サンヨーホームズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンヨーホームズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の総合住生活提案企業です。戸建住宅や賃貸福祉住宅の設計・施工を行う住宅事業と、マンション開発・販売を行うマンション事業を主軸に展開しています。直近の業績は、売上高が前期比微減となりましたが、経常利益および当期純利益は増加し、減収増益で着地しました。


※本記事は、サンヨーホームズ株式会社 の有価証券報告書(第29期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンヨーホームズってどんな会社?


戸建住宅やマンション開発、リフォームなどを手掛ける総合「住生活」提案企業です。

(1) 会社概要


同社は1969年、クボタハウスとして設立され軽量鉄骨プレハブ住宅の発売を開始しました。2000年にクボタグループから独立し、2002年に三洋電機グループ傘下入りを経て現社名へ変更しています。2013年に東証二部へ上場し、翌年東証一部へ指定替えとなりました。現在は独立系企業として、リフォーム会社やマンション管理会社を完全子会社化し、住生活全般をサポートする体制を構築しています。

現在の従業員数は連結763名、単体323名です。筆頭株主は住宅設備機器大手のLIXILで、第2位は総合リース企業のオリックスです。第3位には関西電力が名を連ねており、これら事業会社との資本関係のもとで事業を展開しています。

氏名 持株比率
株式会社LIXIL 26.05%
オリックス株式会社 14.01%
関西電力株式会社 12.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は松岡久志氏が務めています。なお、社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 康典 取締役会長 元三洋電機代表取締役会長兼社長。同社CEOを経て、2020年4月より現職。
松岡 久志 代表取締役社長社長執行役員マンション事業本部長 三洋エステートを経て同社入社。マンション事業本部長、副社長執行役員等を歴任し、2020年4月より現職。
美山 正人 代表取締役副社長執行役員住宅事業本部長大阪本店長 旭化成ホームズを経て同社入社。住宅事業担当、東京支店長等を歴任し、2017年6月より現職。
福井 江治 取締役専務執行役員経営管理本部長 クボタハウス(現同社)入社。管理本部経営管理部長、常務執行役員等を歴任し、2018年6月より現職。


社外取締役は、薗吉輔(元アイピーアールベンチャーキャピタル代表取締役)、高山和則(高山公認会計士事務所所長)、田原祐子(ベーシック代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅事業」「マンション事業」および「その他」事業を展開しています。

住宅事業


工場で生産する部材を用いた戸建住宅(プレハブ住宅)や賃貸福祉住宅の設計・施工、リフォーム、中古住宅の再生販売(リニューアル流通)などを行っています。主な商圏は首都圏、中部、近畿、九州の四大都市圏で、個人顧客や土地オーナーを対象としています。

収益は、顧客からの請負工事代金や不動産販売代金から得ています。運営は主にサンヨーホームズが行っており、リフォーム事業は連結子会社のサンヨーリフォーム、太陽光システム販売や施工等はサンヨーアーキテックが担当しています。

マンション事業


四大都市圏を中心に、新築分譲マンションおよびリノベーションマンションの開発、販売、賃貸事業を展開しています。「サンメゾン」などのブランドでファミリー層や単身者向けに物件を供給しており、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たす環境配慮型マンションにも注力しています。

収益は、マンションの販売による売上代金や賃貸料から得ています。運営は主にサンヨーホームズが行っており、用地取得から企画、販売までを一貫して手掛けています。

その他


マンション管理、保険代理業、保育事業、リハビリ型デイサービス施設の運営など、住まいと暮らしに関連するライフサポート事業を展開しています。また、高齢者の在宅支援に向けた介護系ロボットの開発や地方創生事業にも取り組んでいます。

