フルッタフルッタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フルッタフルッタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場するフルッタフルッタは、アサイーを中心としたアマゾンフルーツの輸入・加工販売を主力事業としています。直近の業績は、アサイーの国内需要拡大により売上高は増収となった一方、中国等への海外展開に向けた戦略的在庫投資により各利益は減益となりましたが黒字を継続しています。


※本記事は、株式会社フルッタフルッタの有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フルッタフルッタってどんな会社?


アマゾンフルーツの輸入販売を主力とし、アグロフォレストリーの普及を推進する企業です。

(1) 会社概要


2002年にアマゾンフルーツの仕入や販売を目的としてクプアス・インターナショナル・ジャパンを設立し、ブラジルのトメアス総合農業協同組合(CAMTA)と独占販売契約を締結しました。2004年に現在のフルッタフルッタへ商号変更し、2014年には東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。

従業員数は単体33名です。大株主については、筆頭株主は創業者の長澤誠氏で、第2位は楽天証券共有口、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
長澤誠 10.68%
楽天証券共有口 1.30%
BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNY GCM CLIENT ACCOUNTS M LSCB RD 1.07%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員CEOは長澤誠氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
長澤誠 代表取締役社長執行役員CEO 1986年京セラ入社。アサヒフーズ取締役等を経て、2002年同社設立・代表取締役。2014年より現職。
森栄市 取締役 1985年富士フイルム入社。イチネン取締役執行役員等を経て、2026年6月より現職。
ジェイソン サウスト 取締役 1997年グローバル・ブッキングス・コネクション・ジャパン社長。オンキヨー等を経て2025年より現職。


社外取締役は、鈴木朗広(金井・鈴木公認会計士・税理士事務所共同代表)です。

2. 事業内容


同社は、「輸入食品製造販売」事業を展開しています。

リテール事業・業務用事業


リテール事業は量販店やプレミアム・スーパーマーケット向けに、アサイー等のアマゾンフルーツを主原料とした自社ブランド製品やPB製品を販売しています。業務用事業は、外食店や食品メーカーに対して冷凍フルーツパルプや濃縮エキスなどの加工品を提供しています。

収益源は、小売店や飲食店、メーカーに対する商品の販売代金です。当事業はフルッタフルッタが運営を行っており、高品質なアサイーを活かした製品展開で健康志向の高い消費者から高い評価を得ています。

ダイレクト・マーケティング事業・海外事業


ダイレクト・マーケティング事業は、自社ECサイトや各プラットフォームを通じて一般消費者へ商品を直接販売しています。海外事業は、アグロフォレストリー農法で生産されたカカオ豆や胡椒等の輸入販売に加え、アジア圏を中心とした海外市場への展開を推進しています。

収益源は、ECチャネルを通じた消費者からの商品購入代金や、海外企業および国内食品メーカーへの原料販売代金です。当事業もフルッタフルッタが運営し、独自の商品提案やサステナブル原料の価値提供を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にあり、直近では国内のアサイー需要拡大により大幅な増収を達成しています。利益面では過去数年間赤字が続いていましたが、黒字転換を果たした後は、将来の成長を見据えた先行投資により一時的に減益となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 8億円 8億円 11億円 25億円 31億円
経常利益 -3億円 -3億円 -3億円 2億円 1億円
利益率(%) -41.1% -38.2% -27.0% 9.2% 4.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -3億円 -3億円 -3億円 3億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も拡大し、徹底したオペレーション効率化により売上総利益率が向上しています。一方で、今後のアジア市場展開に向けた戦略的在庫投資を行ったことで営業利益は減少しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 25億円 31億円
売上総利益 10億円 13億円
売上総利益率(%) 37.7% 41.0%
営業利益 2億円 1億円
営業利益率(%) 9.0% 3.0%


販売費及び一般管理費のうち、倉庫料が3億円(構成比21%)、運賃及び荷造費が2億円(同18%)を占めています。売上原価では、材料費が11億円(構成比60%)、外注加工費が7億円(同40%)を占めています。

