※本記事は、株式会社リプロセル の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、iPS細胞技術を中核に、研究支援事業とメディカル事業の2つのセグメントを展開しています。研究支援ではiPS細胞の病態解明や創薬研究への応用を、メディカルでは再生医療等製品の研究開発や受託製造、臨床検査サービスを手掛けています。
単体従業員数は30名、連結従業員数は101名です。セグメントは研究支援事業、メディカル事業の2つです。
主な国内グループ会社は、RCパートナーズ(全社)、MAGiQセラピューティクス(メディカル事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
リプロセルグループは、専門性の高い人材を重視し、柔軟な働き方を支援する環境を整えています。従業員のワークライフバランスを考慮した制度や、個々の成長を促す施策を通じて、働きがいのある職場づくりを目指しているようです。給与制度は役割等級制度に基づく年俸制を採用し、個人の能力や業績が反映される仕組みとなっています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
リプロセルは、高度な専門性を持つ人材が活躍する環境を提供しており、従業員の平均年齢は比較的若く、勤続年数も堅実な傾向が見られます。専門職が能力を最大限に発揮できるよう、柔軟な働き方を支援する制度が導入されています。若手から中堅層が中心となって事業を推進している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,147,669円 |
| 平均勤続年数 | 5年6ヶ月 |
| 平均年齢 | 34.2歳 |
| 単体従業員数 | 30人 |
| 連結従業員数 | 101人 |
| 単体のグループ内比率 | 29.7% |
同社グループでは、一部の連結子会社において確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内および海外のグループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度における連結子会社の確定拠出制度の要拠出額は29百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
リプロセルグループは、革新的な医薬品パイプラインの創出・推進において、高度な専門知識と豊富な経験を持つ「人材」を最大の成長基盤であり競争力の源泉と位置付けています。少数のプロフェッショナルによる機動的かつ効率的な研究開発体制を基本とし、個々の専門性の深化、研究倫理の徹底、専門職が能力を最大限に発揮できる環境整備に経営資源を集中させる人的資本戦略を採用しています。
具体的には、業界内で高い知見を持つ専門人材を積極的に採用・登用し、外部の学術会議や専門学会への参加支援、社内勉強会の実施などを通じた実践的な能力開発(OJT)を推進しています。また、フレックスタイム制といった柔軟な勤務制度を導入し、従業員個々のライフスタイルや業務特性に適合したワークライフバランスの実現を支援することで、多様なバックグラウンドを持つ人材が専門性を存分に発揮できる職場環境の維持・向上に取り組んでいます。
提出会社では「役割等級制度」を導入しており、従業員の給与等は、この制度に基づく人事考課結果や会社業績を反映させる仕組みとなっています。給与体系は原則として年俸制を採用し、基本年俸と賞与、各種手当で構成され、基本年俸は職務の重要度・困難度・責任度、勤務成績や勤務態度、能力や経験を総合的に考慮して決定されます。賞与は年2回支給され、職位ごとの評価、個人の人事考課結果、および会社の業績の双方を反映して決定・変動する仕組みです。人事考課は「業績評価」と「能力評価」で構成され、目標管理を通じた職務遂行の成果や貢献度、社員の職務遂行能力とその成長過程を評価し、公正な処遇へ反映させています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員の平均勤続年数 | 5年6ヶ月 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
リプロセルは、iPS細胞技術を中核に据え、研究支援とメディカルの二つの事業を展開しています。最先端の技術を活用し、新薬開発支援から再生医療製品の開発、臨床検査サービスまで幅広く手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、iPS細胞技術を基盤とした製品・サービスを通じて、生命科学研究の発展と再生医療の実用化に貢献しています。事業は「研究支援事業」と「メディカル事業」の二つのセグメントで構成されており、研究支援事業が同社グループの売上高の大部分を占めています。
研究支援事業
大学や公的研究機関、製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品、iPS細胞作製やゲノム編集などの受託サービスを提供しています。最先端技術を集約した製品・サービスを通じて、画期的な新薬や治療法の開発を支援しています。
収益は、研究用製品の製造販売と研究受託サービスから得ています。
メディカル事業
再生医療等製品の研究開発、再生医療等製品の受託製造、臨床検査サービスを手掛けています。体性幹細胞製品ステムカイマル、iPS神経グリア細胞製品、腫瘍浸潤性リンパ球輸注療法、グリピカン1・キメラ抗原受容体T細胞療法などのパイプラインを推進しています。
収益は、臨床検査受託サービスと再生医療等製品の研究開発・受託製造から得ています。
同社グループの売上高は、日本、米国、欧州、その他の地域にわたっており、特に米国からの売上高が大きな割合を占める傾向にあります。特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 研究支援事業 | 24.1億円 | 19.5億円 |
| メディカル事業 | 5.6億円 | 2.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながら推移しています。直近の当連結会計年度においては、売上高は前期から減少しました。
