アジュバンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アジュバンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アジュバンホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、サロン向け化粧品の企画・開発・販売を展開する企業です。主力のヘアケア・スキンケア商品を通じてトータルビューティーを提案しています。直近の業績は、売上高38億円と減収になったものの、販管費の削減により経常利益2億円の増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アジュバンホールディングスの有価証券報告書(第37期、自 2025年3月21日 至 2026年3月20日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アジュバンホールディングスってどんな会社?


理美容室などのサロン向けに、人間の本来持つ力を引き出すスキンケア・ヘアケア商品を提供する化粧品メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1990年にみずふれんどとして設立され、1995年にアジュバンへ商号を変更して事業を本格化させました。2012年に東京証券取引所市場第二部に上場し、その後第一部指定を経て、現在はスタンダード市場に上場しています。2021年には持株会社体制へ移行し、現在のアジュバンホールディングスへと商号を変更しました。

現在の同社グループは、連結従業員数123名、単体12名の体制で運営されています。大株主の構成を見ると、筆頭株主はT・Nソリューションで、第2位は同社の役員である田中昌樹氏、第3位はボンニーとなっています。

氏名 持株比率
T・Nソリューション 11.94%
田中昌樹 11.76%
ボンニー 11.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長兼社長を中村豊氏が務め、3名の社外取締役を選任しています。

氏名 役職 主な経歴
中村豊 代表取締役会長兼社長 1990年みずふれんど設立に参画し取締役就任。アクト企画代表取締役社長等を経て、2021年1月より代表取締役会長兼社長。アジュバンコスメジャパン代表取締役を兼務。
田中順子 専務取締役 1990年みずふれんど設立に参画し代表取締役社長就任。アクト企画専務取締役等を経て、2021年9月より同社専務取締役。アジュバンコスメジャパン代表取締役を兼務。
藤原武 取締役 1997年同社入社。西日本営業部長兼神戸営業所長等を経て、2021年アジュバンコスメジャパン執行役員営業本部長に就任。2023年6月より同社取締役。
大嶋宏和 取締役 2005年アジュバンコスメジャパン入社。東日本営業部長兼東京営業所長等を経て、2023年アジュバンコスメジャパン取締役営業本部副本部長に就任。2023年6月より同社取締役。
田中昌樹 取締役 2004年アジュバンコスメジャパン入社。2C取締役等を経て、2023年アジュバンコスメジャパン取締役就任。2024年6月より同社取締役。
中村卓哉 取締役 りそな銀行、リクルートキャリアを経て中小企業診断士として独立。2024年同社入社。経営管理本部長を経て、2025年6月より取締役経営管理本部長。


社外取締役は、木田臣哉(元ニチモ常務執行役員)、三村淳司(三村公認会計士事務所代表)、中村小裕(レクシア特許法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、化粧品販売を中心とした単一セグメントで事業を展開しています。

同社グループは、理美容室、エステティックサロン、ネイルサロンなどのプロフェッショナル市場に向けて、スキンケアやヘアケア商品の企画、開発、販売を行っています。「人間が本来持っている、自ら健やかになろうとする力を引き出す」ことを基本方針とし、ノンアルコールや無着色など安心・安全を追求した商品群を通じて、トータルビューティーを提案しています。

