システムリサーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムリサーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・名証プレミア上場の独立系SIer。製造業や流通業向けのシステム構築・ソフトウエア開発を主力とし、トヨタグループとの取引実績が豊富です。当連結会計年度の業績は、企業の堅調なIT投資需要を背景に、売上高は前年比11.1%増、営業利益は10.8%増と増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社システムリサーチの有価証券報告書(第45期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システムリサーチってどんな会社?


独立系のシステムインテグレーターとして、製造・流通・サービス業向けにシステム構築や保守を一貫して提供する企業です。

(1) 会社概要


1981年に名古屋市で設立され、ソフトウエア開発業務を開始しました。順調に事業を拡大し、2005年にジャスダック証券取引所へ上場、2016年には東京証券取引所市場第一部銘柄に指定されました。2024年に名古屋市に第1開発センターを開設するなど拠点を拡充し、2025年には名古屋証券取引所プレミア市場への重複上場を果たしています。

連結従業員数は1,484名、単体では1,461名体制です。筆頭株主は創業者の山田敏行氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は従業員持株会となっており、創業家と従業員による持株比率が高いのが特徴です。

氏名 持株比率
山田敏行 14.39%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 9.71%
システムリサーチ従業員持株会 5.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.1%です。代表取締役社長は平山宏氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
平山 宏 代表取締役社長 1984年同社入社。執行役員、取締役を経て2019年7月より現職。
梅本 美恵 取締役 1989年同社入社。システム技術2部ゼネラルマネージャー、執行役員を経て2018年6月より現職。
渡邉 貴文 取締役 1988年同社入社。東京支店ゼネラルマネージャー、執行役員を経て2019年6月より現職。
五十棲 一智 取締役 1995年同社入社。自動車システム事業部事業部長、製造システム事業部事業部長を経て2023年6月より現職。
太田 吉信 取締役 1995年同社入社。経営企画部ゼネラルマネージャー、執行役員管理本部長を経て2025年6月より現職。
中川 智 取締役 トヨタ自動車入社後、トヨタコミュニケーションシステム出向を経て2021年同社入社。自動車システム事業部事業部長を経て2025年6月より現職。
鳥居 文孝 取締役監査等委員(常勤) 2008年同社入社。経理部ゼネラルマネージャー、広報室ゼネラルマネージャーを経て2024年6月より現職。


社外取締役は、安井悟(元日本生命保険相互会社部長)、越川靖之(シンクエンタ代表取締役)、鈴木仁(元兼房常務取締役)、鈴木春美(税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウエア関連事業」の単一セグメントですが、以下の業務区分により事業を展開しています。

(1) SIサービス業務


顧客の情報化ニーズに対し、ハードウェアの選定からネットワーク構築、ソフトウエアの開発までを総合的に提案・構築します。ISO9001に基づく品質管理のもと、企画・設計から保守までを一括請負で提供します。POS管理システムや自動倉庫と連携したWMS(倉庫管理システム)など、専門技術を要する業務も行っています。

主な収益源は、顧客からのシステム構築およびハードウェア等の対価です。運営は主にシステムリサーチとソエルが行っています。

(2) ソフトウエア開発業務


大手企業を中心に、技術者を常駐させる形で企業の基幹業務システムの開発やメンテナンスを行います。製造業、流通業、サービス業など幅広い業種のシステムにおいて、上流工程から下流工程、その後の保守まで広範囲にサービスを提供しています。レガシーシステムのマイグレーションなども手掛けます。

主な収益源は、顧客との準委任契約や派遣契約に基づく開発・保守費用です。運営は主にシステムリサーチが行っています。

(3) ソフトウエアプロダクト業務


販売管理、顧客管理、会計、給与計算などのソフトウエアパッケージや、通販業界向けコアパッケージ商品などの開発・販売を行っています。中小企業ユーザー向けの商品から、中規模・大規模対応可能な商品までラインナップを持っています。

主な収益源は、不特定多数のユーザーに対するパッケージソフトのライセンス販売および保守料です。運営は主にシステムリサーチが行っています。

(4) 商品販売


SIサービス業務を推進する上で必要となるPCやネットワーク機器などの情報機器、ソフトウエア等の商品を仕入れて販売しています。独立系企業の強みを活かし、各メーカーの製品を最適な組み合わせで提供します。

主な収益源は、顧客への商品販売代金です。運営は主にシステムリサーチが行っています。

(5) その他


WEBサイト運営支援やクラウドサービス(SaaS)などを提供しています。ネットショップ構築サービス「イージーマイショップ」や、独自性のあるショッピングモール「あるる」の運営、クラウドCRMシステム「WArm+」、ペーパーレスソリューションなどを展開しています。

