テクノホライゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクノホライゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テクノホライゾンは東京証券取引所スタンダードに上場し、映像&ITおよびロボティクス事業を展開する企業です。書画カメラや電子黒板、FA関連機器の開発・販売を主力としています。直近の業績では、セキュリティ需要の拡大や高付加価値製品への転換などにより売上高514億円、営業利益23億円と増収増益を達成し、成長を続けています。


※本記事は、テクノホライゾンの有価証券報告書(第16期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テクノホライゾンってどんな会社?


映像&ITとロボティクスをコア技術とし、教育ICTや工場自動化などに貢献する機器やシステムを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は2010年4月にエルモ社とタイテックが経営統合し、共同持株会社として設立されると同時に上場を果たしました。2020年10月にテクノホライゾンへ社名変更した後、2021年4月にエルモ社、タイテック、中日諏訪オプト電子を吸収合併しカンパニー制を導入しています。以降もM&Aや事業譲受により積極的に事業領域を拡大しています。

現在の従業員数はグループ全体で1,506名、単体では588名となっています。同社の大株主には資産管理会社や金融機関が名を連ねており、筆頭株主は野村トラスト、第2位は野村興産となっています。

氏名 持株比率
野村トラスト 10.98%
野村興産 4.34%
楽天証券共有口 2.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は野村拡伸氏が務めており、取締役5名のうち2名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
野村拡伸 代表取締役社長 1995年タイテック入社、2007年代表取締役。2010年同社設立時に取締役、2013年より代表取締役社長。エルモ社や中日諏訪オプト電子など多数のグループ会社の代表を歴任。
口野達也 取締役 1992年タイテック入社。管理本部総務部長等を経て、2018年同社管理部長およびエルモ社製造部長に就任。2019年より現職。
加藤靖博 取締役 1992年東海銀行入行。2006年タイテック入社。2010年同社総務部長、2017年経営企画部長を経て、2021年執行役員。2022年より現職。


社外取締役は、寺澤和哉(寺澤会計事務所所長)、Anis Uzzaman(Pegasus Tech Ventures inc. CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「映像&IT事業」および「ロボティクス事業」を展開しています。

(1) 映像&IT事業


書画カメラ(実物投影機)、電子黒板、監視カメラなどの光学機器や映像コミュニケーションサービスの開発・販売を行っています。また、ソフトウェアの受託開発やAV機器システムの販売・設置、セキュリティソフトウェアの販売保守なども提供し、教育現場や企業のDX化を支援しています。

収益源は機器の販売やソフトウェア提供、設置工事、保守契約などから得ています。運営は同社(映像&ITグローバル本部等)のほか、Elmo USA Corp.、アドワー、ESCO Pte. Ltd.、PACIFIC TECH PTE.LTD.などが担当しています。

(2) ロボティクス事業


業務用車載機器、医療機器、精密光学部品、ロボットコントローラ、CNC装置、実装プリント基板の検査装置、自動はんだ装置などFA関連機器の開発・製造・販売を行っています。生産現場の自動化や省人化、品質改善をサポートする製品をグローバルに提供しています。

収益源はこれらのFA関連機器やコンポーネントの販売から得ています。運営は同社(ロボティクス営業本部等)のほか、泰志逹智能科技(蘇州)有限公司、東莞旭進光電有限公司、アポロ精工などのグループ会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模が順調に拡大しています。経常利益と親会社に帰属する当期純利益は一時的に赤字を計上した時期もありましたが、直近では高付加価値製品への転換や海外での需要増が寄与し、大幅な増益と黒字転換を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 345.2億円 437.7億円 486.2億円 506.2億円 513.8億円
経常利益 9.6億円 -4.1億円 17.1億円 3.7億円 28.9億円
利益率(%) 2.8% -0.9% 3.5% 0.7% 5.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 38.4億円 -25.4億円 12.6億円 -8.4億円 20.4億円

