※本記事は、株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ディジタルメディアプロフェッショナルってどんな会社?
グラフィックス技術とAI技術に強みを持つ研究開発型企業です。パチンコ・パチスロ向けLSIが主力です。
■(1) 会社概要
同社は2002年に3Dグラフィックス市場への参入を目指して設立されました。2006年にIPコア「PICA200」の販売を開始し、2011年に東証マザーズへ上場しました。その後、2017年にAIプロセッサーIPを発表し、2019年にはヤマハ発動機と業務資本提携を行っています。2025年にはエッジAI向けSoC「Di1」を発表するなど、技術開発を継続しています。
連結従業員数は56名、単体従業員数は44名です。筆頭株主は同社と業務資本提携を結んでいるヤマハ発動機で、第2位は主要販売代理店でもあるレスター、第3位は大手ネット証券のSBI証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヤマハ発動機 | 10.17% |
| レスター | 9.06% |
| SBI証券 | 4.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長兼社長CEOは山本達夫氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 達夫 | 代表取締役会長兼社長CEO | 日本IBM、Sega of America社Vice President等を経て、2004年同社代表取締役社長兼CEO。2023年より現職。 |
| 大澤 剛 | 代表取締役専務 企画管理管掌経営企画部長 | アイワ、レスターグループ執行役員等を経て、2019年同社入社。2023年より現職。 |
| 梅田 宗敬 | 取締役テクノロジー製品事業部長 | 図研、図研エルミック等を経て、2012年同社入社。2023年より現職。 |
社外取締役は、岡本伸一(元ソニー)、二島進(レスター専務執行役員)、飯田実(ヤマハ発動機フェロー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「IPコアライセンス事業」「製品事業」「プロフェッショナルサービス事業」を展開しています。
■(1) IPコアライセンス事業
精細な画像描画に必要なハードウエアIP(論理設計データ)やソフトウエアIP(ドライバー等)を開発し、半導体メーカーや最終製品メーカーにライセンス提供しています。
収益は、開発段階で受領する「ライセンス収入」と、製品出荷数量に応じた「ランニングロイヤリティ収入」、クラウドサービス利用に応じた「サブスクリプション収入」から成ります。運営はディジタルメディアプロフェッショナルが行っています。
■(2) 製品事業
同社のIPコアを組み込んだLSI製品を、半導体メーカーに製造委託した上で販売しています。主にアミューズメント機器(パチンコ・パチスロ)向けグラフィックスLSIや、AIを使用する機器向けLSIを提供しています。また、Cambrian社のビジョンシステム等の仕入販売も行っています。
収益は、LSI製品やカメラモジュール等の販売代金として顧客から受領します。運営はディジタルメディアプロフェッショナルが行っています。
■(3) プロフェッショナルサービス事業
同社の各種IPコアを統合して顧客のSoCシステム全体を最適化する設計サービスや、GPU・AI技術をベースにしたアルゴリズム開発、ソフト・ハード開発までを一貫して提供しています。
収益は、顧客の製品開発に合わせて提供する役務の対価として受領します。運営はディジタルメディアプロフェッショナルが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10.1億円 | 16.7億円 | 23.2億円 | 30.2億円 | 30.8億円 |
| 経常利益 | -3.6億円 | -1.2億円 | 0.3億円 | 3.3億円 | 2.7億円 |
| 利益率(%) | -35.7% | -7.4% | 1.2% | 11.0% | 8.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3.6億円 | -1.6億円 | 0.2億円 | 3.3億円 | 1.5億円 |
直近5期間を見ると、売上高は着実に拡大傾向にあります。利益面では2023年3月期に黒字化を達成し、以降は黒字基調を維持しています。当期は増収となりましたが、開発費の増加や投資有価証券評価損の計上などにより、経常利益および当期純利益は前期比で減少しました。
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高は微増しましたが、研究開発費などの販管費が増加したことで営業利益は減少しました。売上総利益率は40%台前半で推移しており、安定した収益性を維持していますが、利益率はやや低下しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 30.2億円 | 30.8億円 |
| 売上総利益 | 12.7億円 | 13.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.2% | 42.9% |
| 営業利益 | 3.3億円 | 2.7億円 |
| 営業利益率(%) | 10.9% | 8.6% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が3.9億円(構成比37%)、給与手当が1.6億円(同15%)を占めています。研究開発型企業としての特性上、開発費の比重が高くなっています。
