エクストリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクストリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エクストリームは東証グロースに上場し、デジタル人材派遣、受託開発、ゲーム等のコンテンツプロパティ事業を展開しています。2025年3月期は売上高113億円、営業利益15億円となり、前期比で増収増益を達成しました。エンジニア不足を背景に人材事業が堅調で、受託開発も収益性が向上しています。


※本記事は、エクストリーム の有価証券報告書(第20期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エクストリームってどんな会社?


ゲーム・IT業界向けのエンジニア派遣、システム受託開発、および自社IPを活用したライセンス事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2005年に設立し、ソリューション事業(現デジタル人材事業)を開始しました。2014年にマザーズへ上場し、ゲームブランド「メサイヤ」を譲受しています。2019年にはベトナムにオフショア開発拠点を設立し、2022年にはドラガミゲームスおよびエス・エー・エスを子会社化して事業基盤を拡大しました。2024年にはEPARKテクノロジーズを譲渡しています。

連結従業員数は695名、単体では486名です。筆頭株主は創業者で社長の佐藤昌平氏で、第2位は予約サイトの運営等を行うEPARK、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
佐藤 昌平 45.87%
EPARK 3.42%
山下 良久 3.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEOは佐藤昌平氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 昌平 代表取締役社長CEO サミー工業(現サミー)、日本コンピュータシステムを経て2005年に同社設立、代表取締役社長就任。2014年より現職。
島田 善教 取締役管理本部長 京セラコミュニケーションシステム等を経て2016年に同社入社。経営企画室長等を歴任し、2023年より現職。
梅木 元博 取締役 1986年酒田エス・エー・エス入社。2016年に同社およびエス・エー・エスの代表取締役に就任。2024年より現職。


社外取締役は、山口 十思雄(公認会計士・山口公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタル人材事業」「受託開発事業」「コンテンツプロパティ事業」を展開しています。

(1) デジタル人材事業


ゲーム、スマートフォンアプリ、WEB、IT企業などに対し、プログラミングやグラフィック開発スキルを持った社員(クリエイター&エンジニア)が顧客企業に常駐し、開発業務を提供しています。

顧客企業から受け取る派遣料金や業務委託料が収益となります。運営は主にエクストリームが行っています。

(2) 受託開発事業


スマートフォンアプリ開発、クラウドプラットフォーム構築、CRMの導入・運用などを持ち帰り形式で受託・納品しています。案件種別は新規開発、保守・運用、追加開発、ラボ型開発に大別され、ベトナムでのオフショア開発も活用しています。

顧客からの受託開発費用および保守・運用費が収益源です。運営はエクストリーム、エクスラボ、EXTREME VIETNAM、エス・エー・エス、酒田エス・エー・エスが行っています。

(3) コンテンツプロパティ事業


同社グループが保有するゲームやキャラクター等の知的財産(IP)を活用し、ゲームの開発・販売・運営や、他社へのライセンス許諾を行っています。『ラングリッサー』や『メサイヤ』ブランドなどを保有しています。

自社ゲームの販売収益や、IPの使用許諾に基づくライセンス料(ロイヤリティ)が収益源となります。運営はエクストリームおよびドラガミゲームスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は62億円から113億円へと順調に拡大しています。経常利益も7.5億円から16.6億円へと倍増しており、利益率も10%台を維持しながら上昇傾向にあります。当期利益についても安定的に推移しており、持続的な成長を続けています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 62億円 72億円 88億円 102億円 113億円
経常利益 8億円 7億円 12億円 14億円 17億円
利益率(%) 12.0% 9.9% 13.3% 14.2% 14.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 4億円 7億円 7億円 3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は11億円増加し、売上総利益も増加しています。売上総利益率は約28%から31%へ改善しました。営業利益率は10%台から13%台へと上昇しており、収益性の向上が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 102億円 113億円
売上総利益 29億円 35億円
売上総利益率(%) 28.3% 31.2%
営業利益 11億円 15億円
営業利益率(%) 10.7% 13.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6億円(構成比28%)、業務委託手数料が2億円(同12%)、広告宣伝費が2億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


デジタル人材事業は非エンタメ領域の受注が好調で増収となりましたが、外部協力費の増加等により利益は減少しました。受託開発事業は子会社売却により減収となったものの、利益率は大幅に改善しました。コンテンツプロパティ事業は新作ゲームの販売等により大幅な増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
デジタル人材事業 59億円 63億円 9億円 8億円 12.6%
受託開発事業 39億円 35億円 7億円 9億円 25.8%
コンテンツプロパティ事業 4億円 15億円 3億円 7億円 45.7%
連結(合計) 102億円 113億円 11億円 15億円 13.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8億円 15億円
投資CF 4億円 -4億円
財務CF -0.4億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」を企業コンセプトとして掲げています。それぞれの事業がシナジー効果を生み出し、世界に通用するクリエイティブカンパニーとして成長し続けることを事業ミッションとしています。

(2) 企業文化


同社は「デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクション」を標榜し、クリエイティブな技術者が集結する集団としての文化を持っています。技術社員は登録型派遣ではなく正規雇用社員であり、独自の研修や教育を通じてスキルと人物性の品質を担保することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的に以下の経営指標を目標として管理しています。継続的な利益確保により安定的なキャッシュ・フローを生み出し、株主還元と新規領域への投資を行う方針です。

* 売上高規模:100億円超(達成済み)
* 売上高営業利益率:20%

(4) 成長戦略と重点施策


デジタル人材事業では、WEBサービスや企業のDX推進など非エンタメ領域への拡大を図ります。受託開発事業では、ベトナムオフショアの活用による人材確保とコスト効率化を進めつつ、保守・運用などのストック型ビジネスを拡大します。コンテンツプロパティ事業では、保有IPのグローバル展開とライセンス活用の最大化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


IT人材不足に対し、優秀な人材の確保と育成を最重要課題としています。技術社員を正規雇用し、福利厚生や研修制度、技術交流の場(Co-CORE)を充実させることで、帰属意識と定着率の向上を図っています。また、即戦力のキャリア採用に加え、プロジェクトマネージャー層の育成も強化しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.4歳 4.5年 4,933,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.1%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 84.7%
男女賃金差異(正規雇用) 84.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 85.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業取得率(女性)(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) デジタル人材事業に関するリスク


デジタル人材事業は「労働者派遣法」等の法的規制を受け、法令違反時には事業停止のリスクがあります。また、エンジニアの確保が事業拡大の鍵であり、人材不足や流出は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、主要顧客であるエンターテインメント業界の景況感に左右されるリスクもあります。

(2) 受託開発事業に関するリスク


受託開発事業では、見積り精度の問題や仕様変更によりコストが増大し、採算が悪化する可能性があります。また、納期遅延やシステム障害が発生した場合、損害賠償請求や信用の失墜につながるリスクがあります。海外子会社への委託に伴うカントリーリスクや管理リスクも存在します。

(3) コンテンツプロパティ事業に関するリスク


コンテンツプロパティ事業はヒット作の有無により業績変動が大きくなる傾向があります。新規コンテンツの開発には多額の投資と期間を要し、計画通りに回収できない場合は減損損失が発生する可能性があります。また、保有IPの権利侵害や模倣品被害、他者の知的財産権侵害のリスクも存在します。

(4) 組織体制に関するリスク


代表取締役社長CEOである佐藤昌平氏への依存度が高く、同氏の業務継続が困難になった場合の影響が懸念されます。また、事業拡大に伴う内部管理体制の構築や、個人情報の漏洩リスク、M&Aに伴うのれんの減損リスクなど、組織運営上の課題も認識されています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。