#記事タイトル:ICDAホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ICDAホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第16期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ICDAホールディングスってどんな会社?
三重県鈴鹿市を拠点に、ホンダ車や輸入車の新車・中古車販売から、整備、リサイクルまでを手掛ける自動車流通グループです。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1967年に創業した向井自動車商会にあり、2009年に持株会社として設立されました。2013年には大証JASDAQ(スタンダード)および名証二部へ上場を果たしています。現在は「自動車販売関連事業」と「自動車リサイクル事業」を柱とし、2024年4月には三重県玉城町に「伊勢オートモール」を新規開店するなど、地域密着型の事業展開を進めています。
連結従業員数は394名、単体従業員数は17名です。筆頭株主はエム・エフで、第2位は同社代表取締役副社長の向井俊樹氏、第3位は代表取締役社長の向井弘光氏となっており、創業家およびその関連会社が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・エフ | 25.20% |
| 向井 俊樹 | 13.40% |
| 向井 弘光 | 12.97% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は向井弘光氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 向井 弘光 | 代表取締役社長 | 1967年向井自動車商会創業。2001年オートモール代表取締役社長等を経て、2009年より現職。 |
| 向井 俊樹 | 代表取締役副社長 | 1997年ホンダクリオ三重北入社。2014年オートモール代表取締役等を経て、2014年6月より現職。 |
| 松原 佳代 | 取締役 | 1997年ミサワホーム東海入社。2020年マーク・コーポレーション常務取締役執行役員を経て、2020年6月より現職。 |
| 江藤 隆仁 | 取締役(常勤監査等委員) | 1975年日曹油化工業入社。2007年ホンダ四輪販売三重北代表取締役社長等を経て、2020年6月より現職。 |
社外取締役は、髙木純一(鈴鹿医療科学大学理事長)、中西貞徳(元鈴鹿市消防長)、渡辺義彦(元百五銀行代表取締役副頭取)です。
2. 事業内容
同社グループは、「自動車販売関連事業」および「自動車リサイクル事業」事業を展開しています。
■自動車販売関連事業
三重県内において、ホンダ、フォルクスワーゲン、アウディの正規ディーラーとして新車販売を行うほか、中古車販売・買取、車検・点検整備、レンタカー事業等を行っています。また、損害保険代理店として自動車保険の販売も手掛けています。新車・中古車の複合商業施設「オートモール」を県内7箇所で展開しています。
主な収益源は、顧客からの車両代金、車検・点検整備料、保険手数料等です。運営は、ホンダ車の販売をホンダ四輪販売三重北が、輸入車および中古車の販売等をオートモールが主に行っています。グループ内で下取・買取した車両を一元管理し、最適な販路で商品化する体制を構築しています。
■自動車リサイクル事業
使用済自動車の適正処理を行う事業です。使用済自動車の解体を行い、鉄・非鉄金属などのリサイクル資源や、再利用可能なエンジン・外装部品などのリユースパーツを生産・販売しています。また、中古車の海外輸出も行っています。
収益源は、リサイクル資源の引渡し先である素材メーカー等からの資源代金や、国内外の顧客からのパーツ・中古車代金です。運営は、マーク・コーポレーションが担当しており、同社は「全部再資源化業者」の認定を取得しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりを続けており、特に直近の2025年3月期は大きく伸長しています。利益面では、経常利益率が5%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。当期純利益も増加傾向にあり、堅調な成長を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 267億円 | 285億円 | 305億円 | 331億円 | 382億円 |
| 経常利益 | 15億円 | 16億円 | 14億円 | 18億円 | 18億円 |
| 利益率(%) | 5.5% | 5.5% | 4.6% | 5.5% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 10億円 | 9億円 | 9億円 | 13億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、売上総利益率は若干低下しています。一方、営業利益は微増にとどまり、営業利益率は低下しました。販管費の増加が利益率を圧迫している要因の一つと考えられます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 331億円 | 382億円 |
| 売上総利益 | 65億円 | 70億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.6% | 18.2% |
