会の拡充に取り組んでいます。さらに、従業員の給与水準の向上や効率的な働き方の実践など、人的投資の強化にも注力し、これらの取り組みを通じて持続的な企業成長につなげていく方針です。サプライチェーンの更なる高度化も課題としており、製造コストの低減と安定的な供給体制の確立に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大研医器は、監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を中心に企業統治体制を構築しています。経営の透明性と公正性を確保し、ステークホルダーの信頼に応えることを重視したガバナンス体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
大研医器の株主構成を見ると、筆頭株主は山田圭一氏であり、上位には山田満氏、山田雅之氏といった個人株主が名を連ねています。創業家が上位株主として同社の資本構成を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山田 圭一 | 19.01% |
| 山田 満 | 13.92% |
| 山田 雅之 | 10.89% |
| 公益財団法人山田満育英会 | 3.48% |
| 関家 圭三 | 3.31% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は山田雅之氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 雅之 | 代表取締役社長 | 1982年7月同社入社、常務取締役、専務取締役、取締役副社長などを経て、2026年4月より代表取締役社長に現職。 |
| 山田 圭一 | 取締役会長 | 1982年7月同社入社、常務取締役、専務取締役、代表取締役社長などを経て、2026年4月より取締役会長に現職。 |
社外取締役は、大工舎宏氏(㈱アットストリーム代表取締役・指名報酬委員会議長)、稲垣喜三氏(日本医科大学特命教授・指名報酬委員会委員)です。社外監査役は、村上創氏(弁護士法人中央総合法律事務所社員弁護士)、大西由紀氏(元㈱KCSソリューションズ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、迅速かつ適切な経営判断を行うため、毎月開催される取締役会を経営運営の中心としています。取締役4名(うち社外取締役2名)と監査役3名(うち社外監査役2名)で構成され、経営方針などの重要事項について意思決定を行っています。また、取締役会および監査役会の任意の諮問機関として指名報酬委員会を設置し、コーポレート・ガバナンス体制の充実・強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
大研医器の役員報酬は、株主総会で承認された総額の範囲内で、各役位に応じた固定(月例)報酬のみを支給する方針です。会社の業績、報酬の社会的水準、従業員給与とのバランスを考慮して決定されています。取締役の報酬は指名報酬委員会が立案し、取締役会で協議のうえ決定され、監査役の報酬は指名報酬委員会が立案し、監査役会での協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 75百万円 | 37.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 15百万円 | 14.7百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 21百万円 | 5.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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