グリムス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グリムス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グリムスは東京証券取引所プライム市場に上場し、法人・家庭向けに太陽光発電システムや蓄電池を提供するエネルギーソリューション事業と、電力の取次・供給を行う小売電気事業を展開しています。直近の業績は、主力事業の好調な販売拡大を背景に過去最高の売上高および各段階利益を更新し、堅調な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社グリムスの有価証券報告書(第21期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グリムスってどんな会社?


エネルギー領域の情報格差を解消し、太陽光発電システムの販売や電力小売等の事業を展開しています。

(1) 会社概要


同社は2005年7月にエネルギーコスト削減を目的として設立され、電子ブレーカーの販売を開始しました。2009年3月にジャスダック上場を果たし、2011年4月に商号をグリムスに変更して持株会社制へ移行しました。その後、2016年12月に電力小売事業を開始し、2026年3月には系統用蓄電所の運用を新たに開始するなど、エネルギー分野での事業を順調に拡大しています。

現在の従業員数は連結で367名、単体で23名となっています。筆頭株主は創業者の田中政臣氏で、第2位は業務提携先であるエナリス、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合です。

氏名 持株比率
田中 政臣 46.66%
エナリス 7.35%
光通信KK投資事業有限責任組合 無限責任組合員光通信 5.75%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は田中政臣氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 政臣 代表取締役社長 1999年10月テレウェイヴ入社。2003年4月テレウェイヴリンクス取締役、2004年6月テレウェイヴ取締役を経て、2005年7月より現職。
那須 慎一 代表取締役副社長 1999年10月テレウェイヴ入社。2006年7月同社取締役、2011年4月グリムスソーラー等代表取締役社長を経て、2013年6月より現職。
三浦 幹之 取締役 1997年9月テレウェイヴ入社。2005年7月同社監査役、2007年4月営業本部副本部長を経て、2009年6月同社取締役就任。2021年4月GRコンサルティング取締役就任。
善村 賢治 取締役(監査等委員) 1978年大倉商事入社。サクセス取締役、ジー・モード取締役等を経て、2012年10月同社管理統括部長。2026年6月より現職。
加藤 孝介 取締役 2003年4月テレウェイヴリンクス入社。2005年9月同社入社。2013年4月グリムスソーラー代表取締役社長等を経て、2016年6月より現職。


社外取締役は、江田千重子(元ジョンソン・エンド・ジョンソン社長)、手塚博水(元三井住友銀行)、西本昌道(元有機合成薬品工業社長)、若尾慎一(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギーソリューション事業」および「小売電気事業」を展開しています。

(1) エネルギーソリューション事業


法人や一般家庭に向けて、エネルギーコスト削減を目的とした事業用太陽光発電システムや蓄電池を主力商材として販売しています。また、顧客の施設で自家消費を促進するだけでなく、系統用蓄電所の運営やメガソーラーによる再生可能エネルギー開発も手掛けています。

各種電気機器や省エネ設備の販売によるフロー収益や、売電によるストック収益を得ています。運営は、同社および子会社のグリムスソーラー、グリムスエナジーなど複数のグループ会社が行っています。

(2) 小売電気事業


卸電力取引所や発電事業者から調達した電力を、低圧および高圧の電力需要家に対して割安な価格で供給し、電気料金を受け取る事業です。また、高圧需要家向けには、顧客の電力使用状況を分析し最適な電力を選択して供給する電力の取次サービスも展開しています。