利益面では、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、過去5期間で損失を計上する期が多く見られます。当連結会計年度は、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上する結果となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において資金を使用する状況となっています。同社グループは、研究開発費の継続的な支出があり、事業収益が資金需要を賄うには十分ではないことから、公的助成金や第三者割当増資による資金調達も利用しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22.3億円 | 29.5億円 | 24.3億円 | 29.8億円 | 22.3億円 |
| 経常利益 | △5.1億円 | △1.2億円 | 40百万円 | 45百万円 | △5.8億円 |
| 経常利益率 | △22.7% | △4.1% | 1.7% | 1.5% | △26.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △5.8億円 | △3.1億円 | △31百万円 | 1.0億円 | △5.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △7.57 | △3.62 | △0.37 | 1.11 | △6.25 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、当連結会計年度において前期から減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も前期から減少しており、当連結会計年度は損失となっています。
これらの数値は、同社グループの収益性や組織効率の現状を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 30.1百万円 | 22.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.3百万円 | △8.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社リプロセルは、財務の安定性において、事業活動や投資活動による資金の流れに特徴が見られます。現在の資金状況から、今後の事業展開に向けた動きを読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は91.7%と、プライム市場の製造業平均や非製造業平均と比較して非常に高い水準を示しています。これは、財務の安定性が高い状態にあることを示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は当期で-6.6%となっており、前期の1.2%からマイナスに転じています。手元資金である現金及び預金は26.0億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 89.8億円 | 88.5億円 |
| 自己資本比率 | 92.9% | 91.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.2% | -6.6% |
| 現金及び預金 | 28.2億円 | 26.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に383百万円の使用となりました。これは主に税金等調整前当期純損失の発生によるものです。前期は6百万円の獲得でしたが、当期はマイナスに転じています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に57百万円の獲得となりました。これは投資有価証券の取得による支出があった一方で、有価証券の償還による収入があったことによるものです。前期は796百万円の使用でしたが、当期はプラスに転じています。
フリーキャッシュフローは当期に326百万円の使用となり、本業で得た資金だけでは投資を賄いきれていない状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは資金の増減がありませんでした。全体として、事業活動による資金流出が投資活動による資金流入を上回っており、今後の事業展開に向けた資金調達や収益改善が、雇用や給与の安定性に関わる重要な要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6百万円 | △383百万円 |
| 投資CF | △796百万円 | 57百万円 |
| 財務CF | 680百万円 | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △790百万円 | △326百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、iPS細胞及び再生医療製品等の研究開発及び治験費用が収益に先行して発生しているため、継続的に営業損失が発生しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。しかし、当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,603百万円、短期的な資金運用を行っている有価証券が3,904百万円あり、財務基盤は安定しているとされています。今後は、主力事業の営業強化や新規事業の立ち上げ、再生医療製品の早期製造販売承認を通じて、早期の黒字化を目指す方針です。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、iPS細胞分野における熾烈な研究競争や技術革新の速さ、新規参入の活発化による競合リスクを認識しています。また、海外売上比率が約7割であるため、為替変動リスクも存在します。主要取引通貨である米ドルと英ポンドに対して円高に推移した場合、売上が減少し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、成長戦略を実現するために、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保及び育成が不可欠であると認識しています。特に海外では人材流動性が高く、優秀な人材が流出するリスクがあるため、インセンティブ制度の導入や新規人材の採用を積極的に行っています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
