※本記事は、株式会社シダーの有価証券報告書(第45期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シダーってどんな会社?
同社は、九州・山口および関東地区を中心に、リハビリテーションを重視した介護サービスを展開しています。
■(1) 会社概要
2000年に介護事業への参入を目的としてシダーへ商号変更し、2001年より福岡県および山口県でデイサービス等の事業を開始しました。同年に関東地区へも進出し、2005年にジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後も全国へ施設展開を進め、2025年には名古屋証券取引所メイン市場へ重複上場しています。
現在の従業員数は連結で1,335名、単体で1,158名です。筆頭株主は同社顧問の山崎嘉忠氏で、第2位は大和ハウス工業、第3位はシダー取引先持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山崎嘉忠 | 25.40% |
| 大和ハウス工業 | 7.99% |
| シダー取引先持株会 | 6.93% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は座小田孝安氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 座小田孝安 | 代表取締役社長 | 1985年昭和病院入職。2000年同社入社、専務取締役営業本部長就任。2013年代表取締役専務営業本部長を経て、2016年より現職。 |
| 下屋敷寛 | 取締役管理本部長 | 1987年日本金属入社。2001年同社入社。2005年経理部長、2018年管理本部長を経て、同年より現職。 |
| 上原賢吾 | 取締役営業本部長 | 1998年小文字病院入職。2001年同社入社。2020年営業部次長を経て、2022年より現職。 |
| 中山愛美 | 取締役企画管理部長 | 1996年大手町病院入職。2003年同社入社。2020年事業管理部次長、2024年企画管理部長を経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、中村儀成(NPO法人列島会理事長)、安成信次(安成工務店代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「デイサービス事業」「施設サービス事業」「在宅サービス事業」および「その他」事業を展開しています。
■デイサービス事業
要介護・要支援認定者に対し、デイサービスセンターにおいて食事や入浴などの日常生活の世話、機能訓練などを提供しています。理学療法士などの専門家によるリハビリテーションを中心とし、元気な生活を支援するサービスが特徴です。
介護保険法に基づく介護報酬を主な収益源とし、利用者のニーズにあった多様なサービスを展開することで収益を獲得しています。事業の運営は同社が行っています。
■施設サービス事業
要介護・要支援認定者が入居する介護付有料老人ホームや、認知症の状態にある方が共同生活を送るグループホームを運営しています。施設において日常生活上の世話や機能訓練などを提供しています。
入居者からの利用料や特定施設サービス計画に基づく介護保険給付を収益源としています。既存施設の効率的な運営とサービスの充実を図り、高い施設稼働率を維持しています。運営は同社およびパインが行っています。
■在宅サービス事業
住み慣れた自宅で安心して生活できるよう、訪問リハビリテーション、訪問看護、訪問介護、ケアプラン作成などのサービスを提供しています。専門知識を持ったスタッフが自宅を訪問し、生活全般を援助します。
主に介護保険または医療保険による給付対象サービスであり、ケアプランに基づいたサービスの提供に対する報酬を収益源としています。運営は同社が行っています。
■その他事業
福祉用具の貸与や販売、障害支援サービス、および施設向けの給食サービスなどを提供しています。
福祉用具の利用料や給食の提供による売上を収益源としています。給食事業については、主に味屋フーズが運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が順調に拡大を続けており、毎期増収を達成しています。利益面では初期に損失を計上していましたが、その後は安定した黒字を確保しており、当期利益も増加傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 157億円 | 164億円 | 173億円 | 178億円 | 182億円 |
| 経常利益 | -0.5億円 | 0.2億円 | 6億円 | 7億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | -0.3% | 0.1% | 3.7% | 3.7% | 2.9% |
| 当期利益 | -3億円 | -2億円 | 0.3億円 | 3億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加したものの、売上総利益および営業利益は前年を下回りました。これは、介護職員に係る人件費の増加や、給食委託費などのコスト上昇が利益を圧迫したことが主な要因となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 178億円 | 182億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.1% | 12.1% |
