綿半ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

綿半ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

綿半ホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、スーパーセンター等の小売事業、木造建築等の建設事業、天然原料を扱う貿易事業を展開しています。直近の業績は、建設事業の順調な推移もあり売上高と経常利益がともに増加し、増収増益と堅調に推移しています。多角的な事業で地域社会に貢献する企業です。


※本記事は、綿半ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 綿半ホールディングスってどんな会社?


同社グループは、小売、建設、貿易の3事業を柱とし、地域社会の活性化と環境保全に貢献する企業です。

(1) 会社概要


1598年に綿屋として創業し、明治期に金物店へ転換しました。1949年に設立後、2003年にホールディングス制へ移行し、2007年にはスーパーセンターの1号店を出店しました。2014年に東証二部へ上場し、翌2015年に東証一部(現プライム)へ市場変更しています。M&Aを推進し、小売や建設等のグループ網を拡大しています。

現在の従業員数は連結で1,549名、単体で76名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は綿半グループ従業員持株会、第3位は金融機関の八十二長野銀行となっており、安定した資本構成となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.43%
綿半グループ従業員持株会 9.07%
八十二長野銀行 4.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は野原勇氏が務めており、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
野原勇 代表取締役社長 2001年アクテルナ(現Viaviソリューションズ)代表取締役社長、2008年同社入社、2015年より現職。
有賀博 代表取締役副社長 1985年キングジム入社、2006年同社入社、2024年より現職。
木下晃 取締役 1985年綿半リビングストアー(現綿半ホールディングス)入社、2024年同社取締役などを経て、2025年より綿半林業代表取締役社長。
伴野紋子 取締役 2001年アベルネット(現綿半ドットコム)入社、2024年同社取締役および綿半ドットコム代表取締役社長などに就き、現在に至る。
野原佳代子 取締役 1993年三菱商事入社、2025年同社取締役、綿半パートナーズ代表取締役社長などに就任し、現在に至る。


社外取締役は、矢島充博(元八十二カード社長)、坂本順子(弁護士)、萩本範文(AMシステムズCEO)、代田昭久(未来地図代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「小売事業」「建設事業」「貿易事業」および「その他」を展開しています。

小売事業


スーパーセンターを中心に、ホームセンター、食品スーパー、ドラッグストア、インターネット通販などを展開しています。地域のお客さまの生活必需品を低価格で幅広く提供し、生鮮食品の一船買いや自社農場での畜産などの6次産業化を推進しています。

収益源は、店舗やオンラインを通じた商品やサービスの販売代金です。運営は主に綿半ホームエイド、綿半パートナーズ、綿半ドットコムなど複数の子会社が行っています。

建設事業


木造建築の企画から施工、建築鉄骨の加工製作、屋根外装工事、自走式立体駐車場建設などを展開しています。工場の操業を休止させない独自のカバー工法や、木質バイオマス発電による環境配慮型事業も手掛けています。

収益源は、各種建設工事の請負代金や住宅資材の販売代金、バイオマス発電による売電収入です。運営は主に綿半ソリューションズ、綿半林業、綿半建材などの子会社が行っています。

貿易事業


医薬品原料や化粧品原料の輸入販売を行っています。また、食用サボテンなどの自然派オーガニック商品の開拓や、不妊治療薬の原薬製造など、健康と環境に配慮した商品の提供に取り組んでいます。

収益源は、製薬会社や化粧品メーカー等への原料販売代金です。運営は主に綿半トレーディングが行っています。

その他


不動産の売買、賃貸借の仲介、不動産コンサルティング、および建物総合管理などを展開しています。

収益源は、不動産の賃貸収入や売買代金、管理業務の手数料などです。運営は主に綿半リアルエステートが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が1,100億円台から1,300億円台へと着実に成長しています。経常利益も増加傾向にあり、利益率は2%台後半で安定的に推移しています。当期利益も持ち直しており、多角的な事業展開を背景に着実な成長軌道を描いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,145億円 1,343億円 1,281億円 1,336億円 1,355億円
経常利益 29億円 31億円 32億円 38億円 39億円
利益率(%) 2.6% 2.3% 2.5% 2.9% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 20億円 10億円 7億円 11億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、営業利益も堅調に推移しています。売上総利益率は約21%と安定した水準を維持しており、適切なコスト管理により営業利益率も改善傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,336億円 1,355億円
売上総利益 280億円 280億円
売上総利益率(%) 21.0% 20.7%
営業利益 35億円 36億円
営業利益率(%) 2.6% 2.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が105億円(構成比43%)、支払手数料が21億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


