※本記事は、株式会社ウチヤマホールディングスの有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ウチヤマホールディングスってどんな会社?
介護事業を中心に、カラオケや飲食などの多様なサービスを提供する持株会社です。
■(1) 会社概要
同社グループの前身は、1971年に設立された内山ビルに遡ります。1991年にカラオケボックスの運営を開始し、2003年には介護事業へ参入しました。2006年に持株会社としてウチヤマホールディングスを設立し、グループ体制を整備しました。2012年に株式上場を果たし、近年は人材紹介事業等も展開しています。
現在は連結で2,331名、単体で32名の従業員を擁しています。大株主の状況は、筆頭株主が創業者の内山文治氏で、第2位は内山孝子氏となっており、第3位にはウチヤマホールディングス取引先持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 内山文治 | 44.43% |
| 内山孝子 | 4.45% |
| ウチヤマホールディングス取引先持株会 | 3.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本武博氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本武博 | 代表取締役社長 | 1994年サイトウ入社。ボナー専務取締役等を経て、2021年より現職。さわやか倶楽部代表取締役社長等を兼任。 |
| 二村浩司 | 取締役 | 1996年ボナー入社。同社常務取締役、専務取締役等を経て、2010年より現職。さわやか倶楽部取締役を兼任。 |
| 窪田康二郎 | 取締役 | 1994年ウチヤマアーベスト入社。同社経理部長を経て、2021年より現職。さわやか倶楽部取締役等を兼任。 |
| 川村謙二 | 取締役 | 1980年阿部病院入社。さわやか倶楽部取締役等を経て、2022年より現職。さわやか倶楽部取締役を兼任。 |
| 吉岡信之 | 取締役(監査等委員)常勤 | 1978年三和店装入社。さわやか倶楽部取締役等を経て、2022年より現職。さわやか倶楽部監査役等を兼任。 |
社外取締役は、住川守(元熊本国税局)、岸本進一郎(元朝日監査法人)、神尾康生(元センチュリー監査法人)です。
2. 事業内容
同社グループは、「介護事業」「カラオケ事業」「飲食事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。
■介護事業
介護等が必要な高齢者を対象に、有料老人ホームやデイサービスセンター、グループホーム等の各種介護サービスを提供しています。また、障がい児童支援の放課後等デイサービスも運営し、地域に密着した多様なニーズに応えています。
主に介護保険制度に基づき、利用者からの自己負担金および国民健康保険団体連合会からの介護報酬を収益源としています。同事業の運営は、主にさわやか倶楽部が行っています。
■カラオケ事業
「コロッケ倶楽部」の屋号で、福岡県を中心にカラオケボックスを運営しています。幅広い顧客層の取り込みを目指し、ランチとのセットや飲み放題コース等を提供することで、競合他社との差別化を図っています。
店舗を利用する顧客からの室料や、飲食メニューの代金を主な収益源としています。同事業の運営は、さわやか倶楽部が行っています。
■飲食事業
九州各県を中心に居酒屋店舗等を運営しています。「かんてきや」「再生酒場」「フジヤマ桜」など、サラリーマンや低価格志向など多様なコンセプトの店舗を展開し、幅広い顧客層の獲得を目指しています。
店舗を訪れる顧客からの飲食代金を主な収益源としています。同事業の運営は、さわやか倶楽部が行っています。
■不動産事業
賃貸マンションの賃貸・管理業務や、不動産物件の売買・仲介業務を行っています。また、優良な介護施設を収益不動産として取得する取り組みも進め、グループ内の資産の有効活用を図っています。
入居者からの家賃収入や、不動産の売却代金、仲介手数料を主な収益源としています。同事業の運営は、さわやか倶楽部が行っています。
■その他
特定技能外国人材等への支援業務や有料職業紹介事業、学習塾事業のほか、インドネシアでの職業訓練校(日本語教育)の運営などを行っています。
外国人材の紹介手数料や支援委託料、学習塾の受講料等を収益源としています。同社のほか、さわやか倶楽部、PT.Sawayaka Fujindo Indonesiaなどが運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間において、売上高は右肩上がりで成長を続けており、約250億円から約296億円へと拡大しています。経常利益はマイナスから黒字転換を果たし、直近では約8.5億円の利益を計上しています。当期利益は一時大幅な増益を記録したのち、当期は約2.1億円で着地しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 250億円 | 269億円 | 288億円 | 291億円 | 296億円 |
| 経常利益 | -1.7億円 | -1.4億円 | 11.9億円 | 5.7億円 | 8.5億円 |
| 利益率(%) | -0.7% | -0.5% | 4.1% | 1.9% | 2.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -11.9億円 | 0.4億円 | 1.0億円 | 34.6億円 | 2.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の約291億円から当期は約296億円へと微増しています。これに伴い、売上総利益も約17.9億円から約21.0億円に増加し、売上総利益率は6.2%から7.1%に改善しました。営業利益も約2.1億円から約5.5億円へと大きく伸長しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 291億円 | 296億円 |
| 売上総利益 | 17.9億円 | 21.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 6.2% | 7.1% |
| 営業利益 | 2.1億円 | 5.5億円 |
