レントラックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レントラックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロースに上場するレントラックスは、成果報酬型広告サービス事業や運用型広告代行事業、中古建設機械の売買仲介を展開しています。直近の業績トレンドは、広告事業や中古建機関連が堅調に推移し増収を達成した一方で、事業投資等の影響や特別損失計上により減益の決算となっています。


※本記事は、株式会社レントラックスの有価証券報告書(第21期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レントラックスってどんな会社?


インターネット広告と中古建機売買等を軸に、多様な領域で成長を続ける企業です。

(1) 会社概要


2005年に設立され、成果報酬型広告サービスの提供を開始しました。2015年に東証マザーズ(現・グロース)へ上場し、2017年には中古建機売買のGROWTH POWERを設立しました。2024年にチーム金子の親会社化を経て、直近では井嶋金銀工業を子会社化し貴金属リユース事業を開始しています。

同社グループの従業員数は連結で126名、単体で52名です。筆頭株主は資産管理等を行う事業会社のチーム金子であり、第2位は役員の椙尾氏、第3位は役員の横山氏となっています。経営陣や関連会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。

氏名 持株比率
チーム金子 49.87%
椙尾 幸介 1.95%
横山 早苗 1.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は山﨑大輔氏が務めており、社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
山﨑 大輔 代表取締役社長 元ガリバーインターナショナル。2012年同社入社後、メディア事業部長等を経て、2018年より現職。
金子 英司 取締役会長 同社創業者。2005年にコエル(現・同社)を設立して代表取締役社長に就任し、2018年より現職。
椙尾 幸介 取締役管理本部長 元TKC。2006年に同社入社後、取締役管理部長や内部監査室長等を歴任し、2020年より現職。
横山 早苗 取締役メディア事業本部長 2006年に同社入社。メディア事業部長やAnything代表取締役等を経て、2018年より現職。
福田 秀樹 取締役システム本部長 日本アイ・ビー・エム等を経て2009年に同社入社。執行役員システム本部長を経て2018年より現職。


社外取締役は、河嶋茂(イグニディア代表取締役)、五十部紀英(プロテクトスタンス代表社員)、森戸義裕(X Capital Partner代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「成果報酬型広告サービス事業」「運用型広告代行事業」「中古建設機械マーケットプレイス関連事業」「貴金属リユース・加工・精錬事業」および「その他の事業」を展開しています。

成果報酬型広告サービス事業


PC・スマートフォン向けのクローズド型インターネット広告サービス「レントラックス」の運営を行っています。特定キーワードで能動的に検索する消費者を対象とした質の高いパートナーサイト(広告掲載媒体)を活用し、広告主に費用対効果の高い集客機会を提供しています。

広告主のサイト上で会員獲得や見積りなどの成果が承認された場合にのみ、広告主から成果報酬を受領する仕組みです。この対価からパートナーサイト運営者への支払いを差し引いた純額が収益となります。運営は主に同社が行っています。

運用型広告代行事業


広告配信データやユーザー行動を分析し、配信内容や入札単価を継続的に最適化する運用型インターネット広告の代行事業を展開しています。LINEヤフーやGoogleの正規代理店として、検索連動型広告やSNS広告の取次と運用改善を支援します。

広告主が設定した条件に基づき、広告がクリックまたは表示された際に発生する広告料を基に運用代行手数料を受領するビジネスモデルです。本事業の運営は、同社およびAnythingが行っています。

中古建設機械マーケットプレイス関連事業


ショベルや農業機械、工作機械など多種多様な中古機械を対象とした売買サイト「GROWTH POWER」を運営しています。国内外の買い手と売り手をつなぐ委託販売プラットフォームとして、交渉から代金回収、商品輸送までを一貫してサポートします。

サイトへの商品掲載は無料で、売買が成約した際にのみ出品者または購入者から手数料を受領する完全成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。事業の運営はGROWTH POWERが行っています。

貴金属リユース・加工・精錬事業


金・銀・プラチナなどの貴金属を含む原材料、製品スクラップ、産業廃棄物などを仕入れ、選別・加工・精製を行う事業です。長年のノウハウを活用し、回収から加工・販売までの一貫したサービスで安定的な品質管理を実現しています。

再利用可能な貴金属地金や製品原料の販売による収益に加え、顧客から預かった貴金属原料の精錬加工を行い、加工後の貴金属を返却する受託加工による手数料収入を得ています。運営は井嶋金銀工業が行っています。

その他の事業


インターネットウェブサイトなどの各種メディアの企画・運営、コンパクト家電や雑貨・販促品の企画・開発・販売、EC事業、さらにシステム開発の受託や企業の海外進出支援サービスなどを展開しています。

