※本記事は、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社 の有価証券報告書(2026年2月期、2025年4月1日 ~ 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、全国の建築家と建設会社をネットワーク化し、顧客に「建築家との家づくり」を提供するプラットフォーム事業を展開しています。住宅や商業施設などの建設計画がある顧客に対し、建築家を活用した建物づくりの選択肢を提供しています。
単体従業員数は34名、連結従業員数は34名です。セグメントは住まい関連事業、暮らし関連事業、投資関連事業の3つです。
主な国内グループ会社は、ESJなどです。
同社グループは前連結会計期間より3つのセグメントによる事業展開を開始しました。また、当連結会計期間にはグループ会社4社を売却しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、建築関連事業を展開する企業です。同社グループは、従業員数が比較的少数でありながら、人材の定着と育成を重視する方針を示しています。安定した環境で長期的なキャリアを築きたいと考える方にとって、働きがいのある職場環境が期待できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンでは、従業員の平均年齢が高く、平均勤続年数も長い傾向が見られます。これは、同社が従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境を提供していることを示唆しています。経験豊富な人材が多数在籍し、安定して働き続けられる職場環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,557,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.74年 |
| 平均年齢 | 53.62歳 |
| 単体従業員数 | 34人 |
| 連結従業員数 | 34人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、永続的な事業継続と持続的な成長を実現するため、人材の確保と定着率の向上、そして育成強化を経営の重要課題と位置付けています。年齢や性別に関係なく、安定した人材確保と、新たな価値を創造する創発人材の育成に注力しています。
具体的には、従業員の給与水準の向上、働きやすい環境の整備、自己成長の機会の提供、組織の活性化等を通じて、人的資本の充実を図る方針です。従業員が長期的に活躍できる環境づくりを目指し、多様な取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、建築家ネットワーク事業を基盤に、住宅や商業施設の建築を希望する顧客と建築家、建設会社を結びつけるプラットフォームを提供しています。同社グループは「生活そのものをDesignする”暮らし提案企業”」となることを目指し、多角的な事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの事業は、主に「住まい関連事業」「暮らし関連事業」「投資関連事業」の3つのセグメントで構成されています。中核となるのは、全国の建築家と建設会社をネットワーク化し、顧客に「建築家との家づくり」の選択肢を提供する事業です。
住まい関連事業
この事業は、既存の建築家ネットワーク事業の質的向上と量的拡大を目指しています。スタジオ加盟数の増加、新規サテライト開設とプロデュース案件数の増加、リノベーション市場への本格的な参入、スタジオとの関係強化、クリエイティブ事業、海外事業などを展開しています。
収益は、工事請負契約や建築設計・監理業務委託契約、契約ロイヤリティ、マーケティング、建築家フィー、その他売上から得ています。運営は、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン、SUPASPACE PTE.LTD.、MED、トルネードジャパンが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から減少しました。
暮らし関連事業
「住まい」から派生する「衣+食+住+遊+健康」をテーマとした事業多様化戦略の下に展開されています。同社グループの顧客やASJアカデミー会員を対象とした家具・インテリア、絵画・オブジェ・アート、グルメコンシェルジュ、イベント販売などのサービスを提供しています。
収益は、物販/EC売上、マーチャンダイジング売上、その他から得ています。運営は、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン、ESJ、チャミ・コーポレーションが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から大幅に増加しました。
投資関連事業
この事業は、「住まい関連事業」および「暮らし関連事業」のサポートの一環として、中期経営計画のスピードアップに貢献する投融資を積極的に展開することを目指しています。ASJパートナー企業への投融資や、顧客への各種ローン、事業投資などを検討しています。
収益は、JR別府駅前プロジェクトの店舗設備貸与収入、その他から得ています。運営は、アーキテクツ・スタジオ・ジャパンが行っています。当連結会計年度の売上高は前期から大幅に減少しました。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年2月期) | 売上高(2026年2月期) |
|---|---|---|
| 住まい関連事業 | 5.7億円 | 4.4億円 |
| 暮らし関連事業 | 28百万円 | 2.2億円 |
| 投資関連事業 | 3.0億円 | 3百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しながら推移しており、当連結会計年度は前期から減少しました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれの期も損失を計上しており、当連結会計年度は前期から損失が大幅に拡大しました。
当連結会計年度の売上高は、各セグメントで予定していたプロジェクトの推進や取り組みが計画通りに進まず、減収となりました。損益面では、売上高の下振れと収益性の低下が影響し、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失がいずれも前期から大きく拡大しています。特別損失として、連結子会社4社の売却による関係会社株式売却損やグループ会社の所有不動産等の減損損失、調査委員会の費用を計上した一方、訴訟損失引当金戻入額を特別利益に計上しています。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7.4億円 | 5.5億円 | 5.9億円 | 9.0億円 | 6.6億円 |
