※本記事は、ファンデリーの有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ファンデリーってどんな会社?
生活習慣病患者向けの健康食や国産食材の冷凍食の製造販売と、それに付随するマーケティングを行う企業です。
■(1) 会社概要
2000年に設立され、2004年に健康食通販カタログ「ミールタイム」を創刊して事業を本格化させました。2015年には東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。2020年には埼玉工場を竣工し、国産食材を使用した冷凍食「旬をすぐに」の販売を開始し、現在の事業基盤を確立しました。
現在の従業員数は単体で41名体制となっています。大株主の構成は、筆頭株主が創業者であり代表取締役の阿部公祐氏で約60%の株式を保有し、第2位は阿部ふよう氏、第3位は取締役の利川美緒氏となっています。経営陣や関係者が上位を占める構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 阿部 公祐 | 59.96% |
| 阿部 ふよう | 1.97% |
| 利川 美緒 | 1.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役は阿部公祐氏が務めています。社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 阿部 公祐 | 代表取締役MFD事業部長 | 1996年朝日火災海上保険入社。2000年同社設立、代表取締役就任。経営管理本部長等を経て2025年より現職。 |
| 利川 美緒 | 取締役マーケティング事業部長 | 2001年同社入社。マーケティング事業部長、営業本部長兼MFD事業部長等を経て2025年より現職。 |
| 茅野 智憲 | 取締役経営管理本部長 | 2008年あずさ監査法人入所。2013年同社入社。人事総務部長等を経て2020年より現職。 |
社外取締役は、松澤秀人(元原田工業常勤監査役)、成願隆史(元エプコ監査役)、浅井耕作(CO Partners代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「MFD事業」「CID事業」「マーケティング事業」の3つの報告セグメントを展開しています。
■MFD事業
生活習慣病等で食事制限が必要な顧客向けに、エネルギーや塩分などを調整した健康食「ミールタイム」等の宅配サービスを提供しています。年4回発行する通販カタログを通じ、全国の医療機関や調剤薬局の紹介ネットワーク経由で注文を受け付けます。
収益源は、顧客からの健康食弁当の購入代金です。同社の管理栄養士・栄養士による無料カウンセリングや定期購入サービスによって継続的な利用を促しています。運営はファンデリーが単独で行っています。
■CID事業
若年層の働き盛り世代や多忙な方向けに、旬の国産食材を100%使用した冷凍食「旬をすぐに」などの製造販売を行っています。自社工場での製造と、AIを活用して顧客の嗜好に合わせたメニューを提案する定期購入サービスが特徴です。
収益源は、自社ECサイトを通じた一般顧客からの購入代金や、小売店を通じた販売代金です。また、MFD事業向けの健康食の一部も製造しています。運営はファンデリーが単独で行っています。
■マーケティング事業
健康志向の商品を扱う食品メーカー等に対して、MFD事業で構築した紹介ネットワークやカタログ媒体を活用したマーケティング支援サービスを提供しています。また、管理栄養士向けのコミュニティサイト等のメディア運営も行っています。
収益源は、食品メーカー等のクライアント企業から受け取るカタログ誌面への広告掲載料や、紹介ネットワークを通じたサンプリング業務の受託料です。運営はファンデリーが単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向から直近で回復の兆しを見せています。利益面では過去に赤字を計上する期もありましたが、価格改定や注文件数の維持、各種コスト削減の取り組みが奏功し、直近の期では経常利益、当期利益ともに黒字転換を果たし、収益性の改善が進んでいます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 28億円 | 26億円 | 25億円 | 26億円 |
| 経常利益 | -1.6億円 | -2.8億円 | 0.6億円 | -1.8億円 | 0.7億円 |
| 利益率(%) | -5.1% | -10.1% | 2.1% | -7.4% | 2.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -19億円 | -2.8億円 | 0.7億円 | -1.8億円 | 0.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が堅調に推移する中、利益率の高い商材の拡販や製造原価の抑制により売上総利益率が大きく改善しました。その結果、営業利益も黒字へと転換しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 26億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 13億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.0% | 48.9% |
| 営業利益 | -1.3億円 | 1.3億円 |
