ウイン・パートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウイン・パートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するウイン・パートナーズは、虚血性心疾患関連や心臓律動管理関連などの医療機器販売事業を展開しています。最新の連結業績では、主力商品の販売数量が伸長したことや新たなグループ化の貢献もあり、売上高や経常利益がともに増加し、順調な増収増益トレンドを維持しています。


※本記事は、ウイン・パートナーズ株式会社の有価証券報告書(第13期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウイン・パートナーズってどんな会社?


低侵襲医療分野に強みを持つ医療機器販売事業を展開する持株会社です。

(1) 会社概要


2013年にウイン・インターナショナルとテスコが共同株式移転により経営統合し、持株会社として設立されました。その後東証二部、東証一部を経て、現在は東証プライム市場へ移行しています。またM&Aによる事業領域の拡大を積極的に進め、直近の2026年にはプラステンメディカルをグループ化しました。

現在の従業員数は連結で653名、単体で56名です。筆頭株主はオフィスAで、第2位は外国法人のBBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND、第3位はキエマ企画となっています。経営統合やM&Aを通じて多様な人材を確保し、強固な事業体制を構築しています。

氏名 持株比率
有限会社オフィスA 25.75%
BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND 7.25%
キエマ企画 6.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長の秋沢英海氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
秋沢英海 代表取締役社長 西本産業に入社後、ウイン・インターナショナル代表取締役社長等を経て、2013年より現職。
三田上浩美 取締役執行役員営業統括部長 日本メディックス等を経てウイン・インターナショナルに入社。営業本部長等を経て、2013年より現職。
秋田裕二 取締役執行役員 オービック等を経てテスコに入社し代表取締役社長に就任。トーセイメディカル社長も兼務し、2015年より現職。
松本啓二 取締役執行役員管理本部長 西本産業入社後、キヤノンメドテックサプライ代表取締役社長等を歴任。2016年に入社し、2020年より現職。
中田陽一 取締役(常勤監査等委員) あきんどスシロー等を経てウイン・インターナショナルに入社。内部監査室長等を歴任し、2015年より現職。


社外取締役は、井出健治郎(和光大学学長)、高村悦子(東京女子医科大学教授)、神田安積(日本弁護士連合会副会長)、菊地康夫(東陽監査法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「医療機器販売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 虚血性心疾患・心臓律動管理関連


心筋梗塞や狭心症の治療に使用されるカテーテルなどの虚血性心疾患関連機器や、不整脈の治療に使用されるペースメーカなどの心臓律動管理関連機器を販売しています。身体への負担が少ない低侵襲医療領域に強みを持っています。

医療機関に対して医療機器を販売し、その対価として商品代金を受け取る収益モデルです。これらの事業は、主にウイン・インターナショナルやテスコなどの連結子会社が運営を担当し、医療現場のニーズに応えています。

(2) 心臓血管外科・末梢血管疾患・脳外科関連


心臓疾患を治療するための外科手術に使用されるステントグラフトや人工心肺などの心臓血管外科関連機器を取り扱っています。また、末梢血管や脳血管の疾患治療に用いるバルーンカテーテルなども提供し、専門性の高い領域をカバーしています。

顧客である医療機関への機器販売を通じて収益を獲得しています。手術の高度化に伴う医療現場の多様な要望に対して、ウイン・インターナショナルをはじめとするグループ各社が連携して最適な機器の提案や納入を行っています。

(3) 医療機器関連およびその他


放射線科や手術室などで使用されるX線血管撮影装置、CT、MRI、麻酔器などの大型医療機器を販売しています。その他にも、インスリンポンプや持続血糖測定器など、幅広い診療科向けの医療機器や関連消耗品を取り扱っています。

医療施設の設備投資提案や更新需要に対応した機器の販売により収益を得ています。地域の市場動向を的確に把握し、ウイン・インターナショナルやテスコなどのグループ企業が総合的な課題解決支援や適正使用支援を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、低侵襲医療領域を中心とした販売数量の着実な増加やM&Aによるグループ拡大が寄与し、売上高は一貫して右肩上がりで成長しています。経常利益も増益基調にあり、3%台半ばの安定した利益率を維持しながら、事業規模の拡大と堅実な収益確保を両立させていることがうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 664億円 709億円 771億円 814億円 904億円
経常利益 28億円 25億円 26億円 28億円 31億円
利益率(%) 4.2% 3.5% 3.4% 3.5% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 19億円 20億円 21億円 20億円

