※本記事は、パンチ工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
パンチ工業は、プラスチック金型やプレス金型に使用される部品の製造・販売を主軸とする企業です。電気製品や自動車など幅広い分野で使用される金型部品を提供しており、国内および海外で事業を展開しています。
パンチ工業の単体従業員数は660名、連結従業員数は3,480名です。事業セグメントは金型部品事業の単一です。
主な国内グループ会社は、パンチ工業(当社)、アスク、瓦房店パンチ、無錫パンチ、東莞パンチなどです。
パンチ工業グループは、2024年10月に株式会社ミスミグループ本社との資本業務提携を締結し、商品相互供給や物流面での連携強化を進めています。また、FA事業の拡大を成長戦略の柱としています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
パンチ工業は、ものづくりを支える事業を展開しており、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。多様な人材の活躍を推進し、働きがいのある職場づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、従業員が長期にわたって安定して働き続けることができる環境があることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,638,020円 |
| 平均勤続年数 | 15.6年 |
| 平均年齢 | 40.9歳 |
| 単体従業員数 | 660人 |
| 連結従業員数 | 3,480人 |
| 単体のグループ内比率 | 19.0% |
同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出制度を採用しています。これらの制度は同社及び連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も採用されていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は15.0億円、年金資産は8.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
パンチ工業グループは、長期ビジョン「Vision60」および中期経営計画「VC28」の実現に向け、R&D、FA事業拡大、既存事業成長を重点経営課題としています。これらの戦略を推進するためには、先端技術人財、DX人財、グローバル人財、高度専門人財、営業人財の確保と育成が不可欠であると考えています。
人財戦略として、多様性を重視した高度な専門人財の採用力強化、働きやすさや働きがいを醸成するエンゲージメントの向上、人事制度の適正化、健康経営の推進、女性が活躍できる環境整備、教育体系強化に取り組んでいます。同社の人事制度は役割等級制度に基づいており、人財育成による社員の成長、社員のモチベーション向上、社員のロイヤルティ向上を目指しています。
組織マネジメントを担うラインマネジメント職に加え、高度な専門性を発揮するエキスパート職を設けた複線型等級制度を採用しており、管理職登用に限らず専門性を高めることについても適切に評価・処遇する制度となっています。評価プロセスでは上長と部下による面談を実施し、評価結果は昇給、賞与、昇格等の処遇に反映されます。報酬水準は、外部労働市場の賃金水準、物価動向、社会経済環境等を踏まえて見直しが行われます。
具体的な取り組みとして、社内研修部署であるパンチアカデミーを中心に、職位に沿った階層別研修や女性活躍セミナーを実施し、特定の技術や語学の習得に対する支援制度も拡充しています。また、創業50周年を機にパーパスを策定し、全社員への浸透を図っています。ウェルビーイングな職場環境を目指した取り組みにより、厚生労働省の「えるぼし」や「くるみん」などの認定を受けています。健康経営では、「生活習慣病の予防」「メンタルヘルスの推進」「女性の健康づくり」を3つの柱とし、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」の認定も取得しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.3% |
| うち正規雇用労働者 | 83.6% |
| うちパート・有期労働者 | 58.7% |
多様性・登用
上記指標及び目標は、提出会社の状況です。連結ベースでの目標及び指標は定めていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全役職者に占める女性役職者比率 | 16.7% |
育児・介護支援
上記指標及び目標は、提出会社の状況です。連結ベースでの目標及び指標は定めていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 78.3% |
人材育成・エンゲージメント
上記指標及び目標は、提出会社の状況です。連結ベースでの目標及び指標は定めていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正社員採用充足率 | 50.7% |
| 離職率 | 3.8% |
| 従業員エンゲージメント | 41.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
パンチ工業は、主にプラスチック金型やプレス金型の部品を製造・販売している企業です。電気製品や自動車など、幅広い分野で使用される金型部品を提供しており、国内外で事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、金型部品事業の単一セグメントで事業を行っています。プラスチック金型部品では、射出成型機から溶融プラスチックを金型へ流し込むスプルーブシュや、成型品を突き出すエジェクタピンなどを提供しています。プレス金型部品では、上型と下型の関係を保つダイセットガイドや、材料に形状を転写するパンチなどを製造・販売しています。
