ジーダット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジーダット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジーダットは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、半導体やディスプレイ設計用のEDA(電子系CAD)ソフトウェアの開発・販売を主力とする企業です。直近の業績は売上高20億円、経常利益3億円でわずかながら減収減益となりましたが、高収益体質を維持し、次世代技術に向けた研究開発を推進しています。


※本記事は、株式会社ジーダットの有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ジーダットってどんな会社?


半導体や電子デバイス設計を支援するEDAソフトウェアの自社開発とソリューションを提供する企業です。

(1) 会社概要


2003年11月にセイコーインスツルメンツの子会社として設立され、翌2004年に現在のジーダットへと商号を変更しました。同年、親会社のEDAシステム事業部門を会社分割により承継し、同時にアルゴグラフィックスの連結子会社となりました。その後事業を順調に拡大し、2007年3月に株式上場を果たしました。

従業員数は単体で130名体制となっています。筆頭株主は事業会社のアルゴグラフィックスで、第2位は同じく事業会社でありかつての親会社であるセイコーインスツルが名を連ねており、安定した資本関係のもとで事業を展開しています。

氏名 持株比率
アルゴグラフィックス 51.40%
セイコーインスツル 21.20%
ジーダット従業員持株会 1.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は松尾和利氏が務めています。取締役は6名で、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
松尾和利 代表取締役社長執行役員 1988年セイコー電子工業入社。2004年同社入社、営業本部長等を経て2019年より現職。
小川尚史 取締役専務執行役員内部監査室 室長 1983年第二精工舎入社。2004年同社入社、営業本部長等を経て2025年より現職。
藤澤義麿 取締役 1965年日本レミントン・ユニバック入社。1985年アルゴグラフィックス入社後、2017年より現職。
長谷部邦雄 取締役 1984年伯東入社。2010年アルゴグラフィックス入社、管理本部長等を経て2014年より現職。


社外取締役は、佐上達男(セイコーインスツル取締役)、渥美滋(元ソニーLSIデザイン部門長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「EDAソフトウェアの開発・販売及びコンサルテーション」事業を展開しています。

EDAソフトウェアの開発・販売及びコンサルテーション


EDAソフトウェアを中心とした開発・販売・コンサルテーション事業を展開しています。半導体メーカーや液晶パネルメーカー、電子機器メーカーなどの技術要求に応え、設計品質の検証や自動化を支援するツールを自社開発し、直販または代理店経由で提供しています。

収益源は、自社開発および代理販売による製品売上、定期的な保守サービス料、そしてソフトウェアの受託開発やデバイス設計受託等のソリューション売上から構成されています。これらの事業運営はすべてジーダットが主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は概ね20億円から21億円の規模で安定して推移しています。経常利益も毎年2億円から4億円を確保しており、利益率は12%から18%の間で推移するなど、事業の専門性の高さを背景とした安定的な高収益体質を維持していることが読み取れます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 20億円 20億円 21億円 21億円 20億円
経常利益 3億円 3億円 4億円 3億円 3億円
利益率(%) 14.0% 15.7% 18.1% 14.1% 12.3%
当期利益 2億円 3億円 3億円 2億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比でわずかに減少したものの、売上総利益率は60%台半ばの高い水準を維持しており、営業利益率も12%台で安定しています。ソフトウェア自社開発事業に特有の高付加価値な収益構造が定着しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 21億円 20億円
売上総利益 13億円 13億円
売上総利益率(%) 63.3% 64.4%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 12.5% 12.8%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が3億円(構成比33%)、給料及び手当が3億円(同30%)を占めています。売上原価においては、ソフトウェア開発に伴う労務費が中心となっています。

(3) セグメント収益


代理店製品の需要増により「製品及び商品」が堅調に推移し、契約促進が功を奏した「保守サービス」も増加しました。一方で、「ソリューション」は前年度にあった大型商談の反動等で減少しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
製品及び商品 12億円 12億円
保守サービス 4億円 4億円
ソリューション 5億円 4億円
連結(合計) 21億円 20億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1億円 4億円
投資CF 0.1億円 -0.3億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「技術革新の激しい顧客企業等のパートナーたるにふさわしい知識、技術力を備え、常に最先端の技術を見つめつつ、顧客の現実の課題を確実に解決していくことにより社会に貢献する」ことを経営の基本理念として掲げています。半導体や微細加工分野でNo.1のポジションを目指しています。

(2) 企業文化


自社の強みや資源をフォーカスし、世界に通用するNo.1技術、No.1製品を追求して海外市場へ積極的に展開する文化を重視しています。また、設計支援ソフトウェアの使命として、製品およびサポートサービスにおける品質の追求を徹底しています。

(3) 経営計画・目標


激しい技術革新に対応しつつ、米国の大手企業に対抗するため、高収益な事業体質を目指しています。ソフトウェア開発事業の特徴である固定費中心の費用構造であることを踏まえ、高収益の指標として以下の数値目標を掲げています。

* 経常利益率 10%

(4) 成長戦略と重点施策


技術力や製品力、開発力を強化し続け、アナログLSI設計の自動化やパワー半導体の設計効率化に向けた研究開発を推進します。さらに、販売市場や顧客層の拡張のため、海外パートナー企業との販売連携強化や、電子部品・素材分野への販売チャネル拡張を進めていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資源の充実化を不可欠とし、高い専門性を持った高付加価値な技術や資格を有する人材の確保と育成に努めています。国籍・性別・新卒・中途採用等を区別しない採用活動と、年齢や性別にこだわらない報酬・昇進制度により、多様性を拡張して人材の流出を防ぐ方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.8歳 12.0年 6,524,583円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男女賃金差異について、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員率(11%)、有給休暇取得率(64%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 大規模災害あるいはその派生事象発生

ソフトウェアのソースコードや顧客へのライセンス情報など極めて重要な情報資産を保有しており、これらは分散管理されていますが、大規模災害等で多くが失われた場合には事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場構造の変化

対象とする国内市場は縮小傾向にあり、対策として海外ディスプレイ市場や海外半導体市場への拡販を進めています。しかし、高信頼性設計ニーズの掘り起こしなどの対策が遅れた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新製品開発力

技術革新が極めて速い市場において、常に最先端のニーズを先取りした製品化が必要です。市場のニーズ変化を的確に捉えられず、優秀な人材や資金を確保できずに製品競争力が低下した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 知的財産権

自社の技術ノウハウの保護に努め、他社の知的財産権侵害には細心の注意を払っていますが、将来的に認識していない特許等により第三者から侵害の通告を受ける可能性があり、多額の費用が発生する恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。