エンバイオ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エンバイオ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エンバイオ・ホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、土壌汚染対策事業、ブラウンフィールド活用事業、自然エネルギー事業を展開しています。直近の連結業績は、不動産販売の好調や工事単価の上昇等により、大幅な増収増益を達成しました。環境問題の解決を通じて持続可能な社会の構築に貢献しています。


※本記事は、エンバイオ・ホールディングスの有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エンバイオ・ホールディングスってどんな会社?


同社は、土壌汚染対策と汚染地の有効活用、及び自然エネルギーによる売電事業を展開する環境企業です。

(1) 会社概要


1999年に環境分野の研究開発会社としてエンバイオテック・ラボラトリーズが設立され、2009年に現在の社名へ変更し持株会社となりました。2014年に上場を果たし、その後、国内外で太陽光発電事業やバイオマス発電事業などを立ち上げています。直近ではシステム蓄電所開発等も開始しました。

同社グループは連結従業員数113名、単体従業員数22名で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社のシーアールイーで、第2位は創業者の西村実氏、第3位は代表取締役社長の中村賀一氏となっています。

氏名 持株比率
シーアールイー 34.25%
西村実 5.91%
中村賀一 5.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村賀一氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
中村賀一 代表取締役社長 監査法人トーマツ等を経て同社取締役に就任。子会社等の役員を歴任し、2023年6月より現職。
西村実 取締役会長 ライオン等を経て同社取締役に就任。2008年に同社代表取締役社長を務め、2023年6月より現職。
山本敏仁 取締役 三井不動産建設等を経て同社子会社に入社。子会社代表取締役等を歴任し、2019年6月より現職。
横溝透修 取締役 同社子会社に入社後、同社経営企画室長等を歴任。各子会社の代表や職務執行者を務め、2019年6月より現職。


社外取締役は、亀山忠秀(シーアールイー代表取締役社長COO)、小竹由紀(ライオン元CSR推進部長)、高山和夫(朝日生命保険元監査役室長)、星野隆宏(星野綜合法律事務所開設)、平田幸一郎(平田公認会計士事務所開業所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「土壌汚染対策事業」「ブラウンフィールド活用事業」「自然エネルギー事業」を展開しています。

(1) 土壌汚染対策事業


同事業は、顧客企業が所有する事業場跡地の売却や再開発に際し、土壌汚染調査、浄化工事の設計・施工、リスクコンサルティングを提供しています。また、土壌汚染関連機器・資材の輸入販売や環境デューデリジェンスなども実施しており、不動産開発業者などが主な顧客となります。

収益は、土壌汚染対策工事の請負代金や調査費用、資材の販売代金から得ています。本事業の運営は、主にエンバイオ・エンジニアリングおよび恩拜欧(南京)環保科技有限公司が担っています。

(2) ブラウンフィールド活用事業


同事業は、土壌汚染が存在する、または疑われる土地を現状有姿で買い取り、浄化工事や汚染拡散防止措置を施した後に再販・賃貸するサービスを提供しています。中小企業等が保有する売買困難な土地に対し、土壌汚染リスクを引き受けることで不動産の有効活用を促進します。

収益は、浄化後の土地を売却して得る不動産販売収入や、賃貸による賃料収入から得ています。本事業の運営は、主にエンバイオ・リアルエステートおよび土地再生投資が担当しています。

(3) 自然エネルギー事業


同事業は、土壌汚染地の有効活用策として開始された再生可能エネルギーによる発電・売電事業です。国内外で太陽光発電所を開発・運営し、固定価格買取制度(FIT)に依存しないPPAモデルや、蓄電池ビジネス、非化石証書の販売なども積極的に展開しています。

収益は、電力需要家への電力供給に伴う売電収入などから得ています。本事業の運営は、同社およびエンバイオC・エナジー、エンバイオ・ネクテス、その他国内外の特定目的会社が共同で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績は、売上高が概ね増加傾向にあり、特に直近の2026年3月期は過去最高を記録しました。一方で経常利益や当期利益は年度により変動が見られ、直近では海外事業の撤退等に伴う特別損失の計上により当期利益が減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 90億円 81億円 96億円 107億円 126億円
経常利益 12億円 13億円 11億円 7億円 16億円
利益率(%) 13.3% 16.5% 11.1% 6.6% 12.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 2億円 4億円 0.8億円 0.6億円

