※本記事は、シュッピン株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
シュッピンは、インターネットと店舗を通じて、新品および中古品の買取・販売を行うEコマース企業です。カメラ、時計、筆記具といった専門性の高い商品を、エキスパートによる鑑定と安心・安全な取引環境で提供しています。
単体従業員数は260名です。セグメントはカメラ事業、時計事業、筆記具事業の3つです。
シュッピンは、インターネットと実店舗の両方で、中古品の買取と販売、および新品の販売を行っています。各事業につき1店舗を運営する体制です。
同社は、成長性および収益性の高い事業への経営資源集中を図るため、2026年3月31日をもって自転車事業を終了しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
シュッピンは、EC事業を軸に循環型社会に貢献するビジネスを展開しており、人的資本経営を重視していることが特徴です。従業員の成長と会社の成長を両立させながら、成果に応じた報酬と多様な働き方を推進する環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は平均年齢が36.0歳、平均勤続年数が7.3年となっており、比較的若い年齢層で構成されつつも、一定の定着傾向が見られることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,934,401円 |
| 平均勤続年数 | 7.3年 |
| 平均年齢 | 36.0歳 |
| 単体従業員数 | 260人 |
| 連結従業員数 | - |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
シュッピンは、経営理念である「企業は社員と社会に対し、夢を与え続けること」「やる気こそ会社発展の原動力」を基盤に、従業員給与と報酬体系を人的資本投資の最重要項目と位置付けています。同社は「4つのシンカ」と「バリューチェーン・シナリオプランニング」という2つのビジョンを掲げ、従業員エンゲージメントの強化とスリムな経営、そして社員と会社の成長を両立させることを目指しています。
報酬制度においては、これらのビジョンの追求を通じて創出された財務的価値を適切に分配し、一人当たりの売上高・利益と報酬額の増加を同時に実現する「ヒトと事業のバランスの取れた発展」を目標としています。具体的には、経営戦略や業績への貢献度、未経験業務への「伸びしろの高さ」やスキルアップのプロセス、多様性を尊重した公平公正な評価、そして生産性の向上に対するインセンティブを重視した給与・処遇の決定方針を導入しています。
人材育成では、EC業界の変化に対応するため、ポテンシャル採用を積極的に行い、キャリアチェンジを促進する制度やリスキリング手当の倍増を通じて、従業員の変化対応力と創造力を高めることに注力しています。また、多様性の向上を目指し、性別や国籍にこだわらない平等な組織構築やグローバル人材の採用を推進し、「国連グローバル・コンパクト」の原則に則った取り組みを進めています。働き方改革としては、20時以降の残業原則禁止を徹底し、生産性の高い働き方を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 85.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 85.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 57.4% |
経営戦略と人材戦略の連動強化
1人当たり年収は、株主還元との適切なバランスを鑑みつつ向上を目指すものであるため、2029年3月期目標値は設定せず、重要指標としてモニタリングを行います。
| 指標名 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2029年3月期目標値 |
|---|---|---|---|
| 1人当たりの売上高 | 196百万円 | 185百万円 | 211百万円 |
| 1人当たり年収 | 5,843千円 | 5,934千円 | - |
人材採用と育成
ポテンシャル採用の比率は、同社の定める変化対応・創造力の基準を満たす人材を指します。この基準を満たしている場合は、配属先の予定担当業務に必要な知識、スキル、経験を有さない場合でも積極的に採用します。年間キャリアチェンジ実施率は、人材育成計画に基づく人事異動対象従業員のべ人数を、1年間の平均従業員数で除した比率です。リスキリング手当活用率は、従業員のスキルアップに対する意欲と、自律的なキャリア形成の浸透度を示す重要指標(KPI)と位置づけられています。同社では、従業員の自律的なスキル開発を促すため、月額10,000円のリスキリング手当を全正社員に支給しており、2025年度における同手当の活用率は92.4%に達しました。
| 指標名 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2029年3月期目標値 |
|---|---|---|---|
| ポテンシャル採用比率 | 72% | 85% | 50%以上 |
| 年間キャリアチェンジ実施率 | 8% | 24% | 20%以上 |
| リスキリング手当活用率 | - | 92.4% | 100% |
多様性の向上
外国籍人材には、日本国籍保有者であって、出生から雇用開始時までの大半を外国で過ごした者や、日本語以外の言語をネイティブとする者等を含めることがあります。
| 指標名 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2029年3月期目標値 |
|---|---|---|---|
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合 | 47% | 52% | 45~55% |
| 外国籍人材の従業員数 | 2名 | 2名 | 7名 |
働き方改革
| 指標名 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2029年3月期目標値 |
|---|---|---|---|
