エンバイオ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エンバイオ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード市場に上場し、土壌汚染対策、汚染地の浄化・再販を行うブラウンフィールド活用、自然エネルギーの3事業を展開する企業グループです。2025年3月期の業績は、売上高が107億円で前期比増収となった一方、経常利益は7億円で減益となりました。


※本記事は、株式会社エンバイオ・ホールディングス の有価証券報告書(第26期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エンバイオ・ホールディングスってどんな会社?


土壌汚染の調査・浄化工事を主力とし、汚染地のリスク評価と再生、太陽光発電等の自然エネルギー事業を展開しています。

(1) 会社概要


1999年に環境分野の研究開発会社として設立され、2003年に土壌汚染対策事業の子会社を設立しました。2009年に持株会社体制へ移行し、現社名へ変更後、2010年にブラウンフィールド活用事業を開始しました。2014年に東証マザーズへ上場し、2015年には自然エネルギー事業へ参入するなど、事業領域を拡大しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は101名、単体従業員数は16名です。筆頭株主は物流不動産開発を手がける事業会社のシーアールイーで、第2位は同社取締役会長の西村実氏、第3位は同社代表取締役社長の中村賀一氏(資産管理会社含む)です。

氏名 持株比率
シーアールイー 34.32%
西村実 6.12%
中村賀一 5.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村賀一氏です。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 賀一 代表取締役社長 監査法人トーマツを経て、2004年同社取締役就任。専務取締役などを経て2023年6月より現職。
西村 実 取締役会長 ライオン、日本総合研究所を経て、2003年グループ会社代表取締役。2008年同社代表取締役社長を経て2023年6月より現職。
山本 敏仁 取締役 三井不動産建設などを経て2011年グループ入り。エンバイオ・リアルエステート代表取締役などを経て2019年6月より現職。
横溝 透修 取締役 2010年グループ入り。経営企画室長、各子会社代表などを経て2019年6月より現職。


社外取締役は、亀山忠秀(シーアールイー代表取締役社長COO)、小竹由紀(元ライオンCSR推進部長)、高山和夫(元朝日生命保険相互会社監査役室長)、星野隆宏(弁護士)、平田幸一郎(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「土壌汚染対策事業」「ブラウンフィールド活用事業」「自然エネルギー事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) 土壌汚染対策事業


土壌汚染の調査、対策工事の設計・施工、コンサルティング、および関連機器・資材の輸入販売を行っています。また、水処理設備の設計・施工や建築工事も手掛けます。独自の「原位置浄化」技術などを活用し、低コスト・低環境負荷の対策を提案することが特徴です。顧客は土地所有者や開発事業者などです。

収益は、顧客企業から受け取る調査・工事代金、および機器・資材の販売代金から構成されます。また、不動産開発業者向けに工事費用を保証するサービスなども提供しています。運営は主に株式会社エンバイオ・エンジニアリングが行っています。

(2) ブラウンフィールド活用事業


土壌汚染が存在する、またはその懸念がある土地(ブラウンフィールド)を現状有姿で購入し、自社グループのノウハウで浄化・リスク低減を行った上で再販または賃貸する事業です。浄化資金の不足等で流動化が困難な土地の有効活用を促進しています。

収益は、浄化後の土地の売却益および賃貸収入です。リスクを見込んだ価格で土地を仕入れ、浄化による付加価値を乗せて販売します。運営は、小規模物件を株式会社エンバイオ・リアルエステートが、中〜大規模物件を株式会社土地再生投資が担当しています。

(3) 自然エネルギー事業


土壌汚染地の有効活用策として始まった太陽光発電事業を中心に、再生可能エネルギーを利用した売電事業を展開しています。国内の遊休地や物流施設の屋根を活用するほか、海外(中東等)での事業展開も進めています。

収益は、電力会社や電力需要家から受け取る売電収入です。固定価格買取制度(FIT)を利用した売電のほか、PPA(電力販売契約)モデルによる直接販売も行っています。運営は同社および株式会社エンバイオC・エナジー、各合同会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間の推移を見ます。売上高は増加傾向にあり、直近では100億円を超えています。経常利益は2023年3月期に13億円を超えましたが、その後は減少傾向にあります。利益率は10%台で推移していましたが、直近では低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 68億円 90億円 81億円 96億円 107億円
経常利益 6億円 12億円 13億円 11億円 7億円
利益率(%) 8.7% 13.3% 16.5% 11.1% 6.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.0億円 6.5億円 8.1億円 7.1億円 4.5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加により売上総利益率は低下しています。販管費も増加しており、営業利益は微増にとどまっています。営業外損益の影響もあり、経常利益は減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 96億円 107億円
売上総利益 25億円 27億円
売上総利益率(%) 25.9% 24.9%
営業利益 8.2億円 8.4億円
営業利益率(%) 8.5% 7.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.9億円(構成比21%)、役員報酬が2.2億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