| 経常利益 | △3.2億円 | △3.5億円 | △2.4億円 | △93百万円 | △5.5億円 |
| 経常利益率 | △43.2% | △63.7% | △39.8% | △10.4% | △83.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △3.5億円 | △4.3億円 | △3.6億円 | △80百万円 | △6.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △5.55 | △5.82 | △4.90 | △0.88 | △5.32 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しています。これは、従業員数が減少した一方で、売上高の減少幅がそれよりも小さかったためと考えられます。
一方、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から大幅に悪化しています。これは、営業損失が前期から大きく拡大した影響を受けています。これらの指標は、同社グループの収益体質や組織効率の現状を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.7百万円 | 19.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △2.3百万円 | △16.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、財務基盤において課題を抱えており、事業活動や投資活動においても資金の流出が見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期末で△54.2%となり、前期末の4.5%から大きく減少しています。これは東京証券取引所プライム市場の非製造業平均24.2%と比較して大幅に低い水準です。
ROE(自己資本利益率)は当期末で△9951.8%となり、前期末の△101.6%からさらに悪化しています。プライム市場平均の9.4%と比較しても大幅なマイナスとなっています。
現金及び預金は当期末で90百万円であり、前期末の2.1億円から減少しました。これらの財務状況は、同社グループの財務基盤が脆弱な状態であることを示しており、雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2.4億円 | △2.2億円 |
| 自己資本比率 | 4.5% | △54.2% |
| ROE(自己資本利益率) | △101.6% | △9951.8% |
| 現金及び預金 | 2.1億円 | 90百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは△6.6億円のマイナスとなっています。これは主に税金等調整前当期純損失の計上や訴訟損失引当金の減少、棚卸資産の増加が要因です。
投資活動によるキャッシュフローは5.2億円のプラスとなりましたが、これは主に有形固定資産の売却による収入が要因です。その結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは△1.4億円のマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは1.1億円のプラスであり、株式発行による収入や短期借入金の増加が主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが事業活動で資金を創出できておらず、資産売却や資金調達によって資金を賄っている状況を示しており、雇用や給与の安定性には注意が必要な状態です。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △84百万円 | △6.6億円 |
| 投資CF | △47百万円 | 5.2億円 |
| 財務CF | 78百万円 | 1.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.3億円 | △1.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、当連結会計年度において売上高の減少、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュフローもマイナスとなっています。これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在していると認識されています。当該事象または状況を解消または改善するための対応策は実施途上であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、ASJ建築家ネットワーク事業において、加盟建設会社が運営するスタジオの新規展開に支障が生じることにより、売上の増加が見込めなくなる可能性があります。また、加盟建設会社の経営状況が悪化した場合、稼働スタジオ件数の減少や債権回収期間の長期化等により、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性が指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、小規模な組織で事業を展開しており、業容に応じた人員の確保が順調に進まない場合や役職員が予期せず退社した場合、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能しなくなる可能性があります。これにより、売上の減少等、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性が指摘されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、建築家とクライアント、建設会社をつなぐプラットフォームを基盤に、新しい価値創造を目指す企業です。美しい日本を創造するという理念のもと、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は「クライアント(お客様)と建築家と建設会社が共有する高度なプラットホームを構築し、新しいスタイルのサプライチェーン・マネジメントを確立し、美しい日本を創造します。」です。