(3) セグメント収益


リテール部門と業務用部門は、アサイーの国内需要拡大や新商品の導入により好調に推移し増収を牽引しました。また、海外部門も中国を中心とするアジア展開に向けた取り組みが進み、大幅な増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
リテール事業部門 11億円 14億円
業務用事業部門 11億円 14億円
ダイレクト・マーケティング事業部門 3億円 4億円
海外事業部門 0.2億円 0.6億円
連結(合計) 25億円 31億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する勝負型のキャッシュ・フローです。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -4億円 -12億円
投資CF 6億円 -0.0億円
財務CF 14億円 40億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は91.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「自然と共に生きる」を経営理念に掲げています。経済と環境が共存する持続可能な社会を実現するため、アグロフォレストリーの恵みを革新的な商品に変えて顧客の美と健康に貢献することを使命としています。お客様の消費の力でアグロフォレストリーの発展に貢献し、経済が環境を復元させる「グリーン・エコノミー」の実現を推し進めています。

(2) 企業文化


従来の自然資本を搾取する農業とは異なり、限りある自然資本を保全し回復させる未来型の農法を中心とした「自然資本主義」の実現を重視しています。また、従業員に対しては仕事の本質を単なる「時間の提供」から「価値の創出」へと転換させる企業文化の醸成を進め、多様な価値観を持つ人材が一体となって働く「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しています。

(3) 経営計画・目標


事業を継続的に発展させるため、収益性を高めて適正な利益確保を図ることを重要な目標と認識しています。売上高の増加と仕入原価および廃棄率低減による売上総利益の改善を目指すとともに、販売費及び一般管理費の削減にも努めることで、中長期的な営業利益の獲得と拡大を図る経営に努めています。

* 来期の売上増加率予想を約10%に設定
* 各利益の黒字継続を目標

(4) 成長戦略と重点施策


短・中期的な成長戦略の柱として、アサイーの事業展開とサステナブルマッチングプラットフォームの構築を掲げています。アサイー事業では、アジア圏(特に中国市場)を中心としたグローバル展開を加速させるとともに、国内では大手コンビニエンスストア向けの配荷拡大や新カテゴリーの創造を進めます。

* 2030年までに創業からの累計で450,000トンのCO2削減を目指す
* 2031年3月期までにサステナブルマッチングプラットフォームで合計約700億円の取引高達成を目指す

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自然と共に生きる」という会社のパーパスと従業員個人のパーパスのすり合わせを行う「パーパス経営」を人的資本戦略の核に据えています。従来のジョブローテーションから脱却し、従業員一人ひとりの専門性を高める「リスキリング」を重視する方針へ転換しており、研究開発や品質管理体制を支える専門人材の育成・確保に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.9歳 4.8年 5,766,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理役職者比率(36.3%)、月平均法定外残業時間(5.5時間)、リスキリングプログラム研修受講率(30.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) アマゾンフルーツ仕入のCAMTAへの依存


同社はブラジルのトメアス総合農業協同組合(CAMTA)と日本における独占販売契約を締結しており、アマゾンフルーツ冷凍パルプのほとんどを同組合から仕入れています。自然災害や取引関係の変化により原料を計画通りに仕入れることができなくなった場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 売上高におけるアサイー事業への依存


同社の売上高に占めるアサイー関連事業の割合は7割以上と高い水準にあります。アサイー以外のフルーツを用いた商品開発や販売強化にも取り組んでいますが、消費者の嗜好変化などによりアサイー関連市場が大幅に縮小するような事態が発生した場合、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 天候不順等による原材料価格の高騰


安定的なアサイー確保のために現地投資や他フルーツの比率向上などを検討しリスク低減を図っていますが、天候不順等によるアサイー価格の高騰や品質劣化が発生した場合、適正価格での仕入れが困難となり、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。