| 1人当たりの月平均残業時間 | 12:38 | 13:33 | 10時間未満 |
| 有給消化率 | 82.80% | 85.90% | 95%以上 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
シュッピンは、インターネットと実店舗を通じて、新品および中古品の買取と販売を手掛ける企業です。初心者から愛好家まで幅広い層を対象に、「価値ある新品と中古品の安心・安全な取引」を追求しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、Eコマース市場の拡大を背景に、中古品市場における安全な取引環境の実現を目指しています。多店舗展開をしないビジネス戦略を軸に、One to Oneマーケティングを強化し、AIや最新テクノロジーを活用したEIC(Electronic Intelligent Commerce)企業を目指す方針です。動画やブログなどのコンテンツ発信、ポイントプログラムのバリューアップを通じて、自社サイトの利用促進に注力しています。また、越境ECにも積極的に取り組み、世界的なオンラインマーケットプレイスへの出店を通じて販路を拡大しています。
同社の事業は、以下のセグメントに分かれています。
カメラ事業
カメラ関連商品の買取と販売を行っています。収益は、中古商品の販売・買取価格設定を最適化する「AIMD」の改良や、顧客に合わせた記事コンテンツを配信する「AIコンテンツレコメンド」の推進から得ています。また、YouTubeサブチャンネルの開設により、ECサイトへの導線を強化しています。前期と比較して、売上高は減少傾向にあります。
時計事業
時計関連商品の買取と販売を行っています。収益は、在庫の流動性向上を目的とした販売価格および買取価格の見直し、販売活動の強化から得ています。前期と比較して、売上高は増加傾向にあります。
筆記具事業
筆記具関連商品の買取と販売を行っています。収益は、YouTubeなどの動画コンテンツやSNSでの情報発信を積極活用した自社ECサイトの売上から得ています。前期と比較して、売上高は増加傾向にあります。
自転車事業
自転車関連商品の買取と販売を行っていましたが、2026年3月31日をもって事業を終了しています。収益は、事業終了に向けた在庫消化から得ていました。前期と比較して、売上高は大幅に減少傾向にありました。
同社の事業はカメラ事業が最も大きく、次いで時計事業が続きます。筆記具事業と自転車事業は比較的小規模です。越境ECによる売上高はカメラ事業、時計事業、筆記具事業にそれぞれ含まれており、グローバル展開も進めていますが、売上高の大部分は国内が占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| カメラ事業 | 412億円 | 407億円 |
| 時計事業 | 102億円 | 104億円 |
| 筆記具事業 | 4.7億円 | 4.8億円 |
| 自転車事業 | 8.0億円 | 3.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の経営の安定性は、財務基盤の健全性や資金の流れ、そして事業を取り巻くリスク要因から総合的に判断できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率やROE、手元資金の状況から安定性を判断できます。これらの指標は、事業の継続性や将来の成長性、ひいては雇用や給与の安定性にも関わる重要な要素です。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、営業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを把握できます。本業でどれだけ資金を生み出し、それを将来への投資や借入金の返済、株主還元にどのように配分しているかを示すものです。これらの資金の流れは、同社の事業の成長性や財務の健全性、ひいては長期的な雇用や給与の安定性にも影響を与える重要な情報となります。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、中古品買取競争の激化や新品販売競争の激化により、人気商品の確保が難しくなったり、買取価格の相場が変動したりする可能性があります。また、取り扱い商品の流行の変化や為替相場の変動により、短期間で価値が下落する可能性があります。需要予測と実績の乖離により、滞留在庫の評価減が発生するリスクもあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、優秀な人材を計画通りに確保できなかった場合、あるいは重要な人材が社外に流出した場合に、事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
シュッピンは、インターネットを活用した「価値ある新品と中古品」の取引を通じて、顧客の利便性向上と循環型社会への貢献を目指している会社です。専門性とテクノロジーを融合させ、安心・安全な取引環境を提供することで、持続的な成長を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
シュッピンは「企業は社員と社会に対し、夢を与え続けること」を存在価値とし、「やる気こそ会社発展の原動力」を経営理念としています。中長期目標の実現に向け、「4つのシンカ」と「バリューチェーン・シナリオプランニング」という二つのビジョンを掲げています。
「4つのシンカ」とは、「進む価値」「知識を深める価値」「真実の価値」「新しい価値」を追求することです。同社は、インターネットを活用した「価値ある新品と中古品」の取引拡大と顧客の利便性向上を企図しています。ECサイトでの中古売買において「安心、安全な取引」を最も重要視しており、質の高い「財庫」と専門知識を持つ「人財」を通じて顧客からの信頼を得ることを重視しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
シュッピンは、従業員エンゲージメント強化を通じて「ムダ・ムリ」をなくしたスリムな経営と、社員の成長とともに会社の成長を目指す企業風土を大切にしています。ビジョンの一つである「バリューチェーン・シナリオプランニング」では、「Digital」「Agility」「Resilience」「Solidity」の4要素をビジネス変革の原動力としています。
