ウチヤマホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウチヤマホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。介護事業を中核に、カラオケ・飲食・不動産事業を展開しています。直近の連結業績は、売上高が微増、営業利益・経常利益は大幅な減益となりましたが、税効果会計の影響により親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な増益となりました。


#記事タイトル:ウチヤマホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社ウチヤマホールディングスの有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウチヤマホールディングスってどんな会社?


介護事業を中心に、カラオケ・飲食・不動産事業を展開。「幼・青・老の共生」を掲げ、地域社会への貢献を目指しています。

(1) 会社概要


同社グループの起源は1971年の内山ビル設立に遡ります。2004年に介護事業を担うさわやか倶楽部を設立し、2006年に持株会社として同社が設立されました。2012年にJASDAQ市場へ上場し、その後東証二部、一部を経て現在はスタンダード市場に上場しています。2025年1月には、グループ経営効率化のため、連結子会社のさわやか倶楽部がボナーを吸収合併しました。

同社グループは連結従業員2,268名、単体30名の体制で事業運営を行っています。筆頭株主は創業者で代表取締役会長の内山文治氏であり、第2位は会長の親族である内山孝子氏、第3位は取引先持株会となっています。創業家が主要株主として影響力を持つ安定した株主構成です。

氏名 持株比率
内山 文治 44.47%
内山 孝子 4.50%
ウチヤマホールディングス取引先持株会 3.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本武博氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山本 武博 代表取締役社長 1994年有限会社サイトウ入社。ボナー専務、同社専務経営企画室長、さわやか倶楽部社長などを経て、2021年4月より現職。
内山 文治 代表取締役会長 1971年内山ビル設立。さわやか倶楽部社長、同社社長などを歴任。2021年4月より現職。
歌野 繁美 専務取締役 1984年福岡日冷スター販売入社。内山ビル入社後、ボナー社長などを経て、2006年10月より現職。
川村 謙二 取締役 1980年阿部病院入社。さわやか倶楽部取締役、同社監査等委員などを経て、2022年6月より現職。
二村 浩司 取締役 1996年ボナー入社。同社常務、専務などを経て、2010年6月より現職。
窪田 康二郎 取締役 1994年ウチヤマアーベスト入社。同社経理部長などを経て、2021年6月より現職。
吉岡 信之 取締役(監査等委員)常勤 1978年三和店装入社。社会福祉法人さわやか会入社後、同社取締役などを経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、住川守(住川税理士事務所代表)、岸本進一郎(公認会計士岸本会計事務所代表)、神尾康生(神尾康生公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「介護事業」、「カラオケ事業」、「飲食事業」、「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

介護事業


福岡県北九州市を中心に、全国で有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス等の介護サービスを提供しています。また、障がい児通所支援事業も運営しており、入居一時金を受領しない料金形態などを特徴としています。

収益は、主に利用者からの介護サービス料および国民健康保険団体連合会からの介護報酬等です。運営は主に株式会社さわやか倶楽部が行っています。

カラオケ事業


「コロッケ倶楽部」の屋号で、福岡県を中心とした九州地区や山口県、関東などでカラオケボックスを運営しています。レストラン&カラオケとして食事提供にも注力し、幅広い顧客層の取り込みを図っています。

