NECキャピタルソリューション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NECキャピタルソリューション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場するNECキャピタルソリューションは、官公庁から中小企業まで幅広い顧客層にリースや融資等のファイナンスサービスを提供しています。直近の業績では、リース事業の堅調な推移や、販売用不動産・太陽光発電設備などの売却益が寄与し、大幅な増収を達成しています。


※本記事は、NECキャピタルソリューション株式会社の有価証券報告書(第56期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. NECキャピタルソリューションってどんな会社?


リース事業を中核に、企業融資やインベストメント事業などを多角的に展開する総合金融サービス企業です。

(1) 会社概要


同社は1978年に日本サテライトテレコミュニケーションズから日本電気リースに商号変更し、情報処理機器や通信機器を中心とするリース事業を開始しました。2005年に東証二部、2006年に東証一部(現プライム市場)へ上場を果たしています。2008年に現在のNECキャピタルソリューションへ商号を変更し、2010年にはリサ・パートナーズを連結子会社化して事業領域を拡大しました。

同社グループは、連結従業員数924名、単体625名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社のSBI新生銀行で、第2位は日本電気、第3位は三井住友ファイナンス&リースとなっており、強力なパートナー企業と資本提携を含む連携関係を構築しています。

氏名 持株比率
SBI新生銀行 43.47%
日本電気 11.80%
三井住友ファイナンス&リース 7.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.3%です。代表取締役社長は菅沼正明氏が務めています。社外取締役は5名です。

氏名 役職 主な経歴
菅沼正明 代表取締役社長 1987年日本電気入社。新事業推進本部長、執行役員等を経て、2022年同社シニアオフィサー。同年6月より現職。
平野昇一 代表取締役執行役員副社長 1988年日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。専務執行役員法人ビジネスユニット長等を歴任し、2024年12月より現職。
新井貴 取締役執行役員常務 1988年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2014年同社執行役員常務付。2021年取締役執行役員を経て、2022年より現職。
塚田雄一 取締役執行役員常務 1989年同社入社。人事部長、経営企画部長、営業推進本部長等を歴任。2022年執行役員を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、名和高司(一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授)、萩原貴子(DDD代表取締役)、山神麻子(名取・大木法律事務所パートナー)、牧角司(SBI新生銀行専務執行役員)、對間康二郎(SBI新生銀行常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、リース事業、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業を展開しています。

リース事業


情報通信機器、事務用機器、その他各種設備機器等のリース、レンタル、割賦販売を提供しています。官公庁や自治体を始め、大企業から中小企業まで幅広い顧客層の設備導入ニーズに対応しています。

顧客からリース料や割賦金などを収受する収益モデルです。機器の保守サービスや満了・中途解約に伴う物件売却による収益も得ており、事業運営は主に同社およびキャピテック&リブートテクノロジーサービスが行っています。

ファイナンス事業


法人顧客の多様な資金ニーズに対応するため、金銭の貸付やファクタリング、有価証券投資などのファイナンスサービスを提供しています。

顧客企業からの金利収入や手数料、および投資先からの配当収益を収受するビジネスモデルです。事業運営は同社や複数の海外子会社(シンガポール、マレーシア、米国など)が行っています。

インベストメント事業


ベンチャー企業向け投資や、企業・債権・不動産等を対象としたファンド運用、アセットビジネス、アドバイザリー業務を提供しています。

有価証券や不動産などの売却益(キャピタルゲイン)および配当等のインカムゲインを収益源としています。同事業は主にリサ・パートナーズや各種投資ファンドが運営を行っています。

