マクニカホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マクニカホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場し、集積回路、電子デバイス、ネットワーク関連商品の販売等を行っています。当連結会計年度の業績は、売上高1兆342億円(前期比0.5%増)、営業利益396億円(同37.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益253億円(同47.4%減)となり、増収減益でした。


※本記事は、株式会社マクニカホールディングスの有価証券報告書(第10期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マクニカホールディングスってどんな会社?


半導体、電子デバイス、ネットワーク関連商品の販売を行う技術商社グループです。最先端技術の発掘と提案に強みを持ちます。

(1) 会社概要


2015年、株式会社マクニカと富士エレクトロニクス株式会社が共同株式移転により同社を設立し、東京証券取引所市場第一部に上場しました。2020年に株式会社マクニカが富士エレクトロニクス株式会社を吸収合併し、2021年にはマクニカネットワークス株式会社を吸収合併しました。2022年に商号をマクニカホールディングス株式会社へ変更しました。

連結従業員数は5,071名、単体従業員数は38名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行(日本マスタートラスト信託銀行)、第2位は一般財団法人神山財団、第3位は資産管理業務を行う信託銀行(日本カストディ銀行)です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.59%
(一財)神山財団 10.09%
日本カストディ銀行(信託口) 6.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は原 一将氏です。社外取締役比率は54.5%です。

氏名 役職 主な経歴
原 一将 代表取締役社長 1995年マクニカ入社。テクスター カンパニー プレジデント、イノベーション戦略事業本部長等を経て、2019年6月より現職。
三好 哲暢 代表取締役副社長 1995年マクニカ入社。アルティマ社長、北米・アジア事業等の要職を経て、2019年6月より現職。
西沢 英一 取締役 東邦生命保険を経て1999年富士エレクトロニクス入社。経営企画、総務、経理等を歴任し、2015年4月より現職。
大河原 誠 取締役 三菱商事出身。財務分野での経験を経て、マクニカフィナンシャル本部長等を務め、2024年6月より現職。
小野寺 真一 取締役(常勤監査等委員) ワコール、富士銀行を経て2010年富士エレクトロニクス入社。同社社長等を歴任し、2024年6月より現職。


社外取締役は、大森 紳一郎(元日立製作所執行役専務)、菅谷 常三郎(みやこキャピタル代表取締役)、森 康明(元インフィニオン テクノロジーズ ジャパン社長)、阿部 伸一(元グーグル・クラウド・ジャパン代表)、三輪 慧(弁護士)、杉田 雪絵(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「集積回路及び電子デバイスその他事業」および「ネットワーク事業」を展開しています。

集積回路及び電子デバイスその他事業


半導体や集積回路、電子デバイスなどの仕入・販売を行っています。また、自動運転システムの開発・製造・販売なども手掛けています。車載、産業機器、コンピュータ、通信インフラなど幅広い市場の顧客に対して製品を提供しています。

収益は、主に顧客への製品販売によって得ています。運営は、主に株式会社マクニカ、株式会社グローセル、MACNICA CYTECH LIMITEDなどの連結子会社が行っています。

ネットワーク事業


ネットワーク関連のハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの提供を行っています。サイバーセキュリティ対策製品やデータ分析関連商品などを、一般企業や官公庁、金融機関などに提供しています。

収益は、製品の販売および保守サービスの提供によって得ています。保守サービスは契約期間にわたり収益を認識します。運営は、主に株式会社マクニカ、NETPOLEON SOLUTIONS PTE LTDなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


第6期から第10期までの業績を見ると、売上高は第6期の約5,540億円から第10期の1兆342億円へと大きく成長しています。利益面では第9期まで増加傾向にありましたが、第10期は減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 5,540億円 7,618億円 10,293億円 10,287億円 10,342億円
経常利益 164億円 355億円 568億円 620億円 373億円
利益率(%) 3.0% 4.7% 5.5% 6.0% 3.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 62億円 75億円 94億円 195億円 129億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益率は低下しています。販売費及び一般管理費が増加したことなどにより、営業利益は減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 10,287億円 10,342億円
売上総利益 1,296億円 1,213億円
売上総利益率(%) 12.6% 11.7%
営業利益 637億円 396億円
営業利益率(%) 6.2% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が333億円(構成比41%)、賞与引当金繰入額が61億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


集積回路及び電子デバイスその他事業は、産業機器市場の調整局面などの影響を受け減収減益となりました。一方、ネットワーク事業は、セキュリティ関連需要の伸長や大型案件により大幅な増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
集積回路及び電子デバイスその他事業 9,078億円 8,802億円
ネットワーク事業 1,209億円 1,539億円
調整額 - -
連結(合計) 10,287億円 10,342億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金で借入金を返済しつつ、投資も行っている健全型(営業CF+、投資CF-、財務CF-)です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 399億円 242億円
投資CF -185億円 -96億円
財務CF -230億円 -42億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、創業時から「足下に種を蒔き続ける」を企業理念として掲げています。また、パーパスとして「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る。」を掲げ、最先端のテクノロジーとインテリジェンスをつなぐ共創パートナーとして、未来社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、社員が判断や行動に迷った際に立ち返る価値観としてバリュー「T.E.A.M.S」(Trust, Excitement, Aggressiveness, Move, Stretch)を定めています。全社員がこれに基づきベクトルを一つにすることで、質の高いチームワークを実現し、未来を切り開くエネルギーと勢いを生み出すことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2030年度の長期経営目標として、社会的価値と経済的価値の両立を目指し、ビジネスモデル変革を図っています。その実現に向け、2027年度を最終年度とする中期経営計画(FY2025~FY2027)を策定しています。

* 2027年度 連結売上高:1.4兆円
* 2027年度 連結営業利益:800億円
* 2027年度 連結営業利益率:5.7%
* 2027年度 連結ROE:15.0%

(4) 成長戦略と重点施策


Vision2030の実現に向け、全社戦略として成長投資、ビジネスモデル変革、AI関連ビジネスの強化を推進します。半導体事業では成長国への重点投資やAI関連の強化、サイバーセキュリティ事業では高付加価値モデルの拡大や運用支援サービスの強化を図ります。CPSソリューション事業ではスマートシティなどのビジネス拡大を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人は財産(人財)」という考えのもと、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)を推進しています。性別や国籍等に関係なく実力のある人を登用する文化を重視し、個人のキャリアオーナーシップを高める教育機会の提供や、実力重視の抜擢人事を実施しています。また、健康経営や働き方改革も推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 51.5歳 20.9年 17,496,802円


※平均年間給与は、3月末の同社従業員に対して子会社で支給された年間給与、賞与及び基準外賃金を合計したものです。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.3%
男性育児休業取得率 63.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.2%
男女賃金差異(正規雇用) 60.6%
男女賃金差異(非正規雇用) -%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部・内部経営環境に関するリスク


半導体業界特有のシリコンサイクルによる好不況の影響を受ける可能性があります。また、取り扱う半導体の需要や供給力の変化、搭載される製品の価格やライフサイクルの変化などが業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) サプライチェーン全般について


主力事業において米国企業の製品を仕入れ、世界各地の顧客に販売しています。感染症パンデミックや自然災害等により、現状のサプライチェーンモデルが機能不全に陥り事業継続が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的及びその他リスク


製品やサービスの輸出入を行っているため、輸出関連法規の影響を受けます。取引商品が予期せぬ需要者や用途で使用された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、サイバー攻撃や人為的過失による情報漏洩等が発生した場合、損害賠償請求や信頼喪失を招く可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。