※本記事は、ICDAホールディングス株式会社の有価証券報告書(第17期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ICDAホールディングスってどんな会社?
新車・中古車の販売と自動車リサイクル事業を融合し、独自のバリューチェーンを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1967年の向井自動車商会創業を皮切りに、1969年にホンダの新車販売を開始しました。1998年には輸入車ディーラー事業も展開し、2004年に自動車リサイクル事業を開始しています。2009年に持株会社体制へ移行し、2013年に株式上場を果たしました。
連結従業員数は392名、単体では18名です。筆頭株主はエム・エフで、第2位および第3位には創業家であり代表取締役を務める向井俊樹氏、向井弘光氏が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・エフ | 25.20% |
| 向井俊樹 | 13.40% |
| 向井弘光 | 12.97% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は向井弘光氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 向井弘光 | 代表取締役社長 | 1967年向井自動車商会創業。向井自動車販売代表取締役、ホンダ四輪販売三重北代表取締役会長等を経て、2009年より現職。 |
| 向井俊樹 | 代表取締役副社長 | 1997年ホンダクリオ三重北入社。ホンダ四輪販売三重北新車本部長、オートモール代表取締役等を経て、2014年より現職。 |
| 松原佳代 | 取締役 | 1997年ミサワホーム東海入社。2005年協同組合三重オートリサイクルセンター入社、マーク・コーポレーションセンター長等を経て、2020年より現職。 |
| 江藤隆仁 | 取締役(常勤監査等委員) | 1975年日曹油化工業入社。ホンダ四輪販売三重北営業本部長、同社代表取締役社長等を経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、髙木純一(鈴鹿医療科学大学理事長)、中西貞徳(元鈴鹿市消防長)、渡辺義彦(元百五銀行代表取締役副頭取)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車販売関連事業」および「自動車リサイクル事業」を展開しています。
■(1) 自動車販売関連事業
ホンダの新車ディーラー、フォルクスワーゲンおよびアウディの輸入車正規ディーラーに加え、全メーカーを扱う中古車の販売・買取、車検や点検整備などのサービスを提供しています。三重県内を中心に複合商業施設「オートモール」などを展開し、地域密着型の営業を行っています。
収益源は、顧客からの車両販売代金や整備・点検などのサービス料です。運営は、ホンダ車の販売を担うホンダ四輪販売三重北や、輸入車販売と中古車事業を手掛けるオートモールが主に行っています。
■(2) 自動車リサイクル事業
自動車リサイクル法に基づき、使用済自動車や廃車車両の適正な解体、リサイクル資源やリユースパーツの販売を行っています。販売部門での下取・買取車両を活用し、パーツは国内や海外へ販売しています。
収益源は、リサイクル資源やパーツの販売代金です。また、三菱マテリアルとの協業による希少希土類回収事業も推進しており、運営はマーク・コーポレーションが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、自動車販売市場の縮小懸念がある中でも堅調に推移しています。売上高は第13期の285億円から第17期には389億円へと着実に成長し、経常利益も16億円から20億円へと拡大するなど、増収増益のトレンドを描いています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 285億円 | 305億円 | 331億円 | 382億円 | 389億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 14億円 | 18億円 | 18億円 | 20億円 |
| 利益率(%) | 5.5% | 4.6% | 5.5% | 4.8% | 5.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 9億円 | 9億円 | 13億円 | 13億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は382億円から389億円へ微増し、売上総利益も70億円と横ばいを維持しています。営業利益は18億円から20億円へと増加しており、安定した収益性を確保しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 382億円 | 389億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 70億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.2% | 18.0% |
| 営業利益 | 18億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 4.7% | 5.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が13億円(構成比26%)、減価償却費が9億円(同18%)、広告宣伝費が5億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である自動車販売関連事業は、新車価格の上昇や金利上昇の影響を受けつつも、中古車販売やアフターサービスが順調に推移し増収増益となりました。一方、自動車リサイクル事業は資源相場が高値で推移したものの、輸出関連売上の減少により大幅な減収となりましたが、利益は微増を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自動車販売関連事業 | 359億円 | 375億円 | 19億円 | 20億円 | 5.4% |
| 自動車リサイクル事業 | 23億円 | 14億円 | 2億円 | 2億円 | 11.9% |
| 連結(合計) | 382億円 | 389億円 | 18億円 | 20億円 | 5.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 57億円 | 23億円 |
| 投資CF | -33億円 | -36億円 |
| 財務CF | -20億円 | 9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.7%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
社是として「我々は、すべての商品に愛情と情熱を持ち、つねに初心を忘れず、真心をもってお客様に接しご満足していただくことを誇りとする。」を掲げています。自動車流通事業を通じて社会に必要とされる事業を構築し、「生涯カーライフパートナー」として良質な商品やサービスを提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
経営方針の中で「CS(顧客満足)」「ES(従業員満足)」「CSR(企業の社会的責任)」のベスト経営を目指しています。特にESにおいては、社員一人ひとりの仕事が厳しくても楽しめ、夢のある会社を目指すという価値観を重視し、組織の活性化やモチベーション向上を推進する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な経営戦略の課題解決に向けた定量的な目標として、安定的な収益確保を掲げています。
* 売上高経常利益率5.0%の安定的な達成
■(4) 成長戦略と重点施策
部門や企業の壁を超えた連携により付加価値を最大化する「バリューチェーンクロス・ミックスビジネス」の強化を推進しています。自動車販売関連事業では、既存顧客に対するアフターサービスの充実や新規出店を進め、自動車リサイクル事業では、事業の知名度向上と全部再資源化に向けた一部機械化等の取り組みを強化しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な人材を確保するため、新卒に加え即戦力となる中途採用を積極的に行っています。社員個々の能力や適性を見極めたジョブローテーションを実施し、次世代の管理職や経営層の育成に向けた計画的な訓練・指導を行うとともに、多様な社員が能力を最大限発揮できる職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.6歳 | 14.6年 | 5,220,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 54.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 57.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 107.8% |
※連結子会社であるホンダ四輪販売三重北の数値を記載しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、役員に占める女性の割合(14.3%)、マネジメント職にある者に占める女性の割合(7.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自動車販売市場の縮小
消費嗜好の変化による「自動車離れ」や、少子高齢化に伴う市場縮小がリスクです。また、燃料価格や金利の上昇による購入意欲の低下、EV化へのシフトによる販売方法やメンテナンス需要の大変革が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定メーカーからの仕入依存
新車販売事業において本田技研工業からの仕入比率が高く、同社の政策や新車の販売動向に大きく依存しています。天災等により同社の生産体制に支障が生じた場合、新車供給が滞り業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 契約変更や競合激化
自動車メーカーとのディーラー契約において販売エリアが限定されており、契約内容の変更や継続困難な事態が生じた場合のリスクがあります。また、同業他社との競争激化が収益性を低下させる可能性も想定されます。



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