※本記事は、株式会社レントラックス の有価証券報告書(第20期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. レントラックスってどんな会社?
成果報酬型広告サービス「レントラックス」の運営を主力とするインターネットマーケティング企業です。
■(1) 会社概要
2005年に株式会社コエルとして設立され、翌2006年に現社名へ変更し、成果報酬型広告サービス「レントラックス」を開始しました。2015年に東証マザーズ(現・グロース)へ上場を果たしています。2017年には中古建機販売仲介を行う子会社GROWTH POWERを設立するなど、事業多角化を進めています。
同社グループの連結従業員数は120名(単体56名)です。筆頭株主は親会社であり創業者一族の資産管理会社等と推測されるチーム金子で、第2位は個人株主の山下氏、第3位は同社取締役の椙尾氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| チーム金子 | 50.02% |
| 山下 良久 | 2.88% |
| 椙尾 幸介 | 1.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名、計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は山﨑 大輔氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山﨑 大輔 | 代表取締役社長 | IDOM、カービューを経て同社入社。メディア事業部営業グループリーダー、副社長を経て現職。 |
| 金子 英司 | 取締役会長 | TKC、カービュー等を経て同社設立、社長就任。現在はチーム金子代表も兼任。 |
| 椙尾 幸介 | 取締役管理本部長 | TKCを経て同社入社。管理部長、内部監査室長等を歴任し現職。 |
| 横山 早苗 | 取締役メディア事業本部長 | アデコ等を経て同社入社。メディア事業部長等を歴任し現職。 |
| 福田 秀樹 | 取締役システム本部長 | 日本IBM、カービュー等を経て同社入社。システム本部長として現職。 |
社外取締役は、河嶋茂(イグニディア代表)、五十部紀英(弁護士法人プロテクトスタンス代表)、森戸義裕(X Capital Partner代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「成果報酬型広告サービス事業」、「検索連動型広告代行事業」、「中古建設機械マーケットプレイス関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■成果報酬型広告サービス事業
PC・スマートフォン向けの成果報酬型広告サービス「レントラックス」を運営しています。広告主とパートナーサイト(媒体)を仲介するクローズド型ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)であり、有力なパートナーサイトを厳選してネットワーク化している点が特徴です。
収益は、広告主から成果報酬を受け取り、パートナーサイトへ報酬を支払うビジネスモデルで、その差額が同社グループの収益となります(純額計上)。運営は主にレントラックスが行っています。
■検索連動型広告代行事業
GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、検索結果画面に表示されるリスティング広告の運用代行を行っています。正規代理店として、適切なキーワード選定や出稿時期の調整などを行い、広告効果の最大化を支援します。
収益は、顧客の広告運用における取扱高から媒体への支払額等を控除した手数料等が収益となります(純額計上)。運営はレントラックスおよびAnythingが行っています。
■中古建設機械マーケットプレイス関連事業
中古建設機械等の売買サイト「GROWTH POWER」の運営および売買仲介を行っています。ショベルやブルドーザーなどの中古建機を売りたい出品者と、買いたいバイヤーを繋ぐプラットフォームです。
収益は、売買成約時に受け取る手数料等で、完全成果報酬型のビジネスモデルとなっています。運営はGROWTH POWERが行っています。
■その他
インターネットメディアの企画・運営、コンパクト家電や雑貨等の企画・開発・販売、EC事業、システム開発や海外進出支援サービスなどを展開しています。
収益は、製品の販売代金やサービスの提供対価などです。運営はユニバーサルメディアジャパン、テクノパル等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの推移を見ると、2022年3月期に収益認識会計基準の適用により売上高の表示が大きく減少しましたが、その後は堅調に回復・成長しています。特に2025年3月期は、経常利益が11.3億円となり、高い利益率を維持しながら大幅な増益を達成しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 124億円 | 25億円 | 33億円 | 33億円 | 39億円 |
| 経常利益 | 4.8億円 | 8.0億円 | 10.8億円 | 6.5億円 | 11.3億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 32.6% | 32.7% | 19.7% | 29.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.2億円 | 4.0億円 | 2.1億円 | 4.4億円 | 7.4億円 |
■(2) 損益計算書
前期(2024年3月期)と比較すると、売上高は33億円から39億円へ増加し、営業利益も6.5億円から11.4億円へと大幅に伸長しました。売上総利益率が高い水準を維持しており、増収効果が利益に直結しやすい収益構造となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 33.0億円 | 38.6億円 |