| 営業利益 | 18億円 | 18億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 4.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が14億円(構成比26%)、減価償却費が10億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の自動車販売関連事業は、新車・中古車ともに販売が好調で増収となりましたが、利益率は横ばいでした。自動車リサイクル事業は、資源相場の高騰や輸出増により大幅な増収となりましたが、利益は微減となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自動車販売関連事業 | 315億円 | 359億円 | 18億円 | 19億円 | 5.3% |
| 自動車リサイクル事業 | 16億円 | 23億円 | 2億円 | 2億円 | 7.1% |
| その他 | - | - | - | - | - |
| 調整額 | -1億円 | -2億円 | -2億円 | -2億円 | - |
| 連結(合計) | 331億円 | 382億円 | 18億円 | 18億円 | 4.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、資金効率化と金融費用の削減のため、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ内の資金を一元管理しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加し、事業活動から潤沢な資金を生み出しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、店舗拡張や車両取得等への投資により支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払い等により支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 57億円 |
| 投資CF | -28億円 | -33億円 |
| 財務CF | 17億円 | -20億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「我々は、すべての商品に愛情と情熱を持ち、つねに初心を忘れず、真心をもってお客様に接しご満足していただくことを誇りとする。」という社是を企業理念としています。自動車流通事業を通じて社会に必要とされる事業を構築し、「バリューチェーンクロス・ミックスビジネス」の革新を実現することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「CS・ES・CSRのベスト経営」を目指すことを基本方針としています。具体的には、お客様に次回も選んでいただける会社を目指す「CS」、社員一人一人の仕事が厳しくても楽しめ夢のある会社を目指す「ES(アソシエイト)」、適正利益経営のもとでの社会貢献を果たす「CSR」の3つを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中長期的な経営戦略の課題解決に向けた推進とともに、定量的な目標値として、売上高経常利益率4.5%を安定的に達成することを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
自動車販売関連事業では、既存顧客へのアフターサービス充実による経営安定化と、新車・中古車の複合店舗出店による事業拡大を推進します。特に中古車業態の県外展開や、太陽光発電設備等を備えた環境配慮型店舗の開発も進めます。自動車リサイクル事業では、広報戦略による知名度向上と、一部機械化による全部再資源化(ASRが出ない処理方法)を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、モビリティ販売・サービスからリサイクルまで多岐にわたる分野で活躍できる優秀な人材(人財)の確保と育成を重視しています。ジョブローテーションによる組織活性化や、業績連動インセンティブを含めた育成プランを導入し、社員のモチベーション向上を図っています。また、多様な人材が能力を発揮できる環境整備や、次世代幹部育成にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.8歳 | 15.2年 | 4,885,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※提出会社は従業員数が100名以下のため、女性管理職比率の開示義務はありませんが、連結子会社の実績は0.0%です。男性育児休業取得率はサステナビリティ指標として開示されているグループ全体の実績です。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、役員に占める女性の割合(14.3%)、マネジメント職にある者に占める女性(女性幹部候補)の割合(7.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自動車販売市場の変化
少子高齢化や若者の車離れ、カーシェアリングの普及等により国内自動車販売市場が縮小する可能性があります。また、政府のカーボンニュートラル宣言に伴うEV化の加速により、従来の販売手法や整備需要が大きく変化する可能性があります。
■(2) 本田技研工業との取引関係
連結子会社のホンダ四輪販売三重北は本田技研工業の販売系列にあり、同社からの仕入高は連結総仕入高の約5割を占めています。メーカーの政策や生産体制のトラブル等は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 販売エリアの集中
同社グループの事業拠点は三重県内に集中しており、主要な契約においても担当エリアが三重県北勢中勢地区等に限定されています。このため、同地域の経済状況の変化や大規模災害が発生した場合、業績に影響が出る可能性があります。
■(4) 金融環境の変動
店舗開発資金等を金融機関からの借入により調達しているため、金利の上昇や信用力の低下により調達コストが増加したり、資金調達が困難になった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。