サンヨーホームズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンヨーホームズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンヨーホームズは東京証券取引所スタンダード市場に上場する総合「住生活」提案企業です。戸建・賃貸住宅を扱う住宅事業と、マンションの開発・販売事業を主軸に展開しています。直近の業績は、マンション事業が好調に推移したことなどから、売上高および各利益ともに大幅な増収増益を達成し、順調な成長基調にあります。


※本記事は、サンヨーホームズ株式会社の有価証券報告書(第30期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンヨーホームズってどんな会社?


総合「住生活」提案企業として、住宅事業やマンション事業を展開し、人々の暮らしを幅広くサポートしています。

(1) 会社概要


1969年にクボタハウスとしてプレハブ住宅事業を開始したのが同社の源流です。2000年に宝貴産業が同事業を譲受し、2002年に三洋ホームズへ商号を変更しました。2003年には三洋エステートからマンション事業を譲り受け、2012年に現在のサンヨーホームズへと社名を変更し、2013年に株式を上場しました。

従業員数は連結で789名、単体で339名です。筆頭株主は事業会社であるLIXILで、第2位は同じく事業会社の関西電力、第3位にはセコムが名を連ねています。

氏名 持株比率
LIXIL 24.28%
関西電力 11.98%
セコム 10.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は松岡久志氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
松岡久志 代表取締役社長社長執行役員マンション事業本部長 2001年三洋エステート入社。同社転籍後、マンション事業本部長や副社長を経て、2020年4月より現職。
田中康典 取締役会長 1998年三洋電機専務取締役に就任。同社代表取締役会長兼社長やCEOを歴任し、2020年4月より現職。
美山正人 代表取締役副社長執行役員住宅事業本部長大阪本店長 1982年旭化成ホームズ入社。2004年同社入社後、常務や社長補佐などを経て、2025年4月より現職。
福井江治 取締役専務執行役員経営管理本部長 1988年クボタハウス入社。サンヨーリフォーム等の監査役や同社常務を経て、2020年4月より現職。
田中教二 取締役専務執行役員建築本部長 1982年クボタハウス入社。同社常務や副社長、賃貸・福祉事業責任者などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、薗吉輔(元アイピーアールベンチャーキャピタル代表取締役)、高山和則(元中央新光監査法人)、田原祐子(元ベーシック代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅事業」および「マンション事業」の報告セグメントと「その他」事業を展開しています。

(1) 住宅事業


戸建住宅や賃貸福祉住宅の設計・施工・販売のほか、住宅リフォーム、既存住宅を活用するリニューアル流通、太陽光システム等の販売を手掛けています。四大都市圏を中心に、高断熱や耐震性に優れた住まいや環境に配慮したZEH住宅などを顧客に提供しています。

主に顧客からの戸建住宅の建築請負代金やリフォーム工事代金、販売代金などが収益源となります。事業の運営は主にサンヨーホームズが担うほか、子会社のサンヨーリフォームが住宅リフォームを、サンヨーアーキテックが太陽光システムの販売などを手掛けています。

(2) マンション事業


主に首都圏、中部圏、近畿圏、九州圏の四大都市圏において、新築マンションおよびリノベーションマンションの開発と販売を行っています。環境に配慮したZEHマンションの推進など、高品質で付加価値の高い集合住宅を一般の個人顧客向けに提供しています。

顧客に対する分譲マンション等の販売代金が主な収益源となります。また、一部の賃貸用不動産からの賃貸収益なども含まれています。当該事業の開発から販売、賃貸までの運営主体は、同社が中心となって担っています。

(3) その他(ライフサポート事業など)


報告セグメントに含まれない事業として、マンション管理業、保険代理業、保育事業、リハビリ型デイサービス施設の運営など、生活をサポートするサービス事業を展開しています。また、高齢者の在宅支援に向けた介護系ロボットの開発なども手掛けています。

マンションの入居者や施設の利用者からの管理費、サービス利用料などが主な収益源です。これらの事業は、主に子会社であるサンヨーホームズコミュニティが中心となって運営し、顧客の安心・快適な日常生活を支える多角的なサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、一時期は減収や利益面の落ち込みが見られたものの、直近にかけては回復と成長のトレンドが鮮明です。特に直近の通期では、売上高が順調に拡大するとともに、経常利益および当期利益も過去5期で最高水準を記録しており、収益力の着実な向上が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 511.2億円 409.7億円 458.6億円 455.2億円 505.0億円
経常利益 5.5億円 -1.9億円 9.4億円 11.7億円 19.8億円
利益率(%) 1.1% -0.5% 2.0% 2.6% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.4億円 -3.9億円 5.7億円 5.9億円 12.3億円