■(3) セグメント収益
当期は製品事業において画像処理半導体「RS1」の量産出荷が堅調で増収となりました。IPコアライセンス事業は前期の大型案件剥落により減収、プロフェッショナルサービス事業はAI受託開発等が寄与し増収となりました。全体としては製品事業が売上の大半を占めています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| IPコアライセンス | 1.7億円 | 1.2億円 |
| 製品 | 27.6億円 | 28.6億円 |
| プロフェッショナルサービス | 0.9億円 | 1.0億円 |
| 連結(合計) | 30.2億円 | 30.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ディジタルメディアプロフェッショナルは、営業活動により資金を生み出し、投資活動では将来の成長に向けた無形固定資産の取得を行っています。財務活動による資金の動きはありませんでした。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.6億円 | 0.9億円 |
| 投資CF | -5.0億円 | -1.7億円 |
| 財務CF | -0.0億円 | 0.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、パーパス「Making the Image Intelligent」を掲げています。創業以来の強みである画像インテリジェンスの力により、現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造に努めています。顧客課題や社会課題の解決と収益・利益の獲得を両立させ、企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業文化
「Diversity & Inclusion」を経営理念とし、世界各国からGPUやAIの優れた研究者・開発者が集まる環境があります。国際競争力につながる多様な発想を生かした先進的な研究開発が行われており、挑戦する風土の醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
社会・環境課題、顧客課題の解決に貢献することによって利益を獲得し、企業価値向上を実現することを中長期的な基本方針としています。具体的な数値目標は設定していませんが、ロボティクス分野、セーフティ分野およびその他分野の売上高をKPIとして管理しており、実効性ある指標の設定を引き続き検討しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
アミューズメント分野でのシェア拡大に加え、ロボティクス・セーフティ分野への注力を進めています。ロボティクスでは自律走行や協働ロボット向けビジョンシステム、セーフティではドライブレコーダー等を活用した事故防止サービスを展開しています。また、次世代エッジAI半導体事業とFA事業を新たな成長エンジンとして育成し、収益拡大を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
革新的な製品創造のため、多様な人材の確保と育成を重視しています。国籍等を問わず優秀な技術者を採用しており、多くの外国人技術者が在籍しています。育成面では、開発案件を通じたOJTに加え、階層別研修や経営幹部研修を支援しています。また、フレックスタイム制や在宅勤務、専門業務型裁量労働制など、柔軟な働き方を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.3歳 | 7.0年 | 8,873,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメント調査の総合平均点(7.2点)、社内同好会への参加延べ人数(36人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 技術の進展等について
画像処理やAI技術の進展は著しく、短期間で新製品が登場します。同社が予想しない新技術の普及や、競合他社による技術開発で同社技術が陳腐化した場合、製品・サービスの売上減少により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 販売先の市場動向による影響
同社製品はアミューズメント機器等のライフサイクルが短い市場向けです。市場動向の変化に応じた新製品開発や新市場開拓が遅れた場合、売上減少のリスクがあります。また、特定市場(アミューズメント等)の変動が業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 研究開発について
画像処理やAI分野での新技術・新製品開発には多額の投資が必要です。しかし、投下した研究開発費を回収できない場合や、開発が大幅に遅延・頓挫した場合は、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定の販売代理店への依存
LSI製品の販売において、主要販売代理店であるレスター向けの売上が全体の約9割を占めています。良好な関係を構築していますが、同社との関係に問題が生じた場合、販売活動に支障をきたし業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。