TOKAIホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TOKAIホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、エネルギー、情報通信、CATV事業などを展開する総合生活インフラ企業です。直近の業績は、売上高が2,435億円(前期比5.2%増)、経常利益が174億円(同11.8%増)と増収増益を達成し、いずれも過去最高を更新しています。


※本記事は、株式会社TOKAIホールディングス の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TOKAIホールディングスってどんな会社?


静岡県を地盤にLPガス等のエネルギー事業、情報通信、CATV事業などを展開し、暮らしを支える総合サービスを提供しています。

(1) 会社概要


2011年にザ・トーカイとビック東海が経営統合し設立されました。同年10月に情報通信事業をTOKAIコミュニケーションズへ集約し、2012年にはCATV事業を分社化してTOKAIケーブルネットワークを設立しました。2016年の電力販売開始や、近年のベトナムでのLPガス事業展開など、事業領域とエリアを拡大しています。

連結従業員数は4,952名、単体では91名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は事業上の関係を有するあいおいニッセイ同和損害保険です。第3位の鈴与商事は静岡県を地盤とする総合商社であり、地域経済における結びつきがうかがえます。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.41%
あいおいニッセイ同和損害保険 5.76%
鈴与商事 4.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名(HTML参照)の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は小栗勝男氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
小栗 勝男 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO) 1982年ザ・トーカイ入社。同社代表取締役社長、日産工業代表取締役会長、マルコオ・ポーロ化工代表取締役会長などを歴任。2022年9月より現職。
山田 潤一 代表取締役専務執行役員総務本部長 1986年ザ・トーカイ入社。同社人事部長、理事を経て、TOKAIホールディングス執行役員、常務執行役員などを歴任。2025年4月より現職。
鈴木 光速 取締役 1983年ザ・トーカイ入社。TOKAIコミュニケーションズ代表取締役副社長、TOKAIケーブルネットワーク代表取締役社長などを歴任。2014年4月より現職。
浜崎 貢 取締役 1982年ザ・トーカイ入社。東海ガス代表取締役社長を経て、現在はザ・トーカイ代表取締役社長、日産工業代表取締役会長等を兼務。2023年6月より現職。
髙橋 強 取締役 1992年TOKAIコミュニケーションズ入社。同社代表取締役専務を経て、2024年4月より同社代表取締役社長およびTOKAIホールディングス専務執行役員。2024年6月より現職。


社外取締役は、曽根正弘(元テレビ静岡社長)、上田亮子(日本投資環境研究所主任研究員)、常峯啓史(元静岡銀行常務執行役員)、河島伸子(同志社大学経済学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エネルギー」「情報通信」「CATV」「建築設備不動産」「アクア」および「その他」事業を展開しています。

エネルギー事業


LPガス、LNG、石油製品の販売や都市ガスの供給、関連機器の販売および工事を行っています。一般家庭から業務用、産業用まで幅広い顧客に対し、生活に不可欠なエネルギーインフラを提供しています。

収益は、顧客からのガス料金や機器代金、工事代金などから構成されます。運営は、ザ・トーカイ、東海ガス、にかほガス、フジプロ等の連結子会社および関連会社が行っています。

情報通信事業


コンシューマー向けには「@T COM」等のISP事業や格安スマホ「LIBMO」の提供、法人向けにはシステム開発、クラウドサービス、データセンターなどを展開しています。個人および法人の顧客に対し、通信インフラやITソリューションを提供しています。

収益は、通信サービス利用料、システム開発受託費、クラウドサービス利用料などからなります。運営は主にTOKAIコミュニケーションズが行い、その他、サイズ等の子会社が事業を展開しています。

CATV事業


静岡県、関東、長野県、岡山県、宮城県、沖縄県などでCATV放送および通信サービスを提供しています。地域密着型の放送サービスに加え、CATV網を利用したインターネット接続サービス等を地域の顧客に提供しています。

収益は、加入者からの放送視聴料やインターネット通信料などから構成されます。運営は、TOKAIケーブルネットワークをはじめ、いちはらケーブルテレビ、倉敷ケーブルテレビなどの各地域の子会社が行っています。

建築設備不動産事業


住宅・店舗の設計・施工、設備工事、リフォーム、不動産販売・賃貸、ビルメンテナンス等を行っています。個人および法人の顧客に対し、住環境やオフィス環境の整備に関するサービスを提供しています。

収益は、工事請負代金、不動産販売代金、賃貸料、管理料などからなります。運営は、ザ・トーカイ、東海ガス、日産工業、中央電機工事などが担っています。

アクア事業


静岡県産の天然水などを利用したボトルウォーターの製造・宅配サービスを展開しています。「おいしい水の宅配便」等のブランドで、家庭やオフィスに安心・安全な水を提供しています。

