SDSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SDSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場上場。省エネルギー事業によるソリューション提供および不動産リノベーション事業を展開。当連結会計年度は売上高が微減し、経常損失および当期純損失を計上するなど、赤字幅が拡大しています。


※本記事は、株式会社SDSホールディングス の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SDSホールディングスってどんな会社?


省エネルギー事業の推進によるエネルギー・ソリューション・サービスの提供と、不動産のリノベーション事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1986年に省エネルギー事業を目的として株式会社省電舎が設立され、2004年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。その後、2017年に株式会社省電舎ホールディングスへ、2021年には現在の株式会社SDSホールディングスへと商号を変更しています。2022年には株式会社イエローキャピタルオーケストラを子会社化し、リノベーション事業へ本格参入しました。

同社の従業員数は連結22名、単体4名です。筆頭株主は同社取締役会長の吉野勝秀氏で、第2位は個人の佐々木和博氏、第3位は長野證券株式会社代表執行役の岡宮照行氏となっています。

氏名 持株比率
吉野 勝秀 14.65%
佐々木 和博 9.77%
長野證券株式会社代表執行役 岡宮照行 3.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名、計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は渡辺悠介氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
渡辺 悠介 代表取締役社長 2015年三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。メディックイースト設立代表取締役等を経て、2023年6月より現職。
吉野 勝秀 取締役会長 新東京開発代表取締役、新東京グループ代表取締役、YOSHINO代表取締役等を経て、2024年6月より現職。
関原 竜也 取締役 司法書士事務所勤務、オフィスランディック入社、トゥーライフ代表社員等を経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、笠原弘和(元ジー・スリーホールディングス代表取締役社長)、川崎修一(弁護士法人久屋総合法律事務所代表弁護士)、近藤洋治(近藤公認会計士・税理士事務所所長)、皆川茂基(新幸総合法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「省エネルギー関連事業」および「リノベーション事業」を展開しています。

(1) 省エネルギー関連事業


顧客企業に対し、省エネルギー設備の導入、企画、設計、販売、施工およびコンサルティング業務を提供しています。また、太陽光設備を保有し、売電事業も行っています。

収益は、省エネルギー設備の導入やコンサルティングに対する対価、および太陽光設備による売電収入等から得ています。運営は主に株式会社省電舎および株式会社ONE EXEが行っています。

(2) リノベーション事業


住宅のリノベーションおよびリノベーション後の物件販売、資産運用に関するコンサルティング、宅地建物取引業、不動産の分譲、売買、賃貸および管理並びにそれらの仲介等を行っています。

収益は、リノベーション物件の販売代金や不動産賃貸収入などから得ています。運営は主に株式会社イエローキャピタルオーケストラが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2023年3月期に大きく増加し、以降40億円前後で推移していますが、利益面では経常損失および当期純損失の計上が続いており、赤字からの脱却が課題となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 8.4億円 10.3億円 34.0億円 41.4億円 40.4億円
経常利益 -2.7億円 -3.0億円 -2.1億円 -0.5億円 -1.0億円
利益率(%) -32.2% -28.8% -6.2% -1.2% -2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -3.5億円 -3.3億円 -3.0億円 -1.7億円 -1.9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益率は維持していますが、販売費及び一般管理費の負担により営業損失を計上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 41.4億円 40.4億円
売上総利益 5.5億円 5.3億円
売上総利益率(%) 13.3% 13.1%
営業利益 0.3億円 -0.1億円
営業利益率(%) 0.6% -0.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.2億円(構成比22%)、租税公課が0.7億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


リノベーション事業が売上の大半を占め、増収増益で推移しています。一方、省エネルギー関連事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
省エネルギー関連事業 8.9億円 6.9億円 0.9億円 0.5億円 7.4%
リノベーション事業 32.5億円 33.5億円 1.2億円 1.5億円 4.4%
連結(合計) 41.4億円 40.4億円 0.3億円 -0.1億円 -0.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は、本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している「勝負型」です。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9.2億円 -2.1億円
投資CF -1.5億円 -9.7億円
財務CF -5.5億円 10.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されておらず、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「環境・衛生ソリューションの提供を通じて社会に貢献すること」を経営目標としています。具体的には、「温暖化ガスの削減」「災害に強い社会の構築」「衛生的な社会の実現」を目指し、営業活動や事業活動そのものが持続可能な社会の構築に貢献すると考えています。

(2) 企業文化


「私たちを取り巻く脅威に対処し、遠い未来・近い将来・今の社会に貢献する」ことを経営理念として活動しています。外部環境の変化に対応し企業価値を高めるため、多様な価値観を持った人材の確保と成長機会を重視し、ジェンダー差別や児童労働に反対の意思を明確に示すなど、すべての社員が平等で多様性を活かせる環境整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2024年5月に公表した中期経営計画に基づき、省エネルギー関連事業の拡大を目指しています。2025年度の実績としては、省エネ・衛生管理・災害対策の提案による売上高6億89百万円(目標11億円)でした。また、人材戦略に関する指標として、2026年度迄の目標に以下を掲げています。

* eラーニング受講件数:30件
* 女性管理職比率:35.0%
* 1人当たり残業時間(非管理職):9.0H

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、自社による太陽光発電設備の取得・運営、および同設備のセカンダリー市場への積極的な参加を挙げています。リノベーション事業では、既存住宅の再活用を進め、サステナブルな社会の構築に貢献する方針です。また、商材の開発や顧客開拓においてパートナー企業との連携強化を図るほか、M&Aや事業投資を行う合弁会社の設立などを通じ、事業基盤の強化を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


業績回復や業容拡大のため、優秀な人材の確保・育成を重要課題と認識しています。社員のスキル育成のための効果的な仕組みを構築するとともに、研修プログラムや制度の充実を推進しています。これまでのコンプライアンス研修や資格取得支援に加え、より幅広い分野での研修を実施する方針です。また、誰もが安全・安心・健康に働ける職場環境づくりにも努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 51.3歳 10.3年 6,898,000円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(正規) 59.3%


※男性育児休業取得率、男女賃金差異(全労働者・非正規雇用)については、対象者がいない等の理由により記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、eラーニング受講件数(20件)、1人当たり残業時間(非管理職)(12.0H)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 財務基盤が脆弱であることによるリスク


同社グループは長年にわたる事業赤字の計上により、2025年3月末における連結純資産が7億3800万円まで毀損しており、財務基盤が脆弱な状況にあります。業容拡大や収益力強化を推し進めるためには、新株発行による増資など、連結純資産の増強が喫緊の課題となっています。

(2) 法的規制について


同社グループの事業には建設業法や宅地建物取引業法などの許認可が必要です。現時点では取消等の事由はありませんが、将来的に何らかの理由で許認可が取り消されたり、更新が認められなかったりした場合、事業遂行に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 資金調達に伴うリスク


長期にわたる赤字継続や担保資産の不足により、現状、金融機関からの借入による資金調達は困難な状況です。投資家からの借入やエクイティ・ファイナンスなどによる資金調達を図っていますが、業績回復の遅れ等により調達が困難となった場合、事業および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。