じもとホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

じもとホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

じもとホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、きらやか銀行と仙台銀行を中核として銀行業やリース業を展開する持株会社です。直近の業績では貸出金利息の増加等により経常収益が前期比で増加し、経常利益も増益となるなど、中小企業支援の深化と公的資金返済に向けた経営再建を推進しています。


※本記事は、株式会社じもとホールディングスの有価証券報告書(第14期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. じもとホールディングスってどんな会社?


地域経済を支える銀行業を中心に、リース業や各種金融サービスを展開する企業グループです。

(1) 会社概要


2012年にきらやか銀行と仙台銀行が共同株式移転により持株会社を設立し、東京証券取引所市場第一部に上場しました。2020年にはSBIホールディングスと資本業務提携契約を締結し、2022年に市場区分の見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。2024年には子会社を完全子会社化し社名変更を行いました。

従業員数は連結1,380名、単体2名です。筆頭株主は整理回収機構で、第2位はSBI地銀ホールディングスとなっています。

氏名 持株比率
整理回収機構 63.20%
SBI地銀ホールディングス 12.30%
金子亮 1.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性1名の計15名で構成され、女性役員比率は6.0%です。
代表取締役社長は坂爪敏雄氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
西塚英樹 代表取締役会長 1995年殖産銀行入行。きらやか銀行執行役員広域営業部長等を経て、2024年より同行代表取締役頭取および同社代表取締役会長。
坂爪敏雄 代表取締役社長 1991年仙台銀行入行。同行常務取締役営業本部長等を経て、2024年より同行代表取締役頭取および同社代表取締役社長。
尾形毅 常務取締役 1989年仙台銀行入行。同社総合企画部長等を経て、2025年より同行代表取締役専務および同社常務取締役。
鈴木治 常務取締役 1995年山形しあわせ銀行入行。きらやか銀行執行役員等を経て、2024年より同行代表取締役専務および同社常務取締役。
中澤雄二郎 取締役 1992年仙台銀行入行。同行取締役融資部長等を経て、2025年より同行代表取締役常務および同社取締役。
鈴木拓志 取締役 1998年殖産銀行入行。きらやか銀行執行役員等を経て、2025年より同行代表取締役常務および同社取締役。
柴田健 取締役 2007年仙台銀行入行。2024年同社取締役等を経て、2025年より同行常務取締役経営企画部長兼経理部長。
小林祐介 取締役 1997年殖産銀行入行。同社総合企画部長等を経て、2025年よりきらやか銀行常務取締役および同社取締役。


社外取締役は、半田稔(弁護士)、長谷川靖(SBI地銀ホールディングス社長)、佐竹勤(元東北電力副社長)、伊藤吉明(公認会計士)、髙橋節(元山形県副知事)、伊東昭代(元宮城県教育委員会教育長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


きらやか銀行と仙台銀行を中心に、預金、貸出、内国・外国為替業務、有価証券投資業務、金融商品の窓販業務などを提供しています。主な顧客は宮城県や山形県などの地域中小企業や個人です。

収益源は、顧客からの貸出金利息や各種手数料収入などから構成されます。運営は、きらやか銀行および仙台銀行などが行っています。

リース業


顧客企業の設備投資等に対するリース取引などを提供しています。主な顧客は地域の中小企業などです。

収益源は、顧客からのリース料などから構成されます。運営は、主としてきらやかリースおよびきらやか銀行が行っています。

その他


クレジットカード業務、信用保証業務、コンサルティング、ベンチャーキャピタル、事務受託、コンピュータシステム開発・保守などを提供しています。

収益源は、各サービスにおける手数料収入やシステム開発受託料などから構成されます。運営は、きらやかカード、きらやかコンサルティング&パートナーズ、JimoTecなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期では、2024年3月期に過去最大の赤字を計上しましたが、その後は経営再建と与信関係費用の抑制により黒字転換を果たしています。2026年3月期は貸出金利息の増加等により増収増益となり、回復傾向が鮮明になっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 402億円 374億円 379億円 383億円 441億円
経常利益 45億円 -43億円 -223億円 21億円 32億円
利益率(%) 11.2% -11.5% -58.8% 5.5% 7.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 26億円 -71億円 -235億円 16億円 26億円

