シダー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シダー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、デイサービスや有料老人ホーム等の介護サービス事業を全国展開する企業です。リハビリテーションを中心とした自立支援サービスに強みを持ちます。第44期の連結業績は、既存施設の稼働率向上等により売上高は前期比3.0%増、経常利益は3.4%増と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社シダーの有価証券報告書(第44期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シダーってどんな会社?


リハビリテーション重視のデイサービスと有料老人ホームを主力とする、全国展開の介護サービス企業です。

(1) 会社概要


同社は2000年10月、介護事業への参入を目的に商号変更および本店移転を行い事業を開始しました。2001年に福岡・山口でデイサービス等の事業を開始し、2005年にJASDAQ市場へ上場を果たしました。その後、関東、北海道、関西、東北など全国へエリアを拡大し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しています。

現在の従業員数は連結で1,339名、単体で1,179名です。筆頭株主は創業者で顧問の山崎嘉忠氏であり、第2位は大和ハウス工業です。

氏名 持株比率
山崎嘉忠 25.40%
大和ハウス工業 7.99%
シダー取引先持株会 6.82%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は座小田孝安氏が務めています。取締役会の社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
座小田孝安 代表取締役社長 昭和病院、小文字病院勤務等を経て、2000年同社入社。専務取締役営業本部長などを歴任し、2016年6月より現職。
下屋敷寛 取締役管理本部長 日本金属等を経て、2001年同社入社。経理部長などを経て、2018年6月より現職。
上原賢吾 取締役営業本部長 小文字病院勤務を経て、2001年同社入社。営業部次長などを経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、中村儀成(特定非営利活動法人ゆとり理事長)、安成信次(株式会社安成工務店代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デイサービス事業」「施設サービス事業」「在宅サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) デイサービス事業


要介護・要支援認定者を対象に、食事、入浴、機能訓練などを提供し、日常生活を支援する主力事業です。理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを中心としたサービスを特徴とし、カラオケやシアタールームなどの設備や多彩なレクリエーションも提供しています。

収益は、主に介護保険制度に基づく介護報酬を利用者および保険者から受け取るモデルです。運営は主にシダーが行っています。

(2) 施設サービス事業


「ラ・ナシカ」ブランド等の介護付有料老人ホームやグループホームを運営し、入浴・排せつ・食事等の介護や機能訓練、日常生活の世話を提供しています。24時間の介護体制に加え、リハビリテーションやレクリエーションを通じて入居者の自立支援を行っています。

収益は、入居者からの利用料および介護保険制度に基づく介護報酬から成り立っています。運営は主にシダーおよび連結子会社のパインが行っています。

(3) 在宅サービス事業


自宅で生活する要介護者等に対し、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問介護(ホームヘルパー)、ケアプラン作成などのサービスを提供しています。看護師や療法士、介護福祉士などが自宅を訪問し、療養上の世話や身体介助、生活援助を行います。

収益は、利用者の介護度やサービス内容に応じた介護報酬等を利用者および保険者から受け取ります。運営は主にシダーが行っています。

(4) その他事業


福祉用具の貸与・販売、障害支援事業、および給食事業などを展開しています。

収益は、福祉用具のレンタル料や販売代金、給食サービスの対価などから構成されます。給食事業の運営は連結子会社の味屋フーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、過去に赤字を計上した時期もありましたが、直近2期は黒字を確保しており、特に当期は大幅な増益となりました。利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 156億円 157億円 164億円 173億円 178億円
経常利益 7億円 -0.5億円 0.2億円 6億円 7億円
利益率(%) 4.3% -0.3% 0.1% 3.7% 3.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 -3億円 -2億円 2億円 4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高の増加に伴い売上総利益も増加しており、本業の収益力は維持・向上しています。営業利益率も前期の4.4%から5.0%へと改善しており、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 173億円 178億円
売上総利益 22億円 23億円
売上総利益率(%) 12.8% 13.1%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 4.4% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比33%)、租税公課が2億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期は全セグメントで増収となりました。主力の施設サービス事業とデイサービス事業が堅調に推移し、特に施設サービス事業は全社利益の大半を稼ぎ出す収益の柱となっています。在宅サービス事業は赤字が続いていますが、デイサービス事業と施設サービス事業の利益でカバーし、連結全体での増益に貢献しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
デイサービス事業 37億円 39億円 3億円 4億円 9.0%
施設サービス事業 124億円 127億円 17億円 18億円 14.0%
在宅サービス事業 11億円 12億円 -0.6億円 -0.6億円 -5.4%
その他 1億円 1億円 1億円 1億円 129.2%
調整額 - - 0.0億円 0.0億円 -
連結(合計) 173億円 178億円 8億円 9億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 15億円 8億円
投資CF -4億円 -1億円
財務CF -4億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は34.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は7.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、介護保険制度の目的に沿い、社会的ニーズのある介護サービスを提供することを理念としています。特にリハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、要支援・要介護者がより人間らしく生きるための生活支援と社会参加を促すことで、地域社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


「いつも春の陽だまりでありたい」をコンセプトに、利用者やその家族の尊厳とニーズを尊重した質の高いサービス提供を重視しています。地域一番の信頼されるサービスを目指し、リハビリテーションを通じた自立支援に積極的に取り組む姿勢が組織全体に浸透しています。

(3) 経営計画・目標


継続的な売上成長とスケールメリットの追求を掲げ、収益性と投資効率の観点から以下の指標を主要な経営目標として位置づけています。

* 売上高伸長率
* 売上高経常利益率
* ROE(自己資本利益率)

(4) 成長戦略と重点施策


リハビリテーションを中心としたサービス提供による事業規模の拡大を図る方針です。デイサービス事業では機能訓練等のニーズに対応して新規顧客を獲得し、施設サービス事業では関東や政令指定都市での新規開設を積極的に進めます。また、ドミナントエリアの拡大やM&A、介護保険外サービスの開発による多角化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に伴い、有資格者や経験豊富な人材の確保を重要課題としています。雇用条件の見直しや働きやすい職場環境の構築に加え、教育研修プログラムの充実によりサービスの質向上と人材育成を図っています。また、キャリアパスの整備や外国人技能実習生の受け入れ・教育にも力を入れています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.4歳 8.4年 4,471,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 57.1%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) 74.5%
男女賃金差異(正規) 83.8%
男女賃金差異(非正規) 96.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 施設設置基準と人材確保


デイサービスや有料老人ホーム等の運営には、法令で定められた人員・設備基準を満たす必要があります。有資格者の確保が困難な状況下で欠員が生じた場合、介護報酬の減額請求や指定取り消し等のリスクがあります。同社は人材獲得や研修に注力し、職員定着率の向上に努めています。

(2) 介護保険制度の改正


事業収益の大部分が介護保険給付に依存しているため、制度改正や介護報酬の改定が業績に直接的な影響を与えます。基準単位や支給限度額の変更により採算性が変動する可能性があります。同社はリハビリ特化等の差別化を図り、法改正に柔軟に対応できる体制を整えています。

(3) 感染症の流行


高齢者を対象とする事業の特性上、インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が施設内で蔓延した場合、利用者の減少や一時的な業務停止を余儀なくされる可能性があります。同社は感染症対策マニュアルに基づく対応を徹底し、ウイルスを持ち込まない体制を継続しています。

(4) 金利変動リスク


新規施設開設資金を銀行借入に依存しているため、有利子負債比率が高水準にあります。金利が上昇した場合、支払利息の増加が利益を圧迫する可能性があります。同社は施設稼働率の向上等による収益性改善と自己資本の蓄積を進め、借入依存度の低下を目指しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。