ファンデリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ファンデリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場し、健康食宅配のMFD事業、国産食材の冷凍食宅配のCID事業、マーケティング事業を展開しています。2025年3月期は、主力事業での定期購入会員数の減少やCID事業の損失計上などが響き、売上高は前期比で減少、各利益段階で赤字となりました。


※本記事は、ファンデリー の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

ファンデリー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. ファンデリーってどんな会社?


健康食通販カタログ『ミールタイム』を通じた食事宅配サービスや、国産食材にこだわった冷凍食『旬をすぐに』を展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に設立され、2004年に健康食通販カタログ『ミールタイム』を創刊しました。2015年に東証マザーズへ上場し、2020年には新ブランド『旬をすぐに』の販売を開始しています。2022年の市場区分見直しに伴い、東証グロース市場へ移行しました。

同社の従業員数は単体で40名です。筆頭株主は創業者の阿部公祐氏で、第2位は阿部ふよう氏、第3位は宮入知喜氏となっており、創業者およびその関係者が主要株主となっています。

氏名 持株比率
阿部 公祐 63.81%
阿部 ふよう 1.97%
宮入 知喜 1.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役MFD事業部長は阿部公祐氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
阿部 公祐 代表取締役MFD事業部長 1996年朝日火災海上保険(現 楽天損害保険)入社。2000年同社設立代表取締役。2025年より現職。
利川 美緒 取締役マーケティング事業部長 2001年同社入社。2010年取締役マーケティング事業部長。2025年より現職。
茅野 智憲 取締役経営管理本部長 2008年あずさ監査法人入所。2013年同社入社。2016年人事総務部長を経て2020年より現職。


社外取締役は、松澤秀人(元原田工業常勤監査役)、成願隆史(公認会計士成願隆史事務所所長)、浅井耕作(CO Partners代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「MFD事業」「CID事業」「マーケティング事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

(1) MFD事業


『ミールタイム』というブランドで、生活習慣病患者や食事制限が必要な方向けに、栄養士が監修した健康食(ヘルシー食、低たんぱく食など)を宅配しています。医療機関や調剤薬局などの紹介ネットワークを通じてカタログを配布し、顧客を獲得しています。

収益は、カタログやWebサイトを通じて注文を行った顧客からの商品代金によって構成されています。運営は同社が行っています。

(2) CID事業


『旬をすぐに』というブランドで、国産食材を100%使用し、独自の技術で製造した冷凍食品を宅配しています。旬の食材を即座に調理・冷凍することで高品質を実現し、主に若年層や多忙なビジネスパーソンをターゲットとしています。

収益は、ECサイトや一部小売店を通じて商品を購入した一般消費者等からの代金によって構成されています。自社工場での製造から販売までを同社が一貫して運営しています。

(3) マーケティング事業


MFD事業で構築した医療機関等の紹介ネットワークや会員基盤を活用し、食品メーカー等に対してマーケティング支援を行っています。具体的には、カタログ誌面への広告掲載や、商品サンプリング、アンケート調査などを提供しています。

収益は、広告掲載を行う食品メーカーや、サンプリング業務を委託する企業からの広告料や業務受託料によって構成されています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間を見ると、売上高は減少傾向にあります。2024年3月期は黒字を確保していましたが、2025年3月期はMFD事業の減収やCID事業の損失などが影響し、経常損益および当期損益ともに赤字に転落しました。利益率もマイナスとなり、業績が悪化しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 26.5億円 24.6億円
経常利益 0.6億円 -1.8億円
利益率(%) 2.1% -7.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.7億円 -1.8億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。売上総利益率は40%台を維持していますが、販管費の負担を吸収しきれず、営業損益は赤字となりました。コストコントロールは進めているものの、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 26.5億円 24.6億円
売上総利益 13.0億円 10.3億円
売上総利益率(%) 49.1% 42.0%
営業利益 0.6億円 -1.3億円
営業利益率(%) 2.2% -5.4%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が3.1億円(構成比26%)、給料及び手当が1.5億円(同13%)、広告宣伝費が1.4億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のMFD事業は減収減益となり、CID事業は赤字が拡大しました。マーケティング事業も減収減益となっており、全セグメントで苦戦が見られます。特にCID事業は損益分岐点に達しておらず、全体の収益を圧迫する要因となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
MFD 20.6億円 19.7億円 3.2億円 2.9億円 14.7%
CID 1.1億円 1.0億円 -3.2億円 -3.9億円 -380.6%
マーケティング 4.8億円 3.9億円 3.4億円 2.7億円 68.9%
連結(合計) 26.5億円 24.6億円 0.6億円 -1.3億円 -5.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.7億円 2.5億円
投資CF 0.0億円 -0.0億円
財務CF -2.7億円 -2.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-58.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も5.3%で市場平均を大きく下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「一人でも多くのお客様に健康で楽しい食生活を提案し、豊かな未来社会に貢献します」というビジョンを掲げています。また、第一に食事コントロール、それでも困難な時に医療を行う「一食二医」という独自の考え方を提唱し、顧客の健康と活力ある社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


「お客様の健康を心から願う企業であり続けます」という経営理念のもと、単に食事を届けるだけでなく、栄養士によるカウンセリングやサポートを重視する姿勢を持っています。専門知識を持つ管理栄養士・栄養士が顧客に寄り添い、健康改善に貢献することを大切にする文化があります。

(3) 経営計画・目標


従前の中期経営計画と実績の乖離が大きくなったため、現在は新たな戦略方針に基づいた中期経営計画の策定を進めています。具体的な数値目標は、新計画が策定でき次第公表される予定です。

(4) 成長戦略と重点施策


定期購入顧客数の拡大を最優先課題とし、MFD事業では紹介ネットワークの深耕、CID事業ではAIを活用した提案強化を図ります。また、若年層や健康な方への顧客層拡大、商品開発の充実、コスト削減、およびこれらを支える人材の確保と育成を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


高品質なサービス提供のため、管理栄養士・栄養士の免許を持つ人材の確保と育成を最重要視しています。社内研修や外部講師による講演会、ジョブローテーションなどを通じてスキル向上を図り、専門性を活かして顧客の健康相談に適切に対応できる体制づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 30.6歳 6.3年 4,379,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する重要事象


CID事業の損失等により過去に多額の損失を計上し、当事業年度末においても長期借入金の財務制限条項に抵触しています。金融機関とは良好な関係にあり、期限の利益喪失に係る権利行使をしない同意を得ていますが、財務状況の改善が急務となっています。

(2) 食品の安全性


健康食や冷凍食を製造・販売しているため、食中毒や異物混入等の事故が発生した場合、社会的信用の失墜や回収コストの発生により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。衛生管理や品質管理の徹底に努めています。

(3) 紹介ネットワークへの依存


MFD事業の顧客獲得は、医療機関等の紹介ネットワークに大きく依存しています。ネットワークの拡大が停滞したり、関係性が悪化してカタログ配布が進まなくなったりした場合、新規顧客獲得に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 特定取引先への依存


MFD事業の商品『ミールタイム』の製造は、主にトオカツフーズ1社に委託しています。何らかの事情で同社への委託が困難になった場合、代替先の確保や製造の一時中断などにより、事業運営に支障が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。