| 営業利益率(%) | 0.7% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、その他が5.9億円(構成比38%)、租税公課が5.1億円(同33%)、給料手当が2.6億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
介護事業は、施設の入居者増加などにより安定して売上を伸ばしています。一方、カラオケ事業や飲食事業は、物価高騰による消費動向の変化や不採算店舗の退店などが影響し、減収となりました。不動産事業およびその他事業は順調に売上を拡大し、全社での増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 介護事業 | 237億円 | 245億円 |
| カラオケ事業 | 44億円 | 41億円 |
| 飲食事業 | 6.5億円 | 5.8億円 |
| 不動産事業 | 2.8億円 | 3.3億円 |
| その他 | 0.7億円 | 1.0億円 |
| 連結(合計) | 291億円 | 296億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を投資や借入金の返済に充てる「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | 6.9億円 |
| 投資CF | 17.4億円 | -8.8億円 |
| 財務CF | -11.0億円 | -3.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.1%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「幼・青・老の共生」をコンセプトとして掲げています。「幼年~青年~老年、共に楽しく過ごせる社会作り」を目指し、事業子会社を通じて高齢者介護施設の運営やカラオケ・飲食店舗の運営などを展開しています。地域社会に必要とされる企業となること、顧客に安心・信頼していただけるサービスを継続的に提供することが基本方針です。
■(2) 企業文化
同社グループは、「人」こそが企業価値の源泉であると捉え、人的資本への投資と育成に注力する価値観を重視しています。実践的な技術指導や研修制度を通じて従業員の自律的なキャリア形成を後押しし、国籍・性別等にとらわれない多様なバックグラウンドを持つ人材が能力を発揮できる、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する文化の醸成を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、将来の成長に向けた体制強化を目指し、中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)を策定しています。「成長戦略」および「持続可能な成長への基盤作り」をテーマに掲げ、人材の育成により高いレベルでの社会貢献を目指します。
* 2028年3月期の売上高:約326億円
* 2028年3月期の営業利益:約7.3億円
* 2028年3月期のROE:2.4%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、既存事業に親和性のある新規事業の開発や、主要3事業を中心にハイレベルなサービスを提供し差別化を図る方針です。特に介護事業では、テクノロジーの活用による業務効率化や、M&Aなどの積極的な情報収集を進めます。さらに、管理体制やサイバーセキュリティ対策の強化を図りつつ、多様な人材を確保・育成することで、労働力不足という社会課題の解決に貢献します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「顧客に寄り添い高品質なサービスを提供する人材の確保・育成」を人材戦略の基本方針に掲げています。従業員の専門性向上を目的とした体系的な教育・研修制度の充実や、独自の社内認定資格の運用を通じたキャリア形成支援に注力しています。国籍を問わず多様な人材が能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を進め、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.6歳 | 14.7年 | 4,477,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 78.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | - |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人材の採用人数(約200名)、子会社における女性管理者の構成比(36.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 風評等の影響
介護事業において、利用者やその家族等による施設に対する評判や信用は運営に大きな影響力を持ちます。万が一、不測の事態により同社グループに対するネガティブな風評が発生したり、著しく評判が低下したりした場合、新規利用者の獲得や施設稼働率の維持が困難となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 介護施設の新規開設による影響
介護施設の新規開設にあたっては、開設後に入居者や利用者が一定水準に至るまでの期間、費用負担が先行する傾向があります。そのため、短期的には利益を圧迫する可能性があり、想定以上に入居者獲得に長期間を要した場合には、同社グループの財務状況や経営成績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) オフバランススキームによる業績等への影響
同社グループは、介護施設の設備投資負担を軽減するため、自社開発した施設をファンド等に売却しリースバックする手法を活用しています。この手法により減価償却負担は軽減されますが、一方で賃借コストが発生します。将来的に会計基準の変更等によりオフバランス処理が認められなくなった場合、財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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