主な収益源は、ASP・クラウドサービスの利用料やECサイト運営に伴う手数料等です。運営は主にシステムリサーチとソエルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに右肩上がりの成長トレンドを描いています。特に売上高は毎期着実に増加しており、経常利益率も10%を超える高い水準を維持しています。当期利益についても安定的な増加傾向にあり、収益性の高さと成長の持続性がうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 162億円 184億円 216億円 233億円 259億円
経常利益 16億円 21億円 25億円 28億円 31億円
利益率(%) 9.8% 11.5% 11.7% 11.9% 11.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 15億円 16億円 19億円 22億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は23%台で安定しています。営業利益についても増益となっており、事業拡大に伴うコスト増を吸収して利益を確保している様子が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 233億円 259億円
売上総利益 54億円 60億円
売上総利益率(%) 23.0% 23.2%
営業利益 27億円 30億円
営業利益率(%) 11.6% 11.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が9億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が2億円(同7%)、役員報酬が2億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、業務区分別の売上高を見ると、主力のSIサービス業務とソフトウエア開発業務がともに順調に拡大しています。特にSIサービス業務は企業の底堅いIT投資需要を取り込み、二桁成長を記録しています。その他事業も規模は小さいものの成長しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
SIサービス業務 92億円 105億円
ソフトウエア開発業務 131億円 142億円
その他 10億円 12億円
連結(合計) 233億円 259億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で稼いだ資金をもとに、借入金の返済や設備投資を行っており、財務体質は健全です。特に営業キャッシュ・フローが潤沢で、投資や財務活動への支出を十分に賄えています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 21億円
投資CF -9億円 -11億円
財務CF -5億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.6%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.3%で市場平均を上回る高水準を維持しており、収益性と安全性を兼ね備えています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、常に顧客の抱える問題に最適なソリューションを提供し続けることを使命としています。収益基盤の拡大と企業の発展・継続を実現するため、「時流に乗る経営」「衆知を集める経営」「運命共同体の経営」「高能率・高配分の経営」「顧客志向の経営」の5つを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


独立系企業として、特定のメーカーや系列にとらわれず、自由な発想と技術で顧客の課題解決に取り組む文化があります。また、品質管理強化に向けた独自のプロジェクト・リスク・マネジメント活動「PRiMER」を推進し、組織的な改善活動を重視しています。さらに、全社員の価値観共有を図る「カルチャーブック」を作成するなど、一体感を大切にする風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは中長期目標『Next Vision 50th』を掲げており、以下の規模を目指しています。

* 売上高1,000億円
* 従業員3,000名体制
* 売上高伸び率:15%
* 営業利益率:15%

(4) 成長戦略と重点施策


『Next Vision 50th』の実現に向け、顧客密着の強みを活かしながら「ビジネスに寄り添うITパートナー」となることを目指しています。関東・関西での市場拡大や、DX推進による新たな価値創造、人材の確保・育成に注力しています。

* 関東・関西マーケットの優良顧客の獲得
* 次世代の中核事業になり得るビジネスの創出
* 新オフィス「第2開発センター」の開設による従業員の働く環境整備
* 「カルチャーブック」を通じたインナーブランディングによる人材定着率向上

5. 働く環境


同社的人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「運命共同体の経営」を理念に掲げ、雇用機会の安定を基本ポリシーの一つとしています。優秀な人材の採用とITエンジニアの確保・育成を経営課題として認識し、新拠点の開設による職場環境の整備や、インナーブランディングによるエンゲージメントの深化に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.0歳 7.9年 5,295,000円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.5%
男性育児休業取得率 53.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.5%
男女賃金差異(正規雇用) 72.2%
男女賃金差異(非正規) 78.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役務者の割合(8.9%)、新卒採用された女性の継続雇用割合(95.2%)、有給休暇取得日数(12.7日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化に伴う影響


地政学的リスクやインフレ、通商政策等の影響により、顧客企業の情報化投資が抑制されるリスクがあります。IT投資の減少は、技術者の稼働率低下や売上・収益の悪化に直結する可能性があります。顧客の業績動向は6〜12ヶ月遅れてIT投資に影響する傾向があるため、動向を注視し技術者の最適配置を行う方針です。

(2) 主要顧客(トヨタグループ)との取引


東海地区におけるトヨタグループとの取引が重要や位置を占めており、トヨタ自動車単体での売上比率は17.5%に達します。同グループの事業動向が同社の業績に影響を与える可能性があります。他の顧客や新規顧客との取引拡大により、売上比率の偏りを是正する方針をとっています。

(3) 技術者および協力会社の確保


事業拡大には優秀な技術者の確保が不可欠ですが、労働市場の逼迫により十分な人材を確保・育成できない場合や、従業員の大量退職が発生した場合、事業展開が制約される可能性があります。また、協力会社の質・量を確保できない場合も事業運営に支障をきたす恐れがあります。

(4) 不採算プロジェクトの発生


システム開発において、開発の難易度や予期せぬバグ等により想定外のコストが発生し、収益性の低いプロジェクトとなる可能性があります。品質管理強化のための独自活動「PRiMER」等によりリスク回避に努めていますが、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。