※本記事は、株式会社グリムスの有価証券報告書(第20期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グリムスってどんな会社?
エネルギーコスト削減の提案や電力小売、再エネ開発などを展開し、環境と経済性を両立させる事業を行う企業です。
■(1) 会社概要
2005年にエネルギーコスト削減事業を目的に設立され、電子ブレーカーの販売を開始しました。2009年にJASDAQへ上場後、2011年に持株会社体制へ移行し、現社名に変更しました。その後、電力小売事業やメガソーラー事業へ参入し事業領域を拡大させ、2020年に東証二部を経て一部へ市場変更、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しました。
同社グループの従業員数は連結で346名、単体で23名です。筆頭株主は創業者で社長の田中政臣氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は資本業務提携先である事業会社のエナリスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 田中 政臣 | 46.71% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 9.21% |
| 株式会社エナリス | 7.36% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は田中政臣氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 政臣 | 代表取締役社長 | 1999年テレウェイヴ(現アイフラッグ)入社。同社取締役を経て、2005年7月にグリムス代表取締役社長に就任し現職。創業以来、グループ経営を牽引。 |
| 那須 慎一 | 代表取締役副社長 | 1999年テレウェイヴ入社。アントレプレナー取締役等を経て2006年グリムス取締役。子会社社長を歴任し、2013年より現職。 |
| 三浦 幹之 | 取締役 | 1995年キャンシステム入社。テレウェイヴ等を経て2005年グリムス監査役。営業副本部長などを経て2009年取締役。現在はグリムスパワー取締役等を兼務。 |
| 善村 賢治 | 取締役 | 大倉商事、アコム、ジー・モード取締役管理本部長、アプリックス取締役等を経て、2012年グリムス入社。2013年より現職。 |
| 加藤 孝介 | 取締役 | 2003年テレウェイヴリンクス入社。2005年グリムス入社。2016年より取締役。現在はグリムスソーラー代表取締役社長を兼務。 |
社外取締役は、江田千重子(元ジョンソン・エンド・ジョンソン代表取締役)、手塚博水(元SMBCフレンド証券出向)、西本昌道(元有機合成薬品工業代表取締役社長)、若尾慎一(公認会計士・元あずさ監査法人パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エネルギーコストソリューション事業」、「スマートハウスプロジェクト事業」および「小売電気事業」を展開しています。
■エネルギーコストソリューション事業
主に法人顧客に対し、事業用太陽光発電システムや蓄電池、電子ブレーカー、LED照明などの省エネ設備を販売し、電力コスト削減を提案しています。また、顧客の屋根に太陽光設備を設置し電力を供給するオンサイトPPAも手掛けています。
収益は、顧客への各種設備・機器の販売代金や、削減コンサルティングに伴う対価から得ています。運営は主に株式会社GRコンサルティング、株式会社グリムスパワー、株式会社グリムスエナジーおよび株式会社グリムスソーラーが行っています。
■スマートハウスプロジェクト事業
一般家庭向けに、住宅用太陽光発電システムや蓄電池、エコキュートなどのエネルギー関連商品を販売するほか、自社で太陽光発電所を保有し再生可能エネルギー開発を行っています。販売は大型商業施設の催事場活用や住宅メーカーとの提携により行われます。
収益は、一般消費者への商品販売代金や、保有する発電所からの売電収入から構成されています。運営は主に株式会社グリムスソーラーが行っています。
■小売電気事業
卸電力取引所(JEPX)や発電事業者から調達した電力を、低圧および高圧電力需要家へ供給しています。独自の燃料費調整制度や市場連動型契約の活用により、電力調達価格の変動リスクを抑制しています。また、高圧需要家向けの電力取次も行っています。
収益は、顧客からの毎月の電気料金収入や、電力取次による手数料収入から得ています。運営は主に株式会社グリムスパワーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高、経常利益ともに右肩上がりの成長を続けています。特に直近では売上高333億円、経常利益66億円と過去最高を更新しました。利益率も高い水準を維持しており、20%近い経常利益率を達成しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 193億円 | 233億円 | 314億円 | 299億円 | 333億円 |
| 経常利益 | 17億円 | 25億円 | 37億円 | 53億円 | 66億円 |
| 利益率(%) | 9.0% | 10.8% | 11.7% | 17.6% | 19.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 22億円 | 25億円 | 35億円 | 46億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。増収に伴い売上総利益が増加し、利益率も改善しています。販管費も増加していますが、売上高の伸びが上回っており、結果として営業利益率は向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 299億円 | 333億円 |
| 売上総利益 | 93億円 | 110億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.0% | 32.9% |
