※本記事は、チムニー株式会社 の有価証券報告書(第17期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. チムニーってどんな会社?
居酒屋「はなの舞」「さかなや道場」などを全国展開する飲食チェーンです。鮮度にこだわる食材調達網が特徴です。
■(1) 会社概要
同社は2009年に株式会社エフ・ディーとして設立され、同年12月に旧チムニーを子会社化しました。2012年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2013年にはやまやが親会社となりました。2014年に市場第一部へ変更し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。
2025年3月末時点の連結従業員数は659名、単体では614名です。筆頭株主は酒類等の輸入・販売を行う事業会社のやまやで、50.82%を保有しています。第2位はアサヒビール(9.12%)、第3位は麒麟麦酒(5.18%)と、酒類メーカー等の事業会社が上位株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| やまや | 50.82% |
| アサヒビール | 9.12% |
| 麒麟麦酒 | 5.18% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性15名、女性1名の計16名で構成され、女性役員比率は6.2%です。代表取締役社長は茨田篤司氏が務めています。取締役13名のうち社外取締役は2名で、社外取締役比率は15.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山内 英靖 | 代表取締役会長 | 1985年やまや入社。同社代表取締役社長等を経て、2016年より現職。 |
| 茨田 篤司 | 代表取締役社長 | 1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。理事東日本第二法人営業本部長等を経て、2022年より現職。 |
| 水上 貴史 | 取締役商品戦略担当 | 1993年やまや入社。九州営業部長等を経て、2024年より現職。 |
| 根本 博史 | 取締役営業統括担当 | 1996年旧チムニー入社。執行役員人事総務本部長等を経て、2023年より現職。 |
| 伊藤 浩之 | 取締役店舗開発兼事業開発担当 | 1995年テンアライド入社。2004年旧チムニー入社。執行役員商品部長等を経て、2024年より現職。 |
| 寺脇 剛 | 取締役管理担当兼IR・サステナビリティ推進担当 | 2004年マイカルカンテボーレ入社。2008年旧チムニー入社。執行役員FC事業本部長等を経て、2023年より現職。 |
| 阿部 真琴 | 取締役財経担当 | 2002年公認会計士登録。2013年同社入社。執行役員財経部長等を経て、2021年より現職。 |
| 糠塚 紀久夫 | 取締役 | 1997年やまや入社。やまや商流代表取締役社長等を経て、2024年より現職。 |
| 田原口 裕基 | 取締役 | 1994年やまや入社。同社執行役員経理部長等を経て、2017年より現職。 |
| 大竹 聡 | 取締役 | 1996年やまや入社。同社取締役執行役員監査室長等を経て、2022年より現職。 |
| 中島 慎輔 | 取締役 | 1997年やまや入社。やまや関西店舗運営部部長等を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、大関均(元優成アドバイザリー代表取締役)、長山恒正(元アサヒビール常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」、「コントラクト事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 飲食事業
「はなの舞」「さかなや道場」「魚星」「安べゑ」などのブランドで、直営店およびフランチャイズ(FC)店による店舗運営を行っています。豊洲市場での買参権や産地直送ルートを活用し、鮮度の高い食材を提供できる体制を整えています。また、FC店への商品供給や管理も行っています。
主な収益源は、直営店における顧客からの飲食代金、およびFCオーナーからのロイヤリティや食材販売代金です。運営は主に同社が行っていますが、新橋やきとん等を展開する紅フーズコーポレーション、めっちゃ魚が好き株式会社、水産加工品等の仕入を担う大田市場チムニー株式会社などの子会社も事業を担っています。
■(2) コントラクト事業
官公庁や特定の施設内における食堂受託事業を展開しており、一定の建物内や敷地内で飲食の提供を中心とした店舗運営を行っています。全国の施設で、安定的な食事の提供や各種フェアの実施、宴会の獲得などに取り組んでいます。
収益源は、施設内の店舗を利用する顧客からの飲食代金や、委託元からの業務受託料などです。運営は同社が行っています。
■(3) その他
飲食事業およびコントラクト事業に含まれない事業として、主に通信販売業を展開しています。
収益源は、通信販売による顧客からの商品販売代金などです。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績推移を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた2022年3月期を底に回復傾向にあり、直近では262億円まで伸長しています。利益面では、経常損益は赤字と黒字を繰り返してきましたが、直近2期は黒字を維持しています。当期利益についても同様の傾向が見られます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 132億円 | 101億円 | 202億円 | 257億円 | 262億円 |
| 経常利益 | △46億円 | 33億円 | △16億円 | 14億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | -34.4% | 32.2% | -8.1% | 5.6% | 4.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | △89億円 | 10億円 | △19億円 | 8億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は増加していますが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加しており、営業利益は減少しました。コスト増を吸収しきれず、利益率が低下しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 257億円 | 262億円 |
