※本記事は、協立情報通信株式会社の有価証券報告書(第61期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 協立情報通信ってどんな会社?
中堅・中小企業向けICTソリューションとモバイル事業の2本柱で展開するIT支援企業です。
■(1) 会社概要
1964年に協立電設として創業し、1965年に設立されました。1985年の通信自由化を機に情報通信サービスに参入し、1994年よりドコモショップの運営を開始してモバイル事業へ展開を広げました。2013年にJASDAQに上場し、現在はソリューション事業とモバイル事業を推進しています。
単体従業員数は177名です。筆頭株主は関連会社の日茂で、第2位は創業者の佐々木茂則氏、第3位も創業家関連の佐々木綾子氏となっています。このように、創業家およびその関連会社が上位株主を占める資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日茂 | 30.90% |
| 佐々木茂則 | 30.10% |
| 佐々木綾子 | 2.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木修氏が務めており、社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木修 | 代表取締役社長 | 当社入社後、経営企画室長や会計情報ソリューション事業部長を歴任。取締役副社長等を経て、2025年より現職。 |
| 佐々木茂則 | 取締役会長 | 岩崎通信工事を経て1964年に協立電設を創業。代表取締役社長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 堺澤顕 | 常務取締役執行役員経営情報ソリューション部長 | 当社入社後、情報ソリューション営業部や営業本部経営情報ソリューション部長等を歴任。2024年より現職。 |
| 渡辺正志 | 取締役執行役員モバイル事業部長兼法人サービス部長 | 当社入社後、法人営業部長や情報通信システム部長等を歴任。モバイル事業部を牽引し、2025年より現職。 |
| 藤井晴人 | 取締役執行役員情報通信システム部長公共情報通信システム部管掌 | 当社入社後、神奈川支店や新宿営業所のグループ長、情報通信システム部長等を歴任。2025年より現職。 |
社外取締役は、堀本勝敬(元ソニープロテクノサポート社長)、伊藤行正(元エヌ・ティ・ティラーニングシステムズ取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション事業」および「モバイル事業」を展開しています。
■ソリューション事業
中堅・中小企業や官公庁向けに、ICTと情報活用によって経営課題を効果的に解決するための「経営情報ソリューションサービス」を提供しています。通信・情報インフラの構築や基幹業務システムのクラウド移行、各種ソフトウェアの導入支援のほか、情報活用教育などをワンストップで展開しています。
主な収益は、情報通信システムの構築・保守・運用支援、機器レンタル、コンサルティングや教育サービスの提供による対価です。日本電気やオービックビジネスコンサルタント等のパートナー企業と連携し、運営は協立情報通信が行っています。
■モバイル事業
NTTドコモの二次代理店として、ドコモショップの運営を行う店舗事業と、法人顧客向けにモバイル機器の販売やソリューション提案を行う法人サービス事業を展開しています。各種端末の販売や料金プランのコンサルティング、アフターサービス等を提供しています。
主な収益は、個人や法人への携帯電話等の販売代金のほか、一次代理店のティーガイアを経由してNTTドコモから受け取る販売関連の手数料や店舗運営の支援費です。また、各種独自のサポートサービスによる継続収入も得ており、運営は協立情報通信が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高および経常利益の直近データが一部開示されていませんが、判明している当期利益を見ると直近5期間で概ね1億円から3億円の範囲で堅調に推移しています。直近の当期利益は3.2億円となり、過去数年と比較して高い水準を記録しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53.4億円 | 49.8億円 | - | - | - |
| 経常利益 | 1.9億円 | 1.9億円 | - | - | - |
| 利益率(%) | 3.6% | 3.9% | - | - | - |
| 当期利益 | 1.1億円 | 1.2億円 | 2.6億円 | 1.7億円 | 3.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上総利益と営業利益の双方が増加傾向にあります。特に営業利益は3.0億円から4.7億円へと大幅な伸びを示しており、利益水準の底上げが進んでいることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | 18.0億円 | 21.3億円 |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 3.0億円 | 4.7億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
販売費及び一般管理費のうち主要な項目は、給料及び賞与が6.8億円、賃借料が1.8億円、法定福利費が1.6億円です。売上原価の内訳に関する構成比のデータはありません。
■(3) セグメント収益
ソリューション事業は、ネットワークインフラ改善やソフトウェアのクラウド移行が堅調に推移したことにより増収となりました。モバイル事業も、法人向け端末の販売や店舗での提案強化による継続収入が寄与し、全社的な増収を牽引しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ソリューション事業 | 16.6億円 | 20.7億円 |
| モバイル事業 | 28.1億円 | 30.7億円 |
| 合計 | 44.8億円 | 51.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
社是に「知・興・心」を掲げ、経営理念において「知と情報の新結合は社会と企業の繁栄をもたらす源である。我が社は経営情報ソリューションにおいて比類なき利用性・安全性・創造性を追求し、以て、顧客の発展並びに社員の進化・充実を図り、永遠の誇りある活動を推進する」と定めています。
■(2) 企業文化
中堅・中小企業の情報化を支援し、個々の顧客に適したソリューションを提供することで、顧客の経営活性化と繁栄に貢献することを使命としています。多様な人材を尊重し、従業員一人ひとりが「知」の価値を高め、創造性を発揮しながら自律的に成長できる組織風土の醸成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
ストック型ビジネスによる安定した収益基盤の確立を不可欠と考えており、同社が重視する中長期的な目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高伸長率:年15%
* 営業利益率:10%
■(4) 成長戦略と重点施策
複数のパートナー企業の製品やサービスを融合させ、SaaSやクラウドPBX等による業務DX化を促進する「経営情報ソリューションサービス」の拡大を推進します。モバイル事業においては、スマートフォンを切り口にしたICTソリューション提案を強化し、継続収益の拡大と独自サービスの高度化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を持続的成長の基盤と位置付け、採用・育成・配置・社内環境整備を推進し、事業の変化に迅速に対応できる人材基盤の強化に取り組んでいます。経営方針を踏まえて自ら考え行動できる自律型人材や、継続的価値創出に貢献できる人材を重視し、性別・国籍等にとらわれない採用とeラーニング等の環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.6歳 | 14.3年 | 5,627,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期) | - |
※男性育児休業取得率および男女賃金差異については、公表項目として選択していないため、有報には記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定仕入先・取引先への依存
ソリューション事業における日本電気やオービックビジネスコンサルタント、モバイル事業におけるNTTドコモやティーガイアといった主要パートナー企業からの仕入および販売に大きく依存しています。契約解除や取引条件の不利益な変更があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報管理とセキュリティ
業務に関連して多数の個人情報および企業情報を保有しており、情報セキュリティの認証取得など管理の徹底に努めています。しかし、万が一情報漏洩が発生した場合には、民事・刑事責任の負担や社会的信用の失墜、主要パートナー企業との契約解除に繋がり、業績に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) 優秀な人材の確保と育成
顧客に対して最適なソリューションを提供できる優秀な人材の確保と育成を事業発展の重要な要素としています。人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、あるいは優秀な人材の多数の退職が発生した場合には、事業展開に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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