顧客が毎月支払う電気料金が継続的なストック収益となります。市場価格連動型契約や独自燃調を導入し調達価格の変動リスクを低減しています。運営は子会社のグリムスパワーおよびGRコンサルティングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね右肩上がりで推移しており、直近では過去最高を更新しています。経常利益および当期利益も継続して増加しており、利益率も10%台から20%台へと大幅に改善し、収益性が大きく向上していることが読み取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 233億円 314億円 299億円 333億円 339億円
経常利益 25億円 37億円 53億円 66億円 73億円
利益率(%) 10.8% 11.7% 17.6% 19.9% 21.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 11億円 15億円 22億円 27億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の微増に対して売上総利益および営業利益が大きく伸長しています。利益率も堅調に改善しており、高収益体質が定着しつつあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 333億円 339億円
売上総利益 110億円 118億円
売上総利益率(%) 33.0% 34.8%
営業利益 65億円 72億円
営業利益率(%) 19.5% 21.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料賃金が16億円(構成比35%)を占めており、賞与引当金繰入額が2億円(同3%)となっています。

(3) セグメント収益


エネルギーソリューション事業は太陽光発電システム等の販売拡大により増収増益を牽引しています。小売電気事業は売上が微減したものの、電力調達コストの影響により利益面では堅調に増加し、収益に寄与しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
エネルギーソリューション事業 139億円 147億円 45億円 50億円 34.0%
小売電気事業 194億円 192億円 28億円 29億円 15.1%
連結(合計) 333億円 339億円 65億円 72億円 21.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、手元の資金で投資を賄いつつ借入の返済を進めている健全な状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 46億円 51億円
投資CF 0.0億円 -7億円
財務CF -13億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.4%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「エネルギー領域の情報格差を解消し、お客様の経営力の改善に貢献。活力と競争力のある会社を増やしていく。」をパーパスとして掲げています。また、顧客のニーズに応え、納得・満足される商品やサービスの提供に尽力し、社会から応援され続ける企業を目指すことをミッションとしています。

(2) 企業文化


同社グループは「経営に新しいエネルギーを」という企業スローガンのもと、コンサルティングを通じた顧客満足度の向上と収益機会の拡大を両立させる文化を重視しています。また、働きやすい社内環境の構築を方針とし、多様性を活かすことで企業価値の向上を追求する姿勢が根付いています。

(3) 経営計画・目標


企業価値の継続的な向上を図るため、持続的な成長と高い収益性を維持することを経営課題としています。経営上の目標の達成状況を判断するための主な指標として、電力小売などで継続的に得られる「ストック利益」と「営業利益」を重視し、安定的な成長を目指して経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


エネルギーソリューション事業における事業用太陽光発電システムの販売を主軸とし、収益基盤の拡充を図ります。また、小売電気事業では調達価格変動リスクを独自燃調や市場価格連動型契約によって低減し、安定的なストック収益源とします。優秀な営業人材の確保・育成やマーケティングDXの活用も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の事業基盤は優秀な営業人材であるため、少人数のチーム制や各種研修を通じた営業社員の早期育成を重要な課題としています。また、性別や年齢等にとらわれず公正に評価・登用するダイバーシティを推進し、個々の社員が能力を発揮しキャリアビジョンを描ける社内環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.7歳 6.5年 4,917,000円

※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.1%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 84.3%
男女賃金差異(正規雇用) 60.9%
男女賃金差異(パート・有期) 94.3%

※当事業年度においては育児休業の対象者が存在しないことから、男性労働者の育児休業取得率は未記載としております。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇の取得率(79.3%)、女性従業員比率(19.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 電力調達価格の変動と市場リスク

卸電力市場からの調達価格が燃料価格や天候要因で高騰した場合、小売電気事業の収益に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、同社グループでは独自燃調の導入や市場価格連動型契約の促進などによって調達価格の変動リスクを低減する施策を徹底しています。

(2) 商品調達と仕入価格上昇リスク

事業用太陽光発電システムなどの商品を商社やメーカーから仕入れて販売していますが、為替相場の変動や原材料不足により仕入価格が上昇したり、商品の調達に支障が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。複数の仕入先を確保することでリスク分散を図っています。

(3) 太陽光発電への天候不順リスク

自社で開発・所有する太陽光発電所から電力を販売し、売電収益を得ています。そのため、天候不順などにより日射量や日照時間が減少すると発電量が低下し、売電収入が目減りして同社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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