※本記事は、キッズウェル・バイオ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
キッズウェル・バイオは、バイオシミラーの開発・供給を行う「バイオシミラー事業」と、乳歯歯髄幹細胞(SQ-SHED)を活用した細胞治療製品の実用化を目指す「細胞治療事業(再生医療)」を展開しています。医薬費抑制と革新的な治療薬の実用化に貢献しています。
単体従業員数は32名、連結従業員数は32名です。セグメントはバイオシミラー事業、細胞治療事業(再生医療)の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)S-Quatre(細胞治療事業(再生医療))などです。
同社グループは、米国における同種SQ-SHEDの臨床開発加速のため、Treehill Partners, LLCと米国に新会社を共同設立することで2026年2月に基本合意しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
キッズウェル・バイオは、バイオ医薬品や細胞治療製品の研究開発を推進する企業です。同社グループは、高度な専門知識を持つバイオ人材の確保と育成を重視し、創造性とイノベーションを育む組織風土を基盤としています。このような環境で、専門性を活かしながらキャリアを築きたいと考える方にとって、同社の給与水準や働き方は重要な要素となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が比較的高く、経験豊富な人材が活躍している傾向が見られます。一方で、平均勤続年数は中程度であり、専門性を追求しながらキャリアを形成していく働き方がうかがえます。このような環境は、自身の専門性を活かし、新たな挑戦を求める方にとって魅力的な要素となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,168,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.6年 |
| 平均年齢 | 48.6歳 |
| 単体従業員数 | 32人 |
| 連結従業員数 | 32人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社グループは、確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は同社グループ全体に適用され、退職一時金制度が設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、バイオシミラー事業および細胞治療事業の推進において、専門人材の確保と育成を経営戦略の重要な基盤と位置付けています。医薬品の研究開発、製造、品質管理、規制対応等における高度な専門性を競争力の源泉とし、研究開発パイプラインの推進力向上と事業化の確度向上を目指しています。
従業員の給与やその他の給付は、各従業員の役割と責任、業績への貢献度、能力、市場水準を総合的に考慮し、社内規程に基づく人事考課を経て決定されます。これにより、公平性と競争力の確保を図っています。
同社グループは、中長期的な企業価値向上と継続的な成果最大化のため、事業環境や研究開発の進捗に応じた最適な組織体制の柔軟かつ機動的な見直しを基本としています。その基盤として、高度な専門知識を持つ多様なバイオ人材の確保・育成が重要であると考えています。
具体的な取り組みとして、研究開発、品質管理、製造、薬事、知的財産等の各領域における専門人材の確保を重視し、海外展開を見据えたグローバル人材の採用にも取り組んでいます。育成面ではOJTを中心とし、外部パートナーとの連携や技術交流を通じて専門性の向上を推進しています。また、性別、年齢、国籍、経験等の多様性を尊重し、自主性や挑戦を尊重する組織風土の醸成に努めています。従業員のキャリア志向やライフステージに応じた柔軟な働き方を可能とする制度や環境の整備も進められています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。同社および連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
キッズウェル・バイオは、バイオシミラーの開発および供給と、乳歯歯髄幹細胞(SQ-SHED)を活用した細胞治療製品の実用化に取り組む企業です。医薬品産業の成長を支える新薬創出と医薬費抑制という両面に対応する事業を展開しています。同社グループは、持続的な収益を確保するバイオシミラー事業と、将来的な高い収益成長が期待される細胞治療事業(再生医療)を組み合わせたハイブリッド事業体制を特徴としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
キッズウェル・バイオは、バイオシミラーの開発・供給と、独自に開発した乳歯歯髄幹細胞(SQ-SHED)を活用した細胞治療製品の実用化を目指す「細胞治療事業(再生医療)」の二つの事業を展開しています。バイオシミラー事業では、パートナー製薬企業との連携によりフィルグラスチムバイオシミラー、ダルベポエチンアルファバイオシミラー、ラニビズマブバイオシミラー、ペグフィルグラスチムバイオシミラーなどの製品を上市しています。これらのバイオシミラー原薬等の供給を通じて持続的な収益を確保しています。
収益は、臨床試験開始や製造販売承認申請、上市といった各開発段階における進捗に応じた開発マイルストンペイメントによる一時金収益と、バイオシミラー原薬等をパートナー製薬企業に供給することによる販売収益の二本柱で構成されています。また、契約内容によっては、パートナー製薬企業の販売実績に応じたロイヤリティ収益を得る場合もあります。細胞治療事業では、契約一時金収益、開発マイルストンペイメントによる一時金収益、細胞治療製品等の原料となるSQ-SHED等の供給による販売収益を得ています。
同社グループは、アカデミアや開発・製造受託機関(CDMO)、製薬企業等との連携による「バーチャル型」の研究開発体制を構築し、限られた経営資源の下でも効率的かつ確実性の高い開発を推進しています。外部顧客への売上高は本邦以外にありませんが、バイオシミラー原薬の製造等に対する海外CDMO等への支払いにかかる為替レートが円安方向に変動したことで、製造原価が上昇する影響が見られました。主要な顧客は千寿製薬株式会社と持田製薬株式会社であり、これらの企業への販売実績が同社グループの売上高の大部分を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
