※本記事は、株式会社SDSホールディングスの有価証券報告書(第41期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. SDSホールディングスってどんな会社?
SDSホールディングスは、省エネルギー設備導入やリノベーション事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1986年6月に省エネルギー事業を目的として省電舎を設立。2004年12月に東証マザーズに上場し、2017年6月に省電舎ホールディングスへ、さらに2021年8月に現在のSDSホールディングスへと商号変更しました。直近では2024年に太陽光設備事業等を目的とした合弁会社や新会社を設立し、事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で21名、単体で5名です。筆頭株主は同社代表取締役会長の吉野勝秀氏で、第2位は佐々木和博氏、第3位は証券・金融業務等を行う楽天証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉野勝秀 | 14.37% |
| 佐々木和博 | 9.58% |
| 楽天証券共有口代表取締役社長楠雄治 | 1.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は渡辺悠介氏です。社外取締役は4名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡辺悠介 | 代表取締役社長 | 2015年に三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社し、2017年にメディックイーストを設立し代表取締役に就任。2022年に同社に出向し、2023年より現職。 |
| 吉野勝秀 | 取締役会長 | 1992年に新東京開発の代表取締役に就任。その後複数の企業の代表取締役を経て、2024年に同社の取締役に就任し、2025年より現職。 |
| 関原竜也 | 取締役 | 1998年に司法書士事務所に入所後、2011年にオフィスランディックに入社。2021年にシントウキョウグロースキャピタル代表取締役に就任し、2022年より現職。 |
| 田中圭 | 取締役 | 1996年に司法書士事務所に入所後、インデックス等を経て2008年にデジタル・クライス代表取締役に就任。2017年に同社管理本部長に就任し、2018年より現職。 |
社外取締役は、笠原弘和(ラックランド代表取締役社長)、川崎修一(愛知大学大学院法務研究科教授)、近藤洋治(みらい会計舎代表取締役)、皆川茂基(新幸総合法律事務所入所)です。
2. 事業内容
同社グループは、「省エネルギー関連事業」および「リノベーション事業」を展開しています。
■省エネルギー関連事業
同社は、省エネルギー事業の推進により、顧客企業にエネルギーソリューションサービスの提供を行っています。具体的には、省エネルギー関連における設備導入、企画、設計、販売、施工およびコンサルティング業務などを展開しています。
収益は、設備導入や施工、コンサルティングなどに伴うサービス対価として顧客企業から得ています。事業の運営は、主に省電舎およびONE EXEが行っています。
■リノベーション事業
同社は、住宅のリノベーションおよびリノベーション後の物件販売、資産運用に関するコンサルティング業務を提供しています。また、宅地建物取引業や不動産の分譲、売買、賃貸、管理およびそれらの仲介業務を展開しています。
収益は、リノベーション物件の販売代金や不動産賃貸収入、コンサルティングや仲介に伴う手数料として顧客から受け取ります。事業の運営は、イエローキャピタルオーケストラが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の直近5年間の業績推移を見ると、売上高は増加傾向にあり、直近では52.5億円に達しています。経常利益は継続してマイナスとなっていましたが、直近では黒字に転換しました。一方で、当期利益は一貫してマイナスが続いており、依然として収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10.3億円 | 34.0億円 | 41.4億円 | 40.4億円 | 52.5億円 |
| 経常利益 | -3.0億円 | -2.1億円 | -0.5億円 | -1.0億円 | 0.0億円 |
| 利益率(%) | -28.8% | -6.2% | -1.2% | -2.4% | 0.0% |
| 当期利益 | -4.8億円 | -3.2億円 | -1.7億円 | -1.9億円 | -1.4億円 |
■(2) 損益計算書
同社の損益構成を比較すると、当期は売上高が増加するとともに、売上総利益および売上総利益率が改善しています。これにより、前期はマイナスであった営業利益が当期はプラスに転じ、営業利益率も向上するなど、本業の収益力が着実に高まっていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 40.4億円 | 52.5億円 |
| 売上総利益 | 5.3億円 | 8.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.1% | 15.6% |
| 営業利益 | -0.1億円 | 1.1億円 |
| 営業利益率(%) | -0.4% | 2.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.0億円(構成比29%)、租税公課が0.8億円(同12%)、支払報酬が0.8億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各事業セグメントの収益を分析すると、両事業ともに前年から売上を伸ばしています。特にリノベーション事業は主力の収益源として大きく成長しており、全体の売上高を牽引しています。また、省エネルギー関連事業も堅調に推移し、増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 省エネルギー関連事業 | 6.9億円 | 9.0億円 |
