#記事タイトル:トモニホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、トモニホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第15期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トモニホールディングスってどんな会社?
徳島大正銀行と香川銀行を傘下に持つ広域金融グループとして、銀行業務を中心に総合金融サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
2010年(平成22年)4月、徳島銀行と香川銀行の共同株式移転により設立され、東証一部に上場しました。その後、2011年にリース会社の合併によりトモニリースが発足し、2016年には大正銀行を完全子会社化しました。2020年には徳島銀行が大正銀行を吸収合併して徳島大正銀行へ商号変更し、2022年4月に東証プライム市場へ移行しました。
グループ全体の従業員数は連結で2,183名、単体では36名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に株式会社日本カストディ銀行(信託口)となっており、機関投資家が上位を占めています。第3位には従業員持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.92% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.57% |
| トモニホールディングス従業員持株会 | 3.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は中村武氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 武 | 代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者) | 日本銀行に入行し、業務局長や文書局長を歴任。2017年に同行を退職後、同社代表取締役専務に就任。2018年6月より現職。トモニシステムサービス社長も兼務。 |
| 山田 径男 | 代表取締役副社長 | 香川相互銀行(現香川銀行)に入行。企画本部長や管理本部長などを経て、2020年に同行取締役頭取に就任。同社では2020年10月より現職。 |
| 板東 豊彦 | 代表取締役副社長 | 徳島銀行(現徳島大正銀行)に入行。総合企画本部長や審査本部長などを歴任し、2020年に同行代表取締役頭取に就任。同社では2020年10月より現職。 |
| 藤井 仁三 | 常務取締役経営企画部長 | 第一勧業銀行を経て徳島銀行(現徳島大正銀行)入行。企画部長などを務め、同社経営企画部長を経て2017年3月より現職。 |
| 小田 寛明 | 常務取締役グループ戦略部長兼地域商社的金融機能担当 | 三和銀行(現三菱UFJ銀行)を経て大正銀行(現徳島大正銀行)入行。本店営業部長などを務め、2020年6月より現職。 |
| 山下 友規 | 常務取締役監査部長 | 香川相互銀行(現香川銀行)に入行。コンプライアンス統括部長や事務システム部長などを歴任し、2022年6月より現職。 |
| 喜岡 均 | 常務取締役リスク・コンプライアンス部長 | 日本債券信用銀行を経て香川銀行に入行。融資本部長などを歴任し、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、井上佳昭(元大阪ガス執行役員)、多田人志(元四国財務局管財部長)、橋本潤子(神戸大学大学院法学研究科教授)、桑島洋輔(公認会計士・税理士)、梶野佐也加(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
徳島大正銀行および香川銀行において、預金、貸出、為替、有価証券投資などの銀行業務を行っています。両行はそれぞれの本店および支店網を通じて、地域顧客の多様なニーズに応える金融サービスを提供しており、グループの中核事業と位置付けられています。
収益は主に、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および振込手数料などの役務取引等収益から構成されます。運営は、株式会社徳島大正銀行および株式会社香川銀行が行っています。
■(2) その他
銀行業以外の金融関連サービスとして、リース業務、クレジットカード業務、ベンチャーキャピタル業務などを展開しています。また、銀行事務の受託・代行やシステム運用管理、地域商社的な機能を持つGX・地方創生関連業務なども手掛けています。
収益源は、リース料収入、カード手数料、業務受託手数料などです。運営は、トモニリース株式会社、トモニカード株式会社、株式会社徳銀キャピタル、トモニシステムサービス株式会社、とくぎんトモニリンクアップ株式会社などの連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。経常収益は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加、役務取引等収益の増加などにより、前期比で増加しました。経常費用は、預金利息の増加や貸倒引当金繰入額の増加などにより増加しました。過去5期においては、経常収益、経常利益、当期純利益ともに増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 6,852 | 6,816 | 7,765 | 8,782 | 9,511 |
| 経常利益(億円) | 1,449 | 1,913 | 2,068 | 2,153 | 2,338 |
| 当期純利益(億円) | 998 | 1,306 | 1,417 | 1,401 | 1,583 |
■(2) 損益計算書
当期は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加などにより経常収益が増加しました。一方、預金利息の増加や貸倒引当金繰入額の増加などにより経常費用も増加しました。その結果、経常利益は増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益も増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 8,782 | 9,511 |
