フージャースホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フージャースホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フージャースホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場し、ファミリー向けやシニア向けの分譲マンション開発、収益不動産の投資、マンション管理やスポーツクラブ運営などのサービスを展開しています。直近の業績では、主力の開発事業や投資事業が好調に推移し、大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社フージャースホールディングス の有価証券報告書(第13期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フージャースホールディングスってどんな会社?


不動産開発やシニア向け住宅、不動産投資、マンション管理などを幅広く手がける総合不動産企業です。

(1) 会社概要


1994年に不動産分譲事業などを目的に設立され、2004年に東証一部に上場しました。2013年に単独株式移転により持株会社体制へ移行し、現在は不動産開発に加え、シニア向けのCCRC事業や不動産投資、PFI事業、ホテル・スポーツクラブ運営などへ領域を拡大しています。

従業員数は連結で924名、単体で99名となっています。筆頭株主は創業者の廣岡哲也氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位も同氏に関連する名義となっており、創業者による資本の関与が強い体制となっています。

氏名 持株比率
廣岡哲也 12.26%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.71%
DAIWA CM SINGAPORE LTD-NOMINEE HIROOKA TETSUYA(常任代理人 大和証券) 9.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は小川栄一氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
小川栄一 代表取締役社長執行役員 リクルートコスモスを経て2001年にフージャースコーポレーション入社。同社社長などを歴任し、2022年4月より現職。
廣岡哲也 取締役会長 リクルートコスモスを経て1994年にフージャースを設立し代表取締役に就任。社長や会長執行役員を経て2025年6月より現職。
今井厚弘 取締役(常勤監査等委員) 協和銀行に入行後、りそな銀行コンプライアンス統括部長やいなげや取締役を経て2019年に入社。2022年6月より現職。


社外取締役は、安昌寿(元日建設計代表取締役副社長)、坪山昌司(元EVOLUTION JAPAN証券代表取締役会長兼CEO)、タニグチ直子(元日本GE法務部長)、松尾信吉(元新日本有限責任監査法人パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産開発事業」「CCRC事業」「不動産投資事業」「不動産関連サービス事業」を展開しています。

不動産開発事業


ファミリーや単身者向けの新築分譲マンションおよび新築戸建住宅の開発・販売を行っています。全国の市街地再開発事業にも参画し、多様な顧客ニーズに合わせた住まいを提供しています。
収益は物件の購入者からの販売代金として計上されます。事業の運営は、フージャースコーポレーションやホームステージなどが担っています。

CCRC事業


健康で活動的なアクティブシニア層をターゲットとしたシニア向け新築分譲マンションの開発・販売を行っています。また、分譲後のマンション管理や介護保険事業なども提供しています。
収益は、入居者への物件引き渡し時の販売代金や、継続的な管理・運営サービスの対価として受け取ります。運営はフージャースコーポレーションやフージャースケアデザインが行っています。

不動産投資事業


賃貸マンションや中古オフィスビルなどの収益不動産を取得し、リーシングやリノベーションを通じて資産価値を高めた上で、個人や事業会社に投資用不動産として販売・賃貸しています。
収益は不動産の売却代金や、保有物件からの賃料収入から得ています。運営は主にフージャースアセットマネジメントやフージャースキャピタルマネジメントが担っています。

不動産関連サービス事業


分譲マンションやビルの管理事業をはじめ、スポーツクラブやホテルの運営、PPPおよびPFI事業の企画・マネジメント、保険代理店事業などを多角的に展開しています。
収益はマンション管理組合からの管理委託料や、スポーツクラブ会員からの施設利用料などとして継続的に受け取ります。運営はフージャースリビングサービスやフージャースウェルネス&スポーツが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は800億円前後で推移していましたが、直近では大幅に増加して約1,386億円に達しました。経常利益も成長を続けており、利益率も安定して推移するなど、順調な事業拡大と収益基盤の強化が進んでいることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 795億円 793億円 864億円 922億円 1386億円
経常利益 57億円 73億円 76億円 86億円 118億円
利益率(%) 7.2% 9.2% 8.8% 9.3% 8.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 53億円 46億円 -4億円 49億円