キッズウェル・バイオの直近5期の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。特に当期は前期と比較して大きく伸長しました。一方で、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、当期において損失を計上しています。
当期に損失を計上した主な要因としては、バイオシミラー事業における製造原価低減施策や新規バイオシミラーの開発、細胞治療事業における治験実施に向けた非臨床試験や大量製造法開発への研究開発投資の増加が挙げられます。また、シンジケートローン組成に伴う支払手数料や、バイオシミラー原薬等の製造工程における棚卸資産廃棄損、組織再編に伴う研究拠点の統合関連費用も影響しました。同社グループは、翌連結会計年度には連結営業黒字を達成する見通しを示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 15.7億円 | - | - | 50.8億円 | 65.9億円 |
| 経常利益 | △9.5億円 | - | - | 5百万円 | △3.7億円 |
| 経常利益率 | △60.7% | - | - | 0.1% | △5.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △5.4億円 | - | - | △21百万円 | △4.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △17.35 | - | - | △0.52 | △8.48 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
キッズウェル・バイオの従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期から増加しています。これは、バイオシミラー事業における売上高の伸長が寄与していると考えられます。一方で、従業員1人あたりの営業利益(連結)は前期から減少しており、当期は損失となっています。売上高の増加はあったものの、研究開発投資の増加や一時的な費用計上が影響していると見られます。同社グループは翌連結会計年度での連結営業黒字達成を見込んでおり、今後の生産性改善が期待されます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 137.4百万円 | 205.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | △4.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、バイオシミラー事業と細胞治療事業の成長に向けた研究開発投資を積極的に行っています。そのため、キャッシュフローは成長投資フェーズの動きを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で26.4%となっており、前期の19.1%から増加しています。これはプライム市場の製造業平均と比較すると低い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期で△27.0%となっており、収益性には課題が見られます。一方で、手元資金である現金及び預金は当期末で32.9億円と、前期の30.0億円から増加しており、一定の流動性を確保しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 14.1億円 | 16.5億円 |
| 自己資本比率 | 19.1% | 26.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △27.0% |
| 現金及び預金 | 30.0億円 | 32.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当連結会計年度において営業活動によるキャッシュフローが△11.0億円と資金を使用しています。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上や契約負債(前受金)の減少が影響しています。投資活動によるキャッシュフローも△0.1億円の資金を使用しており、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは△11.1億円とマイナスとなっています。この資金不足は、財務活動によるキャッシュフローで14.0億円の資金を調達することで補われています。これは主にシンジケートローン組成による新規借入収入が影響しています。同社グループは、細胞治療事業への研究開発投資が先行している状況であり、事業拡大に向けた資金調達を進めていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.4億円 | △11.0億円 |
| 投資CF | 0.7億円 | △0.1億円 |
| 財務CF | △2.4億円 | 14.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 10.0億円 | △11.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、細胞治療事業への研究開発投資が先行し、当連結会計年度において連結営業赤字を計上したため、継続企業の前提に重要な疑義を生じる状況となっています。しかし、バイオシミラー事業で得た利益に加え、金融機関からのシンジケートローン等による資金調達を実施しており、事業継続に必要な資金を確保しています。これらの対応により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は存在しないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上高の大半をバイオシミラーの原薬等供給に依存しており、特に千寿製薬と持田製薬への依存度が高い状況です。また、医薬品業界における競合環境もリスク要因として挙げられています。他社の開発品が市場で優位性を示した場合、同社グループの開発品の研究開発が中止を余儀なくされる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、高度な専門知識や経験を持つバイオ人材による少人数組織体制で事業を展開しています。そのため、バイオ医薬品および細胞治療製品の研究開発経験を有する人材の確保や育成が事業運営上の重要な要素となっています。人材の確保が想定どおりに進まない場合や流出が生じた場合には、研究開発の推進や内部管理体制に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キッズウェル・バイオは、バイオ医薬品の研究開発を通じて、こども・家族・社会を支えるケアの実現を目指しています。革新的な治療法の開発に挑み、持続可能な社会への貢献を重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
