※本記事は、株式会社フォーカスシステムズ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フォーカスシステムズは、システムインテグレーション及びITサービス、情報セキュリティ製品、AI製品の販売・関連サービスを主な事業としています。官公庁や法人企業向けに、社会インフラシステムから基幹業務システム、組込みソフトウェア開発まで幅広く技術支援を提供しています。
単体従業員数は1,434名です。セグメントは公共関連事業、エンタープライズ事業、広域ソリューション事業、イノベーション事業の4つです。
主な国内グループ会社は、フォーカスインキュベート、メティス(エンタープライズ事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
フォーカスシステムズはITサービスを提供する企業であり、専門性の高い人材が活躍する環境が想定されます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の従業員に対する考え方や職場環境の傾向を読み取ることができます。人材育成や多様性を重視する方針が示されており、長期的なキャリア形成を考える上で参考となる情報が提供されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が安定してキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も若すぎず高すぎず、幅広い年代の社員が活躍していることがうかがえます。このようなデータは、長期的な視点で働きがいのある環境が整備されている可能性を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,272,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.75年 |
| 平均年齢 | 36.39歳 |
| 単体従業員数 | 1,434人 |
同社は確定拠出型の退職給付制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度も設けています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
フォーカスシステムズは、企業価値を生む源泉を「人材」と捉え、中期経営計画と連動した人材戦略を推進しています。特に、中核事業の高付加価値化と生産性向上を目指し、人的資本への投資を全社戦略実行の基盤と位置付けています。人材戦略の柱として、従業員がやりがいを持ち長く安心して働ける環境を整備する「エンゲージメント向上」と、より高いサービスを提供できる専門性の高い人材を育成する「専門人材開発」を掲げています。
従業員の給与については、人事制度に基づき昇給や賞与配分を決定し、社会情勢や業績に応じたベースアップを機動的に検討する方針です。職務遂行における能力や行動を総合的に評価し、その結果を昇給・昇格・賞与へ適切に反映させています。福利厚生面では、社員持株会制度を導入し、従業員の拠出額に対して20%の奨励金を付与することで、中長期的な資産形成を支援しています。
また、激変する市場変化に対応できる人材を育成するため、多種多様な研修カリキュラムを提供し、社員の自己啓発を促しています。働きやすい職場環境を目指し、ワークライフバランスの推進やダイバーシティの実現にも取り組んでいます。具体的には、性別や年齢に関わらず個人のライフスタイルに合わせた働き方を選択できる環境づくりや、多様な個性を持つ社員が働きがいを感じられる環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 79.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 38.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
フォーカスシステムズは、システムインテグレーションとITサービスを主軸に、情報セキュリティ製品やAI製品の販売・関連サービスも手掛ける企業です。同社グループは、子会社1社と関連会社6社で構成されており、幅広い分野で顧客のITニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、社会インフラから法人企業の基幹システム、最先端のAI・IoTソリューションまで多岐にわたる事業を展開しています。長年にわたる実績と技術力を背景に、顧客の課題解決と新たな価値創造に貢献するビジネスモデルを構築しています。
公共関連事業
主に官公庁や地方自治体を最終ユーザーとするシステム開発・運用・保守を手掛けています。マイナンバー関連システム、財務システム、貿易システム、航空管制システム、自動車関連システム、社会保険・健康保険・年金に関するシステムなど、社会インフラを支える重要なシステムの実現を総合的に支援しています。長期的かつ継続的なプロジェクトが多く、長年培った業務知識と開発経験が強みです。
収益は、社会インフラシステムの提案・設計・製造・試験から稼働後の運用・保守に至るまでの技術支援から得ています。運営は、同社、エー・アイ・エムスタッフ、G.A.P、TryTreeが行っています。当期は既存案件の拡充とプロジェクト管理、単価交渉が奏功し、売上高は前期から増加しました。
エンタープライズ事業
法人企業向けの基幹業務システムやWeb・クラウドアプリケーションの開発、ネットワークインフラの設計・構築、RPAソリューション、運用・保守、ICTコンサルティングを提供しています。「intra-mart」や「SAP」といった市場シェアの高い製品を同一部門で扱える体制と知見を強みとし、クラウドやRPA、仮想化など新たな技術領域にも対応しています。
収益は、法人企業のシステム開発やインフラ構築、コンサルティングサービスから得ています。運営は、同社、メティスが行っています。当期は提案力強化と体制拡充により、ERPとインフラが業績向上に貢献し、売上高は前期から大きく増加しました。