(2) 損益計算書


売上高が順調に拡大する中で、売上総利益率も改善傾向にあります。加えて、増収効果により販管費の負担を吸収したことで営業利益が大きく伸びており、本業の稼ぐ力を示す営業利益率も向上するなど、効率的な利益創出が進んでいます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 455.2億円 505.0億円
売上総利益 92.4億円 107.6億円
売上総利益率(%) 20.3% 21.3%
営業利益 9.6億円 21.8億円
営業利益率(%) 2.1% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が30.9億円(構成比36.1%)、広告宣伝費が9.4億円(同10.9%)、販売手数料が6.8億円(同7.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、主力の住宅事業は堅調に推移し、わずかながら増収を確保しました。一方、もうひとつの柱であるマンション事業は、物件の販売が好調に推移したことで大幅な増収となり、全社業績を力強く牽引しています。また、その他事業も順調に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
住宅事業 201.9億円 205.5億円
マンション事業 205.3億円 246.5億円
その他 48.0億円 53.1億円
連結(合計) 455.2億円 505.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがマイナス、投資CFと財務CFがプラスとなっており、本業での赤字を資産売却や借入等の資金調達で補填する救済型の状況を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -23.7億円 -15.4億円
投資CF -0.5億円 0.4億円
財務CF 12.1億円 13.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「我々は、「社会になくてはならない存在」でありつづけます。」というビジョン・ステートメントを掲げています。また、「人と地球がよろこぶ住まい」をスローガンとし、住まいと暮らしの困りごとを解決しながら、一生のパートナーとして人々の安全・安心と地球環境保全に努め、社会に貢献する総合「住生活」提案企業を目指しています。

(2) 企業文化


「お客様満足の向上」を経営理念とし、「クリーン」「誠実」「顧客指向」に基づく「行動規範」のもとで独自の企業文化(オリジナルカルチャー)を醸成しています。人権の尊重や法令遵守の精神を徹底し、社会的倫理や良識に従いながら、より良い社会の構築と社会責任を誠実に果たすべく、積極的に行動することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


短期的には売上高の先行指標となる受注高や受注残高の状況を重視しています。中長期的には財務の健全性を高めるとともに資産の効率化を図ることを目標としており、具体的な数値目標として以下の指標を掲げています。

* ROE:15~20%
* 自己資本比率:35~40%
* 配当性向:20~30%

(4) 成長戦略と重点施策


住宅行政において「新築」から「ストック」への転換が求められる中、同社はイノベーションを推進し事業拡大を図っています。事業コンセプトである「エコ&セーフティ(環境・安全・安心)」を実践し、地球環境問題を最重要と捉えてZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応した戸建住宅やマンションの普及・促進に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員一人ひとりが主体的に行動し、自律的に課題解決ができる高度な専門性を備えた人材の育成を目指しています。中長期的な価値創造のため「目標管理制度」を通じた動機付けや「若手社員育成面談制度」を導入し、人材の定着や組織力向上を図るとともに、人的資本投資を強化して従業員エンゲージメントの向上を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.5歳 13.7年 6,600,371円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.0%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 65.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 37.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(26%)、女性採用比率の2030年度目標(35%)、女性管理職比率の2030年度目標(8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産・固定資産価値の下落リスク


四大都市圏でマンションの開発・販売を行っており、国内の不動産市況が悪化した場合や、保有する不動産の時価・賃貸価格が下落した場合には、棚卸資産の評価減や固定資産の減損が生じ、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資材価格や労務費の高騰リスク


住宅の主要部材である鉄鋼や木材などの急激な価格高騰や、労働人口の減少に伴う労務費の上昇が発生した場合、仕入価格や建設コストの増加につながり、同社グループの業績および財務状況に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 有利子負債残高と金利変動リスク


マンション事業の積極展開に伴う用地・建築資金の確保のため、金融機関からの借入等を行っています。資金調達にあたっては金利上昇リスクを考慮していますが、支払金利の上昇による調達コストの増加が、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 建築に伴う品質保証や土壌汚染リスク


事業用地の取得時に土壌汚染が発見された場合の追加費用やスケジュール変更リスクがあるほか、住宅の施工において想定外の瑕疵担保責任等が発生した場合、多額の補修費用やブランド評価の毀損が生じ、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。