| 売上総利益 | 178億円 | 180億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.3% | 68.7% |
| 営業利益 | 13億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が39億円(構成比23%)、給料及び手当が30億円(同17%)、賃借料が28億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飲食事業が全体の売上の大半を占めており、当期は前期比で増収となりました。コントラクト事業は若干の減収となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 244億円 | 244億円 |
| コントラクト事業 | 18億円 | 18億円 |
| その他 | 0.4億円 | 0.4億円 |
| 連結(合計) | 257億円 | 262億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
チムニーの2025年3月期のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社は、営業活動により資金が増加しましたが、投資活動および財務活動での資金流出がそれを上回りました。投資活動では、固定資産の取得や保証金の差入による支出が主な要因です。財務活動では、短期借入金の減少や借入金の返済、配当金の支払いが資金流出の主な要因となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 28億円 | 8億円 |
| 投資CF | △3億円 | △7億円 |
| 財務CF | △20億円 | △13億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「心」と「食」と「飲」を通じて地域社会に「出会い」「語らい」「憩い」と「癒し」のサービスを提供し、世界中のお客様からありがとうといわれる企業になることを企業理念としています。
■(2) 企業文化
同社は、お客様に満足していただくため、継続してQSCA(品質、サービス、清潔さ、雰囲気)の向上に取り組む姿勢を重視しています。また、足元の取り組みとして「成長へのChallenge 選ばれるお店を目指して」をスローガンに掲げ、多様な人財の活躍や環境・社会への貢献を目指す風土があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、居酒屋業界の厳しい状況を想定し、当面はコロナ禍で悪化した純資産額を改善し、安定的な利益を計上できる体制を構築することを最優先課題としています。そのうえで、目標とする指標について改めて策定する方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、「食」と「飲」を中心とした「総合サービス産業」を目指し、一次産業(生産)から三次産業(店舗販売)までを一貫して自社展開する六次産業化に取り組んでいます。また、店舗収益向上戦略としてフェア・イベントの開催やインバウンド需要への対応を進めるほか、「さかな酒場 魚星」などの専門業態の拡大と新規出店・リフレッシュ改装に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、お客様から選ばれる店舗を目指すため、人財教育・評価制度の強化と従業員エンゲージメントの向上を鍵としています。具体的には、外国籍社員やキャリア社員の採用強化、階層別教育の充実、フィードバック面談の強化を行うとともに、ハラスメント撲滅や健康経営の推進により、従業員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.9歳 | 9.5年 | 4,989,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 9.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 51.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 75.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | 88.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食の安全性、食材の調達について
同社グループは食材の「安全」「安心」のために厳しい管理体制を敷いていますが、安全性が疑われる問題が発生した場合や、天候不順・世界情勢等により食材の安定的確保が困難になったり原材料価格が高騰したりした場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人財の確保及び育成について
業績拡大には優秀な人財の確保と教育が不可欠ですが、採用環境の変化により必要な人財が集まらない場合や、教育が一定レベルに達せず店舗管理できる人財が十分に確保できない場合には、出店計画や店舗運営、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 経済状況について
同社グループは日本国内で店舗展開しているため、国内景気や政府の経済政策の影響を受けます。特に、物価高騰に対する賃金上昇の遅れによる個人消費の低迷や、原材料価格・人件費・水道光熱費等の上昇は、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 加盟店について
フランチャイズ(FC)オーナーに対する債権管理を行っていますが、FC店舗等の突発的な事故等により債権回収が困難になる可能性があります。また、居酒屋業界の市場縮小等によりFC店舗数が急減した場合、ロイヤリティ収入等が減少し、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。