ホクリヨウ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 ホクリヨウ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はスタンダード市場に上場し、北海道を地盤に鶏卵の生産・販売を行う企業です。飼育から製造・販売まで自社一貫体制を敷き、道内で高いシェアを誇ります。直近の決算では、売上高は194億円と増収、当期純利益は22億円と大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ホクリヨウ の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホクリヨウってどんな会社?


北海道における鶏卵業界のリーディングカンパニーとして、生産から販売までの一貫体制を強みに、新鮮で安全な鶏卵を消費者に届けています。

(1) 会社概要


同社は1949年に北海道小樽市で設立され、1972年より本格的に養鶏事業を開始しました。2015年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、翌2016年には市場第一部へ指定替えを果たしました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。近年では東北地方への進出や液卵工場の新設など、事業領域の拡大を進めています。

従業員数は単体で250名です。大株主の構成は、筆頭株主が株式会社ココリコ、第2位が同業の株式会社十文字チキンカンパニー、第3位が個人の米山惠子氏となっています。ココリコは同社の筆頭株主として長期保有しており、十文字チキンカンパニーとは資本業務提携関係にあります。

氏名 持株比率
ココリコ 42.04%
十文字チキンカンパニー 4.97%
米山惠子 3.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は米山大介氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
米山 大介 代表取締役社長 1981年北海道電力入社。1993年同社入社。常務、副社長を経て2003年より現職。
松岡 昌哉 専務取締役企画本部長 1981年三井物産入社。同社本店食料本部本部長補佐などを経て、2019年同社入社。常務を経て2024年より現職。
福島 尚樹 常務取締役営業本部長 1984年日本配合飼料(現フィードワン)入社。2007年同社入社。営業部長、取締役を経て2018年より現職。
山角 征司 取締役管理本部長 1987年北海道銀行入社。同行札幌駅前支店長などを経て、2024年同社入社。同年より現職。
勝部 慎一 取締役 1993年三井物産入社。同社東アジア食料商品本部長などを歴任し、2025年同社入社。同年より現職。


社外取締役は、日浅尚子(元北海道新聞社常勤監査役)、土屋俊亮(元北海道副知事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「鶏卵事業」および「その他」事業を展開しています。

鶏卵事業


同社は鶏卵の生産、製造、販売を主たる業務としています。最大の特徴は、北海道内において雛の育成から採卵、選別包装(GP)、販売までを自社内で一貫して行う体制です。スーパーマーケットやホテル、レストラン、製パン・製菓業者など幅広い顧客に製品を提供しており、北海道内で高い市場シェアを有しています。

収益は、スーパーや業務店などの取引先に対する鶏卵製品の販売代金が中心です。運営はホクリヨウが主体となって行っています。また、鶏糞を発酵させて肥料として販売する事業や、食肉用としての成鶏出荷(レンダリング)、液卵・加工卵の製造販売も行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な増加傾向にあります。特に直近の2025年3月期は売上高194億円、当期純利益22億円と好調な決算となりました。経常利益率は10%前後で推移しており、高い収益性を維持しています。当期純利益も安定して計上されており、堅実な成長を続けていることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 131億円 154億円 178億円 189億円 194億円
経常利益 2億円 9億円 14億円 23億円 20億円
利益率(%) 1.7% 6.1% 7.8% 12.3% 10.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 12億円 7億円 17億円 22億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上原価も増加していますが、売上総利益は38〜39億円規模を維持しています。営業利益率は約10〜12%と高い水準ですが、直近ではコスト増等の影響により利益率がやや低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 189億円 194億円
売上総利益 39億円 38億円
売上総利益率(%) 20.8% 19.6%
営業利益 22億円 19億円
営業利益率(%) 11.9% 9.9%


販売費及び一般管理費のうち、運賃諸掛が10億円(構成比54%)、給料・雑給及び手当が3億円(同14%)を占めています。売上原価に関しては、材料費が101億円(構成比66%)、経費が34億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は「鶏卵事業」の単一セグメントですが、販売実績の内訳から動向を分析します。主力の鶏卵は販売数量の増加等により増収となりました。レンダリング(成鶏肉等)や鶏糞肥料も堅調に推移しています。一方、食品販売等は減少しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
鶏卵 182億円 190億円
鶏糞肥料 0.2億円 0.2億円
レンダリング 0.7億円 0.9億円
食品 6億円 3億円
その他 0.0億円 0.0億円
連結(合計) 189億円 194億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の儲けを示す営業CFがプラスで、その資金を投資や借入返済に充てている「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 34億円 32億円
投資CF -13億円 -23億円
財務CF -7億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も73.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「グローバルな競争社会で成長発展していくために、常に将来を見通し、大胆に変化していく。」を経営方針として掲げています。国内情勢だけでなく世界動向を把握し、10年後の未来を予測しながら、過去や現在のやり方に固執せず積極的に変化することを重視しています。

(2) 企業文化


同社は、食の安全に対する強い責任感と、生産効率の向上に向けた不断の努力を重視する文化を持っています。北海道内での一貫生産体制や、FSSC22000認証取得、独自の植物性飼料の使用など、安全・安心な鶏卵生産へのこだわりが企業活動の根幹にあります。また、相場の変動に対応するため、コスト削減や付加価値卵の開発に積極的に取り組む姿勢も特徴です。

(3) 経営計画・目標


同社は、鶏卵や飼料価格が相場に大きく左右される事業特性を踏まえ、売上高総利益率などの財務指標を目標として設定していません。その代わり、現場のパフォーマンスを測る指標を重視しています。
* 産卵率
* 平均卵重
* 飼料要求率(卵生産に必要な餌の量)
* 一人一時間当たり製造量
* 相場差(販売単価と鶏卵相場の差)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的成長のため、事業領域の拡大と収益体質の強化を掲げています。特にアニマルウェルフェア対応の「エビアリー(多段式平飼い)卵」の販路拡大や、鶏糞の東南アジアへの輸出、M&Aによる規模拡大に注力しています。また、相場変動の影響を受けにくい付加価値卵の販売比率を高めることや、最新技術導入による生産コスト削減も重要課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、生産年齢人口の減少に対応するため、採用ルートの多角化や雇用形態の多様化を進めています。人材育成においては、年功序列を排した能力評価によるリーダー層の創出や、挑戦と失敗を成長の糧とする指導体制の充実を掲げています。また、ダイバーシティ推進や労働安全衛生の向上を通じ、社内環境の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.5歳 12.0年 4,734,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.2%
男女賃金差異(正規) 80.5%
男女賃金差異(非正規) 102.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員定着率(全社員73%、新卒社員64%)、障害者雇用率(3.55%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 鶏卵相場の変動性


同社の主力商品である鶏卵は相場商品であり、国内の需給バランスにより価格が大きく変動します。同社は価格が安定した特殊卵の拡販や「卵価安定基金制度」への加入によりリスク軽減を図っていますが、長期的な相場低迷が発生した場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 高病原性鳥インフルエンザ


鳥インフルエンザが発生した場合、鶏の殺処分や移動制限により生産・出荷が停止するリスクがあります。同社は防鳥ネットやウインドレス鶏舎等の防疫対策を徹底していますが、感染を完全に防ぐことは困難です。万一発生した場合は、売上の減少や対策費用の発生により、経営成績に甚大な影響を与える可能性があります。

(3) 原料価格の変動


鶏卵生産コストの約6割を占める飼料価格は、穀物相場や為替変動、海上運賃の影響を受けます。同社は飼料要求率の改善や「飼料安定基金制度」への加入で対策していますが、飼料価格の高騰が長期化しコスト削減で吸収しきれない場合、収益を圧迫する要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。