同社は循環型社会への貢献を重視しており、中古品の価値を見極め買取・販売するプロセスを「リバリュー」と呼び、サステナビリティ戦略の最重要事項としています。また、「国連グローバル・コンパクト」に加盟し、人権・労働・環境・腐敗防止の10原則に賛同することで、多様な人材が価値創造を行う環境を整える取り組みを行っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
シュッピンは、継続的な成長のために、各事業の専門性向上とECを主軸としたビジネスモデルの強化を課題としています。具体的には、価値ある「財庫」の確保と、それを見極める「人財」の育成に注力しています。ECとリアルの相乗効果による質の高いサービス提供や、情報発信機能の強化、組織体制の整備も進めています。
IT人財の育成とリテラシー強化を重要課題と捉え、AIや最先端テクノロジーを活用できる人財の育成を通じてEIC(Electronic Intelligent Commerce)企業への変革を目指しています。ECサイトの信用力(安心・安全)と利便性の向上も重点テーマであり、2026年4月には基幹システムのリプレイスを予定しています。さらに、ブランド認知度の向上と新規Web会員数の増加を目指し、SNSや動画コンテンツを活用した情報発信、新たなブランド訴求にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
シュッピンでは、株主を含むあらゆるステークホルダーの利益を尊重した経営を基本としています。特定の個人への権限集中を排し、透明・公正かつ迅速な意思決定を行うためのガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
シュッピンの株主構成を見ると、上位には海外の銀行や信託銀行、証券会社などの機関投資家が名を連ねています。これは、幅広い機関投資家によって同社の事業が支えられている資本構成を示しています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つといった記述は見られません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| US BANK NATIONAL ASSOCIATION JP ACCTS TS(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 9.01% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.51% |
| MSCO CUSTOMER SECURITIES(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG証券) | 5.07% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性8名・女性4名)で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役社長社長執行役員CEOは齋藤仁志氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋藤 仁志 | 代表取締役社長社長執行役員CEO | 2001年4月マップグループ入社。2006年3月同社入社。2016年6月同社取締役営業本部長。2024年5月同社常務取締役上席執行役員COO CIO 事業戦略本部長。2026年5月同社代表取締役社長社長執行役員CEOより現職。 |
| 岡部 梨沙 | 取締役上席執行役員 | 2007年8月グローバル・ブレイン入社。2017年10月同社入社。2020年10月同社管理本部長執行役員。2024年6月同社取締役上席執行役員CFO CHRO コーポレート戦略本部長 ESG経営推進室長。2026年6月取締役上席執行役員より現職。 |
| 小野 尚彦 | 取締役 | 2000年1月マップグループ入社。2006年3月同社入社。2011年10月同社取締役Map Camera営業部長。2016年3月同社代表取締役社長。2026年5月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、村田真一氏(弁護士)、滝ヶ﨑裕二氏(公認会計士)、草島智咲氏(ウィズソフィア代表取締役)、信実克哉氏(ストラテジック・エンゲージメント代表取締役)、西村裕二氏(プロヒュージョン代表取締役社長)、泉智之氏(VIS Advisors Founder and Portfolio Manager)です。社外監査役は、遠藤直仁氏(税理士・中小企業診断士)、横山敬子氏(公認会計士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役および社外監査役を起用することで、多角的な視点からの意見・提言を経営に取り入れ、業務執行に対する監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
シュッピンの役員報酬は、固定報酬、株式報酬、そして業績連動報酬で構成されています。社外取締役および監査役は固定報酬のみですが、業務執行を担う取締役には、単年度および中長期の業績との連動性を重視した報酬体系が適用されています。業績連動報酬は3年間の経営計画期間を評価期間とし、営業利益の達成度に応じて株式および金銭が支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 1.6億円 | 54.1百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 10百万円 | 5.1百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 27百万円 | 4.6百万円 |
同社の役員報酬等の総額は200百万円であり、対象となる役員の総数は11名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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