※本記事は、協立情報通信株式会社 の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 協立情報通信ってどんな会社?
ICTと情報活用による経営課題解決支援およびドコモショップ運営を主軸とする情報通信企業です。
■(1) 会社概要
1964年に協立電設として創業し、翌1965年に設立されました。1988年に現社名へ変更し、情報通信分野での事業を拡大。2013年にはJASDAQ(スタンダード)市場へ上場を果たしました。NECやNTTドコモ、オービックビジネスコンサルタントといった大手パートナー企業との連携を強みとし、長年にわたり経営情報ソリューションサービスを提供しています。
2025年3月31日現在、単体での従業員数は186名です。筆頭株主は日茂、第2位は創業者の佐々木茂則氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日茂 | 30.90% |
| 佐々木茂則 | 30.10% |
| エルジ-ティ- バンク リミデット | 2.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木修氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木修 | 代表取締役社長 | 1995年同社入社。経営企画室長、モバイル事業部長等を経て、2023年取締役社長執行役員。2025年6月より現職。 |
| 佐々木茂則 | 取締役会長 | 1964年協立電設創業。1965年同社設立と共に代表取締役社長。2017年会長就任。2025年6月より現職。 |
| 堺澤顕 | 常務取締役 | 1996年同社入社。経営情報ソリューション部長等を経て、2024年6月より現職。 |
| 渡辺正志 | 取締役 | 1989年同社入社。モバイルソリューション推進部長等を経て、2025年6月より現職。 |
| 藤井晴人 | 取締役 | 1993年同社入社。情報通信システム部長、新宿支店長等を歴任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、堀本勝敬(元ソニープロテクノサポート社長)、伊藤行正(元エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション事業」および「モバイル事業」を展開しています。
■ソリューション事業
企業活動のインフラ基盤活性化を目的とした通信・情報インフラの構築や保守、OBC奉行シリーズ等を活用した基幹業務システムの導入支援、情報活用教育などを提供しています。主な顧客は中堅・中小企業や官公庁であり、経営課題解決のためのワンストップソリューションを展開しています。
収益は、情報通信システムの構築・運用支援、機器レンタル、コンサルティング、教育受講料などから得ています。また、クラウドサービスの導入支援やサブスクリプションモデルによるストック収益の拡大も進めています。運営は主に協立情報通信が行っています。
■モバイル事業
NTTドコモの二次代理店としてドコモショップの運営(店舗事業)を行うほか、法人顧客向けにスマートフォンやタブレット等の販売、ソリューション提案(法人サービス事業)を行っています。店舗では販売だけでなく、各種手続きや操作説明などのアフターサービスも提供しています。
収益は、通信キャリアからの手数料や支援費、顧客からの端末販売代金等から得ています。法人向けでは、端末販売に加え、ICTソリューションと連携した提案による収益獲得を目指しています。運営は協立情報通信が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移です。売上高は2022年3月期の53億円をピークに減少傾向にあり、特に2025年3月期はモバイル事業の減収等が影響し45億円となりました。一方、経常利益は安定的に推移しており、2025年3月期は3.0億円と増益を確保しています。当期純利益は2024年3月期に一時的に増加しましたが、2025年3月期は1.7億円となっています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 45.1億円 | 53.4億円 | 49.8億円 | 54.7億円 | 44.8億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | 1.9億円 | 1.9億円 | 2.9億円 | 3.0億円 |
| 利益率(%) | 4.3% | 3.6% | 3.9% | 5.2% | 6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 | 1.1億円 | 1.2億円 | 2.6億円 | 1.7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を分析します。売上高が減少する一方で、売上総利益率は34.3%から40.2%へと改善しました。これは利益率の高いソリューション事業の構成比やサービスの質的向上によるものと考えられます。販管費は減少していますが、売上高の減少幅が大きいため、営業利益率は5.2%から6.7%へ上昇し、営業利益額も微増しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 54.7億円 | 44.8億円 |
| 売上総利益 | 18.8億円 | 18.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.3% | 40.2% |
| 営業利益 | 2.8億円 | 3.0億円 |