広域ソリューション事業
東京・名古屋・大阪地域を中心に、通信制御・組込みシステム開発、法人企業や行政機関向けのシステム開発、AIソリューション、運用・保守、ICTコンサルティングを展開しています。創業当初からの通信制御システム開発に加え、携帯電話・スマートフォン、カーエレクトロニクス、デジタルカメラなどの組込み型ソフトウェア開発も手掛けており、幅広い技術領域が特徴です。
収益は、通信制御・組込みシステム開発やAIソリューション、コンサルティングサービスから得ています。運営は、同社、エー・アイ・エムスタッフ、OtoCheckが行っています。当期は収益性の高い案件へのシフトや安定した案件管理、価格転嫁により成長し、売上高は前期から増加しました。
イノベーション事業
法人企業向けのインフラ設計・構築、メインフレーム業務、システム開発、運用・保守に加え、IoTおよび情報セキュリティ分野における自社製品の製造・ソリューション提供を行っています。日本アイ・ビー・エムとの長年の取引実績があり、情報システム基盤構築やインフラ技術支援で存在感を確立しています。暗号、電子透かし、ビーコン、指向性受信機などの自社製品を活用し、きめ細やかなソリューションを提供しています。
収益は、インフラ設計・構築、システム開発、自社製品を活用したソリューション提供から得ています。運営は、同社、イノス、エー・アイ・エムスタッフが行っています。当期はインフラ案件がけん引し、利益率を重視した一次請け開発案件も順調に進捗し、売上高は前期から増加しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| エンタープライズ事業 | 89.6億円 | 109億円 |
| 公共関連事業 | 99.8億円 | 109億円 |
| イノベーション事業 | 80.4億円 | 81.4億円 |
| 広域ソリューション事業 | 55.7億円 | 57.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高と各利益において過去最高を更新する増収増益となりました。人的資本への投資を進めつつ、一次請け比率の向上や価格転嫁、案件管理、業務効率化といった施策が着実に利益を生み出す結果につながっています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
(データなし)
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務基盤は、事業活動を通じて得られる資金の流れや、手元資金の状況からその安定性を測ることができます。これらの情報は、入社後の雇用や給与の安定性を見極める上で重要な要素となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤について、自己資本比率やROE、手元資金の状況を確認することは、事業の安定性を把握する上で役立ちます。これらの指標は、同社が健全な経営を維持し、将来にわたって安定した事業活動を継続できるかどうかの判断材料となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを示しています。本業で安定的に資金を生み出せているか、将来の成長に向けた投資を積極的に行っているか、あるいは資金調達や返済の状況はどうかといった資金の動きから、同社の経営状況を読み取ることができます。これらの資金の流れは、同社の持続的な成長性や、従業員の雇用・給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、特定の顧客及び企業グループへの依存に関するリスクを認識しています。主要顧客上位3社向け売上高が全体の39.8%を占めており、顧客企業の経営戦略転換やIT投資方針の見直しなどにより、取引が縮小または終了する可能性があります。
また、マクロ経済環境の変化に関するリスクも挙げられています。同社の事業は企業や官公庁のIT投資動向に大きく影響を受け、国内外の景気や金融市場、地政学リスクによって投資計画の見直しや予算削減が生じる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、人材の確保・育成及び労働環境に関するリスクを認識しています。高度IT人材やマネジメント人材の獲得競争激化や賃金水準上昇に伴う採用計画未達、人材流出、人件費増大が収益を圧迫する可能性があります。
また、特定個人への業務集中による長時間労働やメンタル不調による生産性低下、組織の同質化に伴う多様性の不足が、中長期的な競争力に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フォーカスシステムズは、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する。」を経営理念に掲げています。デジタル革新を通じて顧客の変革を支える戦略パートナーを目指し、社員一人ひとりの成長と社会への貢献を重視する企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する。」ことを経営理念としています。この理念に基づき、個人責任、企業責任、社会責任の3つの責任を果たすことを目指しています。
個人責任として人間性と技術力を磨き、最高のサービスを提供すること、企業責任として社員相互が信頼し合い、安心かつ働きがいのある会社を作ることを掲げています。また、社会責任としてお客様、投資家、株主から信頼され、社会から必要とされる会社を作ることを目指しています。
