Cominix 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Cominix 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Cominixはスタンダード市場に上場し、切削工具や耐摩工具、光製品などの販売を手掛ける専門商社です。直近の連結業績では、売上高が411億円、経常利益が11億円と大幅な増収増益を達成しており、企業買収を通じた事業規模の拡大や業務の効率化によって、持続的な成長と収益基盤の強化を推進しています。


※本記事は、株式会社Cominixの有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Cominixってどんな会社?


切削工具や耐摩工具を中心とする生産財を取り扱う専門商社です。

(1) 会社概要


1950年に大阪工具として設立され、1954年に大阪工機へと改称して事業を拡大しました。2012年に大阪証券取引所JASDAQへ上場し、2018年には現在のCominixに商号を変更しています。2024年にKamogawaグループを子会社化するなど、積極的な事業再編とM&Aを推進しています。

現在の従業員数は連結で669名、単体で191名体制となっています。筆頭株主は同社役員の林祐介氏で、第2位にはCominix従業員持株会が名を連ねています。また第3位には資産管理会社である大阪ビジネスプラニングが入り、経営陣や従業員を中心とした安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
林祐介 12.68%
Cominix従業員持株会 8.59%
大阪ビジネスプラニング有限会社 7.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は柳川修一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
柳川修一 代表取締役社長執行役員 2001年同社入社。中国子会社の総経理や董事長を歴任し、第二営業本部長を経て、2023年より現職。
柳川重昌 取締役会長 1969年同社入社。取締役営業部長、専務取締役などを経て、2003年に代表取締役社長へ就任し、2025年より現職。
田中秀樹 取締役専務執行役員海外事業部事業部長 1987年同社入社。海外部長や第二営業本部長を歴任し、2023年より現職。
林祐介 取締役常務執行役員管理本部長兼情報管理室長 2002年同社入社。経理部長や管理本部長を務め、2025年より現職。
澤口典宏 取締役 1991年同社入社。中国子会社総経理や業務部長を経て、2025年より現職。
渡部哲郎 取締役 1990年同社入社。第一営業本部長などを歴任し、2025年より現職。
竹谷政利 取締役 1996年Kamogawaに入社し、営業部長や社長を務め、2025年より現職。


社外取締役は、市川直(元椿本チエイン代表取締役専務)、森常徳(元三菱電機冷熱応用システム社長)、明松優(明松優公認会計士事務所代表)、新井信彦(元りそな信託銀行社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「切削工具事業」、「耐摩工具事業」、「海外事業」、「光製品事業」、「eコマース事業」、「Kamogawaものづくりソリューション事業(KMS事業)」および「その他」事業を展開しています。

切削工具事業


自動車エンジン部品などの金属加工業者向けに、超硬切削工具や特殊鋼切削工具を中心とした販売を行っています。また、保持工具や測定機器、工作機械の販売にも対応し、製造ラインの稼働率向上や加工時間の効率化を支援しています。

メーカーから商品を仕入れ、直接販売と販売店を経由した卸売販売によって収益を得るモデルです。運営は同社および大西機工や東新商会が担っています。

耐摩工具事業


飲料容器などを製造する国内の製缶業者向けに、製缶工具をはじめとする耐摩工具の販売を展開しています。長時間の熱や圧力に耐えるカスタム商品を扱い、化学繊維や自動車、半導体など多様な業界にも商品を提供しています。

顧客の要望に合わせた専用工具を納入することで対価を得る収益モデルです。運営は同社が主体となって行っています。

海外事業


中国、東南アジア、インド、北米などの海外市場において、現地の顧客向けに切削工具や製缶工具、耐摩工具などを販売しています。また、鉱物資源ビジネスも手掛け、成長余力のある地域での需要開拓を進めています。

海外子会社が主体となって商品を販売し、収益を獲得しています。運営は中阪貿易やCOMINIX U.S.A.など、各国に展開する多数の海外現地法人が担っています。

光製品事業


半導体や液晶、太陽電池などの外観検査装置に搭載される光学部品、光源装置、照明用光ファイバーの販売を行っています。生産ラインで製品の欠陥を検査するカメラ用の照明部品などを提供しています。

検査装置メーカーに対して部品を納入することで収益を得ています。本事業の運営は同社が行っています。

eコマース事業


インターネットを通じた切削工具などの通信販売サイト「さくさくEC」を展開しています。幅広い商品ラインナップを揃え、オリジナル商品を含めた高品質かつ低価格な工具を提供しています。

