リスクモンスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リスクモンスター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。与信管理サービスやグループウェア等のビジネスポータルサイト運営を行う。当連結会計年度の売上高は37億円で前期比増収となったが、訴訟関連損失や固定資産除却損等の計上により最終赤字となった。(116文字)


※本記事は、リスクモンスター株式会社 の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リスクモンスターってどんな会社?


インターネットを活用した与信管理ASPサービスを主力とし、企業の与信判断や債権保全を支援する会社です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、インターネットを活用した与信管理サービス「e-与信ナビ」を開始しました。2005年に大阪証券取引所ヘラクレスへ上場し、2016年には東京証券取引所市場第二部へ市場変更、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。M&AによりBPO事業や教育関連事業へも参入しています。

連結従業員数は199名、単体では122名です。筆頭株主は創業者の藤本太一氏で、第2位は信用調査業界大手の東京商工リサーチ、第3位は情報通信サービスを提供する光通信となっています。

氏名 持株比率
藤本 太一 11.37%
東京商工リサーチ 8.72%
光通信 7.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は藤本太一氏が務めています。社外取締役比率は85.7%です。

氏名 役職 主な経歴
藤本 太一 代表取締役社長 1995年日商岩井入社。2000年同社設立・取締役就任。常務、専務を経て2011年代表取締役COO兼CFO。2013年4月より現職。グループ各社の代表や取締役も歴任。


社外取締役は、堀龍兒(元日商岩井専務執行役員)、鈴木龍介(司法書士法人鈴木事務所代表社員)、由利孝(元テクマトリックス代表取締役社長)、太田敏晶(元オリックス・レンテック社長)、奥村正太郎(元奥村組代表取締役社長)、田邉愛(弁護士法人堂島法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「与信管理サービス」、「ビジネスポータルサイト」、「教育関連」、「BPOサービス」および「その他」事業を展開しています。

(1) 与信管理サービス事業


企業データベースと倒産企業データベースを分析し、企業の信用力を表す「RM格付」や「RM与信限度額」等の指標を提供するASP・クラウドサービスです。
会員企業からのサービス利用料が主な収益源です。運営は主にリスクモンスターが行っています。

(2) ビジネスポータルサイト事業(グループウェアサービス等)


グループウェア「J-MOTTO」を中心に、スケジュール管理や情報共有ツール、Web勤怠管理システムなどを提供し、業務効率化を支援するサービスです。
会員企業からのシステム利用料が収益源となります。運営はリスモン・ビジネス・ポータルが行っています。

(3) 教育関連事業


定額制の社員研修サービス「サイバックスUniv.」やeラーニング、集合研修サービスなどを提供し、企業の社員教育を支援しています。
顧客企業からの研修サービス利用料等が収益となります。運営はリスクモンスターが行っています。

(4) BPOサービス事業


企業の業務効率化やデジタルデータ化ソリューションを提供し、データ入力・加工からシステム開発、印刷、発送までをワンストップで請け負うサービスです。
顧客企業からの業務受託料が収益源です。運営はリスモン・マッスル・データ、日本アウトソース、シップスが行っています。

(5) その他事業


中国における日系企業向け与信管理サービスやグループウェアサービス等を提供しています。
顧客からのサービス利用料等が収益となります。運営は主に利墨(上海)商務信息咨詢有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は35億円から37億円前後で安定して推移しています。経常利益は2022年3月期をピークに減少傾向にあり、当期は特別損失の計上により最終赤字となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 36億円 37億円 37億円 37億円 37億円
経常利益 7億円 7億円 6億円 3億円 3億円
利益率(%) 18.9% 18.5% 14.8% 7.9% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 4億円 2億円 -0.5億円

(2) 損益計算書


売上高は微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。営業利益率は低下しており、コスト構造の変化が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 37億円 37億円
売上総利益 18億円 17億円
売上総利益率(%) 47.8% 45.6%
営業利益 3.0億円 2.6億円
営業利益率(%) 8.2% 7.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が5.8億円(構成比40.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の与信管理サービスは横ばいですが、BPOサービスが増収となり全体を牽引しました。一方、利益面では与信管理やビジネスポータルサイト等の主要事業で減益となり、その他事業は赤字となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
与信管理サービス 20億円 20億円 2.6億円 2.5億円 12.5%
ビジネスポータルサイト 6億円 6億円 2.3億円 2.1億円 33.9%
教育関連 2.3億円 2.2億円 0.6億円 0.4億円 15.8%
BPOサービス 10億円 10億円 0.0億円 0.1億円 1.4%
その他 4億円 4億円 0.1億円 -0.1億円 -
調整額 -4億円 -4億円 -2.6億円 -2.3億円 -
連結(合計) 37億円 37億円 3.0億円 2.6億円 7.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスで、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8.1億円 2.3億円
投資CF -7.1億円 -10.2億円
財務CF -2.8億円 2.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されず、スタンダード市場平均(7.2%)を下回っています。一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.4%で、スタンダード市場平均(57.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「顧客を大切にして共に繁栄しよう」および「プロフェッショナリズムを繁栄の源泉にしよう」を企業理念としています。事業を通じて取引先の満足度を高め、多様化するニーズに対してプロフェッショナルな商品及びサービスを提供し続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「挑戦なくして成長あらず」「和して同せず」「着眼大局、着手小局」「備えよ 常に」を行動基準として定めています。これらを指針として、法令遵守はもとより、広く社会規範や倫理観を尊重した公正で適切な経営を目指しています。

(3) 経営計画・目標


長期ビジョン「RismonG-30」及びそのマイルストーンとなる「第8次中期経営計画(2024~2025年度)」を推進しています。「新しいスタンダードを提供する」をキーワードに、社会に有用なサービスの提供や信用創出を目指し、数値目標としてROE、配当性向等の具体的な目標を設定しています。
* 配当性向:30%

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の安定成長に加え、国内外の事業投資拡大を目指しています。与信管理サービスでは独自データベースのDX運営強化やデータ拡充を行い、ビジネスポータルではスマホアプリ強化等による深化を図ります。BPOサービスではAI-OCR活用等を推進し、全体としてアップセル・クロスセルにつながる投資や付加価値向上投資を積極的に実行します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長実現のため人材を最も重要な経営資源と捉え、育成、登用、多様性対応、労働環境改善に取り組んでいます。ジョブ型雇用やハイブリッド勤務、フレックス制度を導入し、業務フローのDX化も推進しています。また、若手社員のキャリア開発研修や外部MBA講座の受講推奨など、プロフェッショナル人材の育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.8歳 8.0年 5,429,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.6%
男性育児休業取得率 66.6%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、若手社員の定着率(75.0%)、育児介護休業制度利用率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客情報の流出の可能性及び影響について


会員企業情報等多くの機密情報を扱っており、ISO認証取得等で管理強化に努めていますが、不正アクセスや管理不備による流出が発生した場合、損害賠償や信用失墜により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム障害について


サービスは独自開発システムやAWS等のクラウド基盤で運営されています。稼働監視や二重化等の対策を講じていますが、通信妨害、機器不良、クラウド基盤の不具合、自然災害等により障害が発生した場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合について


与信管理サービスやグループウェア市場には競合が存在します。現在は先行者メリットや差別化で優位性を確保していますが、新規参入や競争激化による会員減少、収益性悪化が生じた場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4) サービスの陳腐化について


インターネット技術やビジネスモデルの変化は速く、適応のためにシステム投資等を計画していますが、新技術の採用遅延や変化への対応に時間と費用を要した場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。