あんしん保証 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

あんしん保証 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、家賃債務保証事業を展開しています。主力商品の「ライフあんしんプラス」等の販売が好調に推移し、直近の業績は営業収益が前期比で二桁増収、当期純利益も大幅な増益を達成しました。堅調な不動産賃貸市場を背景に、安定した収益基盤の構築と業容拡大を続けています。


※本記事は、あんしん保証株式会社の有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. あんしん保証ってどんな会社?


家賃債務保証事業を中心に展開し、賃貸借契約の連帯保証人を法人として引き受ける企業です。

(1) 会社概要


2002年に賃貸あんしん保証として設立されました。2004年にライフカードと提携して「ライフあんしんプラス」の販売を開始し、2015年には現在のあんしん保証へ商号変更の上、東京証券取引所マザーズに上場しました。その後も新たな提携や商品展開を進め、2022年にスタンダード市場へ移行しています。

従業員数は単体135名です。筆頭株主は事業会社のアイフルで、第2位は雨坂甲氏、第3位は小川秀男氏となっています。アイフルとは役員の兼任等の関係があり、ライフカードとは業務提携を結ぶなど、協力関係を築きながら家賃債務保証サービスを提供し、不動産賃貸業界の活性化に貢献しています。

氏名 持株比率
アイフル 36.90%
雨坂 甲 10.90%
小川 秀男 3.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長の伊藤義英氏をはじめとした体制となっており、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
伊藤 義英 代表取締役社長 1994年アイフル入社。上海三秀融資租賃有限公司総経理やAGメディカル常務取締役等を歴任。2024年にあんしん保証専務取締役となり、2025年より現職。
関原 昌浩 常務取締役 1983年アイフル入社。同社内部監査部長や管理推進部長を歴任し、2019年にあんしん保証顧問に就任。取締役執行役員を経て、2023年より現職。
中嶋 明 取締役 1990年アイフル入社。ビジエンス取締役部長やアイフル東日本営業部部長を歴任。2024年にあんしん保証営業本部副本部長に就任し、2025年より現職。
堂本 顕孝 取締役 1994年アイフル入社。ライフカード執行役員やアイフル常務執行役員を歴任。2025年にあんしん保証取締役に就任し、2026年より現職。
大川 馨一郎 取締役 1990年アイフル入社。同社財務部長や保証事業部長、ライフカード営業第三部長を歴任。2022年にあんしん保証取締役に就任し、2025年より現職。
市川 順也 取締役(監査等委員) 1995年アイフル入社。同社グループ監査室等を経て、ライフカード業務センター業務管理課係長等を歴任。2024年より現職。


社外取締役は、村上寛(弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)、岩下悦男(元町田警察署長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「家賃債務保証事業」を展開しています。

(1) 事前立替型商品


入居者が家賃を支払う前に、不動産管理会社へ全額立替払いを行う家賃債務保証サービスです。家賃の滞納が発生した場合に初めて代位弁済を行う従来の滞納報告型商品と異なり、不動産管理会社の家賃管理事務の煩雑さや未回収リスクを排除できるのが特徴です。

入居者から保証契約時や更新時、毎月の家賃引落時に初回保証料や更新保証料、月額保証料を受け取るフィー型の収益モデルです。運営は同社が行っており、ライフカードの資金で立替を行う「ライフあんしんプラス」や、自社資金で立替を行う「あんしんプラス」を提供しています。

(2) 滞納報告型商品


入居者による家賃等の滞納が発生した場合に、不動産管理会社から滞納の報告を受けて滞納家賃等の代位弁済を行う従来の保証サービスです。主にクレジットカード提携商品や事前立替型商品ではカバーしきれないニーズに対応しています。

事前立替型商品と同様に、入居者から受け取る保証料が主な収益源となります。運営は同社が行っており、指定信用情報機関を用いた滞納報告型商品の販売強化にも取り組み、多様な保証ニーズに応えることで事業の多様性と安定した収益基盤の構築を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


