※本記事は、株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ディジタルメディアプロフェッショナルは、グラフィックスIPコアの開発・提供を主軸とする半導体関連企業です。ゲーム機器や自動車、家電製品向けのIPコアに加え、アミューズメント機器向けLSI製品やAI半導体の開発も手掛けています。
単体従業員数は48名です。同社は単一セグメントで事業を展開しています。
同社は、IPコアライセンス事業、製品事業、プロフェッショナルサービス事業を展開しており、半導体メーカーへのIPコアライセンス供与、LSI製品の販売、および顧客のSoCシステム最適化やアルゴリズム開発などのサービス提供を行っています。
同社は2026年2月9日付で連結子会社Digital Media Professionals Vietnam Company Limitedの出資持分を譲渡したため、第24期より連結財務諸表を作成していません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ディジタルメディアプロフェッショナルは、画像インテリジェンスの技術を核に、革新的な製品とサービスの創造を目指しています。世界各国から集まったGPUやAIの優れた研究者・開発者が活躍しており、多様な専門性を持つ人材が柔軟な働き方を実現できる環境を重視しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、経験豊富な人材が中心となって事業を推進している傾向が見られます。従業員の平均勤続年数は一定の水準にあり、比較的安定した環境でキャリアを築いていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,845,000円 |
| 平均勤続年数 | 6年9ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳4ヶ月 |
| 単体従業員数 | 48人 |
同社は確定拠出年金制度を設けています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ディジタルメディアプロフェッショナルは、パーパスである「Making the Image Intelligent」のもと、画像インテリジェンスの力で現実世界の問題を解決し、革新的な製品・サービスを創造することを目指しています。この創造の源泉は、世界各国から集まったGPUやAIの優れた研究者・開発者であると位置付けています。同社はDiversity & Inclusionの経営理念のもと、国籍、性別、年齢等にかかわらず多様な人材の採用と活躍推進に取り組んでいます。
優秀な人材が高い専門性を発揮し続けるため、柔軟で生産性の高い働き方を実現できる環境整備を重視しています。裁量労働制やコアタイム無しのフレックスタイム制(フルフレックス制)を導入し、職務特性に応じた働き方を実現しています。心身の健康維持や仕事と生活の両立支援にも力を入れており、ストレスチェックや産業医面談、育児短時間勤務制度での優遇など、法令を上回る施策を実施しています。
従業員の給与は、固定報酬としての基本給および各種手当と、業績連動報酬としての業績賞与で構成されています。基本給および各種手当は、等級要件、個人の目標に対する成果評価、行動評価によって決定されます。賞与は、同社の業績ならびに個人の等級および評価に基づいて支給額が決定される仕組みです。
同社は、挑戦する風土の醸成、自律的キャリアの形成、優秀な人材の育成・採用、生産性向上に資する人事施策を推進しています。従業員のエンゲージメント向上を重視した施策も実行しており、表彰制度の設定やタウンミーティングの実施、従業員エンゲージメント調査の定期的な実施を通じて、社内のコミュニケーション活性化とエンゲージメント向上に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載を省略しています。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメント調査総合平均点(第4回) | 7.4点 |
| 従業員エンゲージメント調査総合平均点(第5回) | 7.0点 |
| 社内同好会設立数 | 6件 |
| 社内同好会参加従業員数 | 49人 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ディジタルメディアプロフェッショナルは、精細な画像描画に必要なグラフィックスIPコアや、人工知能(AI)に必要なハードウェアIPおよびソフトウェアIP、半導体を開発・提供する企業です。同社は、これらの技術を基盤として、多様な産業向けに製品やサービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、グラフィックスIPコアやAI関連のIPおよび半導体を開発し、主にゲーム機器、自動車、モバイル通信機器、家電製品などに組み込まれる半導体メーカーや最終製品メーカーに提供しています。また、開発したグラフィックスIPコアを搭載したLSI製品をアミューズメント機器向けに提供する事業も拡大しています。
収益モデルは大きく3つの事業で構成されています。IPコアライセンス事業では、ハードウェアIPやソフトウェアIPの使用許諾によるライセンス収入、顧客製品の出荷数量に応じたランニングロイヤリティ収入、SaaS型クラウドサービスの利用に応じたサブスクリプション収入を得ています。製品事業では、同社のIPコアが組み込まれたLSI製品(アミューズメント機器向けグラフィックスLSI、AI半導体など)の販売に加え、量産ドローン向けカメラモジュールや協働ロボット向け画像認識システム、FA製品の仕入れ・販売も行っています。プロフェッショナルサービス事業では、各種IPコアのインテグレーションや、GPU/ビジョン/AI技術をベースにしたアルゴリズム開発、ソフトウェア・ハードウェア開発サービスを提供しています。
