エクストリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクストリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクストリームは東証グロース市場に上場し、デジタル人材事業、受託開発事業、コンテンツプロパティ事業を展開する企業です。主力のデジタル人材事業が好調に推移し、直近5年間で売上高は72億円から118億円へと継続的な増収を実現しています。経常利益も成長を続け、安定した収益基盤と高い自己資本比率を維持しています。


※本記事は、株式会社エクストリームの有価証券報告書(第21期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エクストリームってどんな会社?


デジタルクリエイター等の常駐型人材サービスを中心に、受託開発やゲーム関連のIP事業を展開しています。

(1) 会社概要


エクストリームは2005年に設立され、同年よりデジタル人材事業の受託開発サービスおよび人材ソリューションサービスを開始しました。2008年にはオンラインゲーム事業を開始し、2014年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たしました。その後もM&Aや海外拠点の設立を通じ事業領域を拡大しています。

同社グループは連結で828名、単体で588名の従業員を擁しています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業者の佐藤昌平氏で、第2位および第3位には個人の投資家が名を連ねています。創業者を中心に、自社IPの活用やオフショア拠点を活かした開発力強化を進める経営体制が特徴です。

氏名 持株比率
佐藤 昌平 46.27%
山下 良久 3.05%
泉 裕治 2.07%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEOの佐藤昌平氏を中心に経営が行われています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 昌平 代表取締役社長CEO 1989年サミー工業入社。日本コンピュータシステム等を経て2005年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2014年より現職。
島田 善教 取締役管理本部長 2000年京セラコミュニケーションシステム入社。複数社を経て2016年同社入社。経営企画室長を経て2023年より現職。
梅木 元博 取締役 1986年酒田エス・エー・エス入社。2016年同社及びエス・エー・エス代表取締役に就任。2024年同社取締役より現職。
小林 和樹 取締役 2000年ウイズワン入社。カレン、オルトプラス等を経て2020年同社入社。エクスラボ&コンサルティング代表取締役社長等を経て2025年より現職。


社外取締役は、山口 十思雄(公認会計士事務所設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタル人材事業」「受託開発事業」「コンテンツプロパティ事業」を展開しています。

(1) デジタル人材事業


プログラミングやグラフィックなどの開発スキルを持った同社社員(クリエイターおよびITエンジニア)が、顧客企業に常駐して開発業務を提供するサービスです。ゲームをはじめとしたエンターテインメント業界や、WEBサービス事業者向けに専門的な技術ソリューションを提供しています。

収益源は、顧客企業から受け取る技術者の稼働に応じたサービス提供料です。登録型派遣ではなく、自社で正規雇用した技術者を派遣するモデルを採用し、研修等で品質を担保しています。運営はエクストリーム(同社)が主体となって行っています。

(2) 受託開発事業


スマートフォンアプリ開発、クラウドプラットフォーム構築、CRM構築などの案件を持ち帰り形式で受託し、納品するサービスです。初期開発から保守・運用までワンストップで対応し、新規開発、保守・運用、追加開発、ラボ型開発の4つに大別されます。

収益源は、システム開発や運用保守の対価として顧客から受け取る受託開発費用および月額運用費用です。運営は、子会社であるエクスラボ&コンサルティング、EXTREME VIETNAM、エス・エー・エス、酒田エス・エー・エスなどが担っています。

(3) コンテンツプロパティ事業


同社グループが保有するゲームタイトルやキャラクターなどの知的財産(IP)を活用し、様々な事業展開を行っています。1990年代に人気を博したメサイヤブランドなどのレトロゲームの配信や、家庭用・スマートフォン向けゲームの開発・販売・運営を実施しています。

