レスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レスターは東京証券取引所プライム市場に上場し、国内外の半導体・電子部品販売から再生可能エネルギー、IT開発まで多角的に展開するエレクトロニクスの情報プラットフォーマーです。直近の業績は、データセンター向け商材の好調やM&Aの効果により、売上高6,309億円、経常利益138億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社レスターの有価証券報告書(第17期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. レスターってどんな会社?


国内外の半導体・電子部品の販売からシステム構築、再生可能エネルギーまで多角的に展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は、2009年10月にユーエスシーと共信テクノソニックが共同持株会社UKCホールディングスとして設立されました。2019年4月にバイテックホールディングスと経営統合し、レスターホールディングスに社名変更しています。2021年6月のPALTEK子会社化や2024年9月のPCIホールディングス子会社化などM&Aを通じて事業を拡大し、2024年4月に事業会社へ移行し現在の社名となりました。

従業員数は連結で4,637名、単体で1,234名です。筆頭株主は財産管理会社のケイエムエフで、第2位および第3位には信託業務等を行う金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
ケイエムエフ 23.43%
みずほ信託銀行 退職給付信託 ソニーグループ口 再信託受託者 日本カストディ銀行 10.49%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役会長CEOは今野邦廣氏、代表取締役社長COOは林眞一氏です。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
今野邦廣 代表取締役会長CEO バイテックホールディングス設立代表取締役社長等を経て、2019年4月レスターホールディングス代表取締役会長兼CEO。2025年6月より現職。
林眞一 代表取締役社長COO 松下電器産業(現パナソニック)入社後、同社副社長等を歴任し、2025年4月レスターアドバイザー。2025年6月より現職。
今野宏晃 取締役専務執行役員 朝日火災海上保険入社後、バイテックホールディングス監査役等を経て、2019年4月レスターグループ執行役員。2025年7月より現職。
柴田真裕 取締役常務執行役員 ユーエスシー入社後、海外子会社Managing Director等を歴任。2023年7月レスターエレクトロニクス専務執行役員等を経て、2026年1月より現職。
戸川清 取締役常務執行役員 日立化成工業執行役専務等を経て、2017年9月レスター社外監査役、その後社外取締役。2026年4月より現職。
二島進 取締役執行役員 川鉄リース等を経て、ミスミグループ本社入社後、2019年4月レスター執行役員。2026年4月より現職。


社外取締役は、尹晋赫(元Samsung Electronics副社長)、手塚仙夫(元監査法人トーマツ代表社員)、伊達玲子(元ダイワ精機社長)、笠野さち子(潮見坂綜合法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、デバイスBU、システムBU、IT&SIerBUの3つの報告セグメントで事業を展開しています。

デバイスBU


国内外の半導体や電子部品の販売、グローバル調達トレーディングを展開するデバイス事業と、電子部品やモジュール等の電子機器実装受託製造サービスを行うEMS事業を提供しています。

半導体や電子部品の販売収益や、受託製造費用などが主な収益源です。運営は同社のほか、PALTEK、レスターサプライチェーンソリューション、CU TECH CORPORATIONが行っています。

システムBU


映像・音響・通信のソリューション提案やキャッシュレス端末の開発製造を行うシステムソリューション事業と、再生可能エネルギーの運営管理や完全閉鎖型植物工場を展開するエコソリューション事業を提供しています。

システム機器の販売や構築費用、および電力供給による売電収入やコンサルティング料などが収益源です。運営は同社のほか、バイテックベジタブルファクトリーが行っています。

