コラボス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コラボス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コラボスは東証スタンダード市場に上場し、コールセンター向けのクラウドサービス開発・提供を主力としています。「@nyplace」などの通信インフラシステムからAIを活用したマーケティングツールまで幅広く展開しています。直近の業績は、既存顧客の業務縮小等の影響により減収減益の傾向にあります。


※本記事は、コラボスの有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コラボスってどんな会社?


コールセンター向けの各種クラウドシステムを月額制で提供する通信インフラ企業です。

(1) 会社概要


2001年10月にコールセンター基盤の事業化を目指して設立され、翌年5月に主力の「@nyplace」の提供を開始しました。2007年には顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」をリリースし、2015年に東証マザーズ市場に上場しました。近年はAIを活用した新サービス開発を推進しています。

現在の従業員数は単体で70名体制です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の茂木貴雄氏で、第2位には事業会社であるコムテックが名を連ねています。独立したクラウドベンダーとして、メーカーから金融業まで幅広い業界の小〜大規模コールセンターに対してシステム導入や運用サポートを行っています。

氏名 持株比率
茂木貴雄 37.58%
コムテック 4.14%
鈴木智博 1.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は茂木貴雄氏が務めています。取締役6名のうち社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
茂木貴雄 代表取締役社長 1995年日商岩井入社、2000年アイ・ティー・エックス入社を経て2001年に同社へ出向。2003年取締役に就任し、2004年より現職。
青本真人 代表取締役副社長 1994年日商岩井入社、イーグローバレッジ取締役を経て2014年に同社へ入社し取締役に就任。管理部長を経て2016年より現職。
小川勇樹 取締役 文寿堂を経て2005年に同社へ入社。営業部長、ソリューションセールス部長などを歴任し、2011年より現職。
齋藤一紀 取締役 東信産業を経て2005年に同社へ入社。戦略開発部長、システムオペレーション部長などを歴任し、2013年より現職。


社外取締役は、鈴木達(元アルテリア・ネットワークス社長)、志賀文昭(元KDDIブラジル社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、クラウドサービス事業の単一セグメントで展開しています。

クラウドサービス事業


お客様相談室などコールセンター部門を持つ企業向けに、IP電話交換機システムや顧客情報管理システム(CRM)、業務効率化システム等をクラウド経由で提供しています。小規模から大規模までワンストップで対応し、初期設備投資や運用コストを抑えた柔軟なシステム構築と運用・管理サポートを行っています。

収益源は、システムの設計やアカウント発行に係る初期費用と、利用席数や機能追加、通話実費等によって変動する月額利用料です。主力の「@nyplace」などの現有サービスのほか、AI搭載の独自サービス「VLOOM」などを展開しており、事業の運営はコラボス単体で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は減少傾向が続いており、直近は既存顧客の業務縮小等の影響で減収となっています。利益面では2024年3月期に大幅な赤字を計上しましたが、その後のコスト最適化策や独自サービスの拡販により黒字に回復しています。今後はAIサービスの成長による安定的な収益基盤の確立が課題となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 23.7億円 23.5億円 21.5億円 19.1億円 17.0億円
経常利益 0.8億円 1.0億円 -2.8億円 1.0億円 0.5億円
利益率(%) 3.2% 4.3% -12.8% 5.4% 3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 0.7億円 -8.0億円 1.4億円 1.0億円

(2) 損益計算書


主力の電話交換機システムにおける既存顧客の業務縮小や他社サービスへの切り替えが影響し減収となっています。一方で、各種システムのコスト最適化や業務委託費の削減により、売上総利益率は改善し、営業利益も前年並みの水準を確保しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 19.1億円 17.0億円
売上総利益 6.8億円 6.8億円
売上総利益率(%) 35.6% 40.1%
営業利益 0.8億円 0.7億円
営業利益率(%) 4.0% 4.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が2.8億円(構成比46%)、役員報酬が0.6億円(同10%)を占めています。売上原価については、通信費やホスティング費を含む経費が7.5億円(同74%)、労務費が1.4億円(同14%)となっています。

(3) セグメント収益


主力サービスである「@nyplace」は既存案件の縮小等により減収となりました。一方、生成AIと連携した自社開発のAIコールセンターシステム「VLOOM」は、市場ニーズを的確に捉え新規案件を獲得して大幅な増収を達成しています。今後は独自サービス群が成長を牽引する構造への転換が進められています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
@nyplace 11.6億円 9.2億円
COLLABOS PHONE 4.1億円 3.8億円
VLOOM 0.6億円 1.2億円
COLLABOS CRM 1.0億円 0.9億円
COLLABOS CRM Outbound Edition 0.3億円 0.4億円
その他 1.4億円 1.6億円
連結(合計) 19.1億円 17.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 2.1億円 1.5億円
投資CF 0.3億円 -0.3億円
財務CF -1.1億円 -1.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も81.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「熱心な素人は玄人に勝る-新しいことを自分で創めよう-」を企業理念に掲げています。通信インフラ企業として、コールセンターに蓄積される膨大な顧客の生の声やデータを最新のクラウドサービスで活用し、企業と顧客のシームレスで無駄のないコミュニケーションを実現することで社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


企業理念の実現に向け、従業員が前向きに取り組める5つの行動指針を定めています。自立とプロ意識を持って事業を創出し人間的成長を追求することや、初心・感謝・思いやりを忘れず勤勉に努力すること、自分の目標を持って自ら考えて行動することなどを重視し、多様な人材の挑戦を支える風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業活動の成果を示す重要な経営指標として、売上高およびサービス別の月次利用数を設定しています。安定的かつ継続的な事業基盤の確立を目指し、現有サービスの維持向上とともに、AIを活用した独自サービスの拡大を重要課題として位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


「VLOOM」を中心とした独自サービスの飛躍的な成長と、「@nyplace」の安定成長という2つの戦略を推進しています。独自サービスでは、生成AI連携などの機能開発と販売リソースの投下により収益基盤の転換を図ります。また、現有サービス顧客に対しては、人手不足解消や業務効率化に向けたAI活用・DX提案を行い、付加価値の向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な企業価値向上を支える基盤として、専門性の高い人材の育成を重要視しています。新卒から中途まで多様な人材を受け入れ、OJTと階層別研修による育成プログラムを実施しています。特にエンジニアに対しては5つの役割ごとの技術力強化制度を導入し、自律的な学習機会を提供することで、変化の早い市場ニーズに対応できる組織力の強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.2歳 8.2年 5,363,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定サービスへの依存


同社の売上高の半数以上を「@nyplace」が占めており、主要サービスが不測の環境変化等の事態に陥った場合や、同システムで使用するAVAYA社製IP電話交換機の調達が困難になった場合、継続的なサービス提供に支障が生じ業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) サービス提供の安定性とシステム不具合


クラウドサービスの性質上、データセンターでの設備管理や物理的負荷の軽減策を講じていますが、想定を超える大規模な災害や予測不能な事態、高度なシステムにおける潜在的な欠陥・不具合が発生した場合、サービス提供が停止し事業に影響を与える恐れがあります。

(3) 激しい市場競争と技術革新


クラウドサービス市場は技術革新が極めて早く、新規参入も相次いでいます。大手企業を含む競合他社との競争が激化する中で、市場ニーズに合致する新機能の開発や提供に遅れが生じ、同社の優位性が失われた場合、事業成長や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。