営業収益は堅調に右肩上がりの推移を続けています。一方、利益面では2025年3月期に貸倒引当金繰入額や各種費用の増加により一時的に落ち込みましたが、2026年3月期は増収効果や費用コントロールにより経常利益、当期純利益ともに大きく回復し、再び成長軌道に乗っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 41.3億円 45.0億円 48.4億円 53.8億円 61.6億円
経常利益 5.9億円 6.8億円 5.5億円 1.7億円 4.2億円
利益率(%) 14.3% 15.1% 11.4% 3.2% 6.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.0億円 4.7億円 3.7億円 0.9億円 2.9億円

(2) 損益計算書


営業収益の増加に伴い、営業利益も前期の約4.4倍へと大きく拡大しました。利益率も大幅に改善し、収益性の向上が見られます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 53.8億円 61.6億円
営業利益 0.6億円 2.6億円
営業利益率(%) 1.1% 4.2%


営業費用のうち、支払手数料が21億円(構成比36%)、貸倒引当金繰入額が10億円(同16%)、給与手当が6億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


単一セグメントであるため、全社の業績がそのままセグメント業績となります。保証債務残高及び新規保証件数の伸びにより、前期比で増収増益を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
家賃債務保証事業 53.8億円 61.6億円 0.6億円 2.6億円 4.2%
連結(合計) 53.8億円 61.6億円 0.6億円 2.6億円 4.2%


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人として社会に感謝し、地域社会の発展に挑む」という企業理念を掲げ、賃貸借契約における連帯保証人制度を法人として引き受ける機関保証会社として、家賃債務の保証事業を展開しています。連帯保証人制度に代わる住環境のインフラの一端として、不動産賃貸業界の活性化の一助となることを目的としています。

(2) 企業文化


コンプライアンスを前提とした企業活動を通じて、経済社会の発展に貢献することで社会から信頼される企業となり、透明性・公正性・効率性を兼ね備えた企業経営を実現することを重要な目的としています。多様な人材が能力を発揮できる組織風土の醸成を進め、自律的にキャリアを形成できる職場環境の整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


家賃保証事業を継続し拡大していくことが「機関保証の普及の実現」ならびに企業価値の向上につながると捉えており、目標とする経営指標を「保証債務残高」及び「保証債務件数」として、経営指標の向上に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


これまで管理物件を主たる市場としていましたが、家主自身で物件を管理する一般物件市場の開拓を推進しています。クレジットカードポイントを付与できる信販会社との提携商品や事前立替による保証などの強みを活かし市場開拓を進めます。未だ機関保証が進出していない分野へ進出することで、事業の多様性と収益の分散化を図ることを中長期的な戦略としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


連帯保証人制度に代わる機関保証の普及を持続的に推進するため、与信審査、債権管理、営業、システム及び管理部門における専門性を有する人材の確保・育成を重要課題と位置付けています。各部門の実務に即したOJT・研修や、コンプライアンス教育、管理職候補者の育成を通じて、事業拡大とリスク管理の双方を支える人材基盤の強化に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.8歳 6.4年 4,892,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 求償債権の回収不能リスク


保証契約に基づく求償債権を全額回収できるとは限らず、未回収金が発生する場合があります。適切な与信と保証料金体系の設定でリスクをヘッジしていますが、貸倒損失が予測を上回った場合や、未回収金が想定を大きく上回った場合、キャッシュ・フローが悪化し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資金調達及び金利の変動


主力商品「ライフあんしんプラス」は提携先の資金を用いて立替を行っていますが、提携解消時には独自での資金調達が必要となります。また、「あんしんプラス」では自社資金や借入を用いており、金利負担の増加による競争力低下や収益の減少が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 多額の偶発債務の発生


家賃債務の保証事業は、入居者による家賃等の滞納があれば同社が代位弁済を行う必要があります。経済環境の予想し難い激変など何らかの理由により、このような偶発債務が急激に上昇するような場合、同社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(4) システムへの依存と障害


審査や債権管理、顧客情報の管理など、業務の大部分をシステムに依存しています。事故、自然災害、サイバー攻撃やソフトウエアの不具合等によりシステムの安定的な運用が困難となった場合、業務運営に支障が生じ、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。