収益は、来店客からのルーム利用料および飲食代金等です。運営は主に株式会社さわやか倶楽部が行っています。

飲食事業


九州各県を中心に、「かんてきや」「再生酒場」などの居酒屋店舗を運営しています。店舗コンセプトの異なる複数の業態を展開し、顧客層の拡大を図っています。

収益は、来店客からの飲食代金等です。運営は主に株式会社さわやか倶楽部が行っています。

不動産事業


賃貸マンションの賃貸・管理業務や、不動産物件の売買・仲介業務を行っています。また、優良な介護施設を収益不動産として取得する取り組みも行っています。

収益は、不動産の賃貸料、管理料、売買収益および仲介手数料等です。運営は主に株式会社さわやか倶楽部が行っています。

その他


職業訓練事業や特定技能外国人材等への支援業務、有料職業紹介事業を行っています。インドネシアでの職業訓練校展開なども含みます。

収益は、人材紹介手数料や支援業務委託料等です。運営は同社およびPT. Sawayaka Fujindo Indonesiaが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に2024年3月期から290億円規模に達しています。経常利益は変動が大きく、2021年から2023年3月期までは赤字が続きましたが、2024年3月期に黒字転換しました。2025年3月期は経常減益となったものの、税効果会計の影響により当期純利益は過去最高水準となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 238億円 250億円 269億円 288億円 291億円
経常利益 -6.2億円 -1.7億円 -1.4億円 11.9億円 5.7億円
利益率(%) -2.6% -0.7% -0.5% 4.1% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.9億円 -11.9億円 0.4億円 1.0億円 34.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費も増加しており、結果として営業利益は前期比で大幅に減少しています。コスト増が利益を圧迫する構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 288億円 291億円
売上総利益 21億円 18億円
売上総利益率(%) 7.3% 6.2%
営業利益 5.9億円 2.1億円
営業利益率(%) 2.0% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、租税公課が5.6億円(構成比35.3%)、その他が4.0億円(同25.5%)を占めています。売上原価においては、詳しい内訳データはありませんが、全体として増加傾向にあります。

(3) セグメント収益


主力の介護事業は、新規施設の開設や入居率の安定により増収となりました。一方、カラオケ事業と飲食事業は、物価高騰による消費者の節約志向や不採算店舗の整理などにより減収となりました。不動産事業も減収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
介護事業 228億円 237億円
カラオケ事業 49億円 44億円
飲食事業 6.6億円 6.5億円
不動産事業 3.5億円 2.8億円
その他 0.6億円 0.7億円
連結(合計) 288億円 291億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ウチヤマホールディングスは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加し、純資産が増加しました。

営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により資金が増加しましたが、法人税等の支払額が大きかったため、前年同期と比較して営業活動によるキャッシュ・フローは減少しました。投資活動では、有形固定資産や投資有価証券の売却、定期預金の払戻し等により、前年の支出から一転して資金が増加しました。財務活動では、長期借入金の収入があったものの、短期借入金の減少や長期借入金の返済等により、資金が使用されました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 19.9億円 2.5億円
投資CF -7.1億円 17.4億円
財務CF -2.6億円 -11.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「幼・青・老の共生」をコンセプトに、「幼年~青年~老年、共に楽しく過ごせる社会作り」を目指しています。地域社会に必要とされる企業となること、および顧客に安心・信頼していただけるサービスを継続的に提供することを経営課題としています。

(2) 企業文化


社会、経済および環境の調和を重視し、安心・安全なサービスを通じて人々の喜びを創造することを大切にしています。また、従業員の確保と育成を重要課題と捉え、社内認定資格制度の導入や従業員研修制度に基づく個々の成長フォローなど、人材への投資を積極的に行う文化があります。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画を策定しています。人材の育成による社会貢献や、企業の成長を通じたステークホルダーの幸せの追求を目指し、数値目標を掲げています。

* 売上高:326億円(2028年3月期)
* 営業利益:7.3億円(2028年3月期)
* ROE:2.4%(2028年3月期)

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業と親和性のある新規事業の開発や、主要3事業(介護、カラオケ、飲食)での差別化を図ります。特に介護事業ではM&A等に積極的に取り組み、有料老人ホーム年間200床の開設を目標としています。また、ガバナンス体制の強化や人材教育の充実にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働力不足に対応するため、採用強化に加え、OJTや研修制度による人材育成と定着率向上を図っています。特に介護事業では、専門性を持つ従業員を育成する社内認定資格(排泄ケア専門士など)を新設し、テクノロジー活用と合わせてサービスの質と業務効率の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.9歳 14.4年 4,434,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.3%
男性育児休業取得率 18.8%
男女賃金差異(全労働者) 76.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、株式会社さわやか倶楽部の女性管理者数(79名)、株式会社さわやか倶楽部の女性管理者構成比(36.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 風評等の影響


介護事業において、評判や信用は施設運営に大きな影響を与えます。何らかの要因で評判が著しく低下したり、ネガティブな風評が発生した場合、新規利用者の獲得や施設稼働率の維持が困難になり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 介護施設の新規開設による影響


新規施設の開設後は、入居者・利用者が一定水準に達するまで費用負担が先行します。短期的には利益を圧迫する可能性があり、入居者の獲得に長期間を要する場合や困難な状況が生じた場合、経営成績等に悪影響を与える可能性があります。

(3) 介護施設のオフバランススキームによる業績等への影響


設備投資負担軽減のため、自社開発施設をSPCへ売却しリースバックする手法を活用しています。会計基準の変更等によりオフバランスが認められなくなった場合、資産・負債が増加し自己資本比率が悪化するなど、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。