収益モデルとしては、代理店経由または直接サロンに商品を販売し、サロンが消費者に対してカウンセリング販売を行う形態をとっています。主力事業の運営は主にアジュバンコスメジャパンが行っており、サロン向けのセミナーや販売ノウハウの提供も実施しています。また、2CがECを通じた消費者への直接販売を展開し、ADJUVANT GLOBAL COMPANY LIMITEDが海外向けの販売とプロモーションを担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は40億円台で安定して推移していましたが、直近では38億円へとやや減少傾向にあります。一方で、経常利益は一時期の落ち込みから回復傾向にあり、利益率も改善しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 44億円 44億円 44億円 41億円 38億円
経常利益 4億円 3億円 0.2億円 1億円 2億円
利益率(%) 9.1% 6.1% 0.4% 3.3% 5.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 1億円 -2億円 -0.5億円 0.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の売上総利益率は60%台後半で高水準を維持しています。当期は売上高が減少したものの、コストコントロールによって営業利益と営業利益率はともに改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 41億円 38億円
売上総利益 27億円 26億円
売上総利益率(%) 64.8% 67.2%
営業利益 1億円 2億円
営業利益率(%) 3.1% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.6億円(構成比24%)、販売促進費が2.6億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントであるため、商品区分別の売上高を比較します。主力のヘアケアとスキンケアがいずれも前年比で減少したことが、全体の減収の主な要因となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
スキンケア 15億円 14億円
ヘアケア 27億円 27億円
その他 2億円 0.8億円
調整額 -4億円 -3億円
連結(合計) 41億円 38億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で投資を行い、有利子負債の返済や株主還元を実施している健全な状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 3億円 1億円
投資CF -1億円 -1億円
財務CF -1億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「美と健康を通じてすべての人に夢と感動をお届けする」ことを経営理念に掲げています。また、経営目標として、人々の生活を豊かにする商品の研究開発と提供による社会貢献、美容のプロフェッショナルをサポートする存在であること、そしてお客様や社員と感謝し合える関係を築くことを目指しています。

(2) 企業文化


創業以来、「人間が本来持っている、自ら健やかになろうとする力を引き出す」ことを商品開発の基本方針としています。“美しさに正しくありたい”という想いのもと、ノンオイル、ノンアルコール、無着色など安心・安全な商品づくりにこだわる姿勢が根付いています。また、カウンセリングを通じた販売手法を重視し、サロン経営を多角的に支援する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「2025-2027 NEXT」において「再成長に向けた事業基盤の強化と変革」を掲げています。2027年度の目標として以下の数値を設定し、さらに2030年度のターゲット指標も見据えています。

* 2027年度目標:連結売上高48億円、連結経常利益1.7億円
* 2030年度目標:連結売上高60億円以上、連結経常利益5億円以上
* 2030年度目標:ROE 8%以上、PBR 2倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、同社は大きく4つの優先課題に取り組んでいます。

* 美容サロン市場への貢献と成長の実現(安心・安全な商品の価値強化)
* DX/デジタル活用の推進(ECプラットフォームやAI肌診断ツールの活用による顧客育成)
* 新商品・ブランド戦略の強化(ポートフォリオの最適化と既存商品のリブランディング)
* サステナビリティ経営と企業価値向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人に基軸をおく経営」を基本スタンスとし、人的資本を最も重要な資産と位置づけています。「自立した人をつくり、社会に役立ち貢献できる人を輩出する企業であること」をパーパスに掲げ、社員が心身ともに健康であることや、女性活躍推進を含む多様性の確保が、企業の安定的な存続に繋がると考えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.8歳 7.6年 6,116,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.7%
男女賃金差異(正規雇用) 79.4%
男女賃金差異(パート・有期) -

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内化粧品市場の競争激化

人口減少に伴う美容人口の減少や消費動向の停滞に加え、異業種からの新規参入など競争が激化しています。「自然派化粧品」等への関心が高まる中、予期せぬ競争環境の変化や顧客ニーズとの乖離が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品開発の遅延と品質問題

商品開発は長期に及ぶことがあり、新技術や新成分の開発が想定した利益に結びつかない可能性があります。また、万が一販売した商品に瑕疵が判明した場合、損害賠償請求や大量の返品、信用失墜を招く恐れがあります。

(3) 外部への製造委託リスク

商品の製造は外部工場に委託しており、品質管理や安定供給に努めていますが、製造委託工場が天災等による被害を受けたり、経営破綻や製造能力の低下が生じたりした場合、商品の安定供給に支障をきたす可能性があります。

(4) 関連法規と知的財産権の侵害

医薬品医療機器等法に基づく許可を受けて事業を展開しているため、法規制の変更や許可の取消しがあった場合、事業活動が制限されるリスクがあります。また、意図せず第三者の特許等に抵触した場合、損害賠償や商品回収の費用が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。