(2) 損益計算書


直近2期間において売上高は増加しており、これに伴い売上総利益も拡大しています。また、売上総利益率および営業利益率ともに改善し、本業の収益性が向上していることが確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 107億円 126億円
売上総利益 27億円 37億円
売上総利益率(%) 24.9% 29.2%
営業利益 8億円 16億円
営業利益率(%) 7.9% 12.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比23%)、支払手数料が3億円(同12%)、役員報酬が2億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収を達成しています。特にブラウンフィールド活用事業は高収益な大型物件の販売が進み、土壌汚染対策事業も工事の大型化に伴い単価が上昇し利益を牽引しました。自然エネルギー事業は増収となったものの、事業撤退等の費用計上で減益となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
土壌汚染対策事業 60億円 69億円 4億円 7億円 10.4%
ブラウンフィールド活用事業 24億円 32億円 4億円 9億円 26.9%
自然エネルギー事業 23億円 25億円 1億円 0.3億円 1.2%
連結(合計) 107億円 126億円 7億円 16億円 12.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態にあります。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も40.5%で市場平均を下回っており、いずれも市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.2億円 12億円
投資CF -16億円 -9億円
財務CF 13億円 5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「環境問題に技術と知恵で立ち向かう」というパーパスに基づき、「環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献する」というビジョンを掲げています。「環境保全に役立つサービスや製品の提供」をミッションとし、地盤環境・エネルギーに関わる問題解決を担う企業集団として社会的課題を解決することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「社員一人ひとりの人格と多様性を尊重し、創造力とチャレンジ精神を引き出すことに努める」ことを企業行動指針に定めています。仕事の達成や社会への貢献を通じて個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを重視し、「自ら学び」「学び続ける」ことでプロフェッショナルとしての成長を促す人的資本経営を推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続可能な「環境」と「企業」の両立を図りつつ中長期的な企業価値の向上を目指す「中期経営計画2030」を策定し、「100年成長する会社の基礎を創る~ステークホルダーすべてが誇れる会社へ~」を基本方針としています。目標達成のため、連結売上高、営業利益、ROEなどの経営指標を設定し、資本コストの低減および資本効率の向上を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、「環境ソリューション事業」への拡充による収益拡大、「不動産再生事業」のソリューション領域の拡張、自然エネルギー事業における「キャピタルリサイクル」への戦略転換を推進しています。PFAS対応などの新たな環境課題や幅広い不動産再生ソリューションを提供し、海外への展開も加速することで高い成長率の実現を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、企業価値の最大化と持続可能な社会の構築への貢献を目指し、社員のエンゲージメント向上を実現する人材戦略を推進しています。年齢や年功序列にとらわれず、能力や成果を重視する環境を整備するため、グレード制度、評価制度、給与制度の刷新を行いました。また、大学などの外部機関と連携した高度技能者の育成や、DLD制度(分散型学習および開発制度)を通じた自律的成長を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.4歳 5.0年 6,699,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の状況


土壌汚染関連業界では調査件数は増加傾向にあるものの、浄化工事を伴わない措置の増加や競合企業間の競争が激化しています。また、ブラウンフィールド活用事業においても、不動産市場の活況により大手不動産開発業者等との競合で仕入価格が上昇するなど、激しい受注・仕入競争が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 売上計上時期の遅延・集中リスク


土壌汚染対策において、施設閉鎖の遅れや追加調査の発生など同社に起因しない事由で事業が遅延し、売上の計上が計画から遅れるリスクがあります。また、大型案件の受注により特定時期に売上が集中することがあり、四半期業績の変動幅が大きくなるため、通期業績を見通すことが困難になる可能性があります。

(3) 事業原価の変動リスク


土壌汚染浄化工事において、事前の調査結果と実際の汚染状況が著しく異なる場合、工事費用が変動し想定通りの利益が確保できないリスクがあります。また、現状有姿で仕入れる土壌汚染地に関しても、対策実施時に想定外の汚染が判明した場合、原価変動により当初予定の利益に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。