コラボス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コラボス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。コールセンター向けにIP電話交換機や顧客情報管理システム等のクラウドサービスを提供しています。当期は主力サービスの契約数減少により減収となりましたが、コスト構造の見直しや関係会社株式売却益等により、各利益段階で黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社コラボス の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コラボスってどんな会社?


コールセンター向けのクラウド型システムを月額料金制で提供する企業です。大規模な設備投資を不要とし、業務効率化や顧客データ活用を支援しています。

(1) 会社概要


2001年に設立され、翌2002年にクラウド型PBXサービス「@nyplace」の提供を開始しました。2011年にMBOを実施して独立性を高め、2015年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしました。その後、自社開発ソフトフォンの提供やAI技術を活用した新サービスの開発を進め、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しています。

単体での従業員数は88名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の茂木貴雄氏で、第2位は主要取引先でもあるシステム開発会社のコムテック、第3位は証券会社のSBI証券となっています。

氏名 持株比率
茂木 貴雄 37.58%
コムテック 12.43%
SBI証券 3.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は茂木貴雄氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
茂木 貴雄 代表取締役社長 1995年日商岩井(現双日)入社。2001年同社入社。営業開発部長、取締役を経て2004年より現職。
青本 真人 代表取締役副社長 1994年日商岩井(現双日)入社。イーグローバレッジ取締役等を経て2014年同社入社。2016年より現職。
小川 勇樹 取締役 2003年文寿堂入社。2005年同社入社。営業部長、ソリューションセールス部長等を歴任し2011年より現職。
鈴木 裕幸 取締役営業第三部長 2006年ニッシン入社。2007年同社入社。経営企画部長、ビジネスデベロップメント部長等を経て2013年より現職。
齋藤 一紀 取締役 1997年東信産業入社。2005年同社入社。戦略開発部長、システムオペレーション部長を経て2013年より現職。


社外取締役は、鈴木達(テリロジーホールディングス代表取締役社長)、志賀文昭(元KDDIブラジル代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウドサービス事業」を展開しています。

(1) IP電話交換機システム


コールセンター運営の中核となる電話交換機能を提供しています。AVAYA社製交換機を採用した高機能な「@nyplace」や、自社開発のソフトフォン「COLLABOS PHONE」、AIによる音声認識機能を搭載した「VLOOM」などをラインナップしています。
収益は、導入企業から受け取る初期費用、月額利用料、通話料等で構成されています。運営は主に同社が行っています。

(2) 顧客情報管理システム(CRM)


電話やメール等の問い合わせを一括管理する「COLLABOS CRM」や、電話営業等の発信業務に特化した「COLLABOS CRM Outbound Edition」などを提供しています。
収益は、利用ID数に応じた月額利用料や初期費用等から構成されています。運営は主に同社が行っています。

(3) その他(業務効率化サービス等)


コールセンターとWebの情報を一元管理する「GROWCE」や、AIによる顧客分析ツール「GOLDEN LIST」、生成AIを活用したマーケティングシステム「UZ」などを提供しています。
収益は、月額利用料やデータ量に応じた従量課金等で構成されています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 21.0億円 23.7億円 23.5億円 21.5億円 19.1億円
経常利益 1.1億円 0.8億円 1.0億円 -2.8億円 1.0億円
利益率(%) 5.5% 3.2% 4.3% -12.8% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 0.5億円 0.7億円 -8.0億円 1.4億円


売上高は2022年3月期をピークに減少傾向にあり、当期は19.1億円となりました。利益面では、前期に大規模な赤字を計上しましたが、当期はコスト削減等の効果により経常利益1.0億円、当期利益1.4億円となり、黒字転換を果たしています。

(2) 損益計算書

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 21.5億円 19.1億円
売上総利益 4.9億円 6.8億円
売上総利益率(%) 22.9% 35.6%
営業利益 -2.9億円 0.8億円
営業利益率(%) -13.7% 4.0%


売上高は前期比で減少しましたが、売上原価の低減により売上総利益率は大幅に改善しました。営業利益も黒字に回復しています。

販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が2.7億円(構成比45%)、役員報酬が0.6億円(同10%)、業務委託費が0.6億円(同10%)を占めています。売上原価においては、通信費やホスティング費などの経費が9.1億円(構成比74%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


主力サービスの「@nyplace」や「COLLABOS PHONE」は、特定大口顧客の業務縮小等により減収となりました。一方、「VLOOM」等のAI関連サービスやアウトバウンド向けCRMは新規獲得等により増収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
@nyplace 13.9億円 11.6億円
COLLABOS PHONE 4.8億円 4.1億円
VLOOM 0.2億円 0.6億円
COLLABOS CRM 1.2億円 1.0億円
COLLABOS CRM Outbound Edition 0.3億円 0.3億円
その他 1.1億円 1.4億円
連結(合計) 21.5億円 19.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.0億円 2.1億円
投資CF -3.6億円 0.3億円
財務CF 1.8億円 -1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「熱心な素人は玄人に勝る-新しいことを自分で創めよう-」を企業理念として掲げています。コールセンターやマーケティング部門に蓄積される膨大な情報を活用し、企業と顧客のエンゲージメント機会を創出することを目指しています。通信インフラ企業として、最新技術を用いたクラウドサービスにより、企業とエンドユーザー間のコミュニケーションデータをシームレスにつなげ、社会貢献を行うことを方針としています。

(2) 企業文化


同社は、従業員が前向きに仕事に取り組めるよう5つの行動指針を定めています。「売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える」「自立、職人の意識を持ち、利益追求だけでなく人間的成長を必達とする」「初心、感謝、謙遜、思いやり、闘争心を忘れず、勤勉、努力を旨とする」「自分の人生の目標を持ち、自分で考え行動する」「家族を大切にする」という価値観を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2024年3月期から2026年3月期までの中期経営計画を策定しています。最終年度となる2026年3月期の経営目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:31億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力サービス「@nyplace」の安定成長と、独自サービスの飛躍成長を成長戦略として掲げています。「@nyplace」ではシステムバージョンアップによる高付加価値化や効率化を進め、「VLOOM」や「GROWCE」などの独自サービスでは、AI活用による新市場開拓やサービスの統合化を推進し、安定した収益基盤の確立を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、顧客ニーズに応えるサービスを提供し続けるために、「顧客基盤」「情報収集力」「企画力・提案力」「開発力」「信頼性・専門性」の5つの力が重要であると考えています。これらを生み出す人的資本への投資を重要課題と捉え、採用の門戸拡大やOJTとOff-JTを組み合わせた育成プログラム、エンジニアの技術力強化支援などを通じて、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして成長できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.8歳 6.8年 5,078,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 31.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定サービスへの依存


同社の売上の多くは主力サービス「@nyplace」に依存しており、当期の売上高全体の約6割を占めています。同サービスにはAVAYA社製のIP電話交換機システムが使用されており、同社の日本市場撤退など予期せぬ事象により製品調達が困難になった場合、サービス継続に支障が生じる可能性があります。

(2) システム不具合・障害


同社はシステム不具合の未然防止に努めていますが、予期せぬ不具合やベンダー起因の不具合が発生する可能性があります。また、大規模な自然災害等によりデータセンター設備が損壊した場合、サービス提供が困難になる恐れがあります。これらが発生した場合、同社の業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競争激化と技術革新


クラウドサービス市場は技術革新が速く、大手企業を含む多くの競合が存在します。新規参入や価格競争の激化、他社の技術革新への対応遅れ等により同社の優位性が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客がクラウドサービスから自社システム運営へ方針転換した場合も影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。