収益は、顧客からのボトル水購入代金やサーバーレンタル料などから構成されます。運営は、主にザ・トーカイが行っています。

その他


婚礼催事、ホテル、船舶修繕、保険代理店、介護、フィットネスなどの事業を行っています。地域社会のニーズに応じた多様なサービスを展開しています。

収益は、婚礼・宴会利用料、修繕工事代金、介護サービス利用料など多岐にわたります。運営は、トーカイシティサービス、東海造船運輸、TOKAIライフプラスなどがそれぞれ行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間において一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。経常利益も概ね安定的に推移しており、直近では過去最高を更新するなど収益性が向上しています。当期純利益についても増加傾向が見られ、堅調な業績推移を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,967億円 2,107億円 2,302億円 2,315億円 2,435億円
経常利益 153億円 159億円 133億円 155億円 174億円
利益率(%) 7.8% 7.5% 5.8% 6.7% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 37億円 49億円 42億円 33億円 40億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しており、収益性は維持されています。営業利益も増加しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,315億円 2,435億円
売上総利益 900億円 937億円
売上総利益率(%) 38.9% 38.5%
営業利益 155億円 168億円
営業利益率(%) 6.7% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が234億円(構成比30%)、手数料が200億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上高が増加しました。特にアクア事業の大幅な増収が目立ちます。利益面ではエネルギー事業が大幅増益となり全体を牽引しましたが、情報通信事業は減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エネルギー 1,010億円 1,059億円 51億円 67億円 6.3%
情報通信 567億円 590億円 42億円 36億円 6.0%
CATV 358億円 365億円 55億円 56億円 15.3%
建築設備不動産 250億円 269億円 12億円 14億円 5.1%
アクア 77億円 98億円 4億円 5億円 4.6%
その他 53億円 54億円 0億円 -1億円 -1.3%
調整額 - - -9億円 -7億円 -
連結(合計) 2,315億円 2,435億円 155億円 168億円 6.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.3%で市場平均を下回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 301億円 258億円
投資CF -188億円 -154億円
財務CF -97億円 -105億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、企業理念として「お客様の暮らしのために。地域とともに、地球とともに、成長・発展し続けます。」を掲げています。創業以来の力を原動力に、地域や地球とのつながりを深めながら、顧客の幸せへの貢献を目指しています。また、ビジョンとして「全国展開から世界への持続的な歩みを通してお客様の求める商品サービスをワンストップで提供する」ことを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「TOKAI-WAY」という理念体系のもと、「ずっと、あなたとともに笑顔と感動を。」というバリューを共有しています。コミュニケーションを大切にし、安心・安全を第一に最善のサービスを提供すること、プロとしての熱意と誇りを持つこと、地域と共に未来へつながる成長を目指すことを重視する企業文化があります。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2025」において、2026年3月期を最終年度とする目標を掲げています。事業収益力の成長、持続的成長基盤の強化、人財・組織の活力最大化をテーマに取り組んでいます。

* 売上高:2,600億円
* 営業利益:175億円
* ROE:10.8%

(4) 成長戦略と重点施策


事業ポートフォリオ経営を推進し、各事業の課題解決と経営資源の効率的活用を図っています。エネルギー事業ではGX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、低・脱炭素化に取り組みます。情報通信事業では、AIやIoTを活用した新サービスの開発や技術者の育成に注力します。また、M&Aやアライアンスも積極的に活用し、顧客基盤の拡大と新たな付加価値の創造を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財・組織の活力最大化」を掲げ、従業員の自律的なキャリア形成とウェルビーイング向上を目指しています。理想の個と組織の実現に向け、セルフキャリアドックや階層別研修などの育成施策を充実させています。また、ダイバーシティ推進や健康経営にも注力し、多様な人材が活躍できる働きがいのある環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.0歳 14.7年 7,237,656円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 64.9%
男女賃金差異(正規) 67.4%
男女賃金差異(非正規) 40.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害等リスク


事業エリアである東海・関東地区において、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大規模災害が発生した場合、人員や施設への被害に加え、電力・通信・交通インフラの寸断により事業継続に支障が生じる可能性があります。BCP策定等の対策を行っていますが、想定を超える災害は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 債権管理・与信リスク


多くの事業において取引先の与信管理や債権管理を行っていますが、取引先の経営状況悪化により売掛金や貸付金の回収遅延、貸倒れが発生するリスクがあります。これにより、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) マーケットリスク


主力商品であるLPガスの仕入価格は、輸入依存のため市況や為替変動の影響を受けます。ヘッジ取引によりリスク抑制を図っていますが、予想外の大幅な価格変動が生じた場合、損失が発生する可能性があります。また、金利上昇や不動産市況の悪化も経営に影響を与える可能性があります。

(4) システムリスク


情報通信事業を中心に自社システムやデータセンターでサービスを提供しており、また多くの個人情報を保有しています。サイバー攻撃やシステム障害によるサービス停止、情報流出が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償により、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。