| 営業利益 | 9億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.0% | 3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比34%)、租税公課が2億円(同14%)を占めています。売上原価においては、人件費が79億円(構成比56%)、経費が62億円(同44%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である施設サービス事業が売上の大部分を占めており、既存施設の入居者獲得に注力することで安定した収益を上げています。デイサービス事業も施設の稼働率向上により堅調な増収を達成し、全体の売上成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| デイサービス事業 | 39億円 | 41億円 |
| 施設サービス事業 | 127億円 | 128億円 |
| 在宅サービス事業 | 12億円 | 12億円 |
| その他 | 1.0億円 | 1.1億円 |
| 連結(合計) | 178億円 | 182億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フローの状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 13億円 |
| 投資CF | -1億円 | -4億円 |
| 財務CF | -8億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は9.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会的ニーズのあった介護サービスを中心として、特に心身に多少なり障害のある要支援者から要介護認定者に対して、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしくその人らしく生きるために積極的な生活支援並びに社会への参加を促すことにより、地域社会に貢献すること」を経営理念に掲げています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「いつも春の陽だまりでありたい」をコンセプトに介護サービス事業を展開しています。常に利用者やその家族の立場に立ち、ニーズを幅広く収集しながら、きめ細かなサポートを提供し、地域に信頼される企業を目指すことを重視しています。従業員にはこの経営理念を浸透させ、利用者の信頼を得られる質の高いサービスを提供するよう教育しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、継続的な売上成長とスケールメリットを追求することが必要と認識しています。これらを実現するため、収益性、投資効率等の観点から、主要な経営指標として以下を位置づけています。
* 売上高伸長率
* 売上高経常利益率
* ROE(自己資本利益率)
■(4) 成長戦略と重点施策
今後はデイサービス事業において新規顧客の獲得を積極的に推進するとともに、施設サービス事業では新規施設展開に伴う開設経費を既存施設の安定運営で吸収し、事業基盤を構築する方針です。また、在宅サービスとの連携やM&Aによるシナジー創出、介護保険外のサービス開発による事業の多角化にも取り組みます。
* 既存施設の稼働率・入居率の向上
* 人材確保と働きやすい職場環境の構築
* 外国人介護人材の採用・育成強化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、質の高い介護サービスの提供と持続的な事業成長に向け、従業員一人ひとりが能力を十分に発揮し継続的に成長できる環境整備を人材戦略の基本方針としています。人的資本への投資を重要課題と位置づけ、資格取得支援や内部研修制度の充実、キャリアパスに関する仕組みの整備・拡充などを通じて人材の確保・育成・定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 46.5歳 | 9.0年 | 4,567,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 57.1% |
| 男性育児休業取得率 | 54.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 88.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 93.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、介護福祉士資格の合格率(日本人従業員)(78.5%)、介護福祉士資格の合格率(外国人技能実習生・特定技能実習生)(44.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) デイサービス事業・施設サービス事業に伴うリスク
人員・設備等に関する指定基準を満たせなくなった場合、通常の介護報酬が請求できなくなる可能性があります。また、新規施設の開設には多額の資金負担が生じ、稼働率が安定するまで赤字が続くため、一時的に業績が悪化するリスクがあります。
■(2) 介護保険法による影響
同社の事業は介護保険制度に大きく依存しているため、関連法令の改正や介護報酬の改定によって収益性が低下する可能性があります。また、利用者の自己負担割合が引き上げられた場合、サービス利用が抑制され業績に影響を及ぼすおそれがあります。
■(3) 従業員の確保に関するリスク
事業規模の拡大に伴い有資格者などの人材確保が不可欠ですが、人材獲得の競争激化により十分な人員を確保・育成できない場合、新たな施設の増設が困難になるなど事業展開に直接的な影響を与える可能性があります。
■(4) 固定資産の減損に関するリスク
同社グループは複数の事業所に係る建物・土地などの固定資産を保有しています。事業所の収益性が悪化し、固定資産の簿価を割引前将来キャッシュ・フローで回収できなくなった場合、減損処理を行う必要があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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