(2) 損益計算書


主力の不動産開発や不動産投資での売却が進捗したことで売上高が約50%増加し、売上総利益も順調に拡大しました。原価上昇の圧力はあるものの、増収効果により営業利益も大幅な伸びを記録しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 922億円 1386億円
売上総利益 218億円 305億円
売上総利益率(%) 23.6% 22.0%
営業利益 92億円 138億円
営業利益率(%) 10.0% 10.0%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が50億円(構成比30%)、販売促進費が29億円(同17%)、租税公課が16億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの動向を見ると、不動産投資事業が賃貸マンションの売却増により収益を大きく牽引しています。不動産開発事業は原価上昇の影響で利益率が低下した一方、CCRC事業は引渡戸数の増加で黒字転換を果たしました。関連サービスも価格転嫁が進み堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産開発事業 536億円 633億円 48億円 27億円 4.3%
CCRC事業 37億円 142億円 -4億円 7億円 5.0%
不動産投資事業 264億円 526億円 44億円 95億円 18.1%
不動産関連サービス事業 84億円 84億円 4億円 5億円 6.4%
連結(合計) 922億円 1386億円 92億円 138億円 10.0%


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.0%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Hoosiers WAY 私たちが大切にしていること」「Hoosiers PROMISE 私たちは何を約束するのか」「Hoosiers PURPOSE 私たちは何をめざすのか」からなるグループメッセージのもと、住まいを起点とした多様な暮らしの価値創造を推進し、持続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「これまでにない、に挑み続ける」という姿勢を重視しています。顧客の「欲しかった暮らし」の実現に全力を尽くすとともに、時代の変化に対応しながら多様な社会課題に向き合い、事業を通じてその課題を解決へと導く「ソーシャルデベロッパー」となることを目指す文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


2031年3月期を最終年度とする「第3次中期経営計画」において、利益成長の継続と資本効率の向上を両立させる数値目標を掲げています。安定的な収益成長と財務健全性の維持を図りながら企業価値を高める計画です。

* 2031年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益:100億円以上
* ROIC:7%+α
* ROE:14%以上
* D/Eレシオ:2.0倍程度維持
* 配当性向:40%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「資本効率を伴う成長への転換」を基本方針とし、社会構造変化から生じる需要を顧客起点で事業化する存在への進化を目指しています。環境変化に強いポートフォリオの構築に向け、以下の施策に重点的に取り組みます。

* 各事業の特性に合わせた資本配分による事業ポートフォリオの転換
* シニアマンション事業への重点投資による成長ドライバー化
* 人材育成とDX推進による顧客理解の深化と事業運営の再現性向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自ら挑戦する人材へ」を人材育成の基本的な考え方とし、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる環境づくりを進めています。階層別・テーマ別研修と現場でのOJTを組み合わせた能力開発を行い、性別や国籍などに関わらず多様な視点を事業に活かせる組織の構築と、社員が心身ともに健康に働ける職場整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.7歳 4.5年 7,132,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.1%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 53.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 68.6%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) 46.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 大規模な自然災害や感染症の発生リスク


保有・運営・管理している施設が大規模な地震などの自然災害や感染症のパンデミックに見舞われた場合、施設の営業休止や補修費用の発生、工期の延長による竣工・売上計上時期の遅延が生じる可能性があります。これに備え、施設の定期点検やBCP(事業継続計画)に基づく早期再開体制を整備しています。

(2) 金利変動や建築コスト上昇によるリスク


事業資金の調達コスト増加や住宅ローン金利の上昇により、顧客の住宅購買意欲が減退したり、プロジェクトの収益性が悪化したりする恐れがあります。また、資材価格の高騰や人手不足に起因する建築コストの上昇も利益率を圧迫する要因となるため、金利動向の監視や機動的な資金確保、進捗管理の徹底を図っています。

(3) 開発用地の取得や資産価値下落リスク


競合の激化により優良な開発用地の取得機会が減少した場合、収益機会を逸失する可能性があります。また、取得後に土壌汚染が発覚するなどして保有資産の価値が下落し、想定外の損失が発生するリスクもあります。戦略的な用地取得方針の立案と情報収集力の強化、定期的な資産モニタリングによって対応しています。

(4) 業務委託先の不履行や品質管理のリスク


工事を担う協力会社の人手不足や倒産、契約不履行によって工期が遅延するリスクや、販売した不動産・提供サービスの品質不良により損害賠償が発生するリスクがあります。特定の外注先への依存度を抑え、定期的な現場管理や品質管理部門による厳格な工事監理を徹底することで、品質維持とリスク軽減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。