(2) 損益計算書


売上高(経常収益)は貸出金利息の増加により拡大していますが、預金利息などの資金調達費用も増加したため、売上総利益(業務粗利益)の利益率は低下しています。それでも収益規模の拡大により、全体の利益水準は改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 383億円 441億円
売上総利益 258億円 265億円
売上総利益率(%) 67.4% 60.1%


営業経費のうち、給料・手当が85億円(構成比38%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の銀行業が貸出金利息の増加等により大幅な増収増益を達成し、グループ全体の業績回復を牽引しています。一方、リース業は売上が微減となり、利益も減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
銀行業 316億円 374億円 17億円 29億円 7.8%
リース業 62億円 61億円 4億円 3億円 4.9%
その他 7億円 7億円 0.4億円 0.5億円 14.3%
調整額 -2億円 -1億円 - - -
連結(合計) 383億円 441億円 21億円 32億円 7.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


事業検討型
なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1,902億円 -196億円
投資CF -0.4億円 151億円
財務CF -0.7億円 -1.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も3.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「宮城と山形をつなぎ、中小企業支援を通じて、地元中小企業や地域社会に貢献する」という経営理念のもと、取引先の業況改善やグループ業績回復、公的資金返済につなげる「共通価値の創造」の実現を目指しています。

(2) 企業文化


ステークホルダーが期待することを明確にし、ステークホルダー目線で施策を実行する文化を重視しています。また、経営陣は職員との面談と対話を重視し、経営再建に向けた様々な意見やアイディアを募って実践するなど、組織風土の改革を進めています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2024年4月〜2027年3月)では、2026年3月期の目標として以下を掲げています。

* コア業務純益:45億円
* 経常利益:23億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:16億円
* ROE:1.5%
* 自己資本比率:7.2%程度

(4) 成長戦略と重点施策


「中小企業支援の深化」「業務変革(DX)」「経営管理」の主要施策について、資本業務提携先であるSBIグループとの連携を積極的に活用して取り組みます。また、クラウドベースの次世代バンキングシステムの採用により、経営環境の変化に柔軟に対応し、経営効率化と新たな金融サービスの提供を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


性別、国籍、学歴、入社時期等に関係なく、多様な人材が活躍し能力を発揮できるよう、ワークライフバランスの向上や能力開発に積極的に取り組んでいます。SBIグループ等との人材交流にも積極的に取り組み、多様なノウハウの吸収と人材育成を進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.2歳 23.4年 6,973,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
きらやか銀行 女性管理職比率 11.8%
きらやか銀行 男性育児休業取得率 120.0%
きらやか銀行 男女賃金差異(全労働者) 62.5%
きらやか銀行 男女賃金差異(正規) 69.3%
きらやか銀行 男女賃金差異(パート・有期) 76.3%
仙台銀行 女性管理職比率 15.0%
仙台銀行 男性育児休業取得率 84.6%
仙台銀行 男女賃金差異(全労働者) 67.7%
仙台銀行 男女賃金差異(正規) 77.6%
仙台銀行 男女賃金差異(パート・有期) 91.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


国内外の景気動向や不動産価格の変動、取引先の経営状況の悪化等により、不良債権および与信関係費用が増加し、経営成績等に悪影響を及ぼすリスクがあります。特にエネルギー価格の高騰などが地域の中小企業に与える影響を注視しています。

(2) 市場リスク


金利や株価、為替レート等の市場リスクファクターの変動によって、保有する有価証券等の資産価値が減少するリスクです。資金運用と資金調達における金利のミスマッチ等により損失を被る可能性があります。

(3) 経営統合に関するリスク


きらやか銀行と仙台銀行の経営統合において、サービスや商品の開発遅れ、効果的な人員や営業拠点の再配置の遅延により、期待した統合効果を十分に発揮できず、想定外の追加費用が発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。