OCHIホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OCHIホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OCHIホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場および福岡証券取引所に上場しています。主に建材、環境アメニティ、加工、エンジニアリングなどの住生活関連ビジネスを展開しています。直近の業績は、売上高が前期比増の1204億円、経常利益も22億円と増収増益のトレンドで堅調に推移しています。


※本記事は、OCHIホールディングス株式会社の有価証券報告書(第16期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. OCHIホールディングスってどんな会社?


住生活に関するビジネスを展開する持株会社です。建材事業を中核に据え、安全安心で持続可能な社会の創造を目指しています。

(1) 会社概要


1958年に越智商店として設立し、建築材料の販売を開始しました。1996年に福岡証券取引所に株式上場を果たし、2010年に単独株式移転により持株会社のOCHIホールディングスを設立しました。2014年には東京証券取引所市場第一部へ上場し、2023年にスタンダード市場へ移行しています。直近でもM&Aを推進し、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で1,742名、単体で46名です。筆頭株主は代表取締役社長執行役員の越智通広氏で、第2位は資産管理等を行うオチワークサービス、第3位は広智奨学会となっています。

氏名 持株比率
越智通広 21.91%
オチワークサービス 8.41%
広智奨学会 3.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長執行役員は越智通広氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
越智通広 代表取締役社長執行役員 1979年福岡銀行入行。1987年越智産業入社。1991年同社代表取締役社長。2010年同社代表取締役社長。2021年より現職。
越智通信 取締役執行役員営業本部長兼加工事業部長兼エンジニアリング事業部長 1986年エッソ石油入社。1990年越智産業入社。2014年同社取締役建材事業部長。2026年より現職。
田中翔基 取締役執行役員物流・情報システム本部長兼財務部長 2013年三菱電機入社。2016年同社入社。2021年同社経営企画部長。2026年より現職。


社外取締役は、中垣一史(全教研元代表取締役社長)、松永秀(伊藤忠オリコ保険サービス元専務執行役員)、榎本圭吾(福岡銀行元執行役員筑豊地区本部長)、濵田弥亜(税理士法人マインド・アーキテクト代表社員)、小森蘭子(米国ニューヨーク州弁護士)、具島三佳(QBキャピタルシニアアソシエイト)、石瀧梨央(狛グローカル法律事務所アソシエイト)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建材事業」「環境アメニティ事業」「加工事業」「エンジニアリング事業」および「その他」事業を展開しています。

建材事業


主に国内の建材メーカーや代理店、商社より仕入れた住宅関連資材等を、国内の建材販売店、ハウスメーカー、ゼネコン、工務店等に販売しています。同社グループの業績の大半を占めているコア事業です。

主に資材の販売対価として収益を得ています。運営は主に越智産業をはじめとするグループ各社が行っています。

環境アメニティ事業


業務用や家庭用の空調機器、暖房機器をはじめとした快適環境を創造する商品を、主に国内のメーカー、代理店等から仕入れ、販売しています。

各種機器の販売対価として収益を得ています。運営は主に松井や太陽産業等のグループ各社が行っています。

加工事業


主に国内のメーカー、代理店、商社より建材等を仕入れ、木造住宅を中心とした構造躯体の加工組立販売を行ない、他社との差別化を図っています。

加工品の販売対価として収益を得ています。運営は主に西日本フレーミングやヨドプレ等のグループ会社が行っています。

エンジニアリング事業


商業施設等の建設、公共事業の土木工事、マンションやオフィスビルの内装工事、土木構造物の診断・調査、不動産賃貸・管理を行なっています。また、高齢者専用賃貸住宅等のサービスを提供する介護事業も含みます。

工事の請負代金や賃貸料等から収益を得ています。運営は主にDS TOKAIや芳賀屋建設等のグループ会社が行っています。

その他


産業資材の販売、労働者派遣、ソフトウエア開発等の事業を行なっています。

各サービスの販売・提供対価として収益を得ています。運営は主に太平商工やヒット・イール等のグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

売上高は概ね増加傾向にあり、直近の2026年3月期では1,200億円を突破しています。経常利益は住宅着工戸数の減少や資材価格の高騰等の影響で一時減少しましたが、直近では増益に転じており、堅調な回復傾向を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1119億円 1156億円 1134億円 1171億円 1204億円
経常利益 35億円 35億円 27億円 19億円 22億円
利益率(%) 3.2% 3.1% 2.4% 1.6% 1.9%
当期利益 15億円 20億円 19億円 13億円 17億円


