じもとホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

じもとホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する、きらやか銀行と仙台銀行を傘下に持つ銀行持株会社です。銀行業を中心に、リース業やクレジットカード業務などを展開しています。2025年3月期は、貸出金利息の増加や与信費用の減少により経常収益は増収、経常損益および当期純損益は黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社じもとホールディングス の有価証券報告書(第13期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. じもとホールディングスってどんな会社?


きらやか銀行(山形県)と仙台銀行(宮城県)を傘下に持つ金融持株会社です。両県をつなぐネットワークを強みに、地域密着型の金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要


2012年10月、きらやか銀行と仙台銀行の経営統合により設立され、東京証券取引所市場第一部に上場しました。2020年11月にはSBIホールディングスと資本業務提携契約を締結。2022年4月の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。2024年4月には株式会社JimoTecを完全子会社化し、同年9月には公的資金(優先株式)の返済期日を延長しています。

2025年3月31日現在の連結従業員数は1,385名、単体では2名です。筆頭株主は公的資金注入に伴う優先株式を保有する株式会社整理回収機構で、第2位は資本業務提携先であるSBI地銀ホールディングス株式会社となっています。

氏名 持株比率
整理回収機構 63.19%
SBI地銀ホールディングス 12.30%
金子 正幸 1.84%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.0%です。代表取締役社長は坂爪敏雄氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
西塚 英樹 代表取締役会長 1995年殖産銀行入行。きらやか銀行執行役員経営企画部長、同取締役などを経て、2024年9月より同行代表取締役頭取およびじもとホールディングス代表取締役会長。
坂爪 敏雄 代表取締役社長 1991年仙台銀行入行。同行取締役融資部長、常務取締役営業本部長などを歴任し、2024年6月より同行代表取締役頭取。同年9月よりじもとホールディングス代表取締役社長。
尾形 毅 常務取締役 1989年仙台銀行入行。同行取締役経営企画部長、本店営業部長などを経て、2024年6月より同行代表取締役常務。じもとホールディングス常務取締役。
鈴木 治 常務取締役 1995年山形しあわせ銀行入行。きらやか銀行執行役員企業支援部長などを経て、2024年9月より同行代表取締役専務およびじもとホールディングス常務取締役。
芳賀 隆之 取締役 1984年振興相互銀行入行。仙台銀行常務取締役営業本部長、仙台銀キャピタル&コンサルティング社長などを経て、2024年6月より仙台銀行代表取締役専務およびじもとホールディングス取締役。
鈴木 拓志 取締役 1998年殖産銀行入行。きらやか銀行執行役員新発田支店長を経て、2024年9月より同行取締役支店サポートグループ長およびじもとホールディングス取締役。
柴田 健 取締役 2007年仙台銀行入行。同行執行役員経営企画部長兼経理部長などを経て、2023年6月より同行取締役経営企画部長兼経理部長。2024年9月よりじもとホールディングス取締役。
小林 祐介 取締役 1997年殖産銀行入行。きらやか銀行上山支店長、じもとホールディングス総合企画部長を経て、2024年9月よりきらやか銀行取締役企画グループ長およびじもとホールディングス取締役。


社外取締役は、半田稔(弁護士)、長谷川靖(元財務省東海財務局長)、佐竹勤(元東北電力取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


株式会社きらやか銀行および株式会社仙台銀行の本店・支店等において、預金、貸出、内国・外国為替、有価証券売買・投資、各種窓販業務、社債受託業務などを行っています。同社グループの中核業務と位置づけられています。
収益は主に、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および振込手数料などの役務取引等収益から構成されます。運営は株式会社きらやか銀行、株式会社仙台銀行および同社が行っています。

(2) リース業


連結子会社において、各種リース業務を行っています。
収益は主に、顧客からのリース料収入等から構成されます。運営は株式会社きらやか銀行およびきらやかリース株式会社が行っています。

(3) その他


連結子会社において、クレジットカード業務、信用保証業務、コンサルティング業務、ベンチャーキャピタル業務、事務受託業務、コンピュータシステム開発・保守・運用受託業務などを行っています。
収益は、クレジットカードの手数料、信用保証料、コンサルティング報酬、システム受託開発費などから構成されます。運営はきらやかカード株式会社、株式会社仙台銀キャピタル&コンサルティング、株式会社JimoTecなど連結子会社5社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

株式会社じもとホールディングスグループは、当連結会計年度において、経常収益が増加した一方で、経常費用は大幅に減少しました。これは、前期に計上された多額の与信関係費用や国債等債券償還損といった一時的な要因がなくなったことによるものです。その結果、経常利益は経常利益がプラスに転じましたし、当期純利益も大きく改善しました。過去数年間の業績推移を見ると、経常収益は緩やかな変動が見られるものの、利益面では大きな回復を遂げています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 4,409 4,021 3,744 3,794 3,827
経常利益(億円) △23 45 △43 △223 21
当期純利益(億円) △32 26 △71 △235 16