リプロセルは、iPS細胞技術を核に、人々の健康福祉への貢献を目指す企業です。グローバルな視点と持続的な成長を重視する文化が特徴となっています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、iPS細胞及び体細胞に関する世界最先端の研究成果を広く一般的に利用できる形で事業化することを目指しています。これにより、研究開発をより促進し、再生医療など次世代医療を通じて人々の健康福祉に貢献することを使命としています。
短中期的な事業の柱としてiPS細胞に関連した研究試薬や創薬支援サービスを提供する「研究支援事業」を推進しています。中長期的な成長戦略として巨大市場が見込める「メディカル事業」へ積極的に投資することにより、当分野のマーケットリーダーを目指す方針です。
また、真のグローバル企業として成長していくことも、同社グループの大きな基本方針となっています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、再生医療分野において持続的な成長を可能にするために、顧客、社員、事業パートナー、株主といった重要なステークホルダーのバランスの取れた関係を重視しています。これらのステークホルダーと長期的にWin-Winの関係となれる体制を構築していくことを目指しています。
社会の一員であるという自覚を持ち、社会全体への貢献についても重視する企業風土です。サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しています。
同社グループの成長戦略を実現するためには、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えています。社員がワークライフバランスを実現しやすいフレックスタイム制度や、優秀な人材を対象としたインセンティブ制度、社内外の機会を捉えた社員教育を通じて、人材確保と育成に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、iPS細胞分野における技術革新への対応と市場リーダーシップの確立を全社的な課題としています。この変化に対応し、当該分野のマーケットリーダーとしての地位を確立・維持するため、研究開発への積極投資を行っています。
自社開発に加え、国内外の大学、公的研究機関、民間企業との連携、共同開発、技術導入を戦略的に推進し、技術的優位性を確保していく方針です。事業ポートフォリオの最適化と収益基盤の強化も全社的な課題であり、研究支援事業とメディカル事業の両輪をバランスを取りながら、安定的かつ持続的に成長させることを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
リプロセルは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会、会計監査人を設置しています。取締役会は3名で構成され、社外取締役が適切な助言機能を発揮し、経営の透明性と監視機能を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
リプロセルの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長である横山周史氏です。上位には複数の個人株主が名を連ねており、特定の機関投資家や事業会社が突出して高い比率を占める状況ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 横山 周史 | 1.21% |
| 中野 暁 | 1.05% |
| 上田八木短資 | 0.87% |
| 五十畑 輝夫 | 0.87% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505223 | 0.76% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は横山周史氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 横山 周史 | 代表取締役社長 | 1996年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社後、住友スリーエムを経て2004年同社入社。2005年より同社代表取締役社長を務め、RCパートナーズなどグループ会社の代表も兼任しています。 |
| 臼井 大祐 | 取締役 COO | 1997年日本油脂入社後、HOYAを経て2015年同社入社。2016年より同社取締役、2020年よりCOOを務め、グループ会社の取締役も兼任しています。 |
社外取締役は、山川善之氏(響きパートナーズ取締役会長)です。
社外監査役は、山﨑暢久氏(元協和キリン監査役)、串田隆徳氏(令和税理士法人所属)、村井良行氏(スマートナレッジ代表)です。
リプロセルは監査役会設置会社であり、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しています。社外取締役および社外監査役は、独立した立場から業務執行の妥当性や適法性を評価し、経営の透明性向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
リプロセルは、取締役(社外取締役を除く)の報酬を固定報酬としての基本報酬と譲渡制限付株式報酬で構成しています。社外取締役には基本報酬のみを支給する方針です。譲渡制限付株式報酬は、株主との価値共有を通じて、企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 62百万円 | 31.2百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 19百万円 | 4.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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