同社グループは、顧客満足度向上を追求し、IT技術を投下して登録建築家や加盟建設会社と協力し、成果と成功の共有を目指しています。
企業としての社会的責任を果たし、経営基盤の強化と収益力の向上を図り、健全で持続的な成長を実現することを基本方針としています。
また、同社グループの使命は、ASJ建築家ネットワーク事業において加盟建設会社・パートナー企業に確実な収益メカニズムを確立し、登録建築家にとって参画することの価値を高めることとされています。
「建設計画のある方が、最寄りのASJのスタジオを利用するのは当たり前」となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、クライアントにご満足いただけるサービスの提案・提供を通じて、顧客満足度向上を追求する姿勢を大切にしています。
情報管理、コミュニケーション、コストマネジメントに独自開発のIT技術を投下し、登録建築家や加盟建設会社(スタジオ運営会社)と協力して事業を展開し、成果と成功の共有を目指すことを行動指針としています。
企業としての社会的責任を果たすとともに、経営基盤の強化と収益力の向上を図り、健全で持続的な成長を実現していくことを重視しています。
サステナビリティに関する基本方針は現状定めていませんが、人材の確保と定着率の向上、育成強化を永続的な事業継続と成長に不可欠と認識しています。
年齢や性別に関係なく安定した人材確保や創発人材の育成、従業員の給与水準向上、働きやすい環境整備、自己成長機会の提供、組織の活性化等を通じて人的資本の充実を図る方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「収益構造の改革」と「財務基盤の強化」を経営課題として掲げています。
今後は、3,000名近くの建築家のネットワークを生かした事業展開を図ることが最大の経営判断であると考えています。
新体制のもと、従来の「建築家提案サービス事業」に加え、新たに「環境事業」ならびに「IT・海外事業」をセグメントし、事業再生を加速させていく方針です。
環境事業では「子供たちにつけを残さない美しい地球を」をテーマに積極的に取り組み、収益の柱に育てることを目指しています。
また、サステナビリティに関する課題について、具体的に対処すべき課題を明確にし、その具体的な対処法をリスク管理と収益化の観点を含め、開示できるような取り組みを継続的に検討しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンは、経営の効率性、透明性、健全な事業活動を通じた企業価値の最大化を目指し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。2024年6月26日からは監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会の監督機能の強化と経営の透明性向上を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの株主構成を見ると、複数の個人株主と機関投資家が上位に名を連ねています。筆頭株主は個人であるBEHR DIMITRI PHILIP氏であり、代表取締役社長である丸山雄平氏も大株主の一人です。複数の機関投資家も上位株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| BEHR DIMITRI PHILIP | 23.60% |
| SAXO BANK A/S (CLIENT ASSETS) | 22.90% |
| SIX SIS LTD. | 21.80% |
| 丸山 雄平 | 9.70% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 5.50% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は丸山雄平氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 丸山 雄平 | 代表取締役社長 | 1981年三谷商事入社後、1996年に夢建人を設立し代表取締役に就任。2007年11月より同社代表取締役社長を務め、2023年9月には取締役会長に就任。2025年11月より再び代表取締役社長に就任し、現職。 |
| ベーア・ディミトリ・フィリップ | 取締役 | 2001年プライスウォーターハウスクーパース入社後、リーマン・ブラザーズ・インターナショナル、UBS AG等で投資銀行業務に従事。サピンダグループでグループCFO代理、UBSスイスでエグゼクティブ・ディレクターを歴任。2025年11月より同社取締役に就任し、現職。 |
| 小津 晨鳴 | 取締役 | 2014年楽天入社後、メルカリ、DMM.com、Tabist、トレージャーデータ、サイバーリーズン・ジャパンでプロダクトマネージャー等を歴任。2025年11月より同社取締役に就任し、現職。 |
社外取締役は、元イン・コントロール代表取締役の川井博司氏、麻布総合会計事務所代表・監査等委員の石塚亮平氏、元フューチャーベンチャーキャピタル在籍・監査等委員の清水秀幸氏、かいせい税理士法人代表・監査等委員の大石英樹氏です。
同社は監査等委員会設置会社であり、2024年6月26日に監査役会設置会社から移行しました。これにより、取締役会の監督機能が強化され、経営の透明性向上と意思決定の迅速化を目指しています。監査等委員である取締役3名はいずれも社外取締役であり、客観的かつ中立的な経営監視機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、各職責に応じた適正な水準を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬と譲渡制限付株式による非金銭報酬で構成されています。一方、監督機能を担う社外取締役には、その職責に鑑み基本報酬のみが支払われます。金銭報酬の額のウエイトが非金銭報酬の額より高まる構成となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 7名 | 50百万円 | 7.2百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 9百万円 | 1.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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