(2) 損益計算書

当連結会計年度の株式会社じもとホールディングスグループは、経常収益が前期比で増加した一方で、経常費用は大幅に減少しました。これは、前期に発生した多額の与信関係費用や国債等債券償還損といった要因が解消されたことによるものです。これにより、経常利益は前期のマイナスからプラスへと転換し、当期純利益も大きく改善しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 3,794 3,827
経常費用 6,027 3,614
経常利益 △223 21
当期純利益 △235 16

(3) 役務取引等収益の内訳

株式会社じもとホールディングスグループの非金利収益である役務取引等収益は、当期において前期比で減少しました。役務取引等収益合計は663億円となりました。その中でも、最も規模が大きいのは「預金・貸出業務」で、当期は285億円でした。次いで「為替業務」が138億円となっています。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 686 663
預金・貸出業務 297 285
為替業務 139 138
証券関連業務 3 2
代理業務 2 2

(4) キャッシュ・フローと財務指標

じもとホールディングスは、銀行業を営む連結子会社の貸倒引当金について、償却・引当基準に則り、破綻先債権や破綻懸念先債権などを個別に評価し計上しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加や預金の減少、借入金の減少などにより、大幅な流出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得や償還などにより、流出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済などにより、流出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー △14 △1,902
投資活動によるキャッシュ・フロー 1,300 0
財務活動によるキャッシュ・フロー 196 0

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「宮城と山形をつなぎ、中小企業支援を通じて、地元中小企業や地域社会に貢献する」ことを経営理念として掲げています。この理念のもと、本業支援を通じて取引先や地域社会の持続的な発展に貢献し、中長期的な企業価値向上を目指す「共通価値の創造」を追求しています。

(2) 企業文化


同社は、ステークホルダー目線での施策実行を重視しています。きらやか銀行の新経営陣は、職員との面談と対話を重視し、経営再建に向けた意見やアイデアを募って実践するなど、組織風土の改革を進めています。また、グループ全体としてコンプライアンスやリスク管理の徹底を図る姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2024年4月~2027年3月)において、主要施策として「中小企業支援の深化」「業務変革(DX)」「経営管理」に取り組んでいます。2025年3月期の実績は以下の通りです。
* コア業務純益(2行合算):46億円
* 経常利益:21億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:15億円
* ROE:1.3%
* 自己資本比率:8.04%

(4) 成長戦略と重点施策


きらやか銀行の経営再建を最優先課題とし、信用リスク管理の強化や企業支援体制の再構築を図っています。また、SBIグループとの連携を活用し、半導体関連産業の振興や新金融サービスの提供を推進します。さらに、公的資金の返済に向けた利益剰余金の積み上げや、次期勘定系システム更新への対応を通じて、経営基盤の強化と業務効率化を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、性別や国籍等を問わず多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。人材育成においては、SBIグループ等との人材交流を通じてノウハウの吸収を図っています。また、育児・介護との両立支援や新たな働き方の導入により、職員のワークライフバランス向上と能力発揮を促進し、優秀な人材の確保と定着を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.1歳 22.4年 6,784,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。なお、同社(提出会社)は男性職員のみのため、女性管理職比率は0.0%となっています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は男性職員のみであり、育児休業取得該当者がいないため、上記指標の一部は記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、きらやか銀行の女性管理職比率(10.3%)、仙台銀行の女性管理職比率(15.5%)、きらやか銀行の男性育児休業取得率(73.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


国内外の景気動向や取引先の経営状況悪化により、不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。特に主要な営業エリアである東北地方の経済状況や、物価高・人件費上昇による中小企業の業績悪化が懸念されており、これらが顕在化した場合には、同社グループの経営成績に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場リスク


保有する有価証券や貸出金等は、金利、株価、為替等の市場変動の影響を受けます。金利上昇による債券価格の下落や、株価下落による保有株式の減損処理が発生した場合、業績が悪化する可能性があります。また、資金調達と運用の期間ミスマッチがある中で金利が変動した場合、収益が圧迫されるリスクがあります。

(3) 公的資金に関するリスク


同社グループは総額780億円の公的資金(優先株式)を受け入れています。きらやか銀行は公的資金の返済期限を延長しており、経営強化計画の履行状況によっては業務改善命令等の措置を受ける可能性があります。また、優先株式が普通株式へ転換された場合、既存株主の権利が希薄化するリスクがあります。

(4) システムリスク


銀行業務や各種サービスはコンピュータシステムに依存しており、システム障害やサイバー攻撃が発生した場合、業務停止や情報漏洩につながる恐れがあります。これにより、損害賠償や行政処分、社会的信用の失墜を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。