※本記事は、株式会社ヨシックスホールディングス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ヨシックスホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は16名、グループ連結従業員数は929名です。
同社グループは、居酒屋チェーンの直営・フランチャイズ展開を行う飲食事業と、飲食店建築を中心とした建装事業を主な事業内容としています。また、フードテック企業などへの投資事業も手掛けており、連結子会社5社を中心に事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、ヨシックスフーズ(飲食事業)、ヨシオカ建装(建装事業)、ヨシックスキャピタル(投資事業)などです。
2025年7月1日には、ヨシックスフーズが和食料理店「海老どて食堂」1店舗の飲食事業を譲受し、グループの飲食チェーンの幅を広げています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、人的資本を重要かつ最大の資産と認識し、持続的な企業価値向上に貢献する人材育成と環境整備に注力しています。従業員一人ひとりの多様性を尊重し、働きがいを感じられる職場づくりを目指す方針です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が8.2年、平均年齢が39.1歳となっており、比較的安定した人材構成が見られます。従業員が長期的にキャリアを形成できる環境が整っている傾向にあると言えるでしょう。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,727,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.2年 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 16人 |
| 連結従業員数 | 929人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.7% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 株式会社ヨシックスフーズ | 1歳 | 39.8年 | 4,000円 |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人」を重要かつ最大の資産と認識しており、人材育成への投資を通じて中長期的な企業価値向上を目指しています。第42期の重点方針として「働きたくなる店づくり」を掲げ、全社で取り組む方針です。
具体的には、”繋がり”と”多様性”を重視し、従業員の採用においては性別や国籍、年齢、学歴、価値観等を問わず、個々人の個性や能力を尊重して広く受け入れています。評価についても同様に多様性を尊重して実施しており、管理職登用は能力や適合性を総合的に判断しています。
また、従業員の給与その他の給付の額及び内容については、各従業員の役割、職責及び成果等を総合的に勘案し、社内規定に基づき決定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
男女の賃金の差異については、賃金制度、賃金体系において男女間の処遇差は一切ありませんが、女性管理職が男性管理職に比べ少ないこと、直近2年間に雇用した外国人労働者に女性が多く男性労働者との平均勤続年数及び平均年齢に差が生まれたことが主な理由です。
▼ 株式会社ヨシックスフーズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 28.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 70.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 97.7% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性正社員比率 | 13.1% |
| 外国籍正社員比率 | 13.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ヨシックスホールディングスは、居酒屋チェーンの直営経営とフランチャイズ展開を行う飲食事業、および飲食店建築を中心とした建装事業を主な事業内容としています。同社グループは、赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しく過ごせる心・食・居を演出するという企業理念のもと、店舗作りを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、飲食事業と建装事業を主軸としています。飲食事業では、「や台ずし」を主要ブランドとする本格職人にぎりずし居酒屋を中心に、自社で業態開発した居酒屋を直営店として展開しています。オープンキッチンで料理を提供し、味覚的、視覚的、聴覚的に楽しめる店舗作りを追求しています。出店戦略としては、駅前1等地ではなく、周辺の1.5等地や2等地に出店することで固定費を抑制し、地元密着型の店舗運営を行っています。飲食事業の運営は、主に株式会社ヨシックスフーズが行っています。
また、建装事業では、店舗の設計および施工管理を主な事業内容としており、特に飲食店建築を得意分野としています。この強みをグループ内で最大限に活用することで、新規出店や業態転換におけるイニシャルコストの抑制、投資回収の早期実現に貢献しています。これにより、機動的な店舗展開を可能にしています。その他事業として、株式会社ヨシックスキャピタルがコーポレートベンチャーキャピタルとして、フードテック企業を含む飲食関連分野や建装関連分野のベンチャー企業への投資事業、M&A仲介を計画しています。同社グループの売上高は飲食事業が大部分を占めており、建装事業がこれに続いています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続的に増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、変動はあるものの、直近の期間では増加を示しています。これは、主力である飲食事業の新規出店が寄与しているものと考えられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 85.8億円 | 171億円 | 211億円 | 229億円 | 259億円 |
| 経常利益 | 30.6億円 | 18.3億円 | 25.4億円 | 25.6億円 | 32.8億円 |
| 経常利益率 | 35.7% | 10.7% | 12.0% | 11.2% | 12.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 18.6億円 | 9.6億円 | 18.1億円 | 17.6億円 | 20.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 179.86 | 94.05 | 175.06 | 172.19 | 197.68 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループが事業規模の拡大とともに、従業員一人ひとりの生産性向上にも取り組んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.9百万円 | 27.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.6百万円 | 3.2百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定的に資金を創出し、財務基盤を強化しながら成長投資を進めている状況です。手元資金も厚く、経営の安定性がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は77.1%と、プライム市場の平均(製造業46.8%、非製造業24.2%)と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は16.4%であり、プライム市場平均の9.4%を上回っています。手元資金である現金及び預金は116億円に増加しており、強固な財務基盤と不況時の耐性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 115億円 | 133億円 |
| 自己資本比率 | 76.8% | 77.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 16.5% | 16.4% |