特に、ロボティクス・セーフティ分野では、安全運転支援や半導体製造装置、AMR(自律走行ロボット)向けのプロフェッショナルサービス、Cambrian社のピッキングロボット向けビジョンシステム、FA製品の提供に注力しています。アミューズメント分野では、画像処理半導体「RS1」の量産出荷を継続しています。次世代エッジAI半導体「Di1」の開発も進め、ANPR(自動ナンバープレート認識)ソリューションや、監視カメラ、ドローン、各種モビリティ向けへの展開を図っています。
同社の販売実績において、特定の相手先である株式会社レスターへの販売が全体の80.2%を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の売上高は、過去4期(連結)において増加傾向にありましたが、直近の当期(非連結)では減少となりました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去4期で増減を繰り返しており、直近の当期は損失を計上しています。
当期は、エッジAI半導体「Di1」の開発費301百万円を研究開発費として計上しており、これが利益に影響を与えています。営業活動によるキャッシュ・フローは当期に支出となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 16.7億円 | 23.2億円 | 30.2億円 | 30.8億円 | - |
| 経常利益 | △1.2億円 | 29百万円 | 3.3億円 | 2.7億円 | - |
| 経常利益率 | △7.4% | 1.2% | 11.0% | 8.8% | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △1.6億円 | 23百万円 | 3.3億円 | 1.6億円 | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | △49.93 | 7.17 | 105.33 | 49.96 | - |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高(連結)は前期に55.0百万円、従業員1人あたり経常利益(連結)は前期に4.9百万円となっています。当期は非連結での業績開示となり、売上高の減少と経常損失の計上があったため、1人あたりの収益性や生産性も前期から変化していることが考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 55.0百万円 | - |
| 従業員1人あたり経常利益(連結) | 4.9百万円 | - |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、事業活動と投資活動を通じて資金が流出しており、財務基盤の強化が課題となっています。今後の事業展開と資金繰りの動向が注目されます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は前期88.2%、当期85.3%と、プライム市場の製造業平均を上回る水準です。これは財務基盤の安定性を示す指標となります。
ROE(自己資本利益率)は前期4.4%で、プライム市場平均を下回っています。当期の現金及び預金等は1,797百万円です。
これらの財務状況は、事業環境の変化への耐性や、将来の成長投資に向けた資金余力に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 88.2% | 85.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.4% | - |
| 現金及び預金等 | - | 1,797百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュフローは、前期の0.9億円の収入から当期は△6.5億円の支出へと減少しました。主な減少要因は、税引前当期純損失の計上323百万円および棚卸資産の増加額270百万円です。
投資活動によるキャッシュフローは、前期の△1.7億円の支出から当期は△0.7億円の支出へと減少幅が縮小しています。これは有価証券および投資有価証券の償還による収入があった一方で、投資有価証券の取得や固定資産の取得による支出があったためです。
財務活動によるキャッシュフローは、当期は0億円の支出となりました。これらの結果、フリーキャッシュフローは前期の△0.7億円の支出から当期は△7.2億円の支出へと減少しています。
本業の事業活動と投資活動の両方で資金が流出している状況は、今後の資金繰りや事業拡大の戦略に影響を与える可能性があります。この状況は、将来的な雇用や給与の安定性を検討する上で留意すべき点となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.9億円 | △6.5億円 |
| 投資CF | △1.7億円 | △0.7億円 |
| 財務CF | - | 0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △0.7億円 | △7.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、画像処理やグラフィックス処理技術、AI技術の進展が著しい市場で事業を展開しており、新技術への対応遅れや競合優位性の喪失が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、主要販売代理店である株式会社レスターへの売上高が全売上高の80.2%を占めており、特定顧客への依存度が高い状況です。