収益は、マンション管理組合からの管理委託費、保育・介護施設の利用料、サービス提供対価などから得ています。運営は主に連結子会社のサンヨーホームズコミュニティが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間の業績推移です。売上高は400億円から500億円台前半で推移していますが、2023年3月期には一時的な落ち込みと赤字計上が見られました。直近2期は黒字を確保しており、利益率は回復傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 535億円 511億円 410億円 459億円 455億円
経常利益 9億円 5億円 -2億円 9億円 12億円
利益率(%) 1.6% 1.1% -0.5% 2.0% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 3億円 -4億円 6億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を分析します。売上高はほぼ横ばいで推移していますが、経常利益および当期純利益は増加しており、収益性は改善しています。売上総利益率は20%台を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 459億円 455億円
売上総利益 91億円 92億円
売上総利益率(%) 19.9% 20.3%
営業利益 10億円 10億円
営業利益率(%) 2.1% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が30億円(構成比37%)、広告宣伝費が10億円(同12%)を占めています。売上原価においては、外注費や材料費などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を分析します。住宅事業は減収となりましたが、利益面では黒字転換を果たしました。マンション事業は売上高が微減し、建設費高騰の影響などで減益となっています。その他事業は増収増益となり、堅調に推移しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
住宅事業 208億円 202億円 -5億円 0億円 0.0%
マンション事業 206億円 205億円 22億円 17億円 8.4%
その他 45億円 48億円 0億円 0億円 0.6%
調整額 0億円 0億円 -7億円 -8億円 -
連結(合計) 459億円 455億円 10億円 10億円 2.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針とし、短期運転資金は自己資金と短期借入、長期運転資金は長期借入で調達しています。

マンション事業における開発土地・建築資金や販売費・一般管理費等の営業費用が、運転資金需要の主なものです。投資活動では、エネルギー効率の高い住宅開発や、超高齢社会に対応するロボット共生住宅の研究開発を進めています。財務活動では、長期借入金を中心に資金調達を行っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 35億円 -24億円
投資CF -0.2億円 -0.5億円
財務CF -51億円 12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会になくてはならない存在」であり続けることをビジョン・ステートメントとし、スローガンとして「人と地球がよろこぶ住まい」を掲げています。住まいづくりのプロとして顧客のウォンツを満たし、「快適空間の創造」と「退屈しない人生の提案」を通じて顧客満足の向上を図ることを経営理念としています。

(2) 企業文化


「エコ&セーフティ」を事業コンセプトとし、環境(エコ)と安全・安心(セーフティ)を追求する文化があります。また、「クリーン」「誠実」「顧客指向」に基づいた行動規範を定めており、法令遵守や人権尊重、公正な取引、環境への配慮などを通じて、誠実に社会的責任を果たすことを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な目標として、財務の健全性を高めるとともに資産の効率化を図る方針を掲げています。具体的には以下の数値目標を設定しています。

* ROE:15~20%
* 自己資本比率:35~40%
* 配当性向:20~30%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「エコ&セーフティ」を実践し、住まいのパートナーとして付加価値向上と持続的成長を目指しています。特に環境問題への対応を重視し、戸建・賃貸住宅やマンションにおけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化を推進しています。また、既存住宅を活用しカーボン・マイナスを図る「RCCM住宅」の展開や、リフォーム事業による環境性能向上にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な視点や価値観を取り入れるため、女性活躍推進やキャリア採用を通じて人材の多様性確保を進めています。管理職登用においては性別や国籍にとらわれない評価を行っており、中核人材の登用に向けた育成強化や働き方改革、健康経営を推進しています。また、外国人材についても事業上の必要性に応じて採用や登用を進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.4歳 15.8年 6,613,863円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.3%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.9%
男女賃金差異(正規) 64.9%
男女賃金差異(非正規) 42.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(36%)、ZEH比率(戸建住宅95%)、ZEH比率(集合住宅98%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境変化に関するリスク


住宅市場は、地価の変動、金利動向、住宅税制、消費税、雇用情勢などの外部要因に強く影響を受けます。これらの不確実性が高まった場合、同グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 不動産、固定資産価値の下落に関するリスク


四大都市圏で展開するマンション事業において、不動産市況が悪化した場合、業績に影響が出る可能性があります。また、保有する不動産の時価や賃貸価格が下落した場合には、評価減や減損処理が必要となり、財政状態に影響を与えるリスクがあります。

(3) 原材料価格、資材価格及び労務費の高騰に関するリスク


住宅の主要部材である鉄鋼や木材などの価格が高騰したり、労働人口の減少に伴い労務費が上昇したりした場合、工事原価の上昇を招き、同グループの利益を圧迫する可能性があります。

(4) 有利子負債残高に関するリスク


マンション事業等の展開に伴い、棚卸資産の確保のために金融機関からの借入を行っており、有利子負債残高は総資産の一定割合を占めています。金利が上昇した場合、支払利息の増加により資金調達コストが嵩み、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。