ECサイト経由で商品を販売することで対価を得るモデルであり、カスタムオーダーなどのサービスも提供しています。運営はさくさくが行っています。

Kamogawaものづくりソリューション事業


切削工具や研削砥石をはじめ、生産現場で必要とされるすべての工作機械や生産財を取り扱う総合サプライヤーとして活動しています。また、工具のメンテナンスや自社ブランド商品の企画製造なども手掛けています。

商品の販売やメンテナンスサービスの提供を通じて収益を獲得しています。運営はKamogawaおよびKamogawa北海道などの国内外の子会社が行っています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、切削工具などの製造および販売を手掛けています。

自社で製造した工具の販売を通じて収益を得るモデルです。運営は川野辺製作所やKNB TOOLS OF AMERICAが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期の連結業績は、M&Aなどの積極的な事業展開により売上収益が概ね右肩上がりで成長しています。経常利益は一時的な低迷が見られたものの、直近では大きく回復し、収益性の向上が確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 269億円 289億円 286億円 301億円 411億円
経常利益 8億円 11億円 8億円 6億円 11億円
利益率(%) 2.9% 3.7% 2.9% 1.9% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 4億円 5億円 4億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。販管費は増加したものの、利益率の改善により営業利益は大きく伸長しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 301億円 411億円
売上総利益 68億円 87億円
売上総利益率(%) 22.4% 21.1%
営業利益 6億円 10億円
営業利益率(%) 1.8% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が32億円(構成比41%)、賞与引当金繰入額が3億円(同4%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントにおいて堅調な売上成長が見られます。特にKamogawaものづくりソリューション事業がM&A効果で新たに大きく貢献し、全社的な増収を力強く牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
切削工具事業 168億円 175億円
耐摩工具事業 22億円 23億円
海外事業 73億円 90億円
光製品事業 15億円 14億円
eコマース事業 1億円 1億円
Kamogawaものづくりソリューション事業 16億円 101億円
その他 8億円 7億円
連結(合計) 301億円 411億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益や資産売却によって得た資金で借入の返済を進める改善型の局面にあることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1億円 18億円
投資CF -22億円 11億円
財務CF 36億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会に貢献し、社会の発展に寄与してこそ本当の事業である」を経営の基本方針に掲げています。さらに『ものづくりに携わるすべての人々に寄り添い、世界に「できる」を生み出す。』を存在意義とし、生産性の向上を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、対話を繰り返すことで顧客との相互理解を深め、潜在的な課題を見つけ出して解決策を提示する「提案営業」を重視しています。また、商社の競争力の源泉は社員の能力であるとの考えから、人材教育への投資を積極的に行い、社員一人ひとりが向上心を持って挑戦し続ける文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「新中長期経営計画ローリングプラン(FY76-FY80)」を推進しており、「売上高」「営業利益」「ROE」を重要な経営指標と位置づけて継続的な事業拡大を図っています。

* 売上高:400億円
* 営業利益:10億円
* ROE:7.5%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的成長と改革に向け、商品ラインナップの拡充と環境配慮型商品の選定を進めています。また、AIを活用したデータドリブンな営業への転換による効率化や、ASEANやインドなど成長市場への海外展開を加速させています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本の価値最大化を経営の最重要課題と位置づけ、自律的な挑戦が成果を生む組織への変革を目指しています。人事評価制度の改革を通じて、年齢にとらわれず確かな成果をダイレクトに処遇へ反映する仕組みを導入し、多様な働き方を受容して生産性高く働ける環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.6歳 13.7年 7,100,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 66.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.1%
男女賃金差異(正規) 64.3%
男女賃金差異(非正規) 37.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(67.2%)、月間時間外・休日労働時間(3.5人)、従業員ワーク・エンゲージメントスコア(62.4pt)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績変動リスク


同社の主力商品である切削工具は自動車業界が主要な顧客であり、同業界の設備投資や生産動向に強く影響を受けます。自動車業界の景況変化が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 仕入先に係る代理店契約の解消・終了に関するリスク


同社は主要メーカーと特約販売契約を結び事業を展開しています。仕入先の販売戦略の変更や契約条件の見直し、あるいは契約の解消が生じた場合、商品の安定供給に支障を来す恐れがあります。

(3) レアメタル原材料の価格高騰および調達難リスク


超硬工具の主原料であるタングステン等のレアメタルは特定国に依存しており、供給制約や調達難のリスクがあります。価格高騰分を販売価格へ転嫁できなければ、利益率の低下を招く可能性があります。

(4) 新規事業及びM&Aにおける収益不全および撤退・減損リスク


EC事業等の新規事業や買収した事業において、競争激化や想定以上のコスト負担が生じた場合、計画通りの収益を確保できないリスクがあります。その結果、のれんの減損損失などが発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。