| 売上総利益 | 22.9億円 | 26.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.6% | 69.3% |
| 営業利益 | 6.5億円 | 11.4億円 |
| 営業利益率(%) | 19.8% | 29.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4.5億円(構成比29%)、支払手数料が2.0億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の成果報酬型広告サービス事業と中古建設機械マーケットプレイス関連事業が増収増益を牽引しました。特に中古建機事業は売上高12億円規模に成長しています。一方、その他事業は減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 成果報酬型広告サービス事業 | 17.4億円 | 22.0億円 | 17.4億円 | 22.0億円 | 100.0% |
| 検索連動型広告代行事業 | 0.6億円 | 0.5億円 | 0.6億円 | 0.5億円 | 100.0% |
| 中古建設機械マーケットプレイス関連事業 | 9.8億円 | 12.0億円 | 1.6億円 | 1.7億円 | 14.1% |
| その他 | 5.2億円 | 4.1億円 | 3.4億円 | 2.6億円 | 62.0% |
| 連結(合計) | 33.0億円 | 38.6億円 | 22.9億円 | 26.8億円 | 69.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.3億円 | 15.8億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -0.9億円 |
| 財務CF | 9.2億円 | -2.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「インターネットを駆使し、人々に適切な情報を提供し、便利さを提供する。」という経営理念を掲げています。インターネット市場において、適切な情報の提供を通じて社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
経営方針として「信念・責任感・謙虚さ・スピード・実行力をモットーに、当社に関わる全ての立場の人々を成長させ、幸せにする手法を探求し、提供する。」を掲げています。関わる全ての人々の成長と幸せを追求する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは経営効率を重視し、売上高増加率、売上高営業利益率の向上に努めています。また、主力事業においては以下の指標を重視しています。
* パートナーサイト運営者数(2025年3月末時点:60,745名)
* 広告主からの成果承認件数
■(4) 成長戦略と重点施策
主力事業である成果報酬型広告サービス事業に経営資源を集中しつつ、第4の柱となる新規事業への展開を図ることを成長戦略としています。
* 成果報酬型広告サービス事業:有力パートナーへの営業強化、物販等の新規ジャンル拡大による広告主増加。
* 検索連動型広告代行事業:営業体制強化、PDCAサイクル運用による顧客満足度向上。
* 中古建設機械マーケットプレイス関連事業:国内買取の強化、海外販路の拡大、サイト操作性の改善。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や国籍、採用区分に関わらず多様な人材を積極的に採用し、次世代リーダーを育成する方針です。実務経験や研修、1on1ミーティング等を通じて公平な評価と機会を提供しています。また、在宅勤務、時差出勤、副業制度など、ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 30.5歳 | 4.8年 | 5,539,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(93.6%)、男女比率(全従業員)(男性 47.1%、女性 52.9%)、男女比率(管理職)(男性 70.0%、女性 30.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定事業・特定分野への依存
同社グループは成果報酬型広告サービス事業に経営資源を集中しており、同事業の動向が業績に大きく影響します。また、同事業においては金融案件(キャッシングやクレジットカード発行等)が売上高の約41%を占めており、当該分野の規制や環境変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 検索エンジンへの対応
パートナーサイトの多くは検索連動型広告やSEO等の手法により集客を行っています。検索エンジン運営会社によるアルゴリズム変更などでパートナーサイトの検索順位が著しく低下し、集客力が落ちた場合、同社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 個人情報管理によるリスク
事業運営において個人関連情報を取得しており、プライバシーマークも取得しています。しかし、不正アクセスや内部からの情報漏洩等により個人情報が流出した場合、損害賠償や信用の失墜により、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 海外展開に伴うリスク
ベトナム、タイ、インドネシア等アジアを中心に海外子会社を展開しています。各国の法令、取引慣行、政治情勢等の違いにより予期せぬリスクが顕在化した際、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。



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