収益は、これらの金型部品の製造・販売から得ています。国内事業では、熱処理技術や研削加工技術を活かした自社生産と、約300社の協力工場による社外生産を両輪としています。全国10ヵ所の販売拠点を持ち、約6千社の顧客と取引しており、特定の顧客に過度に依存しない安定的な受注を見込んでいます。
海外事業も国内事業と同様のビジネスモデルで、中国、東南アジア、インド、米国を中心に展開しています。中国では6工場と34ヵ所の販売拠点を持ち、約8千社の顧客と取引を行うなど、海外での事業規模も大きいことが特徴です。
同社グループの売上高は、日本、中国、東南アジア(インド含む)、欧米他地域に分散しています。特に中国地域からの売上高が最も大きく、次いで日本が続いています。海外での事業展開が広範であるため、為替変動の影響を受ける可能性があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で変動が見られますが、直近2期は増加傾向にあります。経常利益も同様に、一時的な落ち込みの後、回復基調を示しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した期もありましたが、直近では黒字を維持しています。当連結会計年度においては、営業利益および経常利益が増加した一方で、のれんの減損損失が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期からわずかに減少しました。営業活動によるキャッシュ・フローは継続してプラスであり、本業でのキャッシュ創出力は維持されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 394億円 | 428億円 | 383億円 | 408億円 | 421億円 |
| 経常利益 | 30.1億円 | 23.9億円 | 14.2億円 | 16.1億円 | 22.0億円 |
| 経常利益率 | 7.6% | 5.6% | 3.7% | 4.0% | 5.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 20.4億円 | 13.9億円 | △5.8億円 | 8.7億円 | 8.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 93.36 | 60.58 | △23.61 | 33.65 | 30.94 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しており、従業員一人あたりの生産性が向上している傾向が見られます。これは、事業活動における効率性の改善を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 11.8百万円 | 12.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.5百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
パンチ工業グループは、本業で安定した資金を創出し、投資活動も行いながら、手元資金を確保しています。財務基盤の健全性を維持しつつ、事業の成長に向けた資金配分を行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金は増加傾向にあり、不測の事態への耐性も確保されている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 220億円 | 231億円 |
| 自己資本比率 | 66.7% | 67.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 3.8% |
| 現金及び預金 | 65.0億円 | 66.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、18.7億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益や減損損失、減価償却費の計上などによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、△12.8億円の支出となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増による増加額や長期借入金の返済による支出、配当金の支払額などにより、△7.0億円の支出となりました。その結果、フリーキャッシュ・フローは5.9億円の収入を確保しています。本業で安定的に資金を創出し、成長に必要な投資も行いつつ、自由に使える資金を確保している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.7億円 | 18.7億円 |
| 投資CF | △24.2億円 | △12.8億円 |
| 財務CF | 1.8億円 | △7.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.4億円 | 5.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、顧客の属する業界が自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連に集中しており、これらの業界の市況や競争激化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、金型部品事業においては同業他社との競合があり、策定した事業戦略が計画通り進捗しない場合や、想定を超えた同業他社の動きがあった場合に、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要課題としています。人事諸施策が有効に機能しなかった場合や、人材市場の状況により必要な人材をタイムリーに確保できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
