※本記事は、株式会社ゼネラル・オイスター の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ゼネラル・オイスターってどんな会社?
国内最大級のオイスターバーチェーンを展開し、独自基準による安全な牡蠣の調達・浄化・販売を一貫して行う企業です。
■(1) 会社概要
同社は2000年に株式会社ヒューマンウェブとして設立され、オイスターバーの出店を開始しました。2015年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、2016年には持株会社体制へ移行して現在の商号に変更しました。2017年には岩手県大槌町に加工工場を稼働させ、六次産業化を推進しています。
2025年3月31日現在の連結従業員数は94名、単体では12名です。筆頭株主は代表取締役の兼子氏が代表を務める株式会社ネクスタ、第2位は個人株主の小林敏雄氏、第3位は証券業務を行う松井証券株式会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ネクスタ(匿名組合口) | 42.45% |
| 小林 敏雄 | 6.00% |
| 松井証券 | 4.39% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は渡邊一博氏が務めています。社外取締役比率は約66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡邊 一博 | 代表取締役社長 | 2009年同社入社。営業本部スーパーバイザー、第二営業本部長、取締役を経て、2016年より子会社ヒューマンウェブ取締役社長。2024年6月より現職。 |
| 兼子 修一 | 代表取締役 | 2007年PwCアドバイザリー合同会社入社。公認会計士事務所開設などを経て、2021年同社社外取締役、代表取締役専務に就任。2023年6月より現職。 |
社外取締役は、稲田淳史(公認会計士)、佐藤秀樹(弁護士)、淺枝謙太(弁護士)、込山治郎(元あっぷるぐりむ入社・飲食店経営者)です。
2. 事業内容
同社グループは、「店舗事業」「卸売事業」「加工事業」「浄化事業」「再生可能エネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。
■店舗事業
国内最大級のオイスターバーチェーンとして、首都圏の百貨店や商業施設を中心に「8th SEA OYSTER Bar」などのブランドで飲食店を運営しています。生牡蠣だけでなく、焼き・蒸しなどの調理法によるメニューや、海洋深層水で浄化された安全性の高い牡蠣を提供しています。
収益は、来店客からの飲食代金によって構成されています。運営は、主に連結子会社の株式会社ヒューマンウェブが行っており、直営店27店舗とフランチャイズ店舗を展開しています。
■卸売事業
自社で確立した浄化・検査体制と、店舗事業での消費量を背景とした集中購買力を活かし、全国の生産者から牡蠣を仕入れています。独自の安全基準をクリアした高品質な牡蠣を、グループ外の飲食店等へ供給しています。
収益は、約900店舗の取引先飲食店への牡蠣卸売販売による代金です。運営は、連結子会社の株式会社日本かきセンターが行っています。
■加工事業
岩手県大槌町の加工工場にて、「冷凍カキフライ」や「冷凍粒牡蠣」などの牡蠣加工品を製造しています。店舗事業向けのセントラルキッチンとしての役割を担うほか、外部販売先の開拓も進めています。
収益は、製造した加工品の販売代金です。運営は、株式会社ゼネラル・オイスターが行っています。
■浄化事業
富山県入善町の浄化センターにおいて、海洋深層水を利用した独自の浄化工程を実施しています。厚生労働省の基準より厳しい自社基準をクリアするため、牡蠣を蓄養・浄化し、安全性を担保しています。
収益は、浄化した牡蠣をグループ内外へ出荷・販売することで得ています。運営は、連結子会社の株式会社海洋深層水かきセンターが行っています。
■再生可能エネルギー事業
新たな収益基盤の構築を目指し、2024年1月から太陽光発電所の権利売買事業を開始しました。
収益は、太陽光発電所の権利等の売買代金から得られます。運営は、連結子会社の株式会社ジーオー・ストアが行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、浄化センター等の所在エリアでのイベント事業や、ECサイト「eOyster」での通販事業を行っています。
収益は、イベントでの販売代金やECサイトでの商品販売代金です。運営は同社グループ各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は回復・増加傾向にあり、第25期には39億円を超えています。一方、利益面では変動が大きく、第21期・22期は赤字、第23期・24期は黒字を確保しましたが、直近の第25期は経常利益が大きく減少し、当期純利益は再び赤字となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 23億円 | 25億円 | 38億円 | 38億円 | 39億円 |
| 経常利益 | -3.7億円 | -2.9億円 | 1.3億円 | 0.3億円 | 0.0億円 |
| 利益率(%) | -15.7% | -11.4% | 3.4% | 0.8% | 0.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -6.4億円 | 2.9億円 | 1.5億円 | -1.0億円 | -0.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は3.6%増加し、売上総利益も増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は大幅に減少しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、営業利益率は低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 39億円 |
| 売上総利益 | 25億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 65.4% | 65.3% |