小売事業は複数店舗の改装や防災特需の反動減等により減収となりました。一方、建設事業は駐車場および鐵構分野での工事が順調に推移し増収を牽引しました。貿易事業は一部原薬の製造工程見直しに伴う販売見合わせにより減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
小売事業 793億円 770億円
建設事業 448億円 499億円
貿易事業 78億円 65億円
その他 17億円 20億円
連結(合計) 1,336億円 1,355億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業で稼いだ資金と借入を組み合わせて成長投資を積極的に行う「積極型」の状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -29億円 9億円
投資CF -18億円 -13億円
財務CF 49億円 13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は29.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


力を合わせ、分かち合い、響き合う「合才の精神」を経営理念に掲げ、経営者と社員の隔てなく、社員全員による企業を目指しています。また、「絶え間なき暮らしの変革」を事業理念とし、時代の変化に対応しながら地域社会の活性化とより良い地球環境・生活環境の構築に邁進しています。

(2) 企業文化


1500年代から綿商いを始め、明治期に鉄へ、その後ホームセンターや建設事業へと、時代の流れを読み、形を変え、多様性ある企業グループへ変革を続ける文化を持っています。「地域に寄り添い地域と共に新しい価値を創造する」を掲げ、地域の発展と持続可能な社会の実現に取り組む姿勢が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2029年3月期までに売上高1,500億円、経常利益45億円の達成を目標としています。また、資本コストを意識した経営指標として以下を掲げています。
・ROE:8%以上の維持
・売上高経常利益率:中長期的に5%以上
・PBR:中長期的な成長を通じ1.5倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


「地域」「環境」「グローバル」の3つを柱とし、事業ポートフォリオの変革に努めています。デジタル化の推進と人的資源管理を強化し、小売事業では6次産業化とドミナント出店、建設事業では独自の環境配慮型商品の開発と海外拠点との連携、貿易事業では自然派オーガニック商品の開拓を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の成長・差別化・高収益化を支える人財基盤の構築を目的とし、次世代経営者の育成や専門人財の育成に注力しています。異業種・異職種の従業員が講師となる「オープンアカデミー」を通じたグループシナジーの創出や、ライフスタイルに応じた働き方改革を進め、多様な人財が能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 50.3歳 19.2年 8,311,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。従業員数等のデータは単体の数値です。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.0%
男女賃金差異(正規雇用) 49.0%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※非正規雇用の男女賃金差異については、対象者がいないため「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 有利子負債による金利変動の影響


ホームセンターの増設などの設備投資を継続的に行っており、主に金融機関からの借入金を充当しています。将来、社会環境や金融情勢の変動により金利が上昇した場合や、金融機関との関係悪化等で資金調達に支障が生じた場合には、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 小売店舗の出退店に伴う設備投資


小売事業では店舗に多額の設備投資が必要であり、既存店舗の活性化に向けたリニューアル等も行っています。これらの設備投資が収益力低下により減損損失となるリスクや、退店時に契約上の保証金の一部が返還されないリスクがあります。また、他社や他業態の出店による競争激化も業績に影響する可能性があります。

(3) 建設事業における資材価格の高騰


建設事業において、建設鋼材やセメントをはじめとする建材価格が上昇した場合、工事原価の増加は避けられません。職人の確保が難しくなり想定以上の外注費が発生するリスクや、これらの工事原価の増加分を請負金額に転嫁できない場合には、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。