リスクモンスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リスクモンスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リスクモンスターは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、法人間取引における与信管理サービスやビジネスポータルサイト事業を主力としています。直近の業績は、与信管理サービスでの利益率改善などにより、売上高は前期比増収となり、営業利益も増益を達成するなど、堅調な増収増益傾向で推移しています。


※本記事は、リスクモンスター株式会社の有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リスクモンスターってどんな会社?


独自の企業データベースを活用した与信管理サービスや業務アウトソーシングを展開しています。

(1) 会社概要


同社は2000年9月に与信管理サービス業を目的に設立されました。同年12月に取引先の与信判断ツール、翌年1月に管理ファイルサービスを開始して事業の基盤を築きました。2005年3月に大阪証券取引所ヘラクレス市場へ株式上場を果たし、その後は教育関連事業やBPOサービスを展開する企業の株式を取得するなど、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で185名、単体で117名体制となっています。筆頭株主は創業者の藤本太一氏で、第2位は事業会社の東京商工リサーチ、第3位は投資事業有限責任組合(投資ファンド)です。

氏名 持株比率
藤本 太一 11.81%
東京商工リサーチ 8.73%
UHPartners2投資事業有限責任組合 無限責任組合員 UHPartners2 7.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は藤本太一氏が務めています。社外取締役の比率は83.3%です。

氏名 役職 主な経歴
藤本 太一 代表取締役社長 1995年日商岩井入社。2000年同社設立に参画し取締役に就任。2004年専務取締役を経て、2012年代表取締役社長兼COOに就任。2013年より現職。


社外取締役は、堀龍兒(元日商岩井専務執行役員)、由利孝(元テクマトリックス代表取締役社長)、太田敏晶(元オリックス保険コンサルティング代表取締役社長)、奥村正太郎(元奥村組代表取締役社長)、田邉愛(弁護士法人堂島法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「与信管理サービス」「ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等)」「教育関連」「BPOサービス」および「その他」事業を展開しています。

(1) 与信管理サービス

国内最大級の企業データベースを分析し、企業の信用力を表す独自の格付指標や与信限度額等を提供するクラウドサービスを展開しています。取引先の信用状況変化を通知するモニタリング機能や、企業全体のリスクを分析するコンサルティングサービスなども提供し、顧客の的確な意思決定を支援します。

収益源は、会員企業からのシステム利用料や調査レポートの提供料です。運営は主にリスクモンスターが行っています。

(2) ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等)

スケジュールや会議室管理など、社内情報共有と業務効率化を図るグループウェア等を提供するビジネスポータルサイト「J-MOTTO」を運営しています。その他、クラウド勤怠管理や給与明細の一括管理システム、ホスティングサービスなども提供し、顧客企業のコスト削減に貢献します。

収益源は、企業からのグループウェアや各種クラウドシステムの利用料です。運営は主にリスモン・ビジネス・ポータルが行っています。

(3) 教育関連

顧客企業の社内啓蒙や人材育成を目的とした教育研修サービスを提供しています。定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」をはじめ、場所を選ばず受講できるeラーニングサービスや集合研修などを展開し、法令改定等にリアルタイムに対応した質の高い教育コンテンツを提供しています。

収益源は、企業からの定額制サービス利用料や個別カスタマイズサービスの提供料です。運営は主にリスクモンスターが行っています。

(4) BPOサービス

顧客企業の中核事業への注力と固定費削減を支援するため、オフィス業務の効率化やアナログ情報のデジタルデータ化を行うBPOサービスを提供しています。データ入力からシステム開発、発送までのワンストップ処理や、与信管理と連携した反社チェックの請負なども行います。

収益源は、クライアント企業からの業務アウトソーシング受託料です。運営は主にリスモン・マッスル・データやシップスが行っています。

(5) その他事業

中国市場における与信管理およびグループウェアサービス等を提供しています。現地の企業データとオフショア開発の中枢として、与信管理サービスやBPOサービスの競争優位性を支える役割も担っています。