キッズウェル・バイオは、「バイオで価値を創造する-こども・家族・社会をつつむケアを目指して-」を企業理念に掲げています。同社グループの経営ビジョンは「こどもの力になること、こどもが力になれること」です。バイオ医薬品の研究開発で培ったノウハウを最大限に活用し、バイオシミラー事業と細胞治療事業(再生医療)の二つの事業領域で研究開発を推進しています。
バイオシミラー事業では、より多くの患者が安心して継続的な治療を受けられる環境の実現を目指しています。細胞治療事業では、特に小児疾患や希少疾患に苦しむ患者とその家族、治療に携わる医療従事者を支える革新的な治療法の開発に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
キッズウェル・バイオは、企業理念に基づき、病気に苦しむ患者に新たな治療薬・治療法を提供し、すべての人々が幸せに明るく暮らせる社会の実現に貢献することを目指しています。中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献を重視しています。
同社グループは、研究開発・事業活動を支える高度な専門知識や経験を持つ多様なバイオ人材の確保と育成を重要視しています。創造性とイノベーションにあふれる組織風土を基盤とし、専門性の高い人材の確保、多様性・創造性・自主性を評価しチャレンジできる環境の確保、従業員一人ひとりを尊重した働き方の確保に取り組んでいます。
具体的には、バイオ医薬品や細胞治療製品に関する知識・技能・経験を持つ人材の採用と育成、グローバル人材の育成を進めています。多様性を認め尊重する企業文化の醸成や、創造的・革新的な取り組みを評価する人事評価制度の策定にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
キッズウェル・バイオは、細胞治療製品の研究および臨床開発において、効率的かつ適正な研究開発投資の実行を重要な課題としています。開発初期段階からパートナー企業との連携を図り、開発費負担と開発リスクの低減を目指しています。
開発品ポートフォリオの最適化も重点テーマの一つです。限られた経営資源を効率的に投下し、最大限の成果を創出するため、開発品目の選択と重点化を進めています。特に細胞治療事業では脳性麻痺を最重要適応症と再定義し、経営資源を戦略的に集中投下する方針です。
高品質な原薬等の安定供給体制の確立も重要な課題です。バイオシミラー事業で培った製造技術や品質管理のノウハウを細胞治療事業に横展開し、細胞治療製品の製造プロセス開発と製造体制の早期確立を目指しています。また、最適なパートナー企業との提携による事業推進を通じて、開発リスクの分散や資金負担の平準化を図っています。
さらに、コンプライアンス・リスク管理体制およびコーポレート・ガバナンスの強化にも継続的に取り組んでいます。社会的信用の維持・向上を図り、経営の公正性・透明性を高めることを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
キッズウェル・バイオは監査役会設置会社として、経営の監督機能と執行機能の分離を図り、執行役員制度を導入しています。これにより、取締役会機能の強化と効率性の向上を目指す体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
キッズウェル・バイオは、ノーリツ鋼機が筆頭株主として経営を支える事業会社です。上位の株主には個人や他の事業会社も名を連ねており、多様な株主によって構成されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ノーリツ鋼機 | 19.08% |
| 江平 文茂 | 4.03% |
| NANO ホールディングス | 2.01% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は紅林伸也氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 紅林 伸也 | 代表取締役社長 | 2000年ゴールドマン・サックス証券入社。モルガン・スタンレー証券、独立行政法人科学技術振興機構を経て、再生医療推進機構(現セルテクノロジー)で執行役員管理本部長、取締役副社長などを歴任。2019年同社入社、執行役員事業開発本部長を経て、2023年6月より代表取締役社長より現職。 |
社外取締役は、栄木憲和氏(元バイエル薬品代表取締役社長)、西岡佐知子氏(プラスナコミュニケーションズ代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、社外取締役2名と社外監査役2名を選任しています。社外取締役は独立した立場で業務執行を監督し、社外監査役は取締役の職務遂行が公平かつ適切に行われているかを確認することで、二重の監督機能を備えています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
キッズウェル・バイオの役員報酬は、固定報酬とストック・オプションを基本としています。中長期的な企業成長への貢献度や個人の業績評価をもとに、株主総会で決議された総額の範囲内で取締役会が決定する方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 49百万円 | 24.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 5.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 15百万円 | 3.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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