(2) 損益計算書


売上高の微増に対し、売上総利益が大きく改善したことで売上総利益率は22.8%に上昇しました。営業利益も大幅に増加しており、収益性が着実に高まっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 506.2億円 513.8億円
売上総利益 103.5億円 116.9億円
売上総利益率(%) 20.4% 22.8%
営業利益 3.7億円 23.3億円
営業利益率(%) 0.7% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料が46.1億円(構成比49%)と最も大きな割合を占め、次いで賞与引当金繰入額が1.5億円(同2%)となっています。

(3) セグメント収益


映像&IT事業は教育市場での機器更新需要や海外でのセキュリティ需要に支えられ、増収増益となりました。ロボティクス事業は中国市場の低迷で減収となったものの、高付加価値製品への転換や構造改革の断行により大幅な損益改善を果たし、黒字転換しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
映像&IT事業 358.3億円 377.7億円 9.7億円 18.7億円 4.9%
ロボティクス事業 148.0億円 136.1億円 -6.0億円 4.6億円 3.4%
連結(合計) 506.2億円 513.8億円 3.7億円 23.3億円 4.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益と資産売却等によって得た資金で借入の返済を進める、改善型のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 8.5億円 45.1億円
投資CF -9.6億円 1.3億円
財務CF 1.4億円 -35.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


映像&ITおよびロボティクス事業を核にさまざまな製品とサービスを提供し、グローバルな「人と社会」に貢献することを事業のミッションとしています。「技術を活かすこと」「皆さまのお役に立つこと」「豊かな社会を実現すること」という姿勢を一貫して貫き、輝く地平線(ホライゾン)をめざして前進することを掲げています。

(2) 企業文化


社是として「誠意、創意、熱意」を掲げています。不確実性(VUCA)の時代にあっても、役員と従業員が一丸となって前進し、グループのコア技術を活用してカスタマーエクスペリエンスの向上を図り続け、持続可能な社会の実現に寄与する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


企業成長および企業価値を測る指標として同社が重視している経営指標は、会社の本業の収益力を示す代表的な指標である売上高営業利益率と、株主資本の効率化を測る代表的な指標である自己資本当期純利益率であり、それらの向上に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


「教育ICT」「企業・自治体DX」「ビジョンシステム」「FAロボット」の4つの重点市場に対し、商品やサービスを積極的に展開しています。教育現場の環境改善や企業のDX化・セキュリティ対策を支援するほか、ロボティクス事業では人手不足解消に向けた自動化開発に注力します。また、グループ内シナジーの追求や戦略的なM&A、グローバル化の加速を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」は会社にとって最大の資産であるとし、社員一人ひとりが持つ可能性を引き出して多様な人材が活躍できる組織を目指す、人的資本経営を推進しています。「ダイバーシティの推進」や「健全な成長の推進」を掲げ、専門性や成果に基づく適正な評価・処遇を通じて自律的な成長と挑戦を促し、高度専門人材の育成に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.8歳 4.4年 5,246,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.2%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) 61.8%
男女賃金差異(正規雇用) 77.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 58.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(100.0%)、ストレスチェック受診率(92.0%)、休業災害率(0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変化


教育ICTや企業・自治体DXなどの重点市場において、市場の需要動向や競合他社の戦略が業績に大きく影響する可能性があります。異業種からの参入による新製品投入などの変化に機動的に対応するため、常に市場環境や顧客ニーズの注視に努めています。

(2) 特定市場の需要変動による影響


映像&IT事業の電子黒板の売上は文教市場の予算執行時期に偏る傾向があり、ロボティクス事業は工作機械・エレクトロニクス業界の需要動向に影響を受けます。これに対し、ストック型収益の拡大や近隣市場への展開で収益の安定化・分散化を図っています。

(3) 原材料調達リスク


多数の外部取引先から半導体をはじめとする原材料や部品を調達しています。重要部品が計画通りの数量や価格で入手できず、生産に支障をきたす事態に備え、調達先への定期的な監査や調達ルートの多様化を進めて安定調達に努めています。

(4) 為替相場の変動


同社グループは海外において事業展開を実施しており、外国為替レートの大きな変動は、外貨建てで取引されている売上高ならびに仕入高に影響し、業績に波及する可能性があります。取引通貨バランスの改善や海外調達の拡大などにより、為替リスクの軽減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。