| 営業利益 | 52億円 | 65億円 |
| 営業利益率(%) | 17.4% | 19.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料賃金が14億円(構成比30%)を占めており、主要なコストとなっています。売上原価については、商品仕入や電力調達コストが大部分を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで黒字を確保しており、特にエネルギーコストソリューション事業と小売電気事業が増収増益を牽引しました。スマートハウスプロジェクト事業は若干の減収減益となりましたが、一定の利益率を維持しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| エネルギーコストソリューション事業 | 77億円 | 96億円 | 30億円 | 40億円 | 42.0% |
| スマートハウスプロジェクト事業 | 44億円 | 43億円 | 6億円 | 5億円 | 11.5% |
| 小売電気事業 | 177億円 | 194億円 | 23億円 | 28億円 | 14.4% |
| 連結(合計) | 299億円 | 333億円 | 59億円 | 73億円 | 22.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
グリムスは、財務活動において長期借入金の返済と配当金の支払いを行いつつ、新たな長期借入れも実施しています。営業活動では、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増加等により資金が増加しましたが、売上債権の増加や法人税等の支払いにより一部減少しました。投資活動では、投資有価証券の売却により資金が増加した一方、取得や有形固定資産の取得により資金が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 41億円 | 46億円 |
| 投資CF | -18億円 | 0億円 |
| 財務CF | -1億円 | -13億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「すべての人に感動と喜びを」を企業理念として掲げています。顧客ニーズに耳を傾け、納得・満足できるサービスを提供することで、社会から応援され続ける企業を目指すことをミッションとしています。
■(2) 経営戦略等
事業者や一般家庭を対象に、導入メリットが明確な商品をコンサルティング営業で販売し、さらにメリットのある商品をクロスセルすることで顧客満足度向上と収益拡大を図る方針です。今後も商品ラインナップの拡充と提案力の強化により、顧客基盤の拡大と収益基盤の強化を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と高い収益性の維持を経営課題とし、以下の指標を目標達成状況の判断基準としています。
* ストック利益(電力小売など継続的に利益を得られるモデル)
* 営業利益
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、事業用太陽光発電システムや蓄電池、省エネ設備の販売拡大を図るとともに、電力小売事業における調達価格変動リスクへの対策を徹底し、安定的なストック収益の拡充を目指しています。
* 営業支援システムやDX活用による営業効率化
* チーム制での人材育成によるスキル向上
* 独自燃調や市場連動型契約による電力調達リスクの低減
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
営業中心の事業形態であるため、優秀な営業人員の確保と早期育成を最重要課題としています。少人数のチーム制による育成体制や、各種研修制度を通じて、社員一人一人がモチベーション高く働き、キャリアを構築できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.5歳 | 5.9年 | 5,792,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 90.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 58.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 47.2% |
※男性育児休業取得率については、当事業年度において育児休業の対象者が存在しないため未記載となっています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇の取得率(65.2%)、女性従業員比率(18.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 電力をめぐる状況の変化
電力小売事業においては、燃料価格変動や天候不順によるJEPXからの調達価格高騰が業績に影響を与える可能性があります。また、需要計画と実績の乖離によるインバランス料金の発生リスクや、競争激化、電気事業法の改正などの制度変更もリスク要因として認識されています。
■(2) 商品仕入に関するリスク
太陽光発電システムや蓄電池等の商品は商社やメーカーから仕入れていますが、為替相場の変動や原材料不足などにより仕入価格が上昇したり、商品の調達に支障が生じたりした場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 気候変動及び天候の影響
再生可能エネルギー開発事業における売電収入は日射量等の天候に左右されます。また、気候変動による気温上昇が進んだ場合、電力需要の増大を通じた電力価格の上昇により、小売電気事業の調達コストが増加するなど、業績に様々な影響を及ぼす可能性があります。



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