| 現金及び預金 | 95.7億円 | 116億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは31.7億円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、減損損失により資金が増加した一方、法人税等の支払額により資金が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△13.8億円のマイナスとなり、主に固定資産の取得による支出や定期預金の増減額による資金の使用を示しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは△2.9億円のマイナスで、配当金の支払額が主な要因となっています。結果として、フリーキャッシュ・フローは17.9億円のプラスとなり、本業で稼いだ資金が投資を上回る状況です。前期はフリーキャッシュ・フローがマイナスでしたが、当期はプラスに転換しており、本業で安定的に資金を創出しながら、成長のための投資も行える財務状況にあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.7億円 | 31.7億円 |
| 投資CF | △17.3億円 | △13.8億円 |
| 財務CF | △3.0億円 | △2.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △8.6億円 | 17.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、外食業界の市場縮小傾向や競合激化による業績悪化リスクを認識しています。中食市場の拡大や人口減少も市場規模に影響を与えています。
また、主力業態である「や台ずし」の業績が振るわない場合や、新たな収益の柱となる新規業態開発が想定通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置付けていますが、有能な経験者の採用が困難な状況にあると認識しています。採用した人材の育成においても、同社グループが求めるレベルに到達しない可能性も少なくないとしています。
優秀な人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合、サービス水準の低下を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ヨシックスホールディングスは、「心・食・居」を企業理念に掲げ、顧客に元気と感動を提供する店舗づくりを目指しています。持株会社として、同社グループ全体の持続的な成長と社会貢献を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、楽しくすごせる心・食・居を演出する」を企業理念としています。この「心・食・居」を通じて広く社会に貢献することを目指している会社です。
具体的には、「心」を「心温まる」存在感を持つ企業、「食」を食を通じて「元気」をお持ち帰り頂ける企業、「居」をニーズに適した「居心地」の良さを提供、創造できる企業と定義しています。たくさんの元気と出会える店舗空間づくりを通じて、明日への活力源となるような、ちょっとした感動を共有できる店舗づくりを進めています。
中長期的な持続的成長のため、積極的な出店による企業規模の拡大と収益基盤の強化によるフリー・キャッシュ・フローの増大を掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「元気を持って帰ってもらう店なんやで」という基本理念のもと、「“あたりまえや”を当たり前に」という社是を掲げています。この理念に基づき、店舗運営を行っています。
「人」を重要かつ最大の資産と認識しており、人的資本への投資と人材育成の強化を重視しています。第42期の重点方針として「働きたくなる店づくり」を掲げ、”繋がり”と”多様性”を大事にしています。
従業員の採用においては、性別や国籍はもちろん、年齢、学歴、価値観等を問わず、個々人の個性・能力を尊重して広く受け入れる方針です。評価においても多様性を尊重し、管理職登用は能力や適合性を総合的に判断しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優先的に対処すべき課題として「人材採用・育成」を最重要課題と位置付けています。優秀な人材の確保と育成の徹底に力を入れ、新卒採用にも注力することで、将来を担う幹部候補生の育成に取り組んでいます。
また、新規出店計画の徹底や新規出店地域の開拓、新業態の開発も重要なテーマです。本部機能の強化も課題としており、営業部門及び管理部門の強化を通じて、組織全体の収益力向上と業務効率化を追求しています。
さらに、コンプライアンス経営の推進・徹底や食の安心安全の徹底追求も重要な取り組みです。リスク管理体制の構築・運用・強化に努め、役職員への法令遵守体制の周知徹底、労働環境の向上、食材の品質管理、調理場の衛生管理を徹底しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社ヨシックスホールディングスは、企業価値の最大化を目指し、経営の健全性と透明性を重視しています。監査等委員会設置会社として、取締役会の監督機能強化とガバナンスの充実を図る体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、吉岡が筆頭株主であり、代表取締役会長CEOである吉岡昌成氏をはじめとする創業家やその関連会社が上位に名を連ねています。これにより、特定の株主グループが同社グループの経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉岡 | 35.30% |
| 吉岡 昌成 | 6.20% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長CEOは吉岡昌成氏、代表取締役社長COOは瀬川雅人氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉岡 昌成 | 代表取締役会長CEO | 1980年ヨシオカ建装を創業。1985年株式会社テンガロンキッド(現ヨシックスホールディングス)代表取締役に就任。2001年飯蔵株式会社を吸収合併し、株式会社ヨシックス代表取締役に就任。2018年同社代表取締役会長兼CEOに就任し、2023年より現職。 |
| 瀬川 雅人 | 代表取締役社長COO | 1998年同社入社。2001年同社常務取締役、や台や・や台どり事業本部本部長に就任。2017年同社代表取締役副社長、2018年同社代表取締役社長兼COOに就任。2023年より現職。 |
| 吉岡 裕太郎 | 専務取締役 | 2013年同社入社。2014年同社常務取締役、2018年同社専務取締役に就任。2021年より現職。2024年株式会社ヨシオカ建装代表取締役に就任。 |
| 伊達 富夫 | 常務取締役 | 2006年株式会社電通に入社。2019年同社入社。2021年同社取締役に就任し、2024年より常務取締役として現職。 |
社外取締役は、鳥居達也氏(株式会社近江商事代表取締役・常勤監査等委員)、植村亮仁氏(植村亮仁公認会計士事務所所長・税理士法人植村会計所長・監査等委員)、堀雄治氏(元国分西日本株式会社・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会や監査等委員会に出席し、中立的かつ専門的な視点から経営の監督と監査の有効性向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、株主総会で定められた総額限度額に基づき決定されます。取締役(監査等委員を除く)の報酬は、役職や業績を考慮した変動的な年俸制を採用しており、指名報酬委員会で審議されます。また、非金銭報酬として譲渡制限付株式報酬も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 2.6億円 | 64.8百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 5百万円 | 1.7百万円 |
同社の役員報酬等の総額は2.6億円であり、対象となる役員は合計7名です。
なお、取締役の報酬等の額には使用人兼務取締役の使用人給与は含まれていません。また、業績連動報酬は直接支給されていませんが、取締役の基本報酬は前事業年度の担当部門の業績達成度合いに応じた変動的な年俸制を採用しています。
個人別報酬が開示されている役員は、吉岡昌成氏(1.53億円)です。
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