収益源は、ゲームの販売収益や、第三者が制作・販売するグッズやゲームへの使用許諾によるライセンス料(ロイヤルティ)です。運営は主に、人気ゲームブランドを保有する子会社のDragami Gamesおよび同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は72.3億円から118.0億円へと右肩上がりで成長を続けています。経常利益も売上拡大に伴って増加傾向にあり、10%台の高い利益率を安定して維持しています。継続的な事業拡大と収益基盤の確立が伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 72.3億円 88.2億円 102.2億円 113.4億円 118.0億円
経常利益 7.1億円 11.7億円 14.5億円 16.6億円 16.7億円
利益率(%) 9.9% 13.3% 14.2% 14.7% 14.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.4億円 6.9億円 7.4億円 3.4億円 5.5億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は31.2%から30.4%へわずかに低下しています。営業利益も堅調な水準を保ちつつ、利益率は12.2%となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 113.4億円 118.0億円
売上総利益 35.4億円 35.8億円
売上総利益率(%) 31.2% 30.4%
営業利益 15.2億円 14.4億円
営業利益率(%) 13.4% 12.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6.1億円(構成比28.3%)、業務委託手数料が3.0億円(同14.1%)を占めています。売上原価についても、外注加工費が47.9億円(構成比58.4%)、給料手当が22.5億円(同27.4%)と、人件費と業務委託関連の費用が中心となっています。

(3) セグメント収益


主力のデジタル人材事業がIT需要を背景に大きく伸長し、全体の売上成長を牽引しています。受託開発事業も企業のデジタル施策への投資拡大を受けて堅調に推移していますが、コンテンツプロパティ事業は減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
デジタル人材事業 63.3億円 71.3億円
受託開発事業 35.4億円 37.4億円
コンテンツプロパティ事業 14.7億円 9.2億円
連結(合計) 113.4億円 118.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 15.3億円 8.2億円
投資CF -3.6億円 -2.2億円
財務CF -6.4億円 -2.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.9%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」を企業コンセプトとして掲げています。それぞれの事業がシナジー効果を生み出し、世界に通用するクリエイティブカンパニーとして成長し続けることを事業ミッションとして定めています。

(2) 企業文化


同社は、クリエイティブな技術者が集結する集団として「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」を標榜しています。唯一無二の人材サービスの提供を推し進め、社員のスキル、経験、人物性について一定以上の品質を担保することで、顧客に安心してサービスを提供できる組織文化を構築しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、デジタル人材事業を安定的な事業基盤としながら、受託開発事業やコンテンツプロパティ事業を新たな収益基盤と捉え、継続的な利益確保を目指しています。上場以来、事業基盤の安定性と利益成長を重視し、以下の経営指標の達成を目標に管理を行っています。

* 売上高規模を100億円
* 売上高営業利益率20%

(4) 成長戦略と重点施策


慢性的なIT人材不足に対し、優秀な人材の積極的な確保と社員の定着率向上に向けた環境整備を進めています。また、エンターテインメント業界にとどまらずWEBサービス事業者やDX領域など新たな顧客層の開拓を進めるとともに、ベトナムのオフショア拠点を活用した受託開発のコスト競争力強化、IPを活用したラインナップ拡充を図っていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材こそが最大の財産であるとの基本認識のもと、有為な人材の採用を強化し、能力を最大限に引き出す取り組みを行っています。各種社内研修や資格取得支援を通じて能力開発を支援するとともに、社員交流スペースの設置や長時間労働の是正を通じて、社員のエンゲージメント向上と定着化に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.3歳 4.1年 5,182,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.1%
男性育児休業取得率 37.5%
男女賃金差異(全労働者) 85.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 85.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 89.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、平均勤続年数(4.17年)、女性の育児休業取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) デジタル人材事業の法的規制


同事業は労働者派遣法等に基づく認可が必要です。関係法令の遵守に努めていますが、予期せぬ法改正や規制の強化により事業の停止を命じられたり、対応にコストが増大したりする場合、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 優秀なエンジニアの確保難


ソフトウェア開発等の技術サービス分野では人材獲得競争が激化しています。事業拡大に不可欠な優秀な技術社員の確保が十分に行えない場合や、社員の退社が増加した場合、顧客からの設計開発ニーズに対応できず、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 見積り違いと納期遅延の発生


受託開発事業では事前の見積りに基づき工数やコストを予測しますが、仕様変更や追加作業により実績が見積りを超え、採算割れとなるリスクがあります。また、納期遅延が発生した場合には損害賠償等を請求されるおそれがあります。

(4) 知的財産権への対応と侵害リスク


コンテンツプロパティ事業において、自社が保有する知的財産の保護に努めるとともに第三者の権利を侵害しないよう調査を行っていますが、予期せず第三者から損害賠償や使用差止めを求められた場合、事業展開や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。