収益源は、中国企業向けの与信管理サービス利用料や特殊調査の受注料などです。運営は主に利墨(上海)商務信息咨詢有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は37億円台で安定して推移したのち、直近では38億円へと拡大しています。経常利益は一時的に減少傾向にありましたが、直近ではシステム運用の効率化等により利益率が改善し、増益および最終黒字への回復を果たしています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 37億円 37億円 37億円 37億円 38億円
経常利益 7億円 6億円 3億円 3億円 4億円
利益率(%) 18.5% 14.8% 7.9% 7.8% 9.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円 2億円 -0.5億円 2億円

(2) 損益計算書


売上総利益率は高い水準で推移しており、営業利益率も直近で改善が見られます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 37億円 38億円
売上総利益 17億円 18億円
売上総利益率(%) 45.6% 46.3%
営業利益 3億円 4億円
営業利益率(%) 7.1% 9.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が6億円(構成比40%)を占めています。売上原価では、経費が8億円(同77%)、労務費が2億円(同14%)となっています。

(3) セグメント収益


主力の与信管理サービス事業が着実に売上を伸ばし、利益面でも大きく貢献しています。ビジネスポータルサイト事業も安定した高い利益率を維持する一方で、教育関連やBPOサービスでは投資や案件進捗の影響により利益がやや減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
与信管理サービス 20億円 20億円 2億円 4億円 17.3%
ビジネスポータルサイト(グループウェアサービス等) 6億円 6億円 2億円 2億円 31.7%
教育関連 2億円 2億円 0.4億円 0.1億円 3.1%
BPOサービス 8億円 8億円 0.1億円 0.1億円 1.2%
その他 1億円 2億円 -0.1億円 -0.1億円 -6.8%
連結(合計) 37億円 38億円 3億円 4億円 9.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 2億円 17億円
投資CF -10億円 -9億円
財務CF 2億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「顧客を大切にして共に繁栄しよう」および「プロフェッショナリズムを繁栄の源泉にしよう」を企業理念に掲げています。事業を通じて取引先の満足度を高め、多様化するニーズに対してプロフェッショナルな商品およびサービスを提供し続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、企業理念を実現するための具体的な行動指針として「挑戦なくして成長あらず」「和して同せず」「着眼大局、着手小局」「備えよ 常に」を定めています。広く企業に求められる社会規範や倫理観を尊重し、公正で適切な経営を目指す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2030年度を見据えた長期ビジョン「RismonG-30」の達成に向けたマイルストーンとして、「第9次中期経営計画」を策定し、高収益・高付加価値モデルへの転換を進めています。2028年度の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:45億円
* 営業利益:5億円
* EBITDAマージン:30%
* ROE:7%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、企業間取引におけるリスク管理インフラとして顧客の業務フローに組み込まれるサービス基盤の構築を進めています。与信管理ではAIと信用データを融合させたリスク管理業務の高度化を図り、BPOではAI-OCR等の活用によるバックオフィスのDX化を推進するなど、各事業で競争優位性の強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な企業価値向上を実現するため人材を重要な経営資本と位置付け、育成やエンゲージメント向上、多様性推進を柱とする人材戦略を展開しています。従業員の自己成長を促す体系的な教育施策や、仕事と育児の両立支援、健康保持に向けた職場環境の整備などを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.0歳 8.1年 549万3,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は公表義務の対象ではないため、男女の賃金差異に関する有報への記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、若手社員の定着率(100.0%)、女性の育児休業取得率(125.0%)、育児介護休業制度利用率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客情報流出のリスク

同社グループは会員企業やその他企業情報など多数の機密情報を扱っています。ISO等の認証取得やセキュリティ強化に努めていますが、外部からの不正アクセス等により情報流出が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) サービスの基盤システムに関するリスク

提供サービスの大部分は自社開発のクラウドシステム等で運営されています。稼働監視や二重化等の対策を講じていますが、サイバー攻撃や自然災害、クラウド基盤の不具合など不測の事態でシステムに障害が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

(3) 競合他社の出現とサービスの陳腐化

与信管理サービスにおいて先行者メリットを有していますが、新規参入等により競争が激化し収益性が悪化するリスクがあります。また、技術革新のスピードが速いインターネット関連事業のため、新技術へ適時に対応できずサービスが陳腐化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。