メディア運営による広告収入や、家電等の商品販売代金、システム開発の受託開発費などが主な収益源となっています。ユニバーサルメディアジャパンやテクノパルなどの複数のグループ会社が各事業の運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間における同社の売上高は右肩上がりの成長を維持しており、24億円台から44億円台まで着実に拡大しています。一方で利益面は事業拡大に伴う経費の増加や、特別損失の計上など外部要因の影響も受けやすく、直近では大幅な増収を達成したものの減益というトレンドになっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 24.6億円 33.0億円 33.0億円 38.6億円 44.4億円
経常利益 8.0億円 10.8億円 6.5億円 11.3億円 10.4億円
利益率(%) 32.6% 32.7% 19.7% 29.2% 23.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.0億円 2.1億円 4.4億円 7.4億円 4.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の38.6億円から当期は44.4億円へと大きく伸び、それに伴い売上総利益も増加しています。しかし、事業規模の拡大に合わせた人員強化等の影響により販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は前期を下回り、利益率もやや低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 38.6億円 44.4億円
売上総利益 26.8億円 27.3億円
売上総利益率(%) 69.3% 61.5%
営業利益 11.4億円 10.5億円
営業利益率(%) 29.6% 23.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4.4億円(構成比26%)、支払手数料が3.2億円(同19%)を占めています。売上原価17.1億円は、主に中古建設機械マーケットプレイス関連事業の事業拡大に伴う原価の増加が影響しています。

(3) セグメント収益


主力の成果報酬型広告サービス事業は、既存ジャンルでの継続的な注力や新規分野の広告主開拓が奏功し増収を牽引しました。また、中古建設機械マーケットプレイス関連事業も需要の高い商品の国内買取と海外販路の拡大が寄与し、前期から大幅な売上増を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
成果報酬型広告サービス事業 22.0億円 22.5億円
運用型広告代行事業 0.5億円 1.7億円
中古建設機械マーケットプレイス関連事業 12.0億円 17.2億円
その他の事業 4.1億円 2.9億円
連結(合計) 38.6億円 44.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期は営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続している勝負型の局面といえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 15.8億円 -4.4億円
投資CF -0.9億円 -19.3億円
財務CF -2.0億円 3.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は54.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「インターネットを駆使し、人々に適切な情報を提供し、便利さを提供する。」という経営理念を掲げています。また、「信念・責任感・謙虚さ・スピード・実行力をモットーに、当社に関わる全ての立場の人々を成長させ、幸せにする手法を探求し、提供する。」という経営方針に基づき、社会と企業の持続的な成長を目指しています。

(2) 企業文化


性別や国籍などの区別なく、多様な視点や価値観を持つ人材が活躍できるフラットな組織文化を醸成しています。社員が将来設計やキャリア形成を自ら考えられるよう、1on1ミーティングや公平な評価制度を運用するとともに、社員のライフステージに応じた柔軟な働き方を選択できる制度作りに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


経営効率を重視し、売上高増加率および売上高営業利益率の向上を経営上の重要な目標としています。特に、同社グループの主力である成果報酬型広告サービス事業において、パートナーサイト運営者数および広告主からの成果承認件数の推移を収益成長に向けた最重要指標(KPI)に位置付けて管理しています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力事業のシステム機能強化とユーザビリティ向上により他社との差別化を図りつつ、利益率の高い新規案件の開拓を進めます。また、次なる収益の柱として新規事業領域への投資とM&Aを継続的に行い、収益基盤の多様化を推進します。
・有力なパートナーサイトへの営業強化
・中古建機の海外顧客の新規開拓とサイト掲載台数の増加
・貴金属リユースにおける安定した在庫管理と収益確保

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


環境変化に対応できる組織力を強化するため、多様な人材の採用と次世代リーダーの育成を推進しています。業務経験を通じたOJTと、階層別研修や書籍購入制度等による能力開発を両輪とし、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる柔軟な社内環境と公平な人事評価制度の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 31.1歳 5.7年 5,883,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 31.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(66.2%)、従業員持株会加入率(44%)、育休からの復職率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報管理によるリスク

広告主やパートナーサイト運営者等の個人情報を多く取り扱っており、万が一外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩が発生した場合、損害賠償の発生や社会的信用の低下により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外展開に伴うリスク

アジア等を中心に複数の海外子会社を展開しグローバルな事業を推進していますが、各国の政治情勢、法令、取引慣行や為替変動などのカントリーリスクが顕在化した場合、事業の計画遅延や想定外の損失が生じるリスクがあります。

(3) M&A及び事業拡大に伴うリスク

既存事業の強化や新規事業展開を目的としたM&Aにおいて、想定したシナジー効果が得られない場合や、買収後のPMI(経営統合作業)が計画通りに進まない場合、のれんや固定資産の減損損失が発生し業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。