※本記事は、協立情報通信株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
協立情報通信は、中堅・中小企業や官公庁向けにICTと情報活用による経営情報ソリューションサービスを提供するソリューション事業と、携帯電話などの移動体通信機器の販売・法人サービスを行うモバイル事業を展開しています。顧客の経営課題解決を支援するワンストップソリューションを提供しています。
単体従業員数は177名です。事業セグメントはソリューション事業とモバイル事業の2つです。
協立情報通信は、中堅・中小企業や官公庁向けのICTソリューション提供と、ドコモショップ運営によるモバイル通信機器の販売・法人サービスを自社で展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
協立情報通信は、情報通信技術を通じて顧客の発展を支援する事業を展開しており、従業員の安定的なキャリア形成を重視する傾向が見られます。人材育成や多様な働き方を推進する方針を掲げ、社員一人ひとりの成長と活躍を後押しする環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあります。これは、長期的な視点でのキャリア形成や安定した雇用環境が期待できる傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,627,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.3年 |
| 平均年齢 | 39.6歳 |
| 単体従業員数 | 177人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度を採用しています(確定給付型=給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)。退職一時金制度があり、勤務期間等に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
協立情報通信は、社是「知・興・心」と経営理念に基づき、人的資本を持続的成長の基盤と位置付けています。顧客への価値提供力を継続的に高めるため、採用・育成・配置・社内環境整備を推進し、事業の変化に迅速に対応できる人材基盤の強化に取り組んでいます。
従業員の給与その他の給付の額及び内容は、必要な人材の確保・定着と能力発揮を促進する観点から決定されています。給与は給与規程に基づく役職・等級に応じた処遇を基本としつつ、職能、職歴、業務生産性、勤続年数、年齢等を総合的に考慮して決定されます。年2回の人事考査により、業務実績・生産性・勤務態度等を評価し、賞与支給額の決定並びに昇給及び昇格の判断に反映されます。賞与は会社業績と個人の成果・行動の双方を反映して支給額が決定され、継続的な業務改善、顧客価値の向上及び組織的な連携を促進することを重視しています。リーダー等、組織運営や人材育成、部門間連携の中核を担う人材に対しては役職手当を支給し、その役割に応じて適切に評価する方針です。このほか、従業員持株会制度を設け、従業員の中長期的な資産形成を支援するとともに、企業価値向上に対する参画意識の醸成を図っています。
同社が目指す人材像は、経営方針を踏まえ、自ら考え、主体的に行動できる人材、サービスの充実・品質向上に貢献できる人材、部門間の利害や論点を整理し全体最適に持ち込む発想力をもつ人材です。重点領域として、クラウド/SaaSやネットワーク等の提案・構築支援、導入後の運用支援・遠隔サポート・活用教育等、提供価値を継続・向上させる機能、部門間の提案連携(クロスセル)を前提とした提案プロセスの設計・推進を掲げています。これらの重点領域に対応した実行施策として、性別・国籍・職歴等にとらわれない人材の採用、eラーニング環境の整備やジョブローテーション等を通じた知識向上、成長領域への適正配置による部門間連携体制の整備、従業員が能力を十分に発揮できる環境の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
協立情報通信は、中堅・中小企業や官公庁向けにICTと情報活用を組み合わせたソリューションを提供しています。また、携帯電話などの移動体通信機器の販売と法人サービスも手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、情報通信技術を活用して顧客の経営課題を解決する「ソリューション事業」と、移動体通信機器の販売・サービスを行う「モバイル事業」の二つの事業を展開しています。これらの事業を通じて、顧客のDX化や生産性向上に貢献しています。海外への売上高は発生していません。
ソリューション事業
この事業では、情報通信システムの構築・保守・運用支援、情報通信機器のレンタルサービスを提供しています。また、基幹業務や業務プロセス改善、情報活用に関するコンサルティングや教育も行っています。
収益は、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の各ソリューション提供から得ています。前期と比較して、売上高、セグメント利益ともに増加しています。
モバイル事業
この事業では、携帯電話などの移動体通信機器の店舗販売と法人サービスを展開しています。顧客の経済圏と連動したサービス展開が求められる中で、店舗の役割も変化しています。
収益は、端末販売や端末契約、端末サポートサービス、販売インセンティブ収入、各種提案商材の販売による継続収入から得ています。前期と比較して、売上高、セグメント利益ともに増加しています。
同社の販売実績においては、株式会社ティーガイアへの販売が総販売実績の40.5%を占めており、特定の取引先への収益集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| モバイル事業 | 28.1億円 | 30.7億円 |
| ソリューション事業 | 16.6億円 | 20.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の連結業績は、過去5期のうち2期分のデータが公開されています。売上高は5期前から4期前にかけて減少傾向にありましたが、経常利益はほぼ横ばいで推移しています。直近の単体業績では、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前事業年度から増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53.4億円 | 49.8億円 | - | - | - |
| 経常利益 | 1.9億円 | 1.9億円 | - | - | - |
| 経常利益率 | 3.6% | 3.9% | - | - | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.2億円 | 1.2億円 | - | - | - |
| 1株当たり当期純利益(円) | 96.39 | 102.81 | - | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
協立情報通信は、本業で安定した資金を創出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。財務基盤は堅固であり、手元資金も確保されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
協立情報通信の自己資本比率は、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しています。これは、外部からの借入に過度に依存せず、自社の資本で事業を運営していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 66.3% | 63.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
