システムリサーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムリサーチ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムリサーチは東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場する総合情報サービス企業です。主力事業として企業の基幹系システム構築やソフトウェア開発を幅広く手がけています。直近の業績では、企業の旺盛なデジタルトランスフォーメーション投資を背景に、堅調な増収増益を維持しています。


※本記事は、株式会社システムリサーチの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システムリサーチってどんな会社?


独立系のIT企業として、様々な業種の基幹システム構築やクラウドサービス等を提供する総合情報サービス企業です。

(1) 会社概要


1981年に愛知県でソフトウェア開発を目的として設立されました。1986年に労働者派遣事業の届出を行い事業を拡大し、2005年にはジャスダック市場に株式を上場しました。その後東京証券取引所へ上場し、2022年にプライム市場へ移行しました。2025年には名古屋証券取引所プレミア市場に重複上場しています。

同社グループは連結従業員数1,569名、単体従業員数1,548名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は創業者の山田敏行氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には従業員持株会が名を連ねており、安定した株主構成のもとで事業を推進しています。

氏名 持株比率
山田敏行 9.55%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.30%
システムリサーチ従業員持株会 5.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.1%です。代表取締役社長は平山宏氏が務めています。社外取締役の比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
平山宏 代表取締役社長 1979年小泉屋入社。1984年同社入社。2000年執行役員、2005年取締役を経て、2019年7月より現職。
梅本美恵 取締役 1980年東邦ガス入社。1989年同社入社。執行役員システム開発1部担当等を経て、2026年4月より現職。
渡邉貴文 取締役 1986年大和計算センター入社。1988年同社入社。東京支店ゼネラルマネージャー等を経て、2026年4月より現職。
五十棲一智 取締役 1995年同社入社。執行役員自動車システム事業部事業部長等を経て、2026年4月より現職。
太田吉信 取締役 1995年同社入社。経営管理部ゼネラルマネージャー等を経て、2025年6月より現職。
中川智 取締役 1987年トヨタ自動車入社。2021年同社入社。執行役員自動車システム事業部事業部長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、安井悟(元ニッセイ信用保証名古屋支店長)、越川靖之(シンクエンタ代表取締役)、鈴木仁(元兼房取締役常務執行役員)、鈴木春美(鈴木春美税理士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウエア関連」および「その他」事業を展開しています。

(1) SIサービス業務


コンピュータ機器の選定からネットワーク構築、企画・設計・開発・保守まで、一括請負契約によって総合的な情報システムを提供するサービスです。独立系IT企業の強みを活かし、メーカーにとらわれず顧客の経営課題に直結した最適なシステムソリューションを提案・構築しています。

収益は、顧客企業からの一括請負契約に基づくシステム開発費や構築費として受け取ります。POS管理システムや物流施設向けの特殊な制御システムなど高度な技術が求められる案件にも対応し、運営は同社およびソエルが行っています。

(2) ソフトウエア開発業務


大手企業を中心とした顧客に対し、常駐型を中心とする情報システムの開発およびメンテナンス業務を提供しています。製造業や流通業など幅広い業種に対応し、システム開発の上流工程から下流工程、さらには既存システムのクラウド環境等への移植まで幅広く支援しています。

収益は、企業との準委任契約や労働者派遣契約に基づき、技術者の稼働に応じたシステム開発および保守・運用費用として受け取ります。高い技術力を持つエンジニアが顧客の基幹業務を支え、運営は同社が主体となって行っています。

(3) ソフトウエアプロダクト業務・商品販売


中小企業ユーザー向けに、販売管理や会計・給与計算などの自社製パッケージソフトの開発・販売・保守を提供しています。また、SIサービスを提供する過程で必要となる、PCやネットワーク機器などの各種ハードウェアやソフトウェアの仕入れ販売も行っています。

収益は、パッケージソフトの販売代金や保守利用料、および各種IT機器の販売代金として不特定多数のユーザーや法人顧客から受け取ります。各メーカーの製品を最適な組み合わせで提供しており、これらの運営は同社が行っています。

(4) その他(WEBサイト運営等)


電子商取引分野の事業として、既存のホームページにリンクを貼るだけでネットショップを構築できるクラウドサービスや、専用の決済サービスなどを提供しています。また、AIを活用した自社のクラウド型CRMシステムや文書検索支援サービスも展開しています。

収益は、クラウドサービス(SaaS)の月額利用料やシステム利用料として契約ユーザーから受け取ります。独自性のあるインターネットショッピングモールの運営等も手がけており、運営は同社およびソエルが共同で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高および経常利益ともに一貫して右肩上がりの成長を続けています。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や基幹システムの刷新需要を背景に、IT投資需要が堅調に推移したことが業績拡大を牽引しました。利益率も11%〜12%台で安定して推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 184億円 216億円 233億円 259億円 291億円
経常利益 21億円 25億円 28億円 31億円 36億円
利益率(%) 11.5% 11.7% 11.9% 11.8% 12.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 16億円 19億円 22億円 26億円