| 営業利益 | 0.2億円 | 0.0億円 |
| 営業利益率(%) | 0.4% | 0.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8.3億円(構成比32.6%)、賃借料が4.8億円(同18.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
店舗事業は増収となったものの、コスト増により減益となりました。卸売事業も増収ですが、利益は減少しています。浄化事業は売上が微増しましたが損失が拡大し、加工事業は赤字が継続しています。全体として売上は伸びているものの、各セグメントで利益確保に苦戦している状況が見られます。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 店舗事業 | 32億円 | 33億円 | 3.7億円 | 2.6億円 | 7.9% |
| 卸売事業 | 4.4億円 | 4.6億円 | 1.4億円 | 1.1億円 | 25.1% |
| 加工事業 | 0.7億円 | 0.7億円 | -0.6億円 | -0.6億円 | -81.1% |
| 浄化事業 | 0.0億円 | 0.0億円 | -0.0億円 | -0.3億円 | -1679.5% |
| 再生可能エネルギー事業 | - | - | - | - | - |
| その他 | 0.8億円 | 0.7億円 | 0.0億円 | -0.1億円 | -10.7% |
| 調整額 | -8.6億円 | -8.9億円 | -4.3億円 | -2.7億円 | - |
| 連結(合計) | 38億円 | 39億円 | 0.2億円 | 0.0億円 | 0.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.0億円 | 1.3億円 |
| 投資CF | -3.1億円 | -2.4億円 |
| 財務CF | -0.7億円 | 4.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、古来より伝わる日本の伝統食材である牡蠣がより多くの人々に親しまれることを目指しています。そのために、厚生労働省の基準をさらに下回る独自の基準を定め、独自の浄化工程を実施するなど、安全かつ安心な牡蠣を消費者に提供することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「安全と安心は自社で確立するもの」という考えのもと、トレーサビリティの確立や独自の検査体制の構築を重視しています。また、牡蠣生産者の理解・協力を得て共に取り組む姿勢や、外食ならではの体験価値を提供する空間演出へのこだわりなど、品質と顧客体験を大切にする文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は具体的な数値目標としての中期経営計画等は明示していませんが、各事業における課題解決を通じて、収益力の向上を目指しています。特に、店舗事業における新業態の展開や、卸売事業での販路拡大などを通じて、持続的な成長を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
店舗事業では、オペレーション効率化による生産性向上に加え、より収益力の高い新業態の開発や、安心安全と収益性を両立した店舗づくりを進めます。卸売事業では、安心安全のプラットフォームという高付加価値を活かし、展示会出展等による新規開拓や、アジア全体への海外販路拡大を目指します。
また、加工事業ではセントラルキッチン機能の強化と外部販売の模索による収支改善を図り、浄化事業では設備拡張と特許技術の活用による安定供給体制を構築します。さらに、再生可能エネルギー事業への投資を継続し、中長期的な成長軸の一つとして育成する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、優秀な人材の確保と育成、定着化を重視しています。将来の幹部候補としての若手採用や、外国籍の特定技能人材の採用を積極的に進めるほか、従業員の能力が最大限に発揮できる環境作りや研修制度の充実を図る方針です。また、衛生管理の徹底や健康管理にも努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.2歳 | 6.1年 | 3,961,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 92.7% |
※男性労働者の育児休業取得率については、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、牡蠣の研修参加率(100%)、2026年3月期の外国籍社員採用予定数(30名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況の変化について
同社グループはオイスターバーを中心とする店舗事業を展開しているため、国内景気の変動や個人消費の動向の影響を受けます。特に、物価上昇による消費減速や、原材料価格、人件費、物流費等のコスト上昇が進行した場合、グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食品衛生管理について
店舗事業や卸売事業において食品衛生法に基づく許可を得て営業していますが、万一食中毒などの衛生問題が発生した場合、営業停止処分やブランドイメージの毀損、損害賠償請求などが発生する可能性があります。特に生牡蠣を扱うため厳格な管理を行っていますが、これらが発生すれば業績に重大な影響を与えるリスクがあります。
■(3) 主要食材(牡蠣)への依存について
同社グループは主力食材を牡蠣に依存しており、特に生牡蠣を提供する店舗の売上構成比が高い状況です。そのため、ノロウイルス等の発生や、それに伴う風評被害、消費者の買い控えなどが起きた場合、牡蠣の販売数量が低下し、グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。



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