※本記事は、株式会社ライドオンエクスプレスホールディングスの有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ライドオンエクスプレスホールディングスってどんな会社?
同社グループは、寿司や釜飯などの調理済食材を中心とした宅配事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1992年にサンドイッチ店「サブマリン」を開業し、1995年に法人化しました。1998年に宅配寿司事業に参入し、2000年に「銀のさら」の商標を取得しました。2001年にレストラン・エクスプレスを設立し、全国的なフランチャイズ展開を開始しました。2013年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。
現在の同社グループは、連結従業員数363名、単体従業員数30名の体制で事業を運営しています。大株主の構成をみると、筆頭株主は創業者の江見朗氏と関係が深い資産管理会社等のエミA&Yで、第2位は創業者の江見朗氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エミA&Y | 21.57% |
| 江見 朗 | 7.54% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.74% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は江見朗氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 江見 朗 | 代表取締役社長 | 1995年サブマリン設立代表取締役社長。2001年同社設立代表取締役社長。2017年よりライドオンエクスプレス代表取締役社長等を経て、2022年よりライドオンシーズ代表取締役社長。 |
| 松島 和之 | 取締役副社長 | 1995年サブマリン設立取締役副社長。2001年同社取締役、2010年より同社取締役副社長。2022年よりライドオンエクスプレス取締役副社長。 |
| 渡邊 一正 | 取締役副社長 | ネクストジャパン代表取締役社長等を経て、2010年同社専務取締役、2016年より同社取締役副社長。2015年よりエースタート代表取締役。 |
| 冨板 克行 | 常務取締役 | 1995年サブマリン入社、専務取締役。2001年同社入社、取締役を経て2010年より同社常務取締役。2020年よりライドオンエクスプレス常務取締役。 |
| 赤木 豊 | 常務取締役 | イデアリンク代表取締役等を経て2010年同社取締役、2015年より同社常務取締役。2022年よりライドオンエクスプレス常務取締役。 |
社外取締役は、齋藤正夫(齋藤正夫公認会計士事務所代表)、吉田真(ゴッタライド代表取締役)、砂子知香(国際協力機構グアテマラ事務所派遣)です。
2. 事業内容
同社グループは、「宅配事業」を展開しています。
■宅配事業
同社グループは、寿司や釜飯などの調理済食材を中心とした宅配事業を展開しています。主力ブランドとして宅配寿司「銀のさら」、宅配御膳「釜寅」、宅配寿司「すし上等」をチェーン展開しており、ひとつの拠点に複数の店舗を出店する複合化戦略により、設備費や人件費を抑えながら多様な顧客ニーズに対応しています。
収益源は、直営店舗における調理済食材の宅配による売上のほか、フランチャイズ加盟企業からのロイヤルティ収入、加盟金収入、食材販売収入などです。運営は主にライドオンエクスプレスが行っており、仕入から調理、顧客の注文受付から配達までのプロセスを自社システムで一元管理しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績をみると、売上高は230億円から250億円の範囲で安定的に推移しており、当期は238億円となりました。経常利益も前期の減益から当期は大幅な増益に転じており、利益率も5.4%へと改善しています。当期利益についても順調に拡大しており、収益力の回復と向上が確認できる推移となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 257億円 | 254億円 | 240億円 | 234億円 | 238億円 |
| 経常利益 | 20億円 | 11億円 | 10億円 | 7億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 7.8% | 4.3% | 4.3% | 3.1% | 5.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 1億円 | 1億円 | 10億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高が増加する一方で、売上総利益はほぼ横ばいで推移しており、売上総利益率は前期の47.8%から46.7%へとわずかに低下しています。しかし、販売費及び一般管理費の減少等により営業利益は増加し、営業利益率も3.3%から3.7%へと改善する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 234億円 | 238億円 |
| 売上総利益 | 112億円 | 111億円 |
| 売上総利益率(%) | 47.8% | 46.7% |
| 営業利益 | 8億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 3.3% | 3.7% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給が25億円(構成比25%)、給与手当が18億円(同17%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 8億円 |
| 投資CF | -7億円 | -6億円 |
| 財務CF | -8億円 | 10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ビジネスを通じ、相手の幸せが自らの喜びと感ずる境地を目指す」という企業理念を掲げています。お客様のご家庭での生活を「もっと美味しく、もっと便利に」実現していくことを使命と位置づけ、フードデリバリー業界におけるリーディングカンパニーとして、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、お客様、従業員、取引先、株主・投資家、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼を高める誠実な事業活動を通じて、持続可能な社会の実現とグループの持続的な成長を目指す文化を重視しています。また、働きやすい環境の実現にとどまらず、仕事の本質を「時間の提供」から「価値の創造」と考える企業文化への転換を図っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、誰もがご自宅にいながらにして享受できる、より便利で快適な新しいライフスタイルの創出に貢献していく「次世代ホームネット戦略」を基本戦略としています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益と、それぞれの成長率を重要な経営指標として位置づけています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の事業展開において、既存ブランドの収益力強化とチェーン運営効率の最適化を図るとともに、海外市場への出店や新規事業への投資による新規市場の開拓を推進します。
* 新規ユーザーの獲得とリピート注文の促進
* IT・AI活用による生産性の向上(オペレーションシステムの強化、デリバリー配車AIの導入)
* 海外市場への出店および新たなオリジナルブランドの開発
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、コア事業の収益拡大や新規事業を柱とする成長戦略を実現する最大の原動力は「人的資本」であると認識しています。国内外で事業展開を牽引できる経営候補人財やデジタルリテラシーの高い人財の質・量の確保に注力し、自律的なキャリア形成を促すジョブ・スキルベースの処遇制度への移行や、AI活用による現場の生産性革新を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.2歳 | 11.3年 | 6,762,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 64.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全正規雇用者に占める女性の割合(18.8%)、管理職に占める女性労働者の割合(4.7%)、男性労働者の育児休業取得率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境および競合他社との競争
同社グループの事業が属する宅配食市場はフードデリバリー需要の拡大に伴い堅調に推移していますが、想定を超えた大手企業の参入や、食品小売業など他業界との価格競争が激化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食材仕入と価格高騰リスク
寿司ネタ等の自然資源である食材は、異常気象や国際的な漁獲制限、環境規制による物流・燃料コストの高騰などに影響を受けます。代替産地の確保などに努めていますが、調達コストの大幅な増加が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 個人情報の管理とサイバーセキュリティ
宅配事業の特性上多くの個人情報を取り扱っており、独自の受注・配車システムを活用しています。予期せぬサイバー攻撃や不正アクセス、システム障害などにより情報漏洩や稼働停止が発生した場合、社会的信用の失墜や受注機会の損失につながるリスクがあります。
■(4) 人財の確保・育成リスク
国内外の事業を牽引する経営候補人材や、IT・AI活用による生産性革新を担う専門人材、店舗運営を担う従業員の確保が重要です。人財不足や給与増によるコスト増が生じた場合、事業展開や店舗運営に支障をきたす可能性があります。



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