売上高は着実に増加しており、これに伴って売上総利益および営業利益も増益となっています。非住宅分野の開拓やM&Aの効果などにより、収益性の改善が図られています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1171億円 1204億円
売上総利益 163億円 172億円
売上総利益率(%) 13.9% 14.2%
営業利益 15億円 17億円
営業利益率(%) 1.3% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が55億円(構成比35%)、販売運賃が21億円(同14%)を占めています。

コア事業である建材事業が売上の大部分を占めています。直近ではエンジニアリング事業がM&Aの効果等により大幅に売上を伸ばし、全体の成長を牽引しています。加工事業やその他事業も増収となっており、事業ポートフォリオの多角化が進展しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
建材事業 725億円 700億円
環境アメニティ事業 175億円 172億円
加工事業 139億円 147億円
エンジニアリング事業 95億円 142億円
その他 36億円 43億円
連結(合計) 1171億円 1204億円


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態である「健全型」に分類されます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 19億円 45億円
投資CF -12億円 -3億円
財務CF -3億円 -26億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も35.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「住生活に関するビジネスを基軸として、生活文化の向上と地球環境の保全に貢献します。」との経営理念を掲げています。また、「安全安心でサステナブルな(持続可能な)社会を創造する」というパーパスの実現を目指しており、社会・環境問題の解決と中長期的な企業価値の向上を両立させる方針です。

(2) 企業文化


コンプライアンス経営を重視し、法令遵守の徹底に努める文化が根付いています。「OCHIグループ倫理基準」を制定して全役職員に周知し、企業倫理の確立を図っています。また、人材の多様性確保や女性活躍推進、テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方の推進にも積極的に取り組む風土があります。

(3) 経営計画・目標


社会環境の変化に適応し、住宅需要の変化に影響を受けにくい企業体質を確立するため、非住建分野の売上構成比率を高めることを目標としています。また、株主還元については、安定的な配当の維持に努めるとともに、以下の目標を掲げています。

* 株主資本配当率(DOE)2.8%程度、または連結配当性向30%程度のいずれか高い方を選択

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長に向けて、成長分野に注力した営業展開と、収益性の高い新たな事業分野へのM&Aを推進しています。脱炭素関連商材の拡販やリフォーム需要の取り込み、非住宅市場の開拓に注力し、DX推進やサステナビリティへの取り組み強化により安定成長を支える経営基盤の確立を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人こそが企業価値の源泉であると考え、多様な人材の確保と育成に注力しています。新卒・キャリア採用に加え、リファラル採用やアルムナイ採用、外国人の採用など多様な手段を活用しています。次世代リーダーの育成では、グループ会社の役員経験を通じた実践的な育成を行い、働きがいのある職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 53.8歳 7.3年 7,571,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 45.4%
男女賃金差異(正規雇用) 44.0%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男性労働者の育児休業取得率等について、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性割合(28.4%)、課長級の役職者に占める女性割合(3.7%)、係長級の役職者に占める女性割合(20.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅市場の動向に関するリスク


建材や加工事業での販売は新設住宅着工戸数などの市場動向に左右されます。景気低迷や資材の供給不足、価格高騰などにより住宅関連資材の需要が減少した場合、同社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。対策として非住宅分野の開拓などを進めています。

(2) 原材料に関するリスク


取り扱う商品の多くに石油由来の原材料が使用されています。地政学リスクなどにより原材料の調達が困難になったり価格が高騰した場合、納期遅延や採算悪化が生じる恐れがあります。サプライチェーンの分散化や適正在庫の確保等で対応しています。

(3) 取引先に対する信用リスク


取引先には建材販売店や工務店などの中小企業が多く含まれており、景気後退期には取引先の支払不能による貸倒れの懸念が高まります。持株会社がグループ各社の与信管理を一元的に行うことで、信用リスクの軽減を徹底しています。

(4) 企業買収等に関するリスク


M&Aによる事業ポートフォリオ拡大を推進していますが、市況の変化や不測の事態により期待した効果が得られず、買収した企業の価値が低下した場合、同社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。事前の慎重な検討によりリスク回避に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。