土壌汚染対策事業は大型案件や建築工事の寄与で増収となりました。ブラウンフィールド活用事業は前期の大型売却の反動で減収、自然エネルギー事業は売電収入等により増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
土壌汚染対策事業 47億円 60億円 4.2億円 4.5億円 7.5%
ブラウンフィールド活用事業 33億円 24億円 3.9億円 3.7億円 15.3%
自然エネルギー事業 16億円 23億円 3.0億円 0.9億円 4.0%
連結(合計) 96億円 107億円 11億円 7億円 6.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持しましたが前期より縮小しました。投資CFはマイナスで、有形固定資産取得等による支出が続いています。財務CFは借入による収入等でプラスとなりました。営業で稼いだ資金以上に投資を行い、不足分を財務活動で調達する積極型の傾向が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 17億円 0.2億円
投資CF -16億円 -16億円
財務CF 6億円 13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「環境問題に技術と知恵で立ち向かう」というパーパスに基づき、「環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献する」というビジョンを掲げています。ミッションとして「環境保全に役立つサービスや製品の提供」を行い、地盤環境・エネルギーに関わる問題解決を担う企業集団として社会課題の解決を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「社員一人ひとりの人格と多様性を尊重し、創造力とチャレンジ精神を引き出すことに努める」ことを企業行動指針に定めています。顧客満足を第一に考え、バイタリティーとスピードをもって技術革新に挑戦し、事業領域内でのナンバーワンを目指す方針をとっています。また、グループの相乗効果を生かしつつ、社員が安心して業務を遂行できる環境づくりにも注力しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2023年5月に「中期経営計画2026」を策定し、ストック型ビジネスの割合を増やすことで持続可能な事業構造を構築することを目指しています。具体的な数値目標として、最終年度となる2027年3月期に以下の数値を掲げています。

* 連結売上高:146.4億円
* 営業利益:13.2億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業で短中期的な成長を担いつつ、自然エネルギー事業へ積極投資を行い、将来的なストック収益源を蓄積する戦略をとっています。具体的には、土壌汚染対策では原位置浄化技術等の差別化提案を強化し、ブラウンフィールド事業では対策事業との連携で環境対応力を強みにします。自然エネルギー事業では、固定価格買取制度に依存しないPPAモデル等の開発や海外展開を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは「人」を最大の経営資源と捉え、優秀な人材の確保と育成を課題としています。新卒・若手社員の積極採用に加え、性別・国籍等を問わない幅広い採用を実施しています。育成面では、管理職研修や専門機関による高度技能研修に加え、独自のDLD制度(分散型学習及び開発制度)を通じて社員の自主的な開発意欲を支援しています。また、リモートワーク環境の整備やオフィスの増床など、働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.4歳 5.3年 645万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、監理技術者の割合(59%)、技術管理者の割合(63%)、60歳時点の再雇用率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化


土壌汚染対策事業は関連法令や条例の影響を強く受け、規制の強化・緩和により需要が変動する可能性があります。また、不動産取引や企業の環境投資の動向にも左右されます。ブラウンフィールド活用事業は不動産市況と連動し、自然エネルギー事業は出力抑制による売上減少のリスクがあります。

(2) 競合の状況と価格競争


土壌汚染対策市場では工事単価の低下が進行しており、競合他社との受注競争が激化しています。ブラウンフィールド活用事業では、不動産市況の高騰により大手不動産開発業者等との仕入競争が激しくなる可能性があります。自然エネルギー事業においても、入札やPPAにおける価格競争により売電価格が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 売上計上時期の変動


土壌汚染対策事業では、施設閉鎖の遅れや追加調査の発生などにより、売上計上時期が計画からずれる可能性があります。ブラウンフィールド活用事業でも、浄化工程やモニタリング状況により販売時期が遅れるリスクがあります。また、大型案件の売上計上が特定の四半期に集中し、業績が変動する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。