IT&SIerBU


ソフトウェア開発、産業用PCの設計・製造・自社ソリューションの開発や保守、および半導体の設計やテスト等の情報サービスを提供しています。

各種ソフトウェアの開発受託費や、情報サービスの提供に対する対価が主な収益源です。運営はPCIホールディングスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が4,000億円規模から6,300億円規模へと右肩上がりで成長を続けています。経常利益も100億円前後で推移しつつ直近では約138億円まで増加し、全体として安定的な増収増益のトレンドを描いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 4,000億円 4,871億円 5,125億円 5,610億円 6,309億円
経常利益 67億円 120億円 97億円 96億円 138億円
利益率(%) 1.7% 2.5% 1.9% 1.7% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 60億円 71億円 70億円 75億円 77億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は二桁成長を果たしており、売上総利益も連動して増加しています。利益率の維持に成功しており、営業利益ベースでも順調に利益を拡大させていることが確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 5,610億円 6,309億円
売上総利益 477億円 536億円
売上総利益率(%) 8.5% 8.5%
営業利益 142億円 167億円
営業利益率(%) 2.5% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与・賞与が129億円(構成比35%)と最も大きく、次いで荷造運賃が27億円(同7%)、業務委託費が26億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで増収を記録しています。デバイスBUはデータセンター向け商材の伸長などで利益を拡大し、IT&SIerBUも大きく伸びています。一方、システムBUは新電力分野の競争激化により減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
デバイスBU 4,952億円 5,559億円 112億円 147億円 2.6%
システムBU 527億円 489億円 42億円 32億円 6.5%
IT&SIerBU 131億円 262億円 5億円 12億円 4.6%
調整額 -10億円 -16億円 -17億円 -23億円 -
連結(合計) 5,610億円 6,309億円 142億円 167億円 2.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは「勝負型」のパターンを示しています。営業CFがマイナスとなっていますが、これは事業拡大のための借入による投資を継続している局面と推測されます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 202億円 -33億円
投資CF 1億円 -56億円
財務CF -161億円 76億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は26.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「情報と技術で、新しい価値、サービスを創造・提供し、社会の発展に貢献します」という経営理念のもとに、課題を解決するエレクトロニクスの情報プラットフォーマーを目指しています。グループの融合と各事業の最適化、積極的な共創ビジネスの展開により社会の持続的発展に貢献する方針です。

(2) 企業文化


同社は「行動規範」に基づく行動を基本とし、ステークホルダーの人権、個性、人格および多様性を尊重しています。多様な価値観を持つ人材の活躍が事業環境変化への適応力強化につながると考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期を最終年度とする中期経営計画において、将来の成長に向けた積極的な戦略投資や合理化投資とともに、一層の利益の拡大と資本効率の改善を通じた企業価値向上に努める目標を掲げています。

* 売上高7,000億円
* 営業利益180億円
* ROE10.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


今後の重点取り組みとして、事業間シナジーおよび外部パートナーとの積極的な共創、多様な事業展開、技術領域の伸展を推し進めています。デバイス事業ではグループシナジーの加速やクロスセル戦略、システムソリューション事業ではデータセンターを核とした地域デジタル社会基盤の構築に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を事業成長および中長期的な企業価値向上を支える最重要な経営資本と位置づけ、人材育成施策の充実に取り組んでいます。階層別研修や専門性に特化した研修を通じ、社員が自律的に学び成長し続ける風土を育むとともに、ワーク・ライフ・バランスを尊重し、柔軟な働き方を支援する環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.0歳 13.2年 7,481,686円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.8%
男性育児休業取得率 46.2%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 72.9%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 75.3%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 60.6%


また、同社はサステナビリティのセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(2030年度目標10%)、外国籍人財採用(2025年度48名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の激化リスク


エレクトロニクス業界は市場の成熟化や新興企業の参入、技術革新により競争が非常に激しい環境にあります。価格競争の激化や製品・サービスの対応の遅れが業績に影響を及ぼす可能性があります。同社グループは業務の効率化とグループの技術力を高めたワンストップサービスの提供で付加価値の向上を目指しています。

(2) 海外進出と地政学リスク


同社グループは海外各国・地域で事業を展開しているため、現地の政治・経済状況の変化、法律・税制の変更、社会的混乱、労働力不足などが業績に影響を及ぼす可能性があります。国ごとのリスクを事前に把握し、現地専門家やパートナー企業と連携してリスクマネジメントを図っています。

(3) 為替および金利の変動リスク


日本国内のほか海外でグローバルな事業活動を展開しており、他国通貨の取り扱いや借入金があります。著しい為替変動や金利上昇は業績に影響を及ぼす可能性があります。在庫削減や資金の効率運用によって借入金を抑制し、為替差損益の縮小や金利負担の低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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