協立情報通信の当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは増加となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上、賞与引当金の増加、仕入債務の増加により資金が増加した一方で、売上債権及び契約資産の増加により資金が減少した結果です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出が主な要因となり、減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが主な要因で減少しています。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなりました。同社は本業で着実に資金を生み出していますが、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている段階にあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | 5.2億円 |
| 投資CF | △0.3億円 | △5.9億円 |
| 財務CF | △0.8億円 | △0.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.9億円 | △0.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は特定の仕入先・取引先への依存リスクを挙げています。ソリューション事業では日本電気株式会社や株式会社オービックビジネスコンサルタント、モバイル事業ではNTTドコモやティーガイアとの契約が事業の大部分を占めています。これらの契約が解除されたり、取引条件が不利に変更されたりした場合、経営に影響を受ける可能性があります。
また、首都圏近郊に本社や事業所、店舗が集中しているため、大規模な自然災害や停電が発生した場合、事業継続が困難になるリスクがあります。販売先の約6割が中堅・中小企業であるため、自然災害やパンデミックにより多くの中堅・中小企業の事業継続が困難になった場合も、経営に影響を受ける可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、顧客に最適な商品やサービスを提供できる優秀な人材の確保と育成を重要な課題として認識しています。計画通りに人材の確保や育成が進まない場合、または優秀な人材が多数退職した場合、経営に影響を受ける可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
協立情報通信は、情報通信技術を通じて社会と企業の繁栄に貢献することを目指しています。顧客の発展と社員の成長を重視し、誇りある活動を推進する企業文化を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
協立情報通信は、社是に「知・興・心」を掲げています。経営理念では「知と情報の新結合は社会と企業の繁栄をもたらす源である」と謳っています。同社は経営情報ソリューションにおいて、比類なき利用性・安全性・創造性を追求しています。
これにより、顧客の発展、社員の進化・充実を図り、永遠の誇りある活動を推進することを目指しています。中堅・中小企業の情報化を支援し、個々の顧客に適したソリューションを提供することが同社の使命です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
協立情報通信は、経営理念に基づき、すべてのステークホルダーに配慮した事業活動を通じて持続的な成長を目指しています。同社はサステナビリティを巡る課題を重要課題(マテリアリティ)と認識し、顧客の発展と社会の持続的な成長に貢献する姿勢です。
具体的には、株主の権利を尊重し、経営の公平性・透明性を確保した企業統治の強化に取り組んでいます。また、誠実、迅速、的確、先進性を踏まえた問題解決により、顧客満足度の向上に努めています。環境に配慮した製品提供や、性別、国籍、職歴等にとらわれない多様な人材の活躍とダイバーシティの推進も重視する価値観です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
協立情報通信は、企業価値の向上に向けていくつかの経営課題に取り組んでいます。ソリューション事業においては、ワンストップソリューションサービスを軸としたDX化支援の強化を推進しています。AI・クラウド分野における導入支援の高度化や、パートナー企業の製品・サービスを融合したソリューション提供体制の拡充を進めています。
モバイル事業では、ソリューション事業との連携強化やパートナー商材の活用を通じた法人向けICTソリューションの提案力向上に注力しています。また、経営方針を理解し、自ら考え行動できる自律型人材の確保・育成を重要な経営課題と位置付けています。多様な人材の採用・育成、成長できる環境整備、多様性を尊重する組織風土の醸成にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
協立情報通信は監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を軸とした企業統治体制を構築しています。社外役員を複数選任することで、経営の透明性と公正性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は日茂、次いで取締役会長である佐々木茂則氏が上位株主として名を連ねています。創業家およびその関連会社が上位を占める資本構成となっており、経営に対する強い影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日茂 | 30.90% |
| 佐々木茂則 | 30.10% |
| 佐々木綾子 | 2.70% |
| 木村俊一 | 1.30% |
| SBI証券 | 1.20% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木修氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木 修 | 代表取締役社長 | 1995年同社入社、経営企画室長、経営情報ソリューション事業部長、モバイル統括部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 佐々木 茂則 | 取締役会長 | 1964年協立電設を創業、1965年協立電設株式会社(現:同社)を設立し代表取締役社長に就任。2025年6月より現職。 |
| 堺澤 顕 | 常務取締役執行役員経営情報ソリューション部長 | 1996年同社入社、情報ソリューション営業部、経営情報ソリューション部長などを経て、2024年6月より現職。 |
| 渡辺 正志 | 取締役執行役員モバイル事業部長兼 法人サービス部長 | 1989年同社入社、法人モバイル営業本部、情報通信システム部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 藤井 晴人 | 取締役執行役員情報通信システム部長公共情報通信システム部管掌 | 1993年同社入社、情報通信システム事業部、情報通信システム部長などを経て、2025年10月より現職。 |
社外取締役は、堀本勝敬氏(元東京大学エクステンション代表取締役社長・PGV株式会社 社外取締役)、伊藤行正氏(元Verio社取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が企業統治の中核を担っています。独立性の高い社外取締役と社外監査役が、客観的な視点から経営の監督と助言を行うことで、ガバナンスの実効性確保を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(社外取締役を除く)と社内監査役に対しては固定報酬である基本報酬と業績連動報酬である賞与で構成されています。社外取締役および社外監査役に対しては、独立性を保つ観点から基本報酬のみが支給される体系となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 71百万円 | 11.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 10百万円 | 5.1百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 13百万円 | 3.3百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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