テクノホライゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクノホライゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。「映像&IT」と「ロボティクス」を中核に、教育ICT機器やFA関連機器などを展開する事業会社です。2025年3月期は海外子会社の伸長等により売上高は増収となりましたが、利益面では営業利益が減少し、特別損失の計上も重なったことで最終赤字となりました。


※本記事は、テクノホライゾン株式会社 の有価証券報告書(第15期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テクノホライゾンってどんな会社?


光学と電子技術を融合させたオプトエレクトロニクス技術を強みとし、教育やFA分野へ製品を展開しています。

(1) 会社概要


2010年にエルモ社とタイテックの経営統合により設立されました。2021年には純粋持株会社から事業会社へ移行し、現在の商号へ変更しています。2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。近年はM&Aを積極的に推進しており、2024年にはブイキューブよりプロフェッショナルワーク事業を譲受するなど、事業領域の拡大を図っています。

同社グループの従業員数は連結1,457名、単体594名です。筆頭株主は創業家出身の野村氏の資産管理会社である有限会社野村トラストで、第2位も同様に資産管理会社の有限会社野村興産となっています。

氏名 持株比率
有限会社野村トラスト 10.98%
有限会社野村興産 4.34%
榊 泰彦 2.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野村拡伸氏です。社外取締役比率は40.0%(取締役5名中2名)です。

氏名 役職 主な経歴
野村 拡伸 代表取締役社長 タイテックに入社後、同社代表取締役を経て2013年より現職。エルモ社、中日諏訪オプト電子等のグループ会社代表も歴任。
口野 達也 取締役 タイテックに入社し、管理本部総務部部長、製造本部購買部部長等を歴任。エルモ社製造部部長等を経て2019年より現職。
加藤 靖博 取締役 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、タイテック入社。テクノホライゾン総務部長、経営企画部長を経て2022年より現職。


社外取締役は、寺澤和哉(寺澤会計事務所所長)、Anis Uzzaman(Pegasus Tech Ventures inc. CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「映像&IT」「ロボティクス」事業を展開しています。

(1) 映像&IT


書画カメラ(実物投影機)、電子黒板、監視カメラなどの光学機器や、映像コミュニケーションサービスの開発・販売を行っています。主な顧客は教育機関、企業、官公庁などです。また、海外ではAV機器の販売・設置やセキュリティソフトウェアの販売も手がけています。

製品販売による代金やシステム構築・設置工事費、ソフトウェア開発費などが主な収益源です。運営は同社に加え、Elmo USA Corp.、ESCO Pte. Ltd.、アドワーなどのグループ会社が行っています。

(2) ロボティクス


FA(ファクトリーオートメーション)関連機器として、ロボットコントローラ、工作機械用CNC装置、実装プリント基板検査装置、自動はんだ装置などの開発・製造・販売を行っています。また、医療機器や精密光学部品の製造も手がけ、製造業や医療現場を顧客としています。

機器販売による代金や、保守サービスなどが主な収益源です。運営は同社に加え、アポロ精工、泰志逹智能科技(蘇州)有限公司、東莞旭進光電有限公司などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期から2025年3月期にかけて、売上高は増加傾向にありますが、利益面では苦戦が続いています。売上高は500億円規模に達していますが、営業利益や経常利益は低水準で推移し、最終損益は赤字や低収益の状態が見られます。特に直近では特別損失の影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナスとなりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 265億円 345億円 438億円 486億円 506億円
経常利益 25億円 10億円 -4億円 17億円 4億円
利益率(%) 9.6% 2.8% -0.9% 3.5% 0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.5億円 38.4億円 -25.4億円 12.6億円 -8.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加により売上総利益は微減となりました。販管費が増加したことで営業利益は前期の約3分の1程度に縮小しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 486億円 506億円
売上総利益 104億円 104億円
売上総利益率(%) 21.4% 20.5%
営業利益 10億円 4億円
営業利益率(%) 2.1% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料が44億円(構成比44%)、減価償却費が6億円(同6%)を占めています。売上原価については、製品製造や商品仕入にかかる費用が計上されています。

(3) セグメント収益


映像&IT事業は、海外子会社の好調により増収となり、利益も大幅に増加しました。一方、ロボティクス事業は、中国市場の低迷や一部製品の不具合対応費用などが響き、減収かつ営業赤字に転落しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
映像&IT事業 307億円 358億円 3億円 10億円 2.7%
ロボティクス事業 179億円 148億円 8億円 -6億円 -4.1%
連結(合計) 486億円 506億円 10億円 4億円 0.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

テクノホライゾンは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローを基盤に、将来の運転資金や設備投資資金を調達していく考えです。投資活動では、設備投資やM&A等に資金を使用します。財務活動では、借入金の返済や調達を行います。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 14億円 9億円
投資CF -8億円 -10億円
財務CF -15億円 1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「映像&IT」及び「ロボティクス」事業を核に製品とサービスを提供し、グローバルな「人と社会」に貢献することをミッションとしています。「技術を活かすこと」「皆さまのお役に立つこと」「豊かな社会を実現すること」を一貫した姿勢とし、「輝く地平線(ホライゾン)」を目指して前進することを掲げています。

(2) 企業文化


「誠実・信頼・創造・挑戦」をグループ社是と定めています。不確実性の高いVUCAの時代にあっても、コア技術を活用してカスタマーエクスペリエンスの向上を図り、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。「ベンチャー企業の機動力」と「大手企業の力強さ」を兼ね備えた企業体を目指す姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


企業成長および企業価値を測る指標として、本業の収益力を示す「売上高営業利益率」と、株主資本の効率化を測る「自己資本当期純利益率(ROE)」を重視しており、その向上に努めています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、これらを重要な経営指標(KPI)として位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


「教育ICT」「企業・自治体DX」「FAロボット」「ビジョンシステム」を重点4市場と定め、コア技術を活用した商品・サービスを展開しています。M&Aを積極的に推進して事業強化とシナジー追求を図るとともに、ASEAN地域等でのグローバル化を加速させています。

* 事業の強化及び買収先企業のシナジー追求
* M&Aの推進による新商圏への参入と製品・サービス拡充
* 最適な生産体制の構築および社内DX化の推進
* グローバル化の加速(欧米・ASEAN地域での事業拡大)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に伴い、開発・製造・営業・管理の各部門での組織力強化と人材確保・育成を急務としています。研修体制の充実に加え、グループ入りした企業の人材を積極的に登用しています。また、外部専門家を招聘したプロジェクトにより、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.0歳 3.7年 5115000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.7%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 60.7%
男女賃金差異(正規) 77.6%
男女賃金差異(非正規) 81.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化と競争激化


「教育ICT」や「FAロボット」などの主要市場において、需要動向や競合他社の戦略が業績に影響します。特に異業種からの参入による技術革新や新商品投入により競争が激化した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 特定事業・製品への依存


映像&IT事業では書画カメラ等の主力製品の需要動向、ロボティクス事業では工作機械・エレクトロニクス業界の需要縮小が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ロボティクス事業は顧客企業の業績不振や契約変更の影響を受けやすい性質があります。

(3) 業績の季節変動要因


映像&IT事業の主力である書画カメラの売上は、学校予算の執行時期である夏休みや年度末に偏る傾向があります。このため、四半期ごとの業績に季節的な変動が生じる可能性があります。また、車載関連製品の採用状況も業績に影響を与えます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。