販売代理店との関係に問題が生じた場合、LSI製品の販売に支障が生じ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、今後の事業拡大に向けて優秀な人材の確保・育成が不可欠であると認識しています。適格な人材を十分に確保できなかった場合、事業拡大が制約され、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ディジタルメディアプロフェッショナルは、創業以来の強みである画像インテリジェンスの力を活用し、現実世界の問題解決と革新的な製品・サービスの創造を目指しています。社会課題の解決と収益獲得を両立させながら、企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「Making the Image Intelligent」というパーパス(存在意義)を掲げています。画像インテリジェンスの力で現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造に努めています。
顧客課題や社会課題の解決と、収益・利益の獲得を両立させることで、企業価値の向上を目指しています。中長期的には、少子高齢化や気候変動といった社会・環境課題を克服する取り組みをチャンスと捉え、課題解決への貢献を通じて利益を獲得し、企業価値向上を実現することを経営戦略の基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、パーパスへの共感と共鳴を含む従業員のエンゲージメント向上を重視しています。挑戦する風土の醸成、自律的キャリアの形成、優秀な人材の育成・採用、生産性向上に資する人事施策を推進しています。
人材の多様性確保にも注力しており、年齢、性別、国籍に関わらず有能な人材を採用しています。特に外国人技術者の積極採用と定着、育成に努めており、過去には外国人技術者や女性技術者が要職を務めた実績もあります。社内の称賛文化の醸成や、経営陣と社員との対話型コミュニケーションを通じて、双方向の意思疎通と理解を深めることにも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、持続的な成長の実現に向けて、経営基盤の整備を推進しています。具体的には、人財の採用と育成、内部統制の強化、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。
また、IR活動および情報発信の充実を通じて、企業認知度の向上と資本市場との建設的な対話に努めています。エッジAI半導体分野においては、顧客評価・採用検討から量産移行までのリードタイム短縮、エコシステムの拡充、収益性改善が重要な経営課題であると認識しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は取締役会設置会社であり、監査役会設置会社として経営の監督体制を構築しています。社外役員も積極的に登用し、透明性の高い経営を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、ヤマハ発動機を筆頭株主とし、レスターなど複数の事業会社が上位株主として名を連ねています。特定の事業会社が主要な株主として経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヤマハ発動機 | 10.17% |
| レスター | 9.06% |
| 山本達夫 | 2.27% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役会長兼社長CEOは山本達夫氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 達夫 | 代表取締役 会長兼社長CEO | 1977年日本ユニバック(現BIPROGY)入社後、日本IBM、米国IBM、Sega of America、日立セミコンダクターアメリカ(現ルネサスエレクトロニクスアメリカ)を経て、2004年3月同社代表取締役社長兼CEOに就任。2023年4月より同社代表取締役会長兼社長CEOより現職。 |
| 大澤 剛 | 代表取締役 専務 企画管理管掌 | 1985年石油資源開発入社後、アイワ、共信テクノソニックを経て、UKCホールディングス(現レスター)で経営企画部門長などを歴任。2019年4月同社入社後、2023年4月より同社代表取締役専務企画管理管掌より現職。 |
| 梅田 宗敬 | 取締役 テクノロジー製品事業部長 | 2000年図研入社後、インベンチュア、図研エルミックを経て、2012年11月同社入社。2023年4月より同社取締役テクノロジー製品事業部長より現職。 |
社外取締役は、岡本伸一氏(MIRAINIホールディングス社外取締役)、飯田実氏(ヤマハ発動機フェロー)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役2名、社外監査役3名で構成されており、独立役員として指定された社外役員が経営の客観性と透明性の確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益への連動を重視した体系です。業務執行取締役には基本報酬に加え、短期的な業績連動報酬と中長期的な株価連動報酬が設定されています。一方、監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 60百万円 | 20.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.5百万円 |
同社の役員報酬総額は78百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計7名です。
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