東京ボード工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京ボード工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。木質廃棄物を再資源化し、パーティクルボードとして製造・販売する木材環境ソリューション事業を展開しています。第80期は、売上高が77億円と増収となり、経常損失は縮小、当期純利益は2.2億円と黒字転換を果たしました。


※本記事は、東京ボード工業株式会社 の有価証券報告書(第80期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東京ボード工業ってどんな会社?


廃木材をリサイクルして住宅用建材「パーティクルボード」を製造・販売し、地球環境保全に貢献する企業です。

(1) 会社概要


同社の前身は1946年設立の千住ベニヤ工業等に遡り、1983年にグループ4社が合併して現在の体制が発足しました。合板からパーティクルボードへの事業転換を図り、1991年には産業廃棄物処分業許可を取得してリサイクル一貫体制を確立しました。2014年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2017年には千葉県佐倉市に新工場を竣工させています。

連結従業員数は234名、単体では133名です。筆頭株主は代表取締役社長の井上弘之氏(27.84%)で、第2位はかつての親会社であるセイホク(9.94%)、第3位はT・B・H(8.80%)となっています。創業者一族や関連企業が主要株主として名を連ねる構成です。

氏名 持株比率
井上 弘之 27.84%
セイホク 9.94%
T・B・H 8.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は井上弘之氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
井上 弘之 代表取締役社長 1991年ホクヨープライウッド入社。1995年同社取締役、2001年代表取締役常務などを経て、2008年6月より現職。
尾股 拓彦 取締役 1984年マルコー入社。ラ・パルレ経理部長等を経て2011年同社入社。2022年1月より経営管理部管掌として現職。
長嶌 正英 取締役 1996年同社入社。総務課長、安全環境室長、執行役員などを歴任し、2025年6月より現職。
奥山 大史 取締役 2007年同社入社。研究開発室リーダー、事業開発室課長、執行役員などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、只腰由紀夫(ボード代表取締役会長)、吉田博之(吉田公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「木材環境ソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 木材環境ソリューション事業


建設現場や物流倉庫等から排出される木質廃棄物を回収し、自社工場でチップ化した上で、住宅用建材であるパーティクルボード(PB)を製造・販売しています。主力製品はマンション二重床の下地材や戸建住宅の耐力壁「壁武者」などです。また、子会社を通じて産業廃棄物および一般廃棄物の収集運搬も行っています。

収益源は、製品(パーティクルボード)の販売収入と、排出事業者から受け取る産業廃棄物の収集運搬費および処理費です。製造は同社が担い、収集運搬は子会社の「ティー・ビー・ロジスティックス」「TB関西物流」、チップ加工は同社および「横浜エコロジー」が行っています。

(2) その他


東京都足立区において、ショッピングタウン「カリブ梅島」などの施設管理運営を行っています。

テナントからの賃貸収入等が主な収益源です。運営は主に同社および子会社「株式会社カリブ」が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 72億円 76億円 85億円 71億円 77億円
経常利益 -23億円 -9億円 -2億円 -9億円 -0.9億円
利益率(%) -32.0% -12.1% -2.6% -12.5% -1.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -17億円 -12億円 -5億円 -10億円 2億円


売上高は70億円から80億円台で推移しています。利益面では長らく損失計上が続いていましたが、2025年3月期は経常損失が大幅に縮小し、当期純利益は黒字転換を果たしました。

(2) 損益計算書

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 71億円 77億円
売上総利益 9億円 18億円
売上総利益率(%) 12.0% 23.5%
営業利益 -9億円 -0.3億円
営業利益率(%) -13.2% -0.4%


売上高の増加に加え、売上原価の抑制により売上総利益が倍増しました。これにより営業損失は前期の9億円から0.3億円へと大幅に改善しています。

販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.1億円(構成比27.7%)、その他が4.5億円(同24.4%)、運賃及び荷造費が2.9億円(同15.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


木材環境ソリューション事業では販売高が増加し、増収となりました。その他事業も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
木材環境ソリューション事業 68億円 73億円
その他事業 4億円 4億円
連結(合計) 71億円 77億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -4億円 13億円
投資CF -5億円 -11億円
財務CF -0.2億円 -0.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「リサイクリングで地球環境の未来を創る」を経営理念として掲げています。木質廃棄物のマテリアルリサイクルを通じて、二酸化炭素の放出削減と炭素固定量の増加を図り、地球温暖化改善に取り組むことで、循環型社会の構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、開発・製造・販売プロセスの効率化を促進する製造業としての側面と、広範囲なマテリアルリサイクルを実現する廃棄物処理業としての側面を併せ持っています。また、資源循環を実行するための物流機能も展開し、グループ全体で「木材リサイクルのプロセスを一つの輪として完結させる」体制を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営理念達成および企業発展のため、佐倉工場への大規模投資を行っています。その資本効率および投資回収等を測る指標として、「ROA(総資産利益率)」および「EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)」を重視する方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は「循環型社会の構築推進」「生産性の向上と収益構造の改善」「木質廃棄物の確保」などを重点課題としています。具体的には、新設住宅着工戸数60万戸台時代に向け、多品目生産が可能な佐倉工場の稼働率を上げ、接着剤の使用量削減等による環境負荷低減とコストダウンに取り組みます。また、新規顧客開拓や物流機能の強化により、収益モデルの盤石化を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員一人一人が活き活きと働くことを通じて社会貢献できると考え、目標設定や評価を明確にし、教育・研修や資格取得の支援を行っています。また、女性活躍推進や健康経営を掲げ、従業員の活力向上や生産性向上に努めています。地球温暖化改善事業に共感する人材を育成し、安全で魅力ある職場環境づくりを進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.0歳 9.7年 5,384,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職数(1人)、女性社員平均勤続年数(9.0年)、平均所定外労働時間(24.4時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新設住宅着工戸数が業績に与える影響


同社製品は集合住宅や戸建住宅の新設着工数に大きく影響を受けます。新設住宅着工戸数が大幅に減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。リスク分散のため、非住宅への拡販や廃棄物処理事業等にも注力しています。

(2) 有利子負債への依存と財務制限条項


佐倉工場の建築費用等を借入金で調達しており、有利子負債残高は総資産の63.1%にあたります。一部借入金には財務制限条項が付されていますが、金融機関との協議により期限の利益喪失の権利行使をしない旨の同意を得ており、継続的な関係維持に努めています。

(3) 木質廃棄物の確保


主力製品の主原料である木質廃棄物の確保が困難となった場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。製品納入と廃棄物回収の連携(循環物流)などにより運送効率向上と顧客関係強化を図り、安定的な回収確保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。