2029年3月期に向けた「中期経営計画 27-29」では、「デジタル革新で顧客の変革を支える戦略パートナー」をビジョンに掲げ、中核事業の高付加価値化とDX・コンサルティング領域への展開を進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、社員一人ひとりが人間性と技術力を磨き、最高のサービスを提供することを重視しています。社員相互が信頼し合い、安心かつ働きがいのある職場環境の実現を目指しており、ワークライフバランスやダイバーシティの推進にも取り組んでいます。
多様な個性や価値観を持つすべての社員が働きがいを感じられる環境整備を進め、女性の継続就業や管理職比率向上、男性社員の育児休業取得率維持などを目標に掲げています。また、社員の健康を重要な経営資源と捉え、心身の健康維持向上に向けた健康経営を積極的に実施しています。
サステナビリティ経営を推進し、未来から必要とされる会社として持続可能な社会と環境の実現に貢献することを基本方針としています。気候変動への適切なアプローチや多様な人材が安心して働ける職場づくり、ステークホルダーの価値創造、ガバナンス経営の強化をマテリアリティ(重要課題)としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、デジタル技術の進展やAIの台頭、IT人材獲得競争の激化といった経営環境の変化に対応するため、いくつかの課題に重点的に取り組んでいます。その一つが、AIと実践知を融合した「知能集約型」へのシフトです。
先端技術やマネジメント手法の活用に加え、AIを業務プロセスやサービス提供に取り入れ、生産性と品質の向上を図っています。従業員をかけがえのない経営資源と位置付け、先端IT人材、プロジェクトマネージャー、コンサルタント等の専門人材の確保と育成を最重要課題としています。
個々のキャリアに応じた能力開発支援を強化し、やりがいを実感できる報酬体系の実現や健康経営の推進を通じて、社員のエンゲージメントを高めることにも注力しています。これらの取り組みにより、個の力が最大限に発揮される強固な組織基盤の構築を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会と監査役会を設置し、透明性・公正性のある経営システムを構築しています。経営環境の変化に対応し、迅速な意思決定と監督機能の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位に名を連ねています。また、株式会社FRONTEOのような事業会社や、フォーカスシステムズ社員持株会も主要な株主として同社を支える構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.03% |
| 株式会社FRONTEO | 6.14% |
| フォーカスシステムズ社員持株会 | 4.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性8名・女性4名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は森啓一氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森 啓 一 | 代表取締役社長 | 1989年10月監査法人トーマツ入社、1998年10月同社入社、2006年6月取締役管理本部長兼経営企画室長、2011年4月より現職。 |
| 三 浦 宏 介 | 代表取締役副社長 | 1981年12月同社入社、2009年6月取締役事業部統括部長、2012年6月代表取締役副社長兼情報通信事業本部長、2014年4月より現職。 |
| 室 井 誠 | 専務取締役兼公共社会ソリューション事業本部、デジタルビジネス事業本部管掌 | 1985年3月同社入社、2011年6月取締役ITサービス事業本部長、2017年6月専務取締役公共金融事業本部及びITサービス事業本部担当、2026年4月より現職。 |
| 鈴 木 隆 博 | 取締役兼執行役員テックイノベーション事業本部及びメディカルAI推進室管掌、西日本事業部担当兼経営企画室長 | 1991年4月同社入社、2017年6月取締役ITソリューション事業本部及びITイノベーション事業本部担当兼ITイノベーション事業本部長、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、瀬尾勘太氏(瀬尾勘太税理士事務所所長・報酬諮問委員会委員長)、荒谷真由美氏(弁護士法人一番町綜合法律事務所・指名諮問委員会委員長)、秋山エリカ氏(東京女子体育大学常任理事兼評議員兼体育学部体育学科体育実技教授・指名諮問委員会委員・報酬諮問委員会委員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による意思決定と監査役会による監督を通じて、コーポレートガバナンスの強化を図っています。3名の独立社外取締役を選任することで、経営監督機能の強化と意思決定の透明性・適正性・迅速性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(社外取締役を除く)の報酬は、企業価値の持続的な向上と中長期的な業績向上への貢献意欲を高めることを目的としています。報酬体系は、基本報酬としての取締役報酬、短期の業績連動報酬としての取締役賞与、そして中長期的なインセンティブとしての譲渡制限付株式報酬で構成されています。社外取締役に対しては、高い独立性確保の観点から業績連動は行わず、基本報酬のみを支給しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 2.6億円 | 51.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 15百万円 | 7.7百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 27百万円 | 3.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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