※本記事は、株式会社TOKAIホールディングスの有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. TOKAIホールディングスってどんな会社?
多彩な生活インフラサービスをワンストップで提供する総合生活支援企業です。
■(1) 会社概要
TOKAIホールディングスは、2011年にザ・トーカイとビック東海が経営統合し設立された持株会社で、同年に東京証券取引所に上場しました。その後、2012年にTOKAIコミュニケーションズからCATV事業を分社化、2013年にアクア事業の全国展開を開始しました。近年はM&Aも積極的に進めています。
従業員数は連結で5,033人、単体で99人体制で事業を展開しています。株主構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位はエネルギー関連事業を手掛ける事業会社の鈴与商事、第3位には静岡銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.97% |
| 鈴与商事 | 4.48% |
| 静岡銀行 | 3.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は小栗勝男氏が務めています。取締役9名のうち4名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小栗勝男 | 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO) | 1982年4月ザ・トーカイ入社。同社代表取締役社長等を経て、2022年9月より現職。 |
| 山田潤一 | 取締役 | 1986年4月ザ・トーカイ入社。同社人事部長等を経て、2026年4月より現職。 |
| 髙橋強 | 取締役 | 1992年7月TOKAIコミュニケーションズ入社。同社代表取締役社長等を経て、2024年6月より現職。 |
| 岩本光司 | 取締役 | 1990年1月ザ・トーカイ入社。TOKAIケーブルネットワーク代表取締役社長等を経て、2025年6月より現職。 |
| 浜崎貢 | 取締役 | 1982年4月ザ・トーカイ入社。同社代表取締役社長等を経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、河島伸子(同志社大学経済学部教授)、上田亮子(日本投資環境研究所主任研究員)、常峯啓史(静岡保険総合サービス元社長)、今田智久(静岡鉄道元社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「エネルギー」「情報通信」「CATV」「建築設備不動産」「アクア」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■(1) エネルギー
LPガス、都市ガス、高圧ガス、水力発電事業を展開しています。一般家庭向けのガス供給から、法人・産業向けのガス販売や関連機器の工事まで、多様なエネルギーニーズに対応しています。
収益は、顧客からの毎月のガス利用料や機器販売代金等から得ています。運営は、主にザ・トーカイや東海ガス等のグループ会社が地域ごとに担っています。
■(2) 情報通信
個人向けにインターネット接続サービスや格安スマホサービスを提供し、法人向けにはソフトウェア開発やクラウドサービスを展開しています。
収益は、個人の月額利用料や法人顧客からのシステム開発費・利用料等です。運営は、主にTOKAIコミュニケーションズ等が担っています。
■(3) CATV
地域密着型のケーブルテレビ事業を展開し、放送サービスやインターネット接続サービスを提供しています。
収益は、加入者からの毎月の視聴料や通信サービス利用料です。運営は、TOKAIケーブルネットワーク等のグループ各社がそれぞれの担当エリアで担っています。
■(4) 建築設備不動産
住宅や店舗の建築、リフォーム、設備機器の販売、土木工事、不動産開発・賃貸等、幅広い住環境サービスを提供しています。
収益は、建築・リフォームの工事代金や不動産の販売・賃貸収入等から得ています。運営は、主にザ・トーカイや日産工業等が担っています。
■(5) アクア
天然水を利用した飲料水(宅配水)の製造・販売および給水型浄水ウォーターサーバーのレンタルを行っています。
収益は、一般家庭やオフィスからの水ボトルの購入代金やサーバーの月額レンタル料です。運営は、主にザ・トーカイが製造と販売を担っています。
■(6) その他
婚礼催事会場の運営、ホテル事業、船舶修繕事業、介護事業、託児所サービス、フィットネス事業等を幅広く展開しています。
収益は、各サービスの利用者や法人顧客からの利用料金等です。運営は、トーカイシティサービスや東海造船運輸等のグループ会社がそれぞれ専門的に担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、積極的なM&Aや顧客基盤の拡大を背景に増収基調が続いています。売上高は安定して成長し、利益面でも直近2期は連続して増益を達成しており、利益率も7%台後半へと改善するなど、収益力の向上が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2107億円 | 2302億円 | 2315億円 | 2435億円 | 2448億円 |
| 経常利益 | 159億円 | 133億円 | 155億円 | 174億円 | 192億円 |
| 利益率(%) | 7.5% | 5.8% | 6.7% | 7.1% | 7.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 49億円 | 42億円 | 33億円 | 40億円 | 49億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。特に営業利益は10%以上の高い伸びを示しており、本業の稼ぐ力が着実に強化されていることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2435億円 | 2448億円 |