| 営業利益率(%) | -5.4% | 5.0% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃が3億円(構成比29%)、その他(支払手数料や地代家賃等を含む)が1.9億円(同16%)、給料及び手当が1.4億円(同12%)、広告宣伝費が1.3億円(同12%)を占めています。売上原価の内訳としては、当期商品仕入高が10億円(構成比60%)、当期製品製造原価が5億円(同30%)を占めています。
■(3) セグメント収益
MFD事業は価格改定により収益性が改善し増益となりました。CID事業は小売店向けの卸売上やセグメント間取引の増加で赤字幅が縮小しています。マーケティング事業は高価格案件の獲得が寄与し大幅な増益を牽引しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| MFD事業 | 20億円 | 20億円 | 2.9億円 | 3.1億円 | 15.2% |
| CID事業 | 1.0億円 | 1.2億円 | -3.9億円 | -2.5億円 | -207.3% |
| マーケティング事業 | 3.9億円 | 4.8億円 | 2.7億円 | 3.6億円 | 75.6% |
| 連結(合計) | 25億円 | 26億円 | -1.3億円 | 1.3億円 | 5.0% |
※連結(合計)の利益は全社費用等の調整額を含んだ営業利益を記載しています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は28.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は7.4%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | 1.6億円 |
| 投資CF | -0.0億円 | -1.0億円 |
| 財務CF | -2.7億円 | -2.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「お客様の健康を心から願う企業であり続けます」を経営理念に、「一人でも多くのお客様に健康で楽しい食生活を提案し、豊かな未来社会に貢献します」というビジョンを掲げています。食事の宅配を入口としたソリューションサービスの強化を通じ、ヘルスケア総合企業となることを目指しています。
■(2) 企業文化
健康増進を図るためには、第一に「食事コントロール」を行い、それでも困難な時に「医療」を行うのが望ましいという考え方を「一食二医」という独自の造語で提唱しています。この理念のもと、管理栄養士・栄養士によるきめ細かい栄養相談などを通じて、顧客にとって価値の高い商品とサービスを提供し、品質向上に努めています。
■(3) 経営計画・目標
従前の中期経営計画に代わり、今後の収益拡大に向けた新たな戦略方針を立案し、新たな中期経営計画を策定するための検討を進めています。MFD事業及びCID事業の双方を成長戦略の中心に据え、収益力の向上を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略として、MFD事業における定期購入顧客の拡大や、カタログを配布する紹介ネットワークの拡大・深耕に注力しています。CID事業では、AIによるメニュー提案や定期購入の離脱率低下を図っています。また、価格交渉や業務の内製化による収益性の改善、および事業拡大を支える人材の確保と育成を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、高品質な商品・サービスを提供するためには人的資本が最重要であると位置づけています。特に食と栄養の専門家である管理栄養士・栄養士の確保・育成に注力しており、社内研修や外部講師による講演会、ジョブローテーションを積極的に実施しています。また、従業員の健康促進のため就業中の喫煙を認めない方針も掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。給与は基本給と業績連動の賞与で構成され、年齢や性別によらず、専門人材として高い付加価値を創出する社員に報いる制度としています。賞与は定量的な業績評価に加え、人材育成などの定性的な要素も考慮して決定されます。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 30.7歳 | 6.5年 | 4,737,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は従業員規模が300人以下のため、有報には女性管理職比率などの記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品の安全性に関するリスク
主力事業である健康食や冷凍食品の製造販売において、異物混入や虚偽表示、食中毒などの事故が発生した場合、商品の信頼が毀損され、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。対策として、委託先工場への監査や自社工場での衛生・品質管理を徹底しています。
■(2) 会員数と紹介ネットワーク維持のリスク
健康食や冷凍食の定期購入会員数、およびカタログを配布する医療機関等の紹介ネットワーク数は業績に直結します。顧客満足度の低下による離脱や、ネットワーク拡大の施策が進まない場合、新規顧客の獲得が困難となり事業の成長に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 仕入価格・製造コスト高騰のリスク
製造委託先からの仕入や自社工場での製造において、天候不順や為替変動に伴う原材料費の高騰、労働力不足による人件費の上昇、原油価格に連動する包材資材の値上げなどが発生した場合、コスト転嫁が遅れると収益性が圧迫される可能性があります。



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