(2) 損益計算書


堅調なシステム開発需要を取り込んだ結果、売上高は前年から大きく伸長しています。稼働率の向上や高収益案件へのシフト、ならびにプロジェクトの採算管理を徹底したことにより、売上総利益および営業利益も順調に増加しており、営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 259億円 291億円
売上総利益 60億円 68億円
売上総利益率(%) 23.2% 23.3%
営業利益 30億円 35億円
営業利益率(%) 11.6% 11.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10億円(構成比29%)、役員報酬が2億円(同7%)、賞与引当金繰入額が2億円(同7%)を占めています。また、売上原価においては、外注費が114億円(構成比51%)、労務費が94億円(同42%)を占めており、人材と外部リソースへの投資がコストの大半を占めています。

(3) セグメント収益


業務区分別の売上動向を見ると、全ての領域で前年を上回る増収を達成しています。特に構成比の大きいソフトウェア開発業務は、既存顧客からの継続案件を安定的に確保できたことで売上を伸ばしました。SIサービス業務も、製造業を中心とするモダナイゼーション需要を取り込み堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
SIサービス業務 105億円 109億円
ソフトウエア開発業務 142億円 166億円
その他 12億円 16億円
連結(合計) 259億円 291億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 21億円 25億円
投資CF -11億円 -9億円
財務CF -10億円 -13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.6%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も69.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、独立系企業としての確かな技術力を活かし、顧客の抱える問題に最適なソリューションを提供し続けることを企業の使命としています。収益基盤の拡大と企業の発展を実現するため、「時流に乗る経営」「衆知を集める経営」「運命共同体の経営」「高能率・高配分の経営」「顧客志向の経営」の5つを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、「継続的な利益確保」「企業価値の向上」「雇用機会の安定」の3つを基本ポリシーとし、社員が能力を最大限に発揮できる職場づくりを重視しています。文系・理系を問わず自律的なキャリア形成を後押しする風土があり、「ダイバーシティ エクイティ&インクルージョン」の推進や健康経営の取り組みを通じて、多様な人材が活躍できる環境を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、会社の成長と収益性を確保するための経営指標として、「売上高伸び率」と「営業利益率」を重視しています。中長期目標である『Next Vision 50th』において、具体的な将来像を設定して事業拡大を推進しています。

* 毎期10%以上の売上高伸び率と営業利益率10%以上
* 将来的には売上高伸び率15%、営業利益率15%を目指す
* 中期目標:売上高500億円
* 長期目標:売上高1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、社会課題の解決に資するIT投資需要を取り込むため、ソリューションビジネスの拡大と「プライムベンダー化(エンドユーザーからの一次請け)」を重点施策として推進しています。また、AIの進化への対応を最重要課題と位置づけ、AI活用を前提とした業務プロセスの革新や新規サービスの創出など、DX領域への取り組みを強化して顧客の経営革新に貢献していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材を持続的成長を支える最大の資本と位置づけ、全従業員数の10%を新卒採用する方針を掲げて人材確保を進めています。社員のキャリア形成を支援するため、教育カリキュラムや資格取得支援を整備するとともに、IT人材のコアスキルであるプロジェクトマネジメント力や業務知識の向上に注力し、価値共創型の高度IT人材の育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 33.7歳 7.9年 5,481,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 70.0%
男女賃金差異(全従業員) 80.3%
男女賃金差異(正規) 80.3%
男女賃金差異(非正規) 79.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の継続雇用割合(99.9%)、有給休暇取得日数(13.1日)、デジタル技術の資格取得者数(185名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化と情報化投資の抑制


地政学的緊張や原材料価格の高騰などにより経済の先行きが不透明な中、企業の情報化投資が抑制・縮小される可能性があります。プロジェクトの中断や技術者の稼働率低下が生じた場合、同社の業績や収益性に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 主要顧客の事業動向による影響


同社は東海地区においてトヨタグループとの取引が重要な位置を占めています。安定した関係を築いているものの、同グループの事業動向や投資方針の変更があった場合、売上比率の偏りから同社の業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) IT技術者の確保と育成に関する課題


システム開発は知識集約型かつ労働集約的な性質を持ち、優秀な技術者や協力会社の確保が事業拡大に不可欠です。労働市場の逼迫やAI活用による開発自動化が進む中、適切な人材の確保・育成ができなければ、事業展開が制約されるリスクがあります。

(4) 情報セキュリティと個人情報の管理


システム開発において顧客データを取り扱うため、情報漏洩やマルウェア感染、サイバー攻撃に晒される危険性があります。不測の事態により重大なセキュリティ事故が発生した場合、社会的信用の失墜や多額の損害賠償が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

システムリサーチの転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

システムリサーチの2026年3月期決算は、売上高・すべての利益項目で過去最高を更新。豊富なモダナイゼーション需要を捉えて好調を維持しています。「なぜ今システムリサーチなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。