その他の事業


賃貸レジデンスやヘルスケア施設などの不動産事業、再生可能エネルギー発電・売電事業、PFI・PPP事業、観光事業などを展開しています。

不動産からの賃料収入や物件売却益、太陽光発電等の売電収入を主な収益源としています。事業運営は同社やNCSアールイーキャピタルなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は緩やかな成長から直近で大きく拡大しています。経常利益は安定した推移を見せており、多角的な金融サービスを通じた堅調な事業基盤がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,499億円 2,581億円 2,559億円 2,549億円 3,062億円
経常利益 114億円 124億円 118億円 94億円 114億円
利益率(%) 4.6% 4.8% 4.6% 3.7% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 59億円 66億円 58億円 47億円 36億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益が大きく拡大しています。本業の利益水準が高まっており、収益性の向上が進んでいることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,549億円 3,062億円
売上総利益 297億円 366億円
売上総利益率(%) 11.6% 11.9%
営業利益 78億円 106億円
営業利益率(%) 3.1% 3.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が91億円(構成比35%)、業務委託費が33億円(同13%)、貸倒引当金繰入額が22億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のリース事業が全体を牽引しています。また、当期はインベストメント事業やその他の事業での売上が大きく伸びており、事業の多角化による収益拡大が着実に進んでいます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
リース事業 2,292億円 2,416億円
ファイナンス事業 76億円 87億円
インベストメント事業 137億円 243億円
その他の事業 43億円 315億円
連結(合計) 2,549億円 3,062億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型です。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主にリース債権及びリース投資資産ならびに賃貸資産の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -340億円 -661億円
投資CF -150億円 -295億円
財務CF 1,056億円 555億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.3%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も9.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Capital Solutionを通してより豊かな社会の実現に貢献します。」という企業理念を掲げています。また、グループビジョンとして「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を制定し、環境に配慮した製品の導入や資源循環による循環型社会の実現に向けた取り組みを推進しています。

(2) 企業文化


同社は、社会課題の解決と企業の持続的な成長を両立させる「CSV経営(共通価値の創造)」を実践する文化を重視しています。また、ビジョンにおける「Company」には「価値観を共有する集団(仲間)」という意味を込め、多様な人材が挑戦し、オープンなコミュニケーションを通じて誇りを持てる組織づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、グループビジョンの実現に向けたステップとして「中期計画2028」を策定し、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。2027年3月期の業績予想として以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:3,100億円
* 営業利益:165億円
* 経常利益:170億円
* 当期純利益:100億円

(4) 成長戦略と重点施策


サステナビリティ経営の深化と事業基盤の進化を軸に戦略を推進しています。商品軸から事業軸へのセグメント見直しを行い、公共・ICTインフラ事業でのリース拡大や、コーポレートファイナンス事業でのインカム・キャピタルゲインの両立を図ります。また、SBI新生銀行グループなどとの連携を通じた事業シナジー創出にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが最大の資産であると考え、事業戦略に連動した人材・組織・カルチャーの変革を進めています。経験や年齢にかかわらず担う役割と成果を基準とする役割等級制度を導入し、適所適材の人材配置を実施しています。また、社内公募制度やキャリア相談窓口の設置を通じて、従業員の自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.3歳 14.6年 8,325,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.9%
男性育児休業取得率 83.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 78.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメントスコア(24%)、障がい者雇用率(2.50%)、喫煙率(14.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 金利変動リスク


リースやファイナンス事業に必要な資金の多くを金融機関等から調達しているため、有利子負債比率が高くなっています。市場金利が急激に上昇した場合、調達コストが増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、資産と負債の総合管理(ALM)を実施してリスクの低減に努めています。

(2) 残価変動リスク


中古価値が見込める物件にリース満了時の残存価値を設定したオペレーティング・リースを展開しています。予想を上回る市場環境の変化や技術革新により、売却価格が設定した残価を下回った場合、損失が発生する可能性があります。定期的なモニタリングと物件の分散でリスクを管理しています。

(3) 不動産価格変動リスク


販売用不動産の保有や、不動産を担保・返済原資とするローン事業を展開しています。不動産市場の悪化による価格下落が発生した場合、評価損や売却損の発生、融資債権の与信悪化を招く可能性があります。厳格な取引審査と担保の再評価を通じて、健全な債権内容の維持に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。