(2) 損益計算書


主力商品の販売増により売上高が約11%増加し、それに伴って売上総利益や営業利益も堅調に伸びています。利益率はわずかに低下しているものの、コスト増を吸収しつつ着実な利益成長を達成していることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 814億円 904億円
売上総利益 99億円 107億円
売上総利益率(%) 12.2% 11.8%
営業利益 28億円 30億円
営業利益率(%) 3.4% 3.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が33億円(構成比44%)、法定福利費が7億円(同9%)を占めています。売上原価は主に医療機器等の商品仕入高で構成されており、専門人材の確保と商品の安定供給が同社の事業基盤を支えていることがわかります。

(3) セグメント収益


各事業領域において、医療機関への付加価値の高い提案が奏功し、全分類で増収を達成しています。特に心臓律動管理関連は、不整脈治療用カテーテルやペースメーカの販売が大きく伸長し、全体売上を牽引する成長ドライバーとなっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
虚血性心疾患関連 185億円 201億円
心臓律動管理関連 208億円 254億円
心臓血管外科関連 147億円 154億円
末梢血管疾患関連及び脳外科関連 85億円 93億円
医療機器関連 78億円 84億円
その他 111億円 117億円
連結(合計) 814億円 904億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ利益によって設備投資や借入金の返済・株主還元を自己資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 21億円 29億円
投資CF -22億円 -1億円
財務CF -18億円 -31億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「すべての人にベター・クオリティ・オブ・ライフを提供し、豊かな社会の実現に貢献します」という企業理念を掲げています。身体的負担の少ない低侵襲医療の普及を通じて、すべての人が生涯にわたり健康で充実した日々を送れるよう健康幸福寿命の伸長に貢献し、持続可能な医療体制の構築という社会的課題の解決を企業使命としています。

(2) 企業文化


医療に関する高度な専門性と顧客志向を重視する文化が根付いています。「新しいニーズを創造し、次世代医療関連ビジネスのリーディングカンパニーを目指します」というビジョンのもと、既存のビジネスモデルにとらわれない新しい需要や市場の開拓に挑戦し、グループ各社が連携してシナジーを創出する行動様式を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


医療機器販売業界における償還価格の改定や医療機関のコスト意識の高まりに対応するため、効率的な経営を重要課題と位置付けています。資本効率の向上を重視した経営計画を推進しており、以下の数値目標を掲げています。

* ROE(自己資本利益率):中期的には15.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


医療制度改革による業界再編の加速を見据え、顧客志向と患者志向を徹底した差別化戦略を推進しています。循環器から脳、消化器などへ拡大する低侵襲医療の更なる普及を図るとともに、M&Aや提携を活用して営業エリアおよび事業領域を拡大し、持続的な成長を目指します。国内外の新技術に関する情報を的確に捉え、新商品の早期導入と新規顧客の開拓に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員の成長を事業価値創造の中心に据え」ることを基本方針としています。階層別研修や業務ローテーション等を通じて「専門性×顧客志向を備えた人材」を育成し、多様なライフステージを持つ人材が中長期にわたり能力を発揮できる環境整備を推進することで、組織の活性化と顧客接点の質向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.4歳 8.9年 6,701,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 75.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※パート・有期労働者の男女賃金の差異については、該当がないため記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(44.0%)、時差出勤・フレックス制度等の利用率(71.0%)、人権・コンプライアンス研修受講率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 医療制度改革と法的規制への対応


医療制度改革の一環として行われる特定保険医療材料の償還価格の改定は、主力商品の販売価格に直結し、収益を圧迫する要因となります。また、高度管理医療機器等の販売には厳格な法的規制があり、これらの許可要件や関連法規の違反による許可取り消しが発生した場合、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 顧客の変化と市場競争の激化


医療機関間の競争激化や働き方改革により、購買戦略の見直しや納入業者に対する値下げ圧力が高まっています。さらに、他社の卸市場への参入による競争も激化しており、こうした環境の変化に適切に対応して付加価値の高い提案ができない場合、取引先の減少や販売価格の著しい低下を招くリスクがあります。

(3) M&A・業務提携および技術革新に関するリスク


事業拡大の手段としてM&Aや提携を活用していますが、統合効果が計画どおりに発揮されない場合や追加費用が発生するリスクがあります。また、低侵襲医療を施す医療機器に特化しているため、今後の医療技術の革新によってこれらの機器の使用機会が減少した場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。