パンチ工業は、「ものづくり」を通じて社会の持続可能な発展に貢献し、全てのステークホルダーと共に歩むことを目指す企業です。技術と創造力を大切にし、次世代の豊かな未来を形づくることを追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ものづくりによる信頼、真摯な技術、自由な創造力で、次世代の豊かな未来をカタチづくる」ことをパーパス(存在意義)に掲げています。このパーパスの実現に向けて、長期ビジョン「Vision60」を策定しました。
「Vision60」は、10年後の同社グループの「ありたい姿」を示し、そこへ至るための中期経営計画の戦略を定めたものです。また、お客様、社員、社会への具体的な「パンチグループの約束」を明示し、持続的な企業価値の向上に努めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「パンチグループの約束」として、お客様の期待を上回る価値の提供、社員が誇りをもって働ける環境の提供と成長支援、そして自然環境・社会の変化に向き合い次世代へより良い未来を繋ぐことを掲げています。
サステナビリティ方針では、社員やサプライチェーンに関わる全ての人々の暮らしと地球環境を守る企業を目指しています。また、「地球環境への配慮」「人権の尊重」「人的資本への取組み」「『製品・サービス』を通じた社会への貢献」「コーポレート・ガバナンス」の5つをマテリアリティ(重要課題)として特定し、部門横断的に解決に取り組んでいます。パーパス実現に向けた社員の自発的な思考や行動を促し、“ウェルビーイング”な職場環境を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画「VC28」に基づき、「収益性の改善」と「次の成長に向けた基盤構築」を実現することを目指しています。基盤事業である金型部品事業では、特注品特化や精密微細加工品の受注拡大、生産性向上、原価低減、間接業務のDX推進に取り組んでいます。
また、自動化・省人化ニーズの高まりを背景に、FA事業を第2の収益柱として本格的に育成・拡大し、事業領域の拡大を図っています。DX推進による業務効率化と固定費構造の見直しにより収益体質の強化を図る方針です。さらに、既存技術を基盤とした新事業の創出や航空宇宙分野等への取組み、外部連携を通じて中長期的な成長機会の創出にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
パンチ工業は、取締役会の監督機能強化と、経営の意思決定の迅速化を図るため、監査等委員会設置会社を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
パンチ工業は、代表取締役が議決権を保有する資産管理会社が筆頭株主となっており、創業家が経営に深く関与する資本構成となっています。また、事業会社であるミスミグループ本社も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・ティ興産 | 13.81% |
| ミスミグループ本社 | 10.89% |
| CLEARSTREAM BANKING S.A. | 8.76% |
| 立花証券 | 4.58% |
| 大畑 雅稔 | 3.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役社長執行役員最高経営責任者(CEO)グループ経営統括は森久保哲司氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 森久保 哲司 | 代表取締役 社長執行役員 最高経営責任者(CEO) グループ経営統括 | 2003年5月同社入社。2015年12月PUNCH INDUSTRY MALAYSIA SDN. BHD.代表取締役。2019年6月同社代表取締役副社長執行役員。2019年11月より社長執行役員最高経営責任者(CEO)現職。 |
| 高梨 晃 | 取締役 上席執行役員 最高執行責任者(COO) 事業統括 | 1989年8月同社入社。2013年7月盤起工業(大連)有限公司総経理。2017年6月同社上席執行役員。2018年6月より取締役現職。2019年4月より最高執行責任者(COO)現職。 |
社外取締役は、高辻成彦氏(目白大学経営学部准教授・日本ガバナンス・企業価値研究所所長・経済アナリスト・取締役会議長)、大里真理子氏(株式会社アークコミュニケーションズ代表取締役・取締役会議長)、鈴木智雄氏(日本アビオニクス株式会社顧問・監査等委員)、田畑千絵氏(燕総合法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、取締役会の監督機能強化と経営の意思決定の迅速化を図っています。取締役会の3分の1以上を独立社外取締役が占め、取締役会議長も独立社外取締役が務めることで、監督機能の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、株式報酬の3つの要素で構成されています。固定報酬は役位に応じた基本報酬と個人の業績達成度による個別報酬からなり、業績連動報酬は親会社株主に帰属する当期純利益に連動し、株式報酬は譲渡制限付株式を付与する仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 49百万円 | 16.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 26百万円 | 6.5百万円 |
なお、譲渡制限付株式報酬の額は、2025年8月8日に割り当てた譲渡制限付株式報酬に係る当事業年度における費用計上額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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