| リノベーション事業 | 33.5億円 | 43.6億円 |
| 連結(合計) | 40.4億円 | 52.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業はマイナスであるものの、将来成長に向けて借入等による投資を継続している「勝負型」の局面と言えます。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。
財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は10.4%であり、スタンダード市場の平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.1億円 | -0.9億円 |
| 投資CF | -9.7億円 | -10.1億円 |
| 財務CF | 10.0億円 | 8.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「私たちを取り巻く脅威に対処し、遠い未来・近い将来・今の社会に貢献する」ことを経営理念として活動しています。地球温暖化・災害・衛生リスクという3つの脅威に対し、省エネルギー設備の導入や施設改修等のソリューションを提供し、持続可能な社会の構築に貢献することを目標としています。
■(2) 企業文化
同社は、「環境・衛生ソリューションの提供を通じて社会に貢献すること」を経営目標に掲げており、その活動自体が持続可能な社会の構築に直結するとの価値観を重視しています。また、多様な人材が個性と能力を最大限に発揮できるよう、仕事とプライベートの両立や誰もが安全に働ける職場環境づくりに取り組む文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2025年5月に公表した中期経営計画において、次期の連結業績見通しとして具体的な数値目標を設定しています。既存事業を確実な収益部門として確立させることで、今後のさらなる成長に繋げることを目指しています。
* 売上高:61.7億円
* 営業利益:1.2億円
* 経常利益:0.7億円
* 当期利益:0.1億円
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、自社による太陽光発電設備の取得・運営やセカンダリー市場への積極的な参加を通じた再生可能エネルギー事業の展開を掲げています。また、リノベーション事業における既存住宅の再活用推進に加え、新たにAIデータセンターにおけるエネルギー効率の高いコンテナ型データセンターの構築やM&Aへの積極的な取り組みを通じて、業容の拡大を図っていく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、外部環境の変化に対応し企業価値を高めるため、多様な価値観を持った人材の確保と育成を重視しています。研修プログラムや資格取得支援を通じて持続的成長を支える人材の育成を進めるとともに、ジェンダー差別や児童労働に反対し、すべての社員が能力を発揮できる安全・安心・健康な職場環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 51.8歳 | 11.3年 | 6,934,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 62.4% |
※同社は公表義務の対象ではない項目等があるため、一部の指標は有報に記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、eラーニング受講件数(30件)、1人当たり残業時間(10.0H)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設業法や宅地建物取引業法等の法的規制
同社グループは、建設業法に基づく特定建設業許可や、宅地建物取引業法に基づく許認可を受けて事業を展開しています。各種関連法令の改廃や新たな法的規制が設けられた場合、あるいは何らかの理由で許認可の取消しや更新が認められない事態が発生した場合には、事業の継続に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 他社との競争激化
価格設定や取引条件において同社グループは他社との競合に晒されています。事業規模が大きく資金調達コストが低い競合他社が収益性を度外視した条件を提示してきた場合、同社が商機を逸するリスクや、競争により利益率が低下する恐れがあります。こうした競争環境の激化は、同社グループの事業活動や経営成績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 国内住宅市場の動向による影響
同社グループの業績は、国内の住宅市場の動向に大きく依存しています。景気の見通し後退や雇用環境の悪化による個人消費の落ち込み、資材価格の変動に伴う建築コストの上昇などは顧客の住宅購買意欲を減退させる要因となります。市場環境の悪化や予期せぬ事象が生じた場合、同社の財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 資金調達の難航と財務基盤の脆弱性
長期にわたる赤字の計上により同社グループは財務基盤が脆弱な状況にあり、金融機関からの借り入れが困難となる場合があります。そのため、エクイティ・ファイナンス等による資金調達を図っていますが、経済情勢の変動等により資金調達が難航した場合や不利な条件での調達を余儀なくされた場合、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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