| 営業利益率(%) | 5.2% | 6.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が6.4億円(構成比43%)、賃借料が1.9億円(同13%)を占めています。売上原価においては、商品仕入高が17.4億円(構成比65%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の状況です。ソリューション事業は売上高が減少したものの、利益率は高い水準を維持し、全社利益を牽引しています。モバイル事業は店舗数減少や販売方針の転換により大幅な減収となりましたが、利益率は改善傾向にあります。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソリューション事業 | 17.5億円 | 16.6億円 | 4.9億円 | 4.8億円 | 29.0% |
| モバイル事業 | 37.2億円 | 28.1億円 | 2.4億円 | 2.3億円 | 8.3% |
| 調整額 | - | - | -4.4億円 | -4.2億円 | - |
| 連結(合計) | 54.7億円 | 44.8億円 | 2.8億円 | 3.0億円 | 6.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
協立情報通信は、事業活動を通じて資金を創出し、設備投資や株主還元を行っています。
営業活動では、主に事業の利益創出により資金が増加しました。投資活動では、設備投資等により資金が減少しました。財務活動では、主に株主への配当金支払いにより資金が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.4億円 | 2.2億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は社是に「知・興・心」を掲げ、経営理念として「知と情報の新結合は社会と企業の繁栄をもたらす源である」としています。経営情報ソリューションにおいて比類なき利用性・安全性・創造性を追求し、顧客の発展と社員の進化・充実を図ることを使命としています。中堅・中小企業の情報化を支援し、顧客の経営活性化と繁栄に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「協立情報コミュニティー」を活動の中核とし、顧客にソリューションを体験してもらう場を提供するとともに、顧客やパートナー企業との共創を重視しています。社員一人ひとりが「知」の重要性を意識しながら創造的な業務に従事し、自律的に行動できる人材となることを目指しています。また、多様な人材の採用と育成に注力し、成長できる環境整備を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、情報通信システムの保守や運用支援等のストック型ビジネスによる安定した収益基盤の確立を目指しています。中長期的な目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高伸長率:年15%
* 営業利益率:10%
■(4) 成長戦略と重点施策
経営情報ソリューションサービスの拡大に向け、クラウドソリューションの推進やリカーリングモデルの強化による業務DX化を促進しています。また、モバイル事業では法人サービスと店舗事業の連携強化や、独自サービスの拡充に取り組んでいます。
* 活用サービスの充実と新たな融合ソリューションサービスの提供
* モバイルソリューション提案の促進と独自サービスの拡充
* サービスの高度化・多様化による付加価値拡大と利益率向上
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
経営方針を理解し、主体的に行動できる自律型人材の確保を重要課題としています。多様な人材の採用と育成に注力するとともに、従業員が「知」の重要性を意識し、創造的な業務に従事して成長できる環境整備と多様性の確保を推進しています。また、必要な資格取得の奨励など、事業発展に貢献する人材育成を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.6歳 | 13.8年 | 5,095,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、公表項目として選択していないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の仕入先・取引先への依存
ソリューション事業ではNECやOBC、モバイル事業ではNTTドコモやティーガイアといったパートナー企業からの仕入や業務委託に大きく依存しています。契約解除や取引条件の変更、製品供給の遅延等が発生した場合、同社の経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 人材の確保と育成
最適なソリューションを提供できる優秀な人材の確保と育成は事業発展の鍵です。採用や育成が計画通り進まない場合や、優秀な人材の流出が生じた場合、競争力の低下を招き、経営に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報管理
業務上多数の個人情報や企業情報を保有しています。情報セキュリティ体制の強化や社員教育に努めていますが、万が一情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任や社会的信用の失墜、主要パートナー企業との契約解除等につながり、経営に重大な影響を与える可能性があります。



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