| 経常費用 | 6,629 | 7,173 |
| 経常利益 | 2,153 | 2,338 |
| 当期純利益 | 1,401 | 1,583 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
当期における役務取引等収益合計は前期比で増加しました。最も大きい区分はリース業務であり、次いで為替業務となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 763 | 832 |
| 為替業務 | 146 | 148 |
| 証券関連業務 | 150 | 122 |
| 代理業務 | 92 | 86 |
※売上高は「外部顧客に対する経常収益」を表示しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
トモニホールディングスは、資本コストや株価を意識した経営により、企業価値向上を目指しています。
営業活動では、貸出金の増加による資金支出の減少等により、前連結会計年度比で収入が増加しました。投資活動では、有価証券の取得による支出が増加し、前連結会計年度とは異なり資金を支出する結果となりました。財務活動では、前連結会計年度に株式発行による収入があったのに対し、当連結会計年度は資金を支出しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 5,759 | 11,819 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 2,757 | △6,815 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 650 | △305 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客さま第一主義」「お客さまとともに成長」「信頼と安心の経営」を経営理念として掲げています。顧客ニーズに応じた最良の金融サービスを提供し、地域経済とともに成長し続けること、そして強固な経営基盤を構築し、顧客から信頼され長く付き合える存在になることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、10年後の目指す姿として「やっぱり“トモニ”を選んでよかったと言われる広域金融グループ」を掲げています。このビジョンのもと、全てのステークホルダーに対してより高い価値を迅速かつ広範に提供し、共に成長を紡いでいく姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2023年4月から2026年3月までの3年間を計画期間とする「第5次経営計画」を推進しています。最終年度である2026年3月期の数値目標として、以下の指標を掲げています。
* 親会社株主に帰属する当期純利益:148億円
* コア業務純益(銀行子会社単体合算):223億円
* ROE(連結):5.0%以上
* 自己資本比率(連結):9.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
第5次経営計画では、サステナビリティ、営業、人財、オペレーション、ガバナンスの5つの基本戦略に取り組んでいます。地域経済の持続的発展への貢献、法人・個人顧客への最適なソリューション提供、働きがいのある職場づくり、業務効率化による企業価値向上、そしてガバナンス強化を通じた強固な財務基盤の形成を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様性が組織の競争力を高めるとの考えのもと、女性活躍推進を含むダイバーシティを積極的に推進しています。また、社員一人ひとりの成長を組織の成長につなげるため、働きやすく働きがいのある職場環境の整備に努めるとともに、実践的かつ効果的な学びの場を提供し、人材育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 53.7歳 | 30.7年 | 9,237,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
※従業員は銀行子会社からの出向者で構成されており、平均年齢・勤続年数が高くなっています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.6% |
| 男性育児休業取得率 | 112.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 63.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 63.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
同社グループは資産の約70%を貸出金で運用しており、国内外の景気動向によって貸出先の業況が悪化した場合、不良債権が増加し、多額の貸倒償却や引当負担が発生する可能性があります。また、担保価値の下落や実際の貸倒れが見積もりを上回った場合、与信関連費用が増加し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場リスク
主要な収益源である資金運用と調達の金利差(利鞘)は、金利変動の影響を受けます。また、保有する有価証券には株式や債券、外貨建資産が含まれており、株価の下落、金利上昇による債券価格の下落、円高進行による外貨建資産の価値減少などが、グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 気候変動リスク
脱炭素社会への移行に伴う規制強化や炭素税導入などの「移行リスク」と、異常気象による自然災害などの「物理的リスク」があります。特に物理的リスクでは、水害等により営業拠点が被災するリスクに加え、取引先の被災や担保不動産の毀損により与信費用が増加する可能性があります。
■(4) システムリスク
業務の多様化・高度化に対応するため各種システムを保有していますが、システムダウンや誤作動、サイバー攻撃等による不正使用が発生した場合、業務遂行に支障をきたし、社会的信用の失墜や損害賠償等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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