| 売上総利益 | 937億円 | 966億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.5% | 39.5% |
| 営業利益 | 168億円 | 187億円 |
| 営業利益率(%) | 6.9% | 7.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が247億円(構成比32%)、手数料が201億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のエネルギー事業は販売価格の引き下げ等で減収となったものの、コスト削減効果等により増益を確保しました。情報通信、CATV、建築設備不動産等の各事業も顧客増加や利益率改善が寄与し、すべての報告セグメントで営業増益となる好調な推移を見せています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| エネルギー | 1059億円 | 1029億円 | 67億円 | 70億円 | 6.8% |
| 情報通信 | 590億円 | 618億円 | 36億円 | 44億円 | 7.1% |
| CATV | 365億円 | 374億円 | 56億円 | 61億円 | 16.4% |
| 建築設備不動産 | 269億円 | 267億円 | 14億円 | 17億円 | 6.2% |
| アクア | 98億円 | 101億円 | 4億円 | 3億円 | 3.5% |
| その他 | 54億円 | 59億円 | -1億円 | 2億円 | 3.6% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -7億円 | -10億円 | -% |
| 連結(合計) | 2435億円 | 2448億円 | 168億円 | 187億円 | 7.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 258億円 | 272億円 |
| 投資CF | -154億円 | -169億円 |
| 財務CF | -105億円 | -106億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様の暮らしのために。地域とともに、地球とともに、成長・発展し続けます。」という企業理念を掲げています。暮らしを総合的に支える企業体として、地域と地球とのつながりを深めながら、顧客の幸せへの貢献を続けていくことを使命としています。
■(2) 企業文化
社員が行動する上で大切にするべき共通価値観(バリュー)として、「ずっと、あなたとともに笑顔と感動を。」を掲げています。コミュニケーションを大切にし、チームの力を活かして安心・安全を第一に最善のサービスを届けるプロフェッショナルとしての熱意と誇りを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期から2029年3月期までの中期経営計画2028において、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:2,740億円
* 営業利益:235億円
* 経常利益:235億円
* ROE:13.0%
* 自己資本比率:41.0%
* 顧客件数:360万件
■(4) 成長戦略と重点施策
成長事業に投資を集中し、エリアの拡大(Area)、顧客・契約数拡大(Account)、サービスメニューの充実(ARPU)の3軸を伸ばす"Triple Accel 戦略"を推進しています。圧倒的シェアを誇る静岡のビジネスモデルを全国に展開し、事業ポートフォリオ経営を加速させる方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「笑顔と挑戦で未来を創る」を指針に掲げ、環境変化に適応し自律的にキャリアアップできる「理想の個」と、互いに協力し合い生産性の高い「理想の組織」の実現を目指しています。従業員一人ひとりのウェルビーイング向上と組織の活力最大化に向けた環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.9歳 | 13.3年 | 6,950,962円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.4% |
| 男性育休取得率 | 150.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 27.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、顧客満足度(71.5%)、従業員エンゲージメント(68.6%)、介護離職者(0人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 債権管理・与信リスク
取引先の経営状況が悪化し、売掛金や貸付金等の回収が遅延したり貸し倒れが発生したりした場合、同社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、債権管理規程に基づき与信管理の体制整備に努めています。
■(2) マーケットリスク
主力のLPガスの仕入価格は輸入に依存しており、地政学的要因や為替変動の影響を強く受けます。価格固定化のヘッジ取引を行っていますが、想定外の価格下落が起きた場合には損失が発生し、業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) システムリスク
インターネットサービス等で自社の情報システムやデータセンターを運用しています。サイバー攻撃や大規模災害等によってシステム障害が発生し、サービスの提供が困難になった